求人 NEW

石を通して
潜在的な感性と
静かに向き合う

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

「論理的な思考ではなく、精神を開放し内面から湧き出る感覚に従う。古代の人々がそうだったように、石を通して純粋な気持ちで自然と向き合ってほしいと思っています」

これは、大蔵山スタジオ代表の山田さんの言葉です。

大蔵山スタジオは、宮城県丸森町にある標高300メートルの里山・大蔵山に本社を構える会社。

墓石やモニュメントのほか、アート・デザイン・建築の専門家と協業した美術品や家具などを製作。大蔵山でしか採れない「伊達冠石」を採石し、加工から空間に落とし込むまで、一貫したものづくりを展開してきました。

2015年に「山田石材計画」から社名を変え、事業の幅も広がりつつある大蔵山スタジオ。これから日本全国、さらには世界へ伊達冠石の個性や石の持つ力を発信していこうと、新たな取り組みもはじめています。

そこで今回は、海外への商品発送手続きなどの仕事を担当する事務と営業に携わる人を募集します。

特に石の造形やアート、建築に興味関心を持って仕事に取り組める人に来てほしいとのこと。土地や風土に結びついた仕事に関心のある人、丁寧なものづくりに携わりたい人にぜひ知ってほしい仕事です。

また、工場内での加工や現場での設置工事などを担う職人もあわせて募集しています。

(取材はオンラインで行いました。写真は提供いただいたものを使用しています)

 

以前、日本仕事百貨で大蔵山スタジオを紹介したのは7年前。

社名が「山田石材計画」から大蔵山スタジオに変更されたばかりの頃だった。

当時専務取締役だった山田能資さんは、2017年から父・政博さんの跡を継ぎ、現在は代表取締役を務めている。

今回はオンラインで話を聞くことに。

「大量生産的ではなく、工房のように製作するもの一つひとつを大切にお客さまに届けたい。そう考えて『スタジオ』という言葉を社名に取り入れたんです」

そんな想いに沿って、会社の事業内容も変化してきた。

以前はお墓の製造の割合がほとんどだったものの、建築関係などのデザイン事業が拡大。現在では全体の半分を占めるほどにまで増えてきているという。

「理由のひとつは、お墓の需要が減っていることにあります。地元から離れて暮らす人が増え、供養のあり方が多様化したことで、そもそもお墓を持つ人が減っていて」

「その一方でホテルやマンションなどの建築分野では、伊達冠石を使った家具などの需要が増えています。『本物の素材』を吟味した空間をつくろうとする建築家の方などから、石を使いたいと相談をいただくことが多いですね。そこで僕たちは、石についての提案を行っています」

提案というと、具体的にはどんなことを?

「たとえば…」と山田さんが画面を共有して見せてくれたのは、伊達冠石を使ったベンチ。

「伊達冠石は本当に一つひとつの個性が強い石なので、実物が近くにないと加工のイメージがしにくいんです。このベンチも、ただ素材として石を提供するのではなく、デザインの段階から関わっていて。黒い箇所のように磨いた部分もありながら、石の表情を残している箇所もある。そんなふうに、素材の個性に合わせた加工を、伊達冠石のプロとして提案しています」

大蔵山スタジオがこれまでに手掛けてきたプロダクトは、カウンターテーブルや洗面台、ドアハンドルなどさまざま。

設計事務所から相談を受けたら、まずは施工現場を確認し、サイズ感の合う石を施主や設計士とともに選ぶ。そしてその個性を活かすように図面を描き、加工する。

石の持つ表情を引き出せるのは、日常的に扱っている大蔵山スタジオのみなさんだからこそ。建築でもプロダクトでも、多くの場合、山田さんのドローイングをそのまま採用してもらえるという。

「僕の提案は少し変わっていて、石の割れをそのまま使うこともあります。割れているからだめ、というのは人間が勝手に決めていること。割れた面から自然の摂理を感じられるのも、石の豊かさだと思っているので。あえてそうしたデザインを提案することもありますね」

「僕たちは美術的な感覚を持って石を扱う、コーディネーター的な役割を担っていると思っています。そこがたぶんほかの石屋さんと違うところですね」

そもそも、伊達冠石が多くの建築家やデザイナーに認知されるようになったのは、芸術家のイサム・ノグチが自らの作品に好んで使ったことがきっかけ。それは大蔵山スタジオにとっても、大きな追い風となった。

同じように、新たなプロジェクトや仕事がはじまるとき、「人との出会いがきっかけになることが多い」と山田さん。

7年前に初めてイタリアを訪れたとき、現地でたまたま知り合ったイスラエル人のデザイナーとパリの展示会に参加したり、ミラノで出会った韓国人のアーティストとは、これからヨーロッパで開かれる展示会に向けての作品制作に取り組んでいたり。何かと人の縁から仕事が生まれているという。

「会った人、会った人と一緒に仕事できるような状況が続いています。それも、もともとはビジネスの話をするために知り合ったんじゃなくて、家に招待してもらって一緒にご飯を食べるようなことから何かがはじまることがほとんどです」

「そうした出会い方だからこそ、自分のことをちゃんと理解してもらって、お互いに仲間のような感覚を持ちながら一つひとつのプロジェクトを進めることができているんだと思います」

気軽さや便利さが求められることも多いなかで、重くて無骨な石は、ある意味現代の流れとは逆行した素材とも言える。そんな石に魅力を感じた人たち同士が、同じ釜の飯を食う。

お話を聞いていてふと、原始的な「食事」の風景が頭に浮かびました。

「古代の人達がストーンサークルに集まって、祭祀をしていた感覚にも近いのかもしれません。今、伊達冠石を中心に集まった人たちと一緒にプロダクトをつくっているのも、同じようなことかなと」

「そうした大昔の人たちと通じるような部分が、僕らのなかですごく重要で。『美しい』とか『大きい』とか、石に触れたときに生まれる純粋な感覚を、僕らの提案するプロダクトを通して感じてほしいと思っています」
 
山田さんは今後、県外、さらには海外での仕事がより増えていくことを想定しているという。

今はそのちょうど変わり目の段階。

「石に関して、世界一の審美眼を持った職人集団のような会社になっていくといいですね。今の会社のポテンシャルを考えれば、目指していけると思っています」

 

大蔵山スタジオの仕事は、山田さんや営業担当のスタッフがクライアントの要望や条件などをヒアリングするところからはじまる。

職人は注文の詳細を把握し、それをもとに石を加工。現場での施工まで行う。

今回募集するのは、事務と営業の2職種。事務は一般的な経理や問い合わせ対応などの仕事に加えて、海外への商品発送も担当することになる。

輸出業務は、会社の方針に沿って増えてきた仕事のひとつ。

「建築分野の人や企業とのつながりから、海外のホテルやギャラリーとの取り引きが多くなってきました。向こうでは、伊達冠石の特徴を生かした自然のテクスチャが感じられるアート的な作品や家具が人気です。ギャラリーを通して購入する個人のお客さんもいて、暮らしのなかで自然とのつながりを感じたい、という人に選んでもらえています」

発送先は中国やシンガポール、アメリカ、サウジアラビア、フランスなど。輸送業者や届け先のホテル、ギャラリーとやりとりすることになるので、英語を話せる人やこれまで貿易業務に携わったことのある人だとなおいいとのこと。

また、担当する仕事は輸出業務だけにとどまらない。

「人数が多い会社ではないので、いろんな役割を担ってもらうことになると思います。伊達冠石を基調とした美術品や建築商材がスムーズにお客さまに届くよう、積極的に動いていただける方に来てもらえるとうれしいですね」

特定の仕事だけをしたい人には合わない反面、アートや建築に興味があって、さまざまなことを経験したい人にとってはぴったりな仕事だと思う。

「この仕事をするうえで一番大切なのは、石やアート、建築などの造形に対する興味だと思っています。もちろん最初から想いを持つのはとても難しいこと。だからこそ、伊達冠石や素材を扱う職人の手仕事に触れてみてほしいです。そうすると、きっと仕事に対する意識も増していくと思います」

写真は苦手ということで紹介できないのだけど、清水さんと一緒にお話を聞いた営業担当の方は、伊達冠石のことを「山の恵」とも呼んでいた。

「丸森町のキャッチフレーズは『水と緑のかがやくまち』。町内面積の約7割を占める森林のなかに、この環境がある。ここでしか採れない石を使っているというのが、やっぱり一番の強みだと思っています」

今回募集する営業担当は、まずは墓石を建てる「建墓」を中心に担当してほしいとのこと。入社後は、宮城県内の寺院や建墓を希望するお客さんのもとを回るところからのスタートになる。

建墓では、墓石や石材工事の知識のほか、施工や建築図面のノウハウも活用するため、働きながら、石材を扱う仕事の基本を学ぶことができる。

また、人々の祈りを象徴するお墓に日々向き合うなかで、石が持つ根源的な意味合いともじっくり向き合う機会がつくれると思う。

 

現担当の方は、前に事務機器などの営業をしていたそう。同じ営業でも、扱うものが変われば仕事の質も大きく変わるように感じているという。

「お墓は人の死に関わるもの。単純にものを売るのと違って、想いや魂をすごく感じる仕事だと思っています」

一度買ったら、買い換えることのないお墓をお客さんは慎重に選ぶ。だからこそ、購入前にどんなコミュニケーションをとるかが重要になる。

「営業先は、お寺の住職さんや家族を亡くしたばかりの方。その方々に、用意した営業トークをしても、心に響かないことが多いです。特に住職さんには心を見透かされているような感覚を持つときもありますね」

「本当に営業の原点だと思うんですが、『お客さまのために対応する』気持ちをしっかりと持つことが大切だと思っています」

石という自然の造形と向き合いながら、その個性や力を尊重して、ものづくりに落とし込んでいく。山田さんや大蔵山スタジオで働くみなさんの言葉からは、静かな誇りが伝わってきました。

本社のすぐそばには、およそ50ヘクタールの採石場が広がっていて、巨石を祀った文化施設も点在しているそうです。今、石や山に対して抱いている興味のままに大蔵山を訪れて、みなさんと話してみてください。

(2021/4/7 オンライン取材 2022/6/29 更新 宮本拓海)

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