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自分の生業は自分でつくる
あなたのミッションは
なんですか?

仕事って人から言われてやるもの?

もちろん、そういう仕事もあります。言われた通りやってみる素直さも、ときには大事です。

でも、自分から進んでやったことが人に求められたり、誰かを喜ばせたり。それが仕事になっていったら、一番いいなと思います。自分の頭で考えて、常に状況を切り拓いていくむずかしさはあるけれど、きっとそのほうが自由でおもしろい。

今回募集するのは、高知県津野町で活動する、ミッション提案型の地域おこし協力隊です。この町の課題や魅力に触れ、自らミッションを掲げて実行していくことになります。

この町で活動する協力隊の先輩は、それぞれバラバラなことに取り組んでいます。茶畑の再生、トゥクトゥクの運転手、木工作家、地域資源を活かした体験プログラムの企画、燻製工房の立ち上げ…。もともとの事業領域を超えて、新しい取り組みをはじめる人も多い。

いきなり「ミッション」を問われてもな…という人も、話を聞いているうちにムクムクっと何か芽吹いてくるかもしれません。

(取材はオンラインで行いました。写真は提供いただいたものを使用しています)



津野町は、高知県の中西部に位置する人口およそ5600人の町。高知龍馬空港からだと、車で1時間ほどかかる。

清流として知られる四万十川の源流点があり、西には「四国カルスト」と呼ばれる石灰質の台地が広がっている。ところによっては標高1400mにもなるそうで、冬場は雪も降るらしい。

本当は実際に訪ねたかったのだけど、緊急事態宣言の延長に伴い、オンラインで現役の協力隊やOBOGのみなさんに話を聞くことに。

まずは2018年に卒業した藤村さん。

協力隊時代は観光担当として、情報発信や問い合わせ対応、イベントの企画運営などをおこなっていたそう。

「2016年に開催された『奥四万十博』に関わらせていただいて。津野町にはいい場所がいっぱいあるんですけど、道が狭くて結構怖いんです。運転が苦手な人を連れていってあげられる乗り物がないかなと思って、見つけたのがトゥクトゥクで」

東南アジアとかでよく走っている、あのトゥクトゥクですか?

「そうです。タイのバンコクから取り寄せて。今は町内に2台ありますね」

幕末の志士の吉村虎太郎邸に集合して、そこから集落をめぐるツアーなど、トゥクトゥクを使った体験プログラムを企画。自ら運転手も務めるという。

協力隊を卒業後してからも、町の公式SNSを使った情報発信、フォレストアドベンチャーでの仕事など、さまざまなことに取り組んでいる。

大阪出身の藤村さん。いつか地方に住みたいという気持ちを抱えつつ、前職ではネットショップの運営に携わっていた。

思い描いた田舎暮らしとはちょっと違いそうだけど、なんだか楽しそうですね。

「おかげさまで忙しくさせていただいていて。今は星ふるヴィレッジTENGUというホテルのリニューアルオープンに合わせて、星座早見盤をつくっています。納期がギリギリで、焦ってます…(笑)」

「田舎は自然が身近なので、忙しいときも癒されますね。あとは水がおいしいのも、贅沢だなと思います」

住まいは町が仲介している物件で、家賃も安い。隣近所とも離れていて、夜中も気にせず音楽をかけられるところが気に入っているそう。

トゥクトゥクの運転手から、星座早見盤づくりまで。藤村さんの発想と行動力もすごいし、一緒にやろう!というまわりの人もすごい。



続いて話を聞いた嶋さんも、藤村さんに負けず劣らず多才な方。千葉県出身で、以前は東京でオフィス用品の営業の仕事を6年ほど経験してきた。

「昔からキャンプが好きで、都会より山の奥のほうに住みたいなと思っていたんです。移住した先で何か仕事つくらなきゃと思ったときに、燻製を商品化できないかなって。さらにいろいろ調べるなかで見つけたのが、津野町の協力隊募集でした」

当初はミッション提案型の枠で、燻製の商品化を考えていたものの、それだけで食べていけるかわからなかった。そこで、ちょうど募集していた観光の担当に。

その活動と並行して、燻製のプロジェクトも進めてきた。

「1年ちょっと前から商品化もはじめていて、スモークナッツが順調に売れています。月に500〜700個ぐらい」

わ、すごい。

「小規模な設備だと追いつかないってことで、今は燻製の工房をつくっていまして。もうすぐ保健所の許可がおりるところです。ぼくは来年の4月末で任期が終わるので、それに向けて独立の基盤をつくっているところですね」

ゆくゆくは工房併設でお店もはじめたいという嶋さん。じつは昨年、温泉宿の一部スペースを借りて半年間ほど、燻製カフェをひらいていたそうだ。

その料理も、ご自分で?

「はい、全部ぼくがつくっています。燻製したさばみりんの混ぜご飯とか、ポテサラ、鶏ハムや自家製ベーコンを使った小鉢とか」

「あとはコーヒーも自分で焙煎するんですけど。30分弱ぐらいトレッキングして、四万十川の源流点の水を汲んで沸かして、その場で挽いた豆でドリップして楽しむ体験なんかもつくっていて。参加者の評判もすごくいいんですよ」

なんだかみなさん、多才ですね。形にしていく力があるというか。

「自分のやりたいことをどんどんやっていける人はおもしろいなと思っていて。何かに向かって走っていく人がいたら、ぼくも混ざりたいなって気持ちがあるので、そういう方が今回も来てくれたら」

逆に言えば、失敗を怖がっていたら何もはじまらない環境でもある。ミッションを与えられるのではなく、自分から掲げて実行していける人でないとむずかしそう。



それにしても、“やりたいこと”って、本当になんでもいいんだろうか? おふたりはもともと観光担当だけど、ほかの分野の人にも聞いてみたい。

「その人のなかにしっかりとした意志さえあれば、なんでも」と話すのは、大井さん。ミッション提案型で、木工を仕事にしている。

東京出身で、20代は季節労働をしながら全国各地を転々としていたそう。その後、勤めていた神奈川の木工所の経営が傾いたタイミングで、お子さんを授かった。

子育てするなら田舎でと、津野町へ移住。任期は今年の11月末までだそう。

「地元の工務店の会長さんがとってもいい人で。『うちの仕事は別に手伝わなくていいから、自分の身になるものだけつくっていていいよ』ってことで、間借りさせてもらっています。自分がつくりたいものを試作しつつ、販売していける体制を整えているところです」

つくっているのは、スツールやダイニングチェア、お盆や名刺入れなどといった小さめの家具や小物。オンラインのハンドメイドマーケット「Creema」などに出店していて、最近はスツールが8位にランクインしたそう。

町内のこども園のためにテーブルをつくったり、役場から依頼を受けて展示用の小さなテントをつくったり。徐々に認知度を高めながら、ゆくゆくは大型家具も納品できるようにしていきたいとのこと。

「自分が木工をやっているので、何か組み合わせられる人が来てくれたらいいなと思っていて。革を扱える人がいたら、害獣駆除してその革を椅子の背もたれや小物に使えば、完全メイドイン津野の商品として出せる。あとは竹細工ができる人。たとえば食器棚の戸の真ん中に、竹を編んだやつをはめ込みたい。そういうのが得意な人がいたらおもしろいですよね」

たしかに、かなりピンポイントだけどおもしろそう。燻製工房をつくっている嶋さんも、ゆくゆくはアウトドアフィールドをつくりたいと話していた。

たとえば今回、林業で生計を立てていきたいという人が来てくれたら、伐った木を製材して大井さんが家具をつくり、間伐材はチップにして燻製に使用。農業に挑戦したい人なら、畑で野菜の収穫からキャンプ場でのバーベキューまでを体験にできるだろうし、トゥクトゥクを使ったツアーもできそう。荒廃した茶畑の再生に取り組む協力隊もいるものの、面積が広すぎて手が足りていないらしく、そこにも関わりしろがありそうだ。

今はそれぞれ独立したミッションに向かって取り組んでいるものの、そのうち交わってなんらかの形になっていきそうな気がする。ひとりで完結するビジョンはなくても、協業しながら新しい仕事をつくりたいという提案もありだと思う。



そんな協力隊同士の連携や地域住民との橋渡しを専門に担う人がいる。今年3月に協力隊を卒業した地域コーディネーターの小笠原さんだ。

協力隊時代は、白石地区にある廃校を活用した「集落活動センターしらいし」を拠点に、住民主体の地域づくり活動をサポートしてきた。

「防災活動や見守り活動など、もともと活発で。『しらいし時間割』っていう、地域の自然を活かした体験プログラムも着任前からされていたので、それを磨き上げて外からも人が来る仕組みにできないかなってことで、一緒にイベントづくりもしていました」

お茶の季節には、茶摘みをして釜で炒り、揉んで干す体験を企画したり、お正月には餅つきと地元の材料だけで門松づくりをしたり。「みんなが集い、笑い、ちょっと稼ぐ」を合言葉に、さまざまなことに取り組んだ。

協力隊も、こうした体験に参加するなかで地域の人との仲を深めたり、協力隊同士の交流を通じて新しいコラボレーションが生まれたりするはず。コーディネーターである小笠原さんがその仲介役を担ってくれるのも心強い。

3月に協力隊を卒業した小笠原さん。白石地区のみなさんが開いてくれた“送り出し会”のことが、とても印象に残っているという。

「はじめはどこの誰?っていう存在だったと思うんです。それがいつしか、応援してもらえる存在になれたことがうれしくて。まだできることは少ないですけど、もらった分を返していけたらなって思いで、今もがんばっています」

新しく何かをはじめるにしても、まずは地域になじむことから。

木工の大井さんも、こんなふうに話していた。

「人懐こくておしゃべり好きで、やさしい方が多いですね。2歳になったうちの子どもは、おーいって手を振るのが最近のブームで。みんな返してくれるんです。保育園には入れていないんですが、ちょっと畑の作業をしているあいだ、隣のおじいおばあが見てくれる。そういうところも助かっています」

「雨が降ってきたら『洗濯物、取り込んでおいたよ』って距離感です。ぼくはまったく負に感じないし、ありがたいなあと思うけど、合わない人はいるかも。おいしいものがいっぱいあったらあげたり、もらったりが当たり前。そんなところも楽しんでほしいですね」

ミッション提案型は、言い換えれば自分の生業をつくること。

頭で考えてガチガチに計画を固めなくても、地域に身を置いて花開く可能性もあるように感じました。

心からやりたいこと、好きなこと。そして、自分で自分の舵をとるという決意。それさえ持って飛び込めば、ここで生業をいかようにもつくっていけると思います。

(2021/6/17 取材 中川晃輔)

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