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みんなきっと笑顔になる
芸術と遊びの力で
インクルーシブな社会を

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

短い休み時間にトランプや鬼ごっこをしたり、放課後に一緒に絵を描いたり。小学生のころに友だちと時間を過ごすとき、いつも遊びがそばにありました。

大人になって子どもが生まれて、積み木やおままごとで遊んでいると、言葉が通じなくても同じ時間を共有しているよろこびを感じます。

一緒に遊ぶことは、相手と親しくなるための一番の近道なのかもしれません。

認定NPO法人芸術と遊び創造協会は、東京・四谷にある東京おもちゃ美術館の運営をはじめ、芸術や遊び、おもちゃを軸に10の領域にわたる活動を展開しています。

今回募集するスタッフは、「おもちゃ美術館の運営」、自治体や企業と連携した「木育推進」、研修の企画運営や高齢者支援に関わる「人材育成」のいずれかの事業部への配属となります。

この3つは、法人の屋台骨とも言える事業。どの仕事に取り組むかは相談しながら決めていくそう。

自分だったらどれに関わってみたいか、想像しながら読んでみてください。



四谷三丁目駅から歩いて5分ほどの、東京おもちゃ美術館。

もともと小学校だった建物のうち、12部屋をリノベーションし、交流・体験型の美術館として運営している。

昼過ぎに訪れると、入り口にはベビーカーがずらりと並び、館内は親子連れで賑わっていた。

学校の雰囲気がそのまま残る廊下や階段を通り抜け、教室のひとつへ。

ここで話を聞いたのは、この美術館の館長であり、NPO法人理事長の多田さん。

「僕は、本当は聞くほうが好きなんですよ」と、さっそく逆インタビュー。少し話しただけで楽しい気分にさせてくれる方だ。

芸術と遊び創造協会の前身は、多田さんのお父さんが立ち上げた芸術教育研究所という団体。

教員や保育士向けに描画指導を行ったり、中野に初代のおもちゃ美術館を立ち上げたりと、現在まで受け継がれる活動も多い。

多田さんも26歳のときに、この仕事に関わるようになった。

「団体の名前の通り『芸術』と『遊び』が二本柱で。この二つって、生きていくためにとても大切な要素だと思っているんです。食べものから摂取する体の栄養だけじゃなくて、心の栄養も人間には必要なんですよ」

心の栄養?

「心を豊かにするには、芸術と遊びがなくてはならない。ここが不足するとだんだん生活がつまらなくなってきたり、人生そのものが無駄に思えてきたり。大きな話だと、国全体が平和じゃなくなることもあると思うんです」

アートに触れて、視点が変わる。遊ぶなかで、心が弾む。

忙しくなったり、世情が厳しくなったりするとつい、不要不急といって後回しにされがちだけど、芸術や遊びがふとした瞬間に自分を支えてくれることって、たしかにある。

多田さんたちは、芸術や遊びが、豊かな心を持つ人たちを増やし、社会を支えていくと信じて活動を続けている。

職員は50名と、NPO法人としてはかなり大規模。公的な補助金にほとんど頼ることなく運営しているという。

「ロマンとそろばんってよく聞きますよね。それと同じで私たちの場合、右手はビジネスで、左手はボランティアなんです」

おもちゃ美術館の入館者をどう増やすか、芸術教育の講座にどう参加者を集めるか。自律的な運営にはビジネス感覚も大切で、おもちゃから連想するイメージほど柔らかくない部分もある。

一方で、利益には結びつかない社会貢献活動にも力を入れている。

2011年、東日本大震災が起きた1ヶ月後。多田さんたちは、車にたくさんのおもちゃを詰めて被災地の避難所を訪れた。

「最初に行ったときは緊張しましたよ。これ、早すぎちゃったんじゃないのって。まだ体の栄養のこともままならない状態でしたから」

こっそりおもちゃを置いて帰ろうとしたところ、「部屋を空けて待っていたんです」と引き止めてくれたのが、地元のお母さんたちだった。

「子どもたちにおもちゃを開放すると、みんなわーって遊びに没頭しはじめたんです。1ヶ月間、笑うことすら我慢していたみたいで。おもちゃに触れて、溜めていたエネルギーが溢れるようでした」

最終的には、全世界から寄付された1万点以上のおもちゃを150ヶ所の被災地に贈ったという。

そのほかにも、小児病棟や老人ホームで遊びの場をつくったり、病児向けにおもちゃ美術館を貸し切ったり。

大切な使命のひとつとして、たとえ赤字でもやりぬく事業だと考えている。

「何より大切なのは、やっぱり人なんですね。おもちゃ美術館がどんなに素敵な建築でも、どんなにデザインの優れたおもちゃがあったとしても、それを提供する自分たち次第で価値のないものになってしまう」

「うちの職員は20代から60代まで、経歴もいろいろです。でも共通しているのは、みんなハートが優しいことですよね。新人の人も、安心して来ていいと思う。それと同時に、何か揺るぎない芯が一本通っているなっていうのも感じますね」



どんな人たちが働いているんだろう?

続いて話を聞いたのは、おもちゃ美術館の運営スタッフとして働く雨宮さん。産休・育休期間も含め、働いて4年ほどになる。

もともとは大学時代のインターンシップで関わっていたという雨宮さん。新卒で一般企業に就職し、経験を積んで戻ってきた。

「自分の大切な時間だから、やっぱり本当にやりたい仕事をしたいと思いました。今は、ここに来てよかったとすごく思います。子どもたちと親御さんのやりとりを見るだけですごく癒されて。仕事でこういう気持ちにさせてもらえるのはありがたいです」

雨宮さんは接客のほかに、「おもちゃ学芸員」と呼ばれるボランティアスタッフのシフト調整や、各部屋にあるおもちゃの管理なども担っている。

スタッフそれぞれに担当の部屋があり、雨宮さんの担当は「ゲームの部屋」。

展示してあるボードゲームは、自由に使って遊んでいいそうだ。

「アナログゲームって、遊び方が自由だから面白いんです」と紹介してくれたのは、ドイツのゲーム。

本来はサイコロを振って出た色の棒を引き抜くゲームだけれど、むずかしければどの色の棒を抜いてもいいし、小さな子だったら単にカラフルな棒として並べるだけでも楽しい。

こうやって話を聞いたり実際に遊べたりすることで、ただ眺める以上の驚きや発見を得られるのがこの場所のおもしろさだと思う。

「家族でよくトランプや人生ゲームをやっていたんですよね。この部屋の担当になってあらためて思うのは、ゲームをしながら自然とコミュニケーションがとれるって、すごくいいことだったんだなって。自分の子どもが大きくなったら、毎週ボードゲームの日をつくって一緒に遊びたいなと思っています」



続いて話を聞いたのは、木育推進事業部の石塚さん。以前は緑のふるさと協力隊として、岩手県一関市東山町で活動していた。

「協力隊のときに肌で感じていたのは、木材が使われなくなっていることで林業が衰退したり、災害にまで発展したり、いろいろな問題が起きているということでした」

「森林資源がたくさんある国なんだから、木のおもちゃをきっかけに、人の意識を変える手伝いができないかなと思って。7年前に入職しました」

石塚さんが主に取り組むのは、ウッドスタート推進事業。

地域に子どもが生まれた際、記念品として木のおもちゃをプレゼントする取り組みで、全国の自治体と連携しながら進めている。

「これまで、53の市町村がウッドスタート宣言をしました。誕生祝品はそれぞれ地域と一緒に0からつくるのが特徴です。その土地の木材を使って、地域文化を反映したようなデザインのおもちゃを、地域の職人さんに制作してもらいます」

たとえば東京都の檜原村では、「ほたるのつみき」をはじめ、きれいな川が流れる地域の特徴をおもちゃに込めた。

石塚さんたちは、自治体の担当者との打ち合わせから、デザイナーとのプロダクト開発、職人さんへの製作依頼など、おもちゃのトータルプロデュースを担っている。

「決まった答えのない仕事です。どんなものができあがるか、誰も見えないなかでスタートしていくので、自治体の方や職人さんと丁寧にコミュニケーションしていくことが大切です」

「もっと丸みを出そうとか、ああでもないこうでもないって言いながら形にして。贈呈式があるときは実際に立ち会うので、受け取った方の喜ばれる姿を見ると、つくってよかったなあって思いますね」

将来的には、このウッドスタート事業を「運動」として、どんどん全国に広げていきたいと多田さんも話していた。

ものづくりを通して社会課題の解決に取り組むことができるのは、この事業部ならではの魅力だと思う。



最後に紹介するのは、おもちゃに関わる人の輪を広げていく事業。話を聞いたのは、ここで働いて17年になる磯さん。

入職以来ずっと関わっているのが、高齢者支援だという。

「デイサービスにおもちゃを持っていって、一緒に遊ぶ活動をしています。活動のなかで、認知症ってこういうものなんだ、体が麻痺しているとこういう動きができないんだっていうことを、少しずつ学ばせていただきました」

忘れられないのは、ある老人ホームでのできごと。

認知症で心身ともに弱りつつあったおじいさんが、コマを渡した途端、慣れた手つきで紐を巻いて、自ら立ち上がって回したそう。

「そのときの、『一仕事終わったぞ!』みたいな表情がすごく良くて。近くにいた女性陣も『男の子の遊びだから昔はやらせてもらえなかったけど、やってみたい』って、その方に紐を巻いてもらってチャレンジしていて」

「普段は無表情になりがちな方々も、遊びはじめるとすごく楽しんでもらえる。一緒に遊ぶと心の距離も縮まるんですよね。初対面でも、たった30分遊ぶだけで仲間のような気持ちになれるんです」

そんな自身の経験は、人材育成事業で参加者たちに伝えている。

人材育成事業とは、描画指導や高齢者支援など、芸術にまつわる資格講座や研修のこと。磯さんは、企画から運営まで一貫して携わっている。

長年対面で行っていた研修は、コロナ禍を機にオンライン中心へ移行した。

「去年と今年はあまり参加者が集まらないことも多かったので、できるものはどんどんオンラインにしよう、とスタッフに声をかけています。事前に教材のおもちゃを送っておけば、同じ遊びを共有できるねとか、毎回試行錯誤しながらやっています」

何人集めれば講座は黒字開催できるのか。そのためにはどんなパンフレットのデザインや、どんな広報が必要なのか。

「みんなあまり得意ではない」と磯さんは話すけれど、安定して運営するためのマネジメントも大切な仕事。

多田さんが話していた、ロマンとそろばん。そのバランスをとりながら、スタッフのみなさんは日々仕事をしている。



今回紹介したいくつかの事業も、法人全体の活動のなかではほんの一部。

働くうちに複数の仕事の担当になったり、部署が変わったりすることもあるそうです。自分の持ち味の活かし方を、働きながら見つけていける環境かもしれません。

この仕事に関わるなかで、日々働く自分自身も栄養補給されていくんだろうなと思いました。

(2021/12/13取材 増田早紀)

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