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手触りのある仕事
働きがいを持てる社会を
すべての人に

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

どうして働くのか。その理由は人によってさまざまだと思います。

お金を稼ぐため、という人もいるし、自分が面白いと思えることで食べていきたい、という人もいる。

それぞれの価値観があるなかで、みんながやりがいや喜びを感じながら働ける環境をつくるには、どうすればいいんだろう。そのことを地道に考え続けてきたのが、ディーセントワーク・ラボの人たちです。

「ディーセントワーク」とは、働きがいのある仕事、という意味。SDGsの項目の一つにも含まれている言葉です。

もともとは障がい者の労働環境を向上させたいという思いからスタートし、ラボという名前の通り、「働きがい」についての実践と研究を重ねてきました。

今回募集するのは、障がい者雇用を考える企業に対して俯瞰的な視点からアドバイスするプロジェクト推進担当と、クライアント企業のなかに入って、障がいのある 人と周囲とのコミュニケーションを手助けするサポーター(企業内ソーシャルワーカー)です。

福祉の経験は求めません。自分の働きがいについて考えている人も、ぜひ読んでみてください。



東急線の大岡山駅から歩いて3分ほど。東京工業大学からほど近いマンションの一室へ。

エレベーターで4階に上がり扉をひらくと、広々としたリビングでディーセントワーク・ラボのみなさんが働いている。

「最近引っ越してきたんですよ。数人で細々と続けていた事業が、ここ数年で広がってきて。じわじわと社会に求めてもらえるようになってきたのかなと思っています」

最初に話を聞いたのは、代表の中尾さん。

もともと中尾さんは、障がい者が働く福祉事業所の工賃を上げる活動をしていたそう。

「その活動を始めた12年ほど前は、10時から16時くらいまで働いても、平均工賃が月額1万2千円くらい。もっと少ないところもありました」

「福祉法のなかとはいえ、一生懸命働いてこの工賃というのは、自分に置き換えたときにどうにかしてもらいたいと思ったし、工賃を上げることは、障がい者の自立や社会参加にもつながる。その思いから、いろいろなことに取り組んできました」

それまでの福祉事業所は、クッキーなどのお菓子類や小物をつくっても販路がなく、地元のバザー等で販売することが多かった。そのため、価格設定を上げられず、結果として工賃も上げられないジレンマがあった。

そこで中尾さんたちは、ものづくりのプロと福祉事業所をつなげ、市場で勝負できるものづくりのサポートを始める。

「お菓子ならパティシエ、小物はデザイナー、販路開拓にはデパートの担当者、という感じで、それまで福祉の世界と接点がなかった人たちをつないでいきました」

「ただつなぐだけだとうまくいかないので、間に入ってコミュニケーションの仲介もして。プロが求める水準のものを、障がいのある人たちと一緒にどうつくるか、試行錯誤して進めてきました」

たとえば、お菓子づくりをパティシエに監修してもらう場合。質を高めることにこだわったぶん、作業工程も以前に比べると複雑になる。

障がいと一言でいっても、できること・苦手なことは一人ひとり違う。その違いを理解したうえで、どうしたら得意なことを活かせるか。おいしいお菓子をつくれるか。

コミュニケーションと作業工程の改善を繰り返し、工賃も質も引き上げることを目指してきた。

すると、そのなかで思いがけない変化に気づいたそう。

「障がいのある人が積極的に仕事に関わるようになったり、できることが増えたり。ポジティブな変化がたくさんあったんです。これってなんだろうって思っていたときに、恩師から『これがディーセント・ワークじゃないか』って、教えてもらって。そこから、実践しながらディーセント・ワークについて考えていこうと、団体を立ち上げました」

2013年に法人化し、細く長く活動を続けてきた中尾さん。大きな転機となったのは、2018年。障がい者の法定雇用率がそれまでの2%から2.2%に引き上げられ、身体障がいや知的障がいだけでなく、精神障がいのある人も障がい者雇用義務の対象に入るように。

以来、企業から中尾さんたちのもとへたくさんの相談が寄せられるようになったそう。

現在では、この障がい者雇用コンサルティングが事業の柱になっている。

「いろんな人や企業と関わるなかで、障がいのある人が働きやすい環境と、そうじゃない環境があることがわかって。どう違うんだろうと、いろいろ考え、調べていたんですが… 秘密がわかったんですよ」

え、なんでしょう?

「個々の強みを活かしたり、モチベーションを高める仕組みがあったり、チームで仕事をする文化があったり、失敗や挑戦に寛容だったり。そういった土壌のある企業は、障がい者が安心できて、働きがいを持つことができる」

「でもこれって、障がい者だけじゃなく、多くの人に当てはまることなんですよね。つまり、働きがいのある環境をつくるのに、障がいの有無は関係がない、ということです」

バリアフリー設備を設えたり、目や耳の不自由な人でも使える機器を導入したり。ハード面を整えることは想像しやすい。

それだけにとどまらず、たとえば朝どうしても起きられない人には、柔軟にシフトが変えられる仕組みを。モチベーションを感じづらい人には、やり終えた仕事を具体的に書き出す、作業の見える化を。

人間関係や仕事の進め方にまで目を向けて変えていくことが、その会社で働く人全員の働きやすさにつながる。


 
「障がい者雇用をきっかけに、働くすべての人に喜びと安心を感じてもらうというのが、うちのミッションなんです。それを一緒につくっていく私たちの仕事が、自分にとってのディーセント・ワークだと思えるような人が来てくれたらうれしいですね」



「たぶん彼は今、少しずつ仕事の手応えを感じ始めてるんじゃないかな」と紹介してくれたのは、プロジェクト推進担当の徳永さん。

大学を卒業後、障がい者採用を支援する会社に就職。5年ほど働き、今年の2月からディーセントワーク・ラボに参画した。

徳永さんの仕事は、障がい者を雇用したいという企業に対して、アドバイスや提案を行うこと。

たとえば、既存業務の一部に携わってもらうのか、別の新しい仕事を立ち上げるのか。それぞれの会社の仕事内容や職場環境に合わせて、より良い形を提案していく。

「外からのゲストが多い会社だったら、それまで外注していたゲスト用のお菓子やお茶、ノベルティなどを、雇用した人につくってもらう仕組みを提案する、とか」

「雇用計画から面接、入社後のサポートまで一貫して行っているので、障がい者雇用の川上から川下まで見ているようなイメージです」

クライアント企業の代表や人事と相談して、仕事内容や求める人物像などといった募集要件を考えたり、海外支社での障がい者雇用の相談を受けて、現地の言葉で書かれた資料を読み込んで提案したり。仕事の幅は広い。

「前職も障がい者雇用に関わる仕事でしたが、そのときと比べて仕事のやり方はぜんぜん違うなって思います。なんというか…姿勢とかスタンスが強く問われる、っていうのかな」

姿勢やスタンス、ですか。

「たとえば資料一枚とっても、適当な仕事は許されなくて。一度、頼まれた仕事を体裁だけなんとか整えて、締め切りギリギリに出してしまったことがあったんです。そのとき、中尾にめちゃくちゃ怒られたんですよ」

「手抜きでやったのか、本気でやったのかはすぐわかる。しんどいかもしれないけど、ちゃんと本気(マジ)でやってくれって」

組織としても、今はぐんぐん成長しているとき。“すべての人が働きやすい社会”という、大きな目標を実現していくためには、目の前の仕事を丁寧に積み重ねていく姿勢が求められる。

「どんどん失敗して、次に生かして。その繰り返しですね。転びながら絆創膏貼って、また走り出す、みたいな」

「つらいときに笑える人がいいんじゃないかなと思います。それは無理に笑うということじゃなくて、つらい状況もひっくるめておもろいやんけって思える、っていうのかな。ほかの人が歩いてないルートを行くのが楽しいっていうメンタリティの人が合ってるのかなと思います」



最後に話を聞いたのは、サポーターの小林さん。

クライアント企業のなかに入り、障がいのある人と周囲とのコミュニケーションの橋渡し役を担っている。

「大学では福祉の勉強をして、社会福祉士の資格もとりました。大学が中尾の母校で、ディーセントワーク・ラボのことも、そのつながりで知ったんです」

「ホームページに書いてあった『働くすべての人に喜びと安心を』っていう言葉が、すごくいいなと思ったんですよね。視線が障がいのある人だけに向いていないところに共感しました」

「equalto」というプロダクトブランドを1年ほど担当し、今年の7月からサポーター(企業内ソーシャルワーカー)として働いている。

具体的には、どんなことをしているんでしょう。

「今は、障がいのある人を雇用している企業に入って、オンラインで作業に同席したり、面談をしたりしています。たとえば、作業中にわからないことが出てきたとき、誰にどうやって聞こうか、分からないという方がいて」

「そのときは『どうしましたか?』って細かく話を聞いて、内容を整理して。じゃあこうやって伝えてみましょうか、っていうふうに、解決策を一緒に考えるのが主な役割ですね」

教えるのではなく、一緒に考える、なんですね。

「私の感覚だと、一方的に伝えるよりも一緒に考えるっていうほうが近いかな。…うん。私は上司でも、先生でもないし。その方がより安心して楽しく仕事をするためのサポート役なので」

何に困っているか、すぐ理解できないときも、まずはじっくりと話を聞く。ゴールを示すのではなく、その道筋を考えて、一緒に歩いていく。

地道なコミュニケーションと、粘り強さが求められる仕事なのだと思う。

「担当することになった人とは、最初にお互い自己紹介をするんですが、いつもカレーが好きですっていう話をするんです。それを覚えていて、『小林さんにオススメのカレーがあります』って、最近教えてくれた人がいて」

「そうやって気兼ねなく話せる関係になれたんだなって、うれしくて。小さな一歩だけど、サポーターとしてここにいていいんだなって、思えたような気がしました」

同僚でもなく、上司でもない。まさに伴走者のような存在なんだろうな。

小林さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?

「そうですね… 楽しいとか、うれしいとか、悔しいとか。感情を一緒に共有できる人がいいですね。どんな感情も、ひとりで抱え込む必要はないし、一緒に乗り越えていけるチームだと思っているので」

そういえば、話を伺う直前も徳永さんに仕事の相談をしていましたね。

「そうなんです。担当している方の面談の回数を増やすべきかとか、送るメールの文面とか…。コミュニケーション一つひとつに気を配る必要があるので難しいこともありますが、自分一人じゃ不安なことも相談しながら模索していける環境だと思います。あとはなんだろうな… 個人的には、カレーとスターウォーズが好きな人かな…(笑)」

「あ、そうだ! 仕事にやりがいを持って、よく笑う人がいいですね。目の前にいる人が、楽しさを感じながら働くことができたらいいなと思っていて。そういう思いに共感できる人だったら、本当にやりがいがあって楽しい仕事だと思います」



働きがいってなんだろう?

話を聞きながら考えて、それは変化を直に感じられることかもしれない、と思いました。

社会という、抽象的で大きな対象をいきなり変えることはできなくても、目の前の人や状況なら、少しずつ変えていくことができる。障がいがあろうとなかろうと、新しく何かを生み出す手触りは感じることができる。

誰かの働きがいを支えるこの仕事には、自分自身の働きがいを得るきっかけもたくさんあるように思います。

(2021/8/4 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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