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Challenge for Change
人と人がつながるまちで
自分自身を磨きあげる

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「このまちのいいところは、僕たちがいることだって、断言していいと思っているんです。どこでもドアみたいに、いろんな人やモノと多良木をつなぐ。それがまちの未来をつくっていくことなんだと思います」

そう話すのは、一般財団法人たらぎまちづくり推進機構、通称「たらぎ財団」の業務執行理事である栃原さん。

たらぎ財団は、熊本県多良木町が100%出資して立ち上げた地域商社です。

まちの特産品を使った商品開発やECサイトでの販売などに加え、地域内外の人をつなぐことでイノベーションを起こす人材育成にも力を入れています。

今回募集するのは、サイトのデザイン面を担うWebデザイナーと、商品開発や販路開拓を担う企画営業。

まちづくりや地方創生など、実践的に学びながら成長したいと思う人にとっては、チャレンジしがいのある環境だと思います。


多良木町へは、九州の外からだと鹿児島空港が最寄り。

空港でレンタカーを借りて、九州自動車道を北へ40分ほど進む。人吉球磨(ひとよしくま)ICで降り、そこから東へ30分ほど進むと多良木町に入った。

周囲をぐるりと山に囲まれた盆地で、まちを横断するように球磨川が流れている。豊かな水資源を活かし、昔から米づくりが盛んで、米で焼酎をつくる文化が発達しているのだとか。道中でも球磨焼酎の看板がたくさん出ていた。

中心部の市街地に入ったところで、目的地である「T_Lab.」に到着。

入り口側の半分がコワーキングスペースとして開放されていて、奥がたらぎ財団のオフィススペース。電動キックボードやドローンも置いてある。

「ここはもともとスーパーだったんですよ。タイル張りでスーパーの面影が残っていたのをリノベーションして、今までまちになかったような空間をつくりました。誰でも自由に使えて、新しい知識やモノに触れられる場所にしたくて、いろいろと工夫しています」

そう教えてくれたのは、たらぎ財団の業務執行理事を務めている栃原さん。

「たらぎ財団は昨年の10月に設立されました。僕は多良木町の役場職員として、その前身組織である多良木町しごと創生機構のときからかかわっています。」

栃原さんが役場に入庁したのは、25年ほど前のこと。当時、多良木町の人口は約12000人。それが年に100人以上のスピードで減少し、現在は約9100人と、25年で3000人近く人が減ってしまった。

同時に、まちの主要産業である農業と林業の担い手も減少。このままではまちの存続も危ういと、5年ほど前から行政を中心にさまざまなことに取り組んできた。

「当初から力を入れてきたのが、特産品のブランド化や商品開発です。町内の有志の農家を集めて、栽培方法を統一した『こめたらぎ』というオリジナルブランドをつくったり、多良木町の野菜を使ったドレッシングを開発したり。ドレッシングは休校中の小学校をリノベーションした製造拠点でつくって販売してきました」

「たらぎ財団の活動も、主にそれらを引き継いだ形になっていて。地域資源に付加価値をつけて売る商品高度化事業と、それらを活用して多良木町のファンを増やすふるさと納税事業。そしてもう一つ、僕らが力を入れているのが、人材育成事業なんです」

人材育成と一言でいっても、その対象は子どもから大人までさまざま。

たとえば、と栃原さんが話してくれたのは、町内の小学校で実施しているマインクラフトを教材にしたバーチャルなまちづくり実習。たらぎ財団が企画し、町外から招いた講師が授業を担当している。

「ゲームを題材にしているから、子どもたちも取っ付きやすいし、やっていて面白い。このあと僕も小学校に行って、一緒に参加する予定なんですよ。ほかにも、DeNAとIT人材育成の協定を結んで、彼らが持っているプログラミングのアプリケーションを使った授業も別の小学校で行っています」

「たぶん、こんな地方の学校でそういった授業を受けられる機会ってなかなかないと思うんです。技術や知識を習得するだけじゃなく、いろんな大人たちと出会えて、新しい経験ができる。それがすごく大事だと思っていて」

子ども向けの取り組み以外にも、多拠点居住サービスを手がけるADDressと連携し、ADDress会員と地域住民が交流するワークショップを開いたり、フードシェアリング事業を手がけるコークッキングと協力して農業関係者向けのSDGsワークショップをしたり。

子どもから大人まで、幅広い年齢層の人が、都市部の企業や大学などの人材・ノウハウに触れる機会をつくっている。

「地方の魅力って、観光スポットや食の文脈で語られることが多いけど、多良木町で大事にしたいのは、そこにどんな人がいて、どんな人がかかわっているのか、ということなんです」

「そういえばこんな面白い人がいたなとか、こんなこと教えてもらったなとか。子どもたちには、多良木にポジティブなイメージを持って大人になってもらいたい。大人にも、今住んでいる場所ってこんな面白い人がいて、自分たちの日常にこんな価値があるんだって、知ってもらいたい。それがそのまま、地域の未来をよりよくしていくことにつながると思っています」

ビジョンは「Challenge for Change」。変化するために挑戦し続けるというマインドが、たらぎ財団の原動力になっている。

栃原さんの話しぶりを聞いていても、バリバリのベンチャー企業で働いている人のような印象がある。ここで働く人たちも、公共的な視点を持ちながらも、民間ならではのフットワークの軽さを活かしてどんどん動いてほしいとのこと。


現在、スタッフは全部で10名ほど。栃原さんのように役場からの出向で働いている人もいれば、たらぎ財団のビジョンに共感して加わった人もいる。

続いて話を聞いた代表理事の明石さんも、そのうちのひとり。

「もともと熊本県立大学で教鞭をとっていて、定年退職後、鹿児島県の長島町というところで地域おこし協力隊になったんです。私の専門が地方自治や地方創生に関わる分野だったので、自分の研究も進めながら、空き家活用のプロジェクトを立ち上げたりしていました。そのときに、多良木町から視察に来た栃原さんと知り合ったのが最初のきっかけです」

明石さんから見て、多良木町はどういう印象でしたか。

「やっぱり、これだけいろいろな企業や大学と連携して学びの場をつくっている町は、ほかにはあまり見ないなと思いますね。事業自体の面白さもあるし、なにより惹かれたのが、栃原さんたち財団スタッフの熱量でした」

熱量、ですか。

「お役所仕事っていう言葉があるじゃないですか。どうしても公務員は、言われた仕事をきちんとすることが求められがちです。でも栃原さんは、自分が責任を持ってチャレンジするんだっていう、起業家精神のようなものを持って動いていて」

「たぶん、誰かに言われてしぶしぶやっているような雰囲気だったら、私も引き受けていなかったと思います。栃原さんたちの熱意を感じたからこそ一緒にチャレンジしたいと思ったし、大きな企業が賛同してくれているということも、その表れだと思います」

明石さんが加わったことで、企業だけでなく大学とのつながりも増え、学生を巻き込んだワークショップなども増えてきた。

また、もともとの研究を活かして、たらぎ財団内での研修や勉強会も積極的に開いているそう。スタッフ自ら学び、行動するという姿勢が、少しずつまちの人たちへも伝わりはじめている。

「少しずつではありますが、まちの人も興味関心を持って参加してくれるようになってきていて。この輪が広がっていけば、たとえば新しい事業を始めるとか、そういった形での行動につながっていくと思うんです。このワクワク感は、新しく来てくれる人にも味わってほしいと思います」

「ここでは東京や関西の企業、大学とのつながりもあるので、働く人自身がそういった関係性を得るチャンスもあります。多良木町のリソースをうまく活用して自分の糧にしてもらいつつ、とくにデザインや情報発信の面を一緒に伸ばしていきたいですね」

今回募集するのは、Webデザイナーと企画営業。

Webデザイナーについては、ECサイトの管理運営や、デザイン面でのアップデートがメインの仕事になる。

そのほか、過去にも行ってきたITプログラミング系の授業やワークショップを運営したり、自分で新しい企画を立ち上げたりなど、主体的にチャレンジしてほしいとのこと。

一方で企画営業は、販路開拓や新たな商品開発に携わる役割。

「たとえばドレッシングでいうと、休校中の小学校をリノベーションした製造拠点で、地域の野菜を使って製造しています。今は人吉球磨エリアで30くらいのお店に卸していて、熊本市内や東京にも少し、という感じなので、これをもっと広げていきたいと思っていて」

「一緒に商品をつくりましょうとか、企業さんからいろんな提案をいただくこともでてきました。今は製造主任が営業を兼任しているので、なかなかそこまで手が回っていなくて。フットワーク軽く、チャンスの芽を逃さないような動きをしてもらえたらありがたいですね」

企画営業については、経験は問わないそう。小売店に足を運んで商品を置いてもらったり、食にかかわる企業とコラボしてイベントを企画したり。枠にとらわれず、まずやってみようという気持ちで前に進んでいってほしいと明石さん。


最後に話を聞いたのは、事務局長の森田さん。多良木町出身で、昨年の立ち上げ直前にチームに加わった。

「もともと歯科技工士をしていて、熊本市内で働いていました。子どもが生まれたのをきっかけに、子育てのために帰ってきたんです」

「ひさしぶりに多良木で暮らしてみたら、うちのまちは子どもたちにとって魅力的なんだろうかって、いろいろ考えるようになって。子どもが大きくなったときに、地元を誇ることができたら一番いいじゃないですか。それで、まずはまちの人が集まれるような場所をつくってみようと、妻と一緒にカフェを始めたんです」

栃原さんとはサッカーの社会人チームがきっかけで話すようになり、たらぎ財団を立ち上げるタイミングで声をかけられた。

「最初は本当に右も左もわからなくて。法人を立ち上げるとなると、いろいろな手続きとか事業の準備とか、やることはたくさんあるんです。けど、経験もなく想いだけで入ったから、なにをしたらいいかわからない。これはやってしまったかも…って、ちょっと思いました(笑)」

財団を設立したあとも、デスクワークの日もあれば人前で話すこともあるし、ECサイトの運営やイベントの企画を考えることもある。ときにはドローンを飛ばすことも。

かかわる仕事が多岐にわたるぶん、どれも1から学びながら取り組む日々だ。

「最初は苦労したけど、だからこそ成長できたのかなとは思っていて。1年経って慣れてくると、多良木を魅力あるまちにしたいっていう思いと、目の前の仕事。それがなんとなくつながってるなって思えるようになってくるんですよね」

「栃原さんたちががんばっているのを見ると、自分ももっとがんばらないとなって、すごく刺激を受けるんです。そんなふうに、お互いに刺激しあえるような仲間が加わってくれたらいいなと思います」

面白いヒトとモノが集まり、コトが生まれつつある多良木で、自分を磨く。

ここで経験したことは、地方の未来をつなぐことに、必ず役立っていくと思います。

(2021/10/15 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。
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