求人 NEW

離島から
世界と握手する

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

早く海外旅行にいきたいなあ。

そんな声をたびたび耳にします。そういえば、「インバウンド」という単語もあまり聞かなくなったような。

ただ、国連世界観光機関(UNWTO)の調査によれば、インバウンド観光は2024年にはコロナ禍直前の水準まで回復する、と見通している国が多いそうです。

やがてくるそのときに向けて、水面下で動き続けているのが、Tourism Exchange Japanのみなさん。今回はその新たな一員として、インバウンドマーケティングのPR担当を募集します。

PRというと、広報をイメージするかもしれません。そうではなく、海外のメディアや旅行会社、あるいは全国の自治体や地域の観光事業者などと連携し、それぞれのニーズや最新情報をやりとりしながら、互いにWin-Winとなるような関係性を構築していくのが主な仕事です。

舞台は、五島列島の福江島。

島に暮らしながら、映画『プラダを着た悪魔』に出てくるような人たちと渡り合い、地域の魅力を海外へ発信していく。日本国内においてはまだまだ開拓されていないこの分野を、一緒に切り拓いていく仲間を求めています。

 

TXJは、福江島の市街地から少し外れたところにオフィスを構えている。空港も港も、それぞれ車で10分かからずに行ける好立地。

マンションの3階の扉を、おうちにお邪魔するような感覚で開けると、代表の村木さんが迎えてくれた。

「本当は海沿いにオフィスを構えたかったんです。『島で一番の物件』と聞いて来てみたら、1階がレストラン、2階がスナック(笑)。でもたしかに、眺めはいいですよ」

長く広島県庁で勤めていた村木さん。

観光に関わるきっかけは、瀬戸内エリアのDMO立ち上げにあたって担当係長として配属されたこと。東京オリンピックの開催が決まり、多くの自治体がインバウンドに力を入れはじめたタイミングだった。

「瀬戸内の7県を対象に、2016年から本格的にマーケティングをはじめて。3年間で、外国人観光客が20万人ぐらい増えたんですね」

2019年には、『The New York Times』が毎年企画する“行くべきデスティネーション52”という特集の7位にランクイン。さらに、『NATIONAL GEOGRAPHIC TRAVELLER』や『Conde Nast Traveler』といった欧米の大手旅行雑誌にも続けざまに掲載され、世界的な認知を得ていった。

「3年間でトータル1060回ほど、瀬戸内のことが欧米4カ国で記事になりました。すべて編集記事で、広告はありません」

広告はゼロ。そう聞くと、旅行者の口コミで自然と評判が広がっていったように思える。

だけどじつは、その裏側で村木さんたちが動いているのだという。

「海外のニーズや動向を常に把握しながら、メディアや旅行会社が求めている情報を適切に伝えていく。地道に関係性を構築していった成果として、1年がかりでこういった記事がリリースされているんです」

たとえば、ワインバーを借り切って海外のパートナー向けに地域をプレゼンテーションしたり、商談会をセッティングしたり。視察のために日本へ招待してアテンドしたり。

一方で、国内の自治体職員や地域の事業者ともやりとりを重ね、信頼関係を築いていく。

「市場と地域をつなぐパイプの役割を担うのが、今回募集したいPR担当です。今では瀬戸内にとどまらず、東北や北陸、四国や九州など全国の自治体とも仕事をしていて、出張も多いですね」

村木さんたちが主なターゲットとしているのは、欧米の富裕層。ここにも意図がある。

「日本国民一人当たりの年間の消費額は、平均120万円と言われています。仮に人口が2万人減ると、120万円×2万人の消費が失われることになる。これを解決するひとつの方法が観光だと思っていて」

定住人口ひとり分の年間消費を補おうとしたら、国内の日帰り客だと80人、宿泊客で25人。対してインバウンドは、わずか8人で補えるというデータが出ているそうだ。

「観光客が増えすぎると、ゴミ問題をはじめ、地域の暮らしを圧迫するいろんな問題が出てきます。外国人観光客、とくに富裕層を呼び込むことで、環境や地域社会への負荷を抑えながら、経済的なインパクトを生むことができるんですよ」

「あとはもうひとつ、旅先の歴史や文化、自然を大切にしようという流れが旅行者の間で浸透してきていて。ヨーロッパだと、自分の払ったお金の何%が地域に落ちるのか、旅行会社に尋ねる人も増えている。そんな人が来てくれたら、地元の人もうれしいじゃないですか。我々が欧米の富裕層をターゲットにしているのは、こういったことからなんです」

メディアに取り上げられるまでを考えても、1年がかりの仕事。実際に観光客が増えて、会社やお店を構える人が増え、雇用が生まれて… という循環に至るまでには、かなりの月日がかかる。

華やかな世界に見えて裏方の仕事でもあるし、短期的な成果が見えづらいなかで関係性をつないでいく粘り強さも求められそうですね。

「そうそう。2、3年先まで見通してインバウンドマーケティングに取り組んでいる地域はまだ少ない。そこをエデュケーションしていくのもぼくらの仕事だと思っています」

最近では「SailGP」というヨットレースの世界大会を日本に誘致したり、関西の大手バス会社との業務提携が決まったりと、事業領域はますます広がりつつある。

さらに、TXJシステムという仕組みを開発し、デジタルトランスフォーメーションも推進しているという。

「宿泊や飲食、アクティビティや購買など、さまざまな観光体験を掲載・販売する仕組みで。自社サイトを持っていない事業者もオンライン販売ができますし、バス会社のシステムとつなげれば、チケットもまとめて手配できる。ワンストップで旅の企画・実施ができるようなプラットフォームをつくっています」

すでに奈良県の観光サイト「なら旅ネット」で導入されているので、一度見てみるとイメージが湧くかもしれない。

「PRは人と関係を築いていくhuman relationshipの世界ですが、かたやデジタルを使って、こういった未来も描いている。この両輪を回していくのが我々の会社ですね」

 

多岐にわたって事業を展開しているものの、現状の主要メンバーは村木さん含め5名。そのうちPR担当は2名だという。

続いて話を聞いたのは、PR部門の責任者であり、共同代表のホワイト美佳さん。今回入る人の直属の上司にあたる方だ。

中学卒業までを地元の岐阜市で過ごし、高校大学とアメリカへ。

卒業後は日本に戻ってきて、東京でファッション業界のマーチャンダイザーや、米国政府観光局「ブランドUSA」のPR・マーケティング、ホステル「UNPLAN Kagurazaka」の立ち上げなどを経験。その後村木さんと知り合い、日本各地のインバウンドマーケティングに取り組んできた。

「この仕事をするなかで、日本の魅力は島に詰まっているなと思うようになって。かねてから島に住みたかったんです。たまたまいろんな人から五島列島っていうキーワードを聞いて、ピンときて」

ここにオフィスを構えたのは1年前。

人口およそ3万3千人の島なので、基本的な生活インフラは整っているし、福岡や長崎へも毎日数便の飛行機が飛んでいて出張にも出やすい。

疲れた日には海に出かけて、気持ちをリセット。傍らにはいつも犬のコーディがいる。

最近は道端で知り合った人の紹介で空き家を借り、少しずつ手を入れているという。

「前は都心にいないと海外のメジャーな媒体にアプローチできないと思われていたけど、今は関係なしに仕事ができる時代なので。離島に住みながら世界中や全国の自治体と関われるのがおもしろいですよね」

ただ、島でのんびり暮らす、という感じではないみたい。

「本当に忙しいときは、オーストラリア市場が日本より1時間早くスタートして、夕方になるとイギリスやフランスの人たちが起き出して、寝る前にニューヨーク、朝起きたらカリフォルニア。コミュニケーションする相手は常にいて」

「新型コロナウィルスに関する情報や世界の旅行業界の動きも、海外のパートナーから仕入れたり、自分たちでリサーチしたりして、常に把握しておく。そういう意味で、タフな環境でも大丈夫な人に来てもらいたいなと思っています」

今はオンラインでのやりとりも多いものの、PRのベースは対面のコミュニケーション。渡航規制が緩和されれば、海外出張の機会もまた増えてくると思う。

ホワイトさんいわく、PRの仕事が一通りできるようになるまで3年はかかるとのこと。まずはミーティングや出張に同行しつつ、ノウハウを吸収していってほしい。

「『プラダを着た悪魔』に出てくるような、VOGUEの編集部にも行きます。やっぱり怖いですよ。どんなネタを提供してくれるの?小娘?みたいな。そんなの関係なしに、オーマイガー!みたいなテンションでプレゼンしていかなきゃいけない」

「同時に、フェアな世界でもあります。いいものを持ってくる人が評価されるし、最初に一人でニューヨーク中のオフィスを回ったときも、ランチを奢ってくれたり、可能性にかけてくれた人がいて今がある。発注者・受託者というよりもパートナーとして、対等な関係で事業を回していけるのはすごく楽しいです」

一方で国内に対しては、海外のジャーナリストが次々と投げかけてくる質問を、取材先の人が不安やわずらわしさを感じないように橋渡ししたり。単年度で関係性が途絶えてしまわないように、定期的にレポートを作成したり。

地道なコミュニケーションや事務作業も多い。

「わたしたちが何に貢献しているのかって、ぱっと見わかりにくいと思う。実際に何かを売って観光客をもてなしているわけじゃないので。単体のお店とか場所のためではなく、もっと大きなムーブメントをつくるために、黒子として動いていく感じですね」

 

最後に、五島オフィスで一緒に働くことになるスタッフの山内さんにも少し話を聞いた。

「コンサルティングとPRの両輪に加えて、TXJシステムを持っていることがこの会社の強みだと思っていて。言うだけ、やってもらうだけじゃなく、地域が具体的に稼ぐソリューションを提供できる会社はなかなかないと思います」

9月にメンバーに加わったばかりの山内さん。村木さんの講演に参加して感銘を受け、直談判のすえ入社したという。

「村木さんからは、話の背景を聞きなさいっていうことをいつも言われていて」

話の背景。

「相手から何か要望をもらっても、最終的に目指したいことは別にあるかもしれない。なぜそうなのか、誰が言っているのか、本当は何がしたいのか。相手の懐に深く入って、事実を押さえて解決していく。そこは常に意識していますね」

 

取材後、おすすめの焼肉屋へ。翌日はホワイトさんに島を一周ぐるっと案内してもらい、なんだか自然体で楽しんでしまった。

コミュニケーション、論理的思考、文化や歴史に対する知識、語学。

複合的で高度な能力が求められそうだし、実際にむずかしい仕事だと思う。

でもその手前の人間味というか、人との関わりについての感覚を共有できることが、まずとても大事な気がします。

「この人たちと仲良くなりたい」と思ったら、ぜひ一度話してみてほしいです。

(2021/11/11 取材 中川晃輔)

取材時はマスクを外していただきました。

この企業の再募集通知を受ける

おすすめの記事