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牛まるごと1頭を売るために
常識にとらわれず
育てる・生かす・届ける

いつも当たり前のように食卓にのる、お肉。

それがどんな循環のなかで生まれて、私たちの口に入るのか、思いを巡らせてみませんか。

「食べることは命をいただくこと」。頭の片隅にこの言葉があっても、毎日意識しながらご飯を食べる人は多くないかもしれません。

今回紹介する愛媛県の株式会社ゆうぼくでは、牧場で牛を育てるところから、加工・販売を通して食べる人の口に入るところまで、命に真摯に向き合いながら試行錯誤が重ねられています。

大切なことだからこそ、面白くクリエイティブに、アイデアを現実化していく。

調理・販売・接客担当として横断的に働く人を募集します。

 

メインの職場になるのは、松山市内の百貨店・三越のリニューアルに伴ってオープンする「THE CENTRAL MARKET」内のお店。今回は会社の根幹であり、最初の研修場所にもなる西予市の本社でお話を伺うことに。

本州からしまなみ海道を渡り、車で四国入り。松山を抜けて、高速道路で西予市へ向かう。松山の市街地から1時間15分ほどで、なだらかな山に囲まれた西予市宇和町に到着。

一つのエリアに本社・加工場・レストランが並び、少し離れた場所に牧場もある。雰囲気のあるレストランのログハウスは、90年代に先代社長が自ら建てたものだとか。

牛を育てるところから、お客さんの顔を見ながら食事を届けるところまで、一貫した今の事業の土台がどうやってできたのか、二代目の現社長・岡崎さんが教えてくれた。

「僕の父親が牛を2頭飼うところから始めたのが会社の成り立ちです。その前は無農薬で野菜を育てていたんですが、うまくいかなくて。少ない土地でできる農業って何かと考えて畜産にたどり着いたものの、今度は餌代が高くて全然やっていけない」

試行錯誤の創業期、先代は自分たちで餌をつくることにしたそう。当初はコストダウンが目的だったものの、抗生物質を使わず、地域産・自家配合の飼料を使った安心・安全な生育環境づくりにつながっていった。

その後、牧場を拡大し、自ら肉を売る仕組みを構築。

さらに、加工品としてソーセージをつくることに。ここでも、添加物を使いたくないという壁にぶつかったそうだ。

「当時ソーセージで添加物を使わないっていうのは非常識だったんです。もう、執念ですかね。最初は全然うまくいかなかったんですけど、創業メンバーの方と一緒に研究や喧嘩を重ねて、できあがったのが今のゆうぼくのハム・ソーセージ類です」

そんなふうに先代が築いてきた土台を受け継いで、岡崎さんは今事業を進めている。

実は岡崎さん自身、元システムエンジニアという異業種からゆうぼくにやってきた。

「もともと食に疎かったんです。でも実家を離れて、家から送られてきたものを食べたときに、目を閉じたら、もうここのお肉だってわかるような香りがするんですよね」

愛媛に戻った当初は、一部で添加物を使いはじめていたそう。岡崎さんはそれも見直して、創業時のこだわりに立ち戻り、手間暇かけたものづくりを続けてきた。

会社を継ぎ、土台を生かして事業をブラッシュアップするなかで、若いメンバーも増えている。

 

プロダクトマネージャーの佐藤さんは、西予市の生まれ育ち。関西で働いていた時期もあったものの、地元に戻って5年前にゆうぼくに入社し、今では商品の管理・販売・企画・営業を一手に担う。

「僕たちは、価値がないとされているものに価値をつくるっていう仕事をしたくて」

価値をつくる。

「牛って当たり前ですけど、牧場からは部位ごとではなくて、まるごと一頭で出荷するんです。高く売れる部位だけ残して、あとは安く買い叩くとか、廃棄するってことが当たり前になっていくと、ブランド牛以外の農家さんは商売を続けていけません」

「ゆうぼくは、一頭まるごと生かすってどういうことか、いろんな種類の牛を育てながら考えて形にしてきました。地域の畜産に対して“調整弁”のような働きをしている自覚はありますね」

たとえば、サーロインやヒレといった人気部位以外の肉を使ったり、骨や筋からダシをとり、シチューやワイン煮をつくったり。体の小さな脂の少ない牛の肉は、熟成させて水分を抜き、質を上げて価値をつけたり。

酪農では重宝されるものの、肉牛としては価値がないとされてきたジャージー牛にも着目して、そのおいしさを追求してきた。

「人気のないところをどう売っていくかが、まあ、腕の見せ所なのかなと。既存の市場では価値がなくても、価値は新しくつくることができるんです」

その仕事は、地域のなかでも重要な役割を担っているそう。それが、先ほど佐藤さんが話していた“調整弁”としての役割。

乳牛を育てる牧場では、メス牛が妊娠して子牛を産んではじめて牛乳が出る。ゆうぼくは、生まれた子牛を引き取って育てる、愛媛県内でも有数の畜産牧場だという。

農家さん同士の仕事はこのようにつながっているので、どこかが偏って歪みが生まれると、その食品産業全体が生き残れなくなる。だからこそゆうぼくは、持続可能なバランスに貢献できるようなものづくりにこだわっている。

精肉の世界では、A5〜C1までのランクづけが一般的な価値の判断軸。でもお話を聞いていると、安心・安全に育てられていることや、一頭の命を余すことなくいただくということも、おいしさに関わってくるような気がする。

佐藤さんにとって、おいしさってどういうものなんでしょう。

「この瀬戸内の地域には、いりこ出汁の文化があります。それと同じように、その地域から生まれた、その土地ならではのものがやっぱり一番おいしいのかなと」

「とはいえ肉って、どこまでいっても海外の文化なんですよね。牛肉を全部売るってことには、いろんな技術が必要で。海外も含めて、いろんな歴史や文化を知らないと商品化できないよね、ってことはすごく思いますね」

今回募集する人も、まずは畜産にまつわる流れや仕組みのこと、この土地のことをよく知ったうえでお店に立ってほしい。

そのため、入社したらまずは西予の本店で研修を予定しているそう。その後もメインの職場であるTHE CENTRAL MARKET内のお店だけで働くのではなく、同じ松山市内でゆうぼくが運営するレストランで調理・接客をしたり、月に数度は西予エリアに訪れたりという柔軟な働き方を想定している。

岡崎さんとしても、もともとの知識や経験にはこだわらず、それぞれの現場から学ぶ姿勢や交流を大切にできる人に入ってほしいそう。

「ただものを売ったり、料理をつくったりするだけの仕事にしてほしくない。いろんな分野の仕事を経験することに楽しさを感じられる人だったらいいなって思うんですよね」

あらゆるポジションを経験していくからこそ、一緒に働く人たちの仕事に対しても想像が膨らむ。

「たとえばヒレがないのにヒレがほしいとか。ない理由がわからずに、とにかくほしいんだ!っていう感情になってしまうんじゃなくて、どういう苦労をしてるのか、どうやって頭を抱えながら解決してるのかを、お互い理解し合えるようにしていきたいです」

 

今年入社して4ヶ月が経った白石さんは、牧場とお店を行き来しながら働いている。

この月も最初の一週間は牧場で、その次の週は120km離れた西条市のお店で働き、今週はまた西予市に戻ってきたところだそう。

いろんな現場に入る仕事は大変ですか。

「そうですね、おっしゃる通り、面白いけど正直けっこう大変でもあって。まずはそれぞれの現場での仕事を理解するところからです。今一番大変なのはやっぱりお店で、お肉の知識を覚えることですかね」

一方で、いろんな現場で働くからこそ気づけることもあると教えてくれた。取材前日には、はじめて屠畜場に行ったそうだ。

「“命の大切さ”とかってよく言いますけど、そんな言葉じゃこう、表せないような…複雑な気持ちになって。なんかもっと、ちゃんと牛を見てあげたいと思ったんです」

牧場で愛情をかけて育てることで、おいしいお肉になる。

感覚的なことだけでなく、牧場の環境や牛の健康状態が、最終的な肉質にも関わってくるからこそ、生産現場を知ることは大切なのだそう。

「もともとお肉屋さんに就職する気はなかった」という白石さんは、学生時代のインターンシップを通してゆうぼくに入社を決めた。インターン時に発案した堆肥の販売プロジェクトは、今も業務のかたわらで進めている。

「牛を育てることに手いっぱいで、堆肥の活用まではあまり考えられていなくて。餌は自然のものを使って、こだわって育てているし、袋詰めして販売すれば利益を出すこともできると思うんです」

最初はとにかく手を動かして、現場の仕事を覚えることから。その先に、現場から生まれたアイデアをどんどん実現していく風土がある。

クラウドサービスを使って、アイデアを共有・蓄積しながら、必要に応じて関係者みんなでミーティングを行ったり。牧場と売場、双方の現場から出てきた声を活かして課題を解決したり。

「自分で考えて、成長できる場所だなって。すごく個性的ないろんな人がいて、それが刺激にもなりますし、ここに来てよかったなって思います」

最近では豪雨災害やコロナ禍など、大きな環境の変化に見舞われることもあった。隣で聞いていた佐藤さんも、そのたびに「ゆうぼくらしさ」を感じてきたそう。

「問題が山積みのところからスタートするのを、良しとする会社なので。毎年のように変化を楽しめる。変わることが嫌な人は嫌だと思います。僕の場合は、そこらへんが仕事をやっててすごく面白い部分ですね」

秋ごろに予定している新店舗のオープンに向けても、現場からの意見を取り入れながら着々と準備が進んでいる。

舞台となる「THE CENTRAL MARKET」は、季節によって移り変わる愛媛ならではのおいしいものが並ぶマーケット。想いを持ったつくり手と、それを届けていく売り手がゆうぼくのほかにも集まるので、たとえばマルシェのような場など、連携して生まれるプロジェクトも今後増えていきそうだ。

ほかの出店者やフロアの企画運営者も含めて知り合いばかりとのことなので、瀬戸内で食を通じた取り組みやつながりを広げたいという人にとっても魅力的な仕事だと思う。

「命と向き合う」という言葉には、どこか穏やかでのんびりとしたイメージもあります。

ただ、実際そこにあったのは、大切にしたいことがあるからこそ、アイデアを重ねて次々に出てくる問題を解決していくスピード感や、変化に対応していく柔軟さを持った人たちが集まる職場でした。

「生きものを育てるって、結局そういうことなんだなって」

インタビューのなかで、ふとこぼれた言葉が印象に残っています。

めまぐるしくも、手触りのある毎日が続いていくような環境だと思います。

(2021/8/20 取材 瀬戸麻由)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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