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ものづくりは計画がたのしい。何をつくろうか。どんな人が使ってくれるだろうか。
そして、実際に動きはじめてからもおもしろい。思いもよらないハプニングが起きたり、想像を超える広がりを見せたり。
場づくりの前後に長く関わりたい。
そんな想いで、設計から施工管理、完成後のイベント企画までおこなっているのが、合同会社ウェルカムトゥドゥです。
2013年の設立以来、少しずつ業務の幅を広げていて、2年前からは自社スペースも運営しています。
今回は、施工管理のスタッフを募集します。
現場のマネジメントを中心に、興味にあわせて設計や企画に挑戦していくこともできるそう。未経験の人や、正社員以外の関わり方をしたい人も歓迎します。
学芸大学駅の改札を出て、歩くこと5分。
車通りから1本入ると、あたりは静かになる。道を間違えていないか少し不安になりながら進んでいくと、「C/NE 路地裏文化会館」と書かれた看板を見つけた。
なかに入ると、木を基調とした空間が広がっている。奥にあるキッチンでは何かつくっている人もいるみたい。
2階のオフィスにあがると、ウェルカムトゥドゥ代表の佐藤さんが出迎えてくれた。
打ち合わせスペースでお話を聞かせてもらう。
1階は、何をしている場所なんですか?
「C/NE(シーネ)という、自社で運営しているスペースなんですが、平日は食堂をひらいています。週末には映画を上映したり、食のイベントを開催したり。レンタルスペースとして使ってもらうこともありますね」
C/NEをオープンしたのは2年前のこと。“路地裏の文化会館”をコンセプトに、映画と食にまつわるさまざまなイベントを開催してきた。
「この場所が、何か始めたい人のきっかけになればいいなと思っていて。イベントへ遊びにきた人が次のイベントの主催者になる、なんてこともよくあるんですよ」
設計施工の仕事から始まったウェルカムトゥドゥ。
現在では、コンセプトから空間設計、グラフィックデザインまで一括してプロデュースをおこなう案件や、イベントの企画運営まで担当することもあるそう。
ハードからソフトまで「場づくり」全般に関わる施工会社って、なかなか珍しい気がする。どうして両方を仕事にするようになったんでしょう。
「ある時、100人規模のアウトドアフェスを企画して運営したことがあったんです。テーブルや舞台装置、イベントやワークショップまで全部ゼロから自分たちでつくって」
「当日、自分たちのつくったもので大勢の人が楽しんでくれていて。それを見ているのが、すごく楽しかったんですよね。そのときに、設計施工は基本的につくって終わりだけど、完成したあとも関われたらもっといいのになって思うようになったんです」
どうやって「場づくり」をしているのか。代表的な案件について教えてくれたのは、上田さん。
トゥドゥで、場づくりに関わるコンセプトメイクやディレクションを担当していて、C/NEの企画運営も担っている。
「横浜日吉エリアにあるゴルフ練習場なんですが、創業50周年を迎え建物の老朽化と客層の高齢化が課題となっていて。『この先50年も地域に愛される場所にしたい」というオーナーの強い思いを受けて、リニューアルプロジェクトがスタートしました』
さまざまな年齢層が集えるようなコミュニティの拠点を目指すため、何度もディスカッションを重ね、「ゴルフ練習場付きファミリーレストラン」というコンセプトが決定。
設計から工事、グラフィックデザイン、WEBサイト制作までをトゥドゥが担当した。
内装工事後は、この場所を使ったイベントも企画・運営。
「施設の外看板は、地域の子どもたち100人くらいに手形を押してもらってつくりました。親子向けの木工ワークショップや流しそうめんのイベントも企画して。年に3回ほどは、ゴルフ場を開放して映画の上映会もやっているんですよ」
コンセプトの段階からクライアントと一緒につくっていくなかで、信頼関係が生まれ、イベントの企画運営もスムーズに進めることができているという。
なにより、前後の過程に関わるからこそ、その場が自分ごとになっていくんだろうな。
「ファミリー層が利用しやすいように、内装デザインはかなり話し合いました」
と、プロジェクト当時のことを振り返ってくれたのは工藤さん。
「家族が伸びやかにくつろげるような、開放的で温かみのある空間を意識しました。地域の人たちが集まれる場所にもなればいいなと思って、お店の真ん中には大テーブルを置きました。このテーブルを使って、地域主催の料理教室もひらかれたんですよ」
「割合としては、設計事務所さんから施工管理を任されることが多いんですが、ここ数年で新しい仕事も増えてきていて。ハードとソフトの両方をこれからも大切にしていきたいんです」
最近は、トゥドゥが拠点を置く学芸大学駅周辺エリアで「場づくり」をすることも増えているんだとか。
「この前は、学芸大学駅周辺に数店舗展開する、人気イタリア料理店の新拠点を手がけて。クライアントのオーナーさんやスタッフさんと、トゥドゥメンバーが1つのチームとなって、コンセプトづくりから、グラフィックデザイン、設計施工まで担当しましたね」
はじめは、「スタッフが増えてきたこともあり、メニュー開発もできるオフィスをつくりたい」という漠然とした相談からスタート。
互いにアイデアを出し合ううちに、スタッフだけでなく、生産者や輸入業者、さらには地元の人にも開かれた「道の駅」のような場所を目指すことに。
結果、お店のスタッフがメニュー開発をするLABと、全国の野菜やワインが購入できるSHOP、レストランが一体となった、複合施設が誕生した。
現在、トゥドゥの社員は4人。ソフトを専門に担当する上田さんを除いた3人で、設計や施工管理の業務をおこなっている。
それぞれ別で担当する現場もあれば、全員がチームになって取り組む案件もあるんだとか。
「今回募集する方も、ベースは施工管理の業務をお願いしたいと思っています。その上で、トゥドゥがやっているほかの分野にもチャレンジしてもらえたらうれしいです」
C/NEでのイベントを一緒に企画したり、設計の仕事に挑戦したり。可能性はいろいろありそうだ。
施工管理の仕事は、具体的にどんなことをするんですか?
「まずは設計事務所さんからもらったデザインをもとに施工のスケジュールを組んで、職人さんに工事の手配をします。施工が始まったら、設計通りにつくられているか、スケジュールに問題はないか日々チェックして、現場を管理していく仕事ですね」
「トゥドゥに声をかけてくれる設計事務所さんは、年齢も近くて話しやすい担当者さんが多くて。職人さんも決まったメンバーに頼むことが多いので、社外の方含めてチームでつくっている感覚は強いかなと思います」
新しく入る人は、まずは佐藤さんや工藤さんに同行して仕事の流れを学んでいくことになる。だいたい1年もあれば、1人で担当できるようになる人が多いそう。
「直接的な経験がなくても、建築やデザインなど、何かをつくることに関わりや興味があれば、かなり仕事はしやすいはず。案件ごとに対応もまったく異なるので、結局はいろんな現場を経験することが一番大切だと思います。代表の佐藤も、もともとは旅行会社で働いていたんですよ」
「雇用形態や職種にかかわらず、トゥドゥと一緒に何かやりたいっていう人がいたら、歓迎したいなと考えていて。関わり方から一緒に話し合っていけたらいいなと思っています」
トゥドゥで働くもう一人のメンバーが、4年目の佐々木さん。
「大学で建築について学んでいたので、はじめは設計事務所に就職したいと考えていました。でも、図面をずっと書くより、現場に行くほうが楽しそうだなと思って。それに、設計する上でもまずは現場を知ったほうがいいなって思ったんです」
「働き始めたばかりの頃は、何がわからないのかさえわからなかったです。1人で現場に行くようになってからも、今は順調に進んでいるのかな、大丈夫かなって思っていました」
困ったとき、すぐ相談できる人が現場にいないのは不安ですよね。そんなときはどうしていたんですか?
「現場の職人さんをすごく頼っていましたね。職人さんに『これって、どうしたらできますか?』って、施工法について教えてもらうこともよくありました。他愛もない話もしていて、お父さんみたいな人たちです」
たくさんの現場を経験することで、少しずつ知識をつけていった佐々木さん。
今では、施工管理の視点から設計者に提案することもある。
「たとえば、デザインでは紙製のクロスを扉に貼る予定になっていたとして。紙は剥がれやすいし爪でひっかくと取れちゃうから、メンテナンスが大変なんですよ。だから、別の素材にするのはどうですかってお話しするとか」
設計者のデザインは尊重しつつ、施工方法や完成後の使い勝手を考えて、よりよい方法を提案する。
長い目で見て場に関わることは、ソフト面だけでなく、ハードをつくる際に現場に即した提案をすることにもつながっているんだろうな。
「施工が始まると、だいたい予期せぬことが起こるんですよ。この前も、扉だけで3回設計の変更があって、工程をその都度見直しました。職人さんにも対応をお願いすることになるので、調整ごとが苦じゃない人だといいと思います」
「はじめは、ただ紙に書かれた情報だけだったものが、少しずつ目の前で形になっていく。その過程に携われるのが楽しいんです。完成した瞬間に立ち会えたときは、いつも本当にうれしいですね」
場ができると、人が集まって活動が生まれる。
設計も施工管理もイベントの企画も、目指す景色は同じです。
トゥドゥの皆さんは、建物はもちろん人の姿を思い描きながら、働いているんだと思いました。
(2021/3/1 取材 鈴木花菜)
※撮影時はマスクを外していただきました。