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作為のない美しさ
自然の不思議を
キューブに閉じ込めて

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

街を歩いていると、ときどき、蔦に覆われた家を見かけることがある。

壁に沿って伸びていく蔓や葉は、植物自身が意思をもって動いているかのよう。

種を遠くまで飛ばしたり、風や太陽の力を活かしたり。植物の形はどれも、この世界で生き抜くために進化してきたもの。ときに美しく、ときにゾワッとするようなものもある。

Sola cubeは、そんな植物の造形美をアクリルキューブに閉じこめ、手のなかで楽しめるオブジェです。

つくっているのは、京都を拠点に活動するウサギノネドコというブランド。

ブランドスタートから14年。植物から鉱物、さらには動物へと視野を広げながら、さまざまな造形のおもしろさを伝えてきました。

今回はオンラインストアの運営を通じて、その魅力を伝える人を募集します。植物や自然科学などの知識はいりません。形を見てハッとする気持ちや、なぜこうなったんだろうと調べてみたくなる好奇心を持った人を探しています。



今回は京都市・南区のオフィスから、オンラインで話を聞かせてもらう。

同じ市内の中心部にある店舗からは少し離れたところにあるオフィスで、室内にはさまざまな在庫や道具が収納された棚があるみたい。

まず話を聞いたのは、代表の吉村さん。

吉村さんが、植物に興味を持つきっかけはなんだったんですか。子どものころから、自然と親しんでいたとか?

「私は幼少期をタイやフィリピンなどの東南アジアで過ごしました。自然は豊かだったんですが、治安があまり良くなかったこともあって、外で遊んだ記憶は少なくて。だからむしろ、潜在的なところで自然への渇望感とか、憧れみたいなものはあったかもしれません」

もともと、ものをつくったり表現したりするのが好きだったという吉村さん。以前は広告代理店で働いていた。

クライアントワークを続けるうちに、他人の課題解決ではなく、もっと自分の内発的な興味からものをつくってみたいと思うようになったそう。

「何かないかなと思っていたころに、道で、モミジバフウの実を拾ったんですよ」

モミジバフウ?

「街路樹とか公園とか、どこにでもある植物なんですけど、本当に不思議な形をしている。自分で何かつくるよりも、この自然の造形を純粋に美しく見せるほうがおもしろいんじゃないかと思って。持ち帰った実を、夜な夜な樹脂に封入してみたのが、今のプロダクトのはじまりです」

あらためて見ると不思議な形ですね。

「植物なんですけど、ミクロの世界とか、太陽がフレアを出している瞬間にも似ていますよね。植物の形って、自然界で生きていくための機能に基づいたものだから、人間が考えてつくるものとはやっぱり違う。『無作為の美』のようなものに、どんどん興味をひかれていったんです」

4cm角のアクリルキューブのなかにおさめられた、さまざまな植物。

タンポポなど見慣れたモチーフも、どこか非日常的な印象になる。浮遊感があるせいか、時間が止まっている感じもして、ちょっとSFっぽい想像もふくらむような。

「キューブに入れることで360度いろんな角度から眺められる。最初は子どもの玩具を想定していたんですが、思ったより大人の方からの反響が大きくて」

副業の範囲を超える手応えを感じてきた2012年、生まれ故郷の京都に戻ってお店をスタートした。

京都市の繁華街からは少し離れた、二条城の近くにある店舗は、もともと宮大工だった吉村さんの曾祖父が手がけた町屋で、今は店舗のほかに宿とカフェを併設している。

植物標本からはじめたシリーズも、鉱物や動物などへと幅を広げ、今は「博物」という広いくくりで、自然の造形美の多様さを伝えている。カフェでは、鉱物を模したスイーツも楽しめるそうだ。

「テーマがニッチなので、いくつか入り口があったほうがいいかなと。まあ、それは後から考えた理由で、実際はやりたかったいろんなことをつなぎ合わせて今の形に至っているような感じです」

「今、一緒に働いてくれるスタッフも増えてきて、経営者として責任や葛藤もあるんですけど、やっぱり自分たちの『やりたい!』っていう動機は大事ですよね」

自然の造形には、美しく、心癒されるものもあれば、驚きや脅威を感じる場合もある。ボルボックスなどミクロの世界を再現したシリーズは、ちょっと新しいアプローチですよね。

「見た目はちょっとグロテスクですけど、僕はこういう世界も結構好きです。万人ウケするブランドを目指しているわけではないので、99人に無視されても、1人がグッとくるものをつくりたい。そのためには売ることだけじゃなく、ラボラトリー的な視点で探究していくことも必要かなと思います」

「僕自身、専門家ではないし、一緒に働くメンバーにも知識や経験は求めません。ただ、『この形おもしろいね』っていう興味や好奇心の方向性が近い人だといいなと思っています。植物だけじゃなく、美しいものや形、アートとかファッションとか、そういうものに興味があるといいのかな」



ニッチな世界観で、着実にファンを増やしてきたウサギノネドコ。

2019年には東京・谷中にふたつ目の店舗をオープンしたほか、小売から国内外の卸まで、販売チャンネルも増えてきた。

拡大するチームのマネジメントを担っているのが、取締役の小野寺さん。吉村さんとは学生時代の友人だという。

「吉村がSola cubeの仕事で独立したって聞いたときは、正直、仕事になるのかな?って半信半疑なところもあったんです」

たしかにマニアックな世界ではありますよね。博物館や美術館の体験にも似ているというか。

「そうですね。お客さまも、自然の造形美や博物の世界に興味のある方が多いです。一方で、もう少し敷居を下げて幅広い層に伝えていくためには、プロダクトについてわかりやすく伝えていく工夫が必要なのかなと思う面もあります」

パッと見て直感的にひかれる造形のおもしろさもあるけれど、なぜその形になったのか?という背景やストーリーを知ることで、さらにグッと引き込まれることもある気がする。

自分たちの知っていることだけでなく、ときには専門家へのインタビューやリサーチをしたうえで、博物のおもしろさを伝えるコンテンツをつくってもおもしろそう。

「特に、文章で表現できる人がいるといいなと思っていて。以前も社内で『ウサギノネドコ図鑑』っていう読み物をつくろうとしたことはあったんですが、日々の業務とのバランスでなかなか継続するのが難しかったんです」

「あとは楽しみ方の提案。たとえば『春先には桜のキューブを使って、おうちでお花見しませんか』とか、そういうアプローチも文章力があれば、もう少し伝わりやすくなるんじゃないかなとは思います」

今、ウサギノネドコのスタッフは全部で9人。そこにアルバイトスタッフが加わる形ですべての業務を進めている。

商品開発から接客、卸と、業務が多岐にわたり、勤務場所も異なる都合から分業になりがちだけど、今後はもう少し横断的に役割を共有していきたいと小野寺さんは考えている。

「やっぱりみんな、博物や植物、鉱物、アート、それぞれの興味を入り口にこの仕事に携わっていて。何かを好きだという気持ちを手掛かりに、アイデアを出してみようとか、目標を持ってやっていこうっていう意欲につなげてくれたらいいなと思います」



現在、オンラインストアの店長を任されているのは、高辻さんという女性の方。写真は苦手だそうで姿は紹介できないものの、とても穏やかに話をしてくれる。

出荷業務はアルバイトスタッフにサポートしてもらいつつ、オンラインストアの管理やカスタマー対応などの業務は高辻さんがほぼ一人で担っている。

「私が入社した4年くらい前は規模の小さかったオンラインストアも、だんだん商品数が増えきました。日々の業務は地味なところもあるので、着実にコツコツと進める部分も大切です」

「あとは最近だと、『鉱物のスイーツをオンラインで売っていこう』みたいに、急に新しい企画がスタートすることもあるので、ある程度柔軟に。自分の仕事を限定せずに、とりあえずやってみようっていう姿勢でいられるほうがいいと思います」

実際に商品を手に取れないぶん、オンラインストアでは写真にもこだわっている。

自然の素材を扱う商品だから、それぞれ個体差がある。同じ植物でも、色味が違うと別の商品に見えてしまうほど。

写真のイメージとギャップがないように伝えるのが難しいところだという。

「このカイガラソウっていう植物は特に個体差が大きいので、サンプルの写真をたくさん掲載して、それぞれのイメージに近い在庫をストックしておくようにしています」

在庫管理も機械的に数字を把握するだけでなく、個々の特徴を一つひとつ目で見て、たしかめながら進めていく。

その姿勢もあって、お客さんからのリアクションは好意的なものが多いという。

「私はもともと、植物や鉱物の世界に興味があったわけではなくて。まあ、ちょっと変わったものというか、おもしろい形をしたものが好きっていう興味はあったと思います」

形ある植物や鉱物だけでなく、プリズムのような光の美しさを伝えるアイテムなど、ブランドとしての表現も広がってきている。

スタッフの提案から新しい商品の取り扱いが決まることもある。

高辻さんが今、新たに扱いたいと考えているのは、“hai”という作家さんがつくっている鹿の角や骨でできたアクセサリー。

形を愛でるだけでなく、実際に手で触れて質感や重さを感じられる。自然の造形美というテーマのなかでも、まだまだいろんなアプローチが考えられそうですね。

「自然の造形美って、流行り廃りのない普遍的なものだから、年代や性別を問わずファンを増やしていけると思うんです。私ももともと詳しかったわけではないし、もっといろんな人に興味を持ってもらえるよう、間口を広げていけたらいいなと思っています」



常にプロダクトアウトでものづくりに向き合ってきた、ウサギノネドコ。ワクワクするような好奇心や感性で、枝葉を伸ばしていくような会社だと感じました。

自然に心動かされ、惹かれる気持ちがあれば、ぜひ一度サイトを覗いてみてください。

(2021/3/29 オンライン取材 高橋佑香子)
※写真は、ご提供いただいたものを使用しています。

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