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自然豊かな場所で、好きな仕事をしたい。

ただ、いざ始めるとなると、なにから手をつけていいかわからない。それに、地域に馴染めるかわからない。ハードルが高いと感じる人もいると思います。

もしも、不安もまるごと一緒に抱えて走ってくれる人がいたら、その一歩はもっと軽やかに踏み出せるのかもしれません。

今回募集するのは、宮城県丸森町で「らしさ」を生かしながら仕事をつくっていく人です。

地域おこし協力隊の制度を活用した「まるまるまるもりプロジェクト」に参加して起業し、最大3年間、くらしの糧になる地域協力活動に対する報奨金を得ながらビジネスを構築していきます。



丸森町のこの取り組みをサポートするのは、2011年の東日本大震災以降、東北の起業家たちを支えてきた株式会社MAKOTO WILLのみなさん。どんな事業にしていこうか、という検討段階から相談になってくれます。

昨年の隊員は37名と、東北では1番、全国でも6番目に多く地域おこし協力隊が活躍している丸森町。任期後も定住している先輩たちが力になってくれそうです。

起業の経験は問いません。「自分で仕事をつくって、自分らしく生きたい」という人を求めています。



東京から仙台まで、新幹線で1時間30分。思っていたよりあっという間に着いてしまった。

仙台からJRで福島方面へ向かい、阿武隈急行で丸森駅を目指す。

車窓からは田んぼが見える。あいにくの雨だけど、稲が青々しくてまぶしい。



七夕祭りの笹飾りでにぎやかな駅に着く。迎えてくれたのは、株式会社MAKOTO WILLの島さん。挨拶もそこそこに、取材場所へ移動することに。

「丸森町とは、プロジェクトをはじめた時からの関わりで。私は仙台に暮らしているんですが、いまも週に1回は丸森へ足を運んでいます」



創業以来、東北のさまざまな自治体と組んで、起業する人たちを支援してきたMAKOTO WILL。いちばん最初のパートナーになったのが丸森町だった。

「2015年、当時の役場職員さんに、町全体で起業家を増やすような取り組みを一緒にできないかとお声がけしてもらったのがきっかけです。最初は起業家支援のコワーキングスペースをつくったり、企業誘致をしたりしていました」

「地方でなにかチャレンジしたい」という人を呼び込もうと、2017年、地域おこし協力隊の制度を活用してスタートさせたのが「まるまるまるもりプロジェクト」。



最大3年間の地域協力活動に対する報奨金の支給や、日々の壁打ち、起業・経営のための研修など、起業経験のない人でも挑戦できるような環境を整えてきた。

昨年、5名の1期生が3年の任期を終えて卒業し、町に残って事業を続けているという。農業のIT化を推進する人もいれば、「人を前向きに元気に」というコンセプトで赤パンツ専門店を立ち上げた人もいる。

現在、プロジェクト生として活動しているのは6名。今回募集する人はプロジェクトの4期生として加わることになる。

「これまでは自由提案型だったのですが、今年ははじめて、起業テーマを事前に設定してみました。町の方にインタビューをして、丸森の人が大切にしているものってなんだろう、“らしさ”ってなんだろうと考えて出てきたのが、ソロタイム、アイデンティティ、ウェルビーイングという3つのワードでした」

ひとりの時間を過ごすこと。自分の興味を掘り下げること。心や体を整えること。

いずれも抽象度が高いので、いろんな解釈ができると思う。丸森町にある豊かな自然や、起業家が培ってきた文化を生かして、それぞれのテーマに合わせた仕事をつくっていってほしい。

ソロタイムを例に考えると、丸森町にはふらりと訪れて地元の人と交流できるソーシャルスナックや、ソロキャンプに適したキャンプ場がある。

今後、トレッキングツアーや酵素浴など、ひとり時間を楽しめるような場やコンテンツをつくって魅力を磨いていきたい。

事業のタネになりそうなアイデアは、すでにいくつか挙がっているので、そこから事業をおこしていってもいいとのこと。

「ナイトウォークをしたい、と話してくれる人がいたんです。丸森の夜空って、空いっぱいに星が広がって、すごく綺麗なんですよね。この空を見てもらいたいけど、正直、アイデアを出してくれた人は本業が忙しくて、取り組む余裕がないんです」



「そういうアイデアを、町の人と一緒に形にしていけたらいいですよね。新しく来る人がやりたいことと、町のためになることがうまく重なり合ったらいいなと思います」



事業をつくっていくとき、相談相手として、ときには地域との橋渡し役として力になってくれそうな人がいる。

まるまるまるもりプロジェクトの1期生で、昨年10月に独立したばかりの早川真理さん。



2017年、丸森町への移住とともにプロジェクトへ参画し、1年目からヒュッテ・モモという農業体験型の宿を開業。数々のお客さんをもてなしてきた。

東京出身の早川さん。丸森町のことを知ったのは17年も前のことだったという。

「小さい頃から自給自足の暮らしに憧れていたんです。岩手で働いていたときに、知人の地元である丸森町を紹介してもらって、なんて素敵なところなんだろう、と惚れて。そのまま移住したんです」

山の中で味噌をつくって暮らしている人や、花をつくる人、藍染めをする人など、丸森町は当時から移住して生業をつくっている人が多く、居心地よく感じていた。

「ただ、ずっとこのまま丸森町に生き続けるのか、確証がもてなくて。一度ほかの町でも暮らしてみることにしました」

奇しくも2011年、町を出ていくタイミングで東日本大震災が発生。後ろ髪を引かれるような思いもありつつ、3年間町外での仕事をやり切って丸森へ戻ってきた。

当時はまだ、町に住み続けるイメージは持てなかったけれど、役場からの声がけで観光関係の仕事をするうちに、少しずつ意識が変わっていったという。

「町の魅力を町内外の人に向けてお伝えしていくなかで、丸森をベースに生きていきたい、と思うようになったんです。ちょうどそのとき、知人からまるまるまるもりプロジェクトのことを教えてもらって」

もともと、農業のある暮らしを体験できる宿をやりたいと思っていた早川さん。プロジェクトメンバーに選ばれてまず取り組んだのは、事業計画書の作成だった。

「作成から銀行への同行まで、MAKOTOさんにとことん付き合ってもらって。融資を頼むにも、起業してすぐ収入なんて生まれないから、まさに身銭を切る感覚でした。月々の報奨金があるのは本当にありがたいことでしたね」

MAKOTO WILLは隊員と定期的に話す場をもうけていて、なんでも気軽に相談できる関係をつくっている。MAKOTOグループには金融やマーケティング、採用などの専門家もいるので、起業する人の悩みに応じてアドバイスもできるそう。



プロジェクトを卒業してはじめて迎えた今年の夏、早川さんは新たにシェアハウス「たね家」を立ち上げた。

広間は地域に開放して、地域の人と移住者が気軽に交流できるような場所にしたいという。



「私自身、移住先に悩んで丸森にたどり着いた経緯があるので、ここでいろいろな地域のキーマンを紹介して、地域を知る機会をつくれたらと思っています。今回募集する人も、いろんな人と出会うなかで、最終的によい終の住処を見つけてもらえたら」

野菜づくりの達人、丸森の山を知り尽くす元消防士さん、困ったときに力を貸してくれる近所のお兄さん…。紹介したい人がたくさんいるそうだ。

移住となると、家探しに苦労することもあるかもしれない。

「家を探す間は、シェアハウスに滞在してもらうこともできますよ」と早川さん。住まいのことから仕事のことまで、幅広く相談に乗ってもらえる先輩がいるのは心強いと思う。



「たね家へやっと来られて、ほっとしたというか。待ち望んでいた場所だったので、とてもうれしいです」

そう話すのは、丸森町役場の斎藤さん。4年前、丸森町が地域おこし協力隊の採用をはじめたときから、受け入れ体制づくりに奔走してきた方だ。



現在は商工観光課のほかのメンバーとともに、協力隊のサポートを行っている。

丸森町出身だという斎藤さん。素朴な疑問なんですが、なんで丸森町はこんなに移住される方が多いんでしょう?

「人が人を呼んでいる、というのはあるかもしれません。見知らぬ土地に身ひとつで、やりたいことをしっかりイメージして飛び込んでくる方がいる、というのはすごいことですよね。町で育った人間にとっても、いい刺激になっています」

その熱量に応えられる役場でありたい。協力隊を受け入れはじめた当初から、隊員と積極的に交流したり、受入担当課との連携会議を開いて隊員の状況を共有したり、役場全体で活動をバックアップする体制をつくってきた。



「丸森町役場って、熱い職員が多いんですよ。頼りにしていいぞ!どんどん相談してこい!みたいな人が。とはいえ、自分ひとりでは解決できないことも多いので、周りやMAKOTO WILLのみなさんにもよく相談しています」

そんな職員を慕う移住者も多い。

2019年10月、台風19号が丸森町を襲い、町政史上最悪の被害を残したときには、隊員たちも活動の先行きが見通せず、不安な日々を送っていたそうだ。

「死者がでるようなものすごい経験をしてしまって。被害があってから1、2ヶ月した頃、隊員に声がけして、近況報告会をしたんですね。当時の隊員は20名ほどで、ほとんどの方が参加してくれたんです。みんなの顔を見れたときはとてもうれしかったですね」

当時着任したばかりだった隊員も、誰ひとり辞めることなく活動を続けているという。丸森町に残るという選択をしたのにはいろいろな要因があるだろうけど、町の人や役場の人と紡いできた人間関係あってこそなんだと思う。



とはいえ、今回の募集では「起業に挑戦してみたい」という想いが大切になる。斎藤さんはどんな人に来てほしいですか?

「真理さんのように、最初から事業プランが定まっている必要はないですよ。着任前のツアーの中でアイデアを固める時間があるので、そのなかでイメージをつかんでもらえたらと思います」

「仕事でも暮らしでも、いちばん大事なのはコミュニケーションです。やはり地域の方との関わりの多い土地なので、人付き合いが苦でない人がいいと思います。田舎でただ静かに暮らしたいと思う人は、合わないかもしれません」



今回、応募を考えている人には、1泊2日で丸森町をめぐるツアーを予定しているという。そこで具体的なアイデアを膨らませてから応募してもらったほうが、本人も受け入れる側もよりよい3年を過ごせるはず。もちろん、役場やMAKOTO WILLのみなさんも力になってくれる。

「丸森町に来てくれたからには、幸せになってほしいです。役場も、そんな想いで受け入れをサポートするので、安心して来ていただければ」

新しいことをはじめるには、勇気がいる。知らない場所に飛び込むのは怖い。

丸森町の人はそんな恐れも受け止めたうえで、背中を押してくれるように感じました。

気になったら、まずはツアーに参加するのもいいと思います。仕事をつくるなかで、自分らしい生き方を見つけたい。その想いを一緒に育ててくれる場所だと思いました。

(2021/8/17取材 阿部夏海)
※撮影時はマスクを外していただきました。
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