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からりと晴れた空のように
生きる人と宿

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

旅を通じて、価値観や考え方が変わるような経験をしたことはありますか?

取材をしていても、海外で常識を覆されるような経験をしてこの事業を立ち上げたんですとか、景色に一目惚れしてここに住むことを決めましたとか、いろんな話を聞きます。

そんなふうに人生の舵を大きく切ることにつながらなくても、楽しかった旅の思い出や人のやさしさに触れた経験が、心の支えになることもある。何度も訪ねるうちに、第二のふるさとのような場所ができることも。

旅が人生にもたらす彩りは、想像するよりも大きいものなのかもしれません。

株式会社カラリトは、旅を通じて“自分らしく、晴れやかな生き方”を提案する会社です。その第一弾の事業として今、五島列島の福江島でホテルプロジェクトを進めています。

今回は、夏のオープンに向けてホテルマネージャーとレストランマネージャー、副料理長、アクティビティのアシスタントを募集します。

大事にしたいのは、経験よりも人柄。どんな人が合うのかは、きっと記事を読んでもらえれば伝わると思います。

 

長崎空港から、五島福江空港行きの定員39名のプロペラ機に乗り込む。

機内では、添乗員さんが壱岐や対馬、五島列島のおすすめスポットを手描きでまとめたマップを配ってくれた。30分と短いフライトだけど、少しずつ旅モードに気持ちが切り替わっていく。

空港のロビーまで迎えにきてくれたのは、カラリト代表の平﨑さん。この日は夜ご飯をご一緒して、翌日あらためてお話を聞くことに。

「今日はやや二日酔いですね(笑)。ペース上げて飲みすぎちゃった。いやー、昨日語ったことを録音しておけばよかったな」

この場所はシェアキッチン&コワーキングスペースになっていて、カラリトでは金土日に「タマリバ」というワインバルを開いている。

平﨑さんの前職は、都内の不動産デベロッパー。主に大規模な開発を手がける会社のなかで、小規模ながら革新性の高い取り組みへの投資を担当していた。

「たとえば蔵前のNui.とかをやっているBackpackers’ Japanに入り込んで、一緒にやりましょうって。そこの運営責任者をしていた宮嶌さんとは、のちに大阪でホテルを建てて、今計画しているホテルのコンサルにも入ってもらっています」

忙しくも楽しく働いていたある日、「福江島で一緒にホテルをつくりませんか?」という話が舞い込む。のちに創業メンバーとなる山家さんからの提案だった。

熊本県八代市出身の平﨑さん。いつかは九州に帰って何かしたいと思っていたそう。

九州が大好きで、「みんな九州に移住すればいいのに」と言うほど。

「その話を受けたとき、すごくときめいたんです。すぐに企画書を書いて、社長も連れて福江島まで来て。チームのみんなも気に入ってくれたんですけど、離島はやっぱり遠いし、マーケットもよくわからない。なかなか話が前に進まなくて」

これは人生の分岐点かもしれない。

そう直感して、13年勤めた会社を退職。共同創業者の山家さん、石澤さん、中野さんとともにカラリトを立ち上げた。

福江島には2020年の7月に移住してきた平﨑さん。

最初の半年は、東京の創業メンバーと連携してホテルの開業準備を進めつつ、島内でつながりを増やすために飲み歩いたそう。

「名刺交換からはじまりたくなくて。飲みながら『何してるの?』『じつはホテルをやろうとしていて』『ああ、あそこの!』ってなるのが理想なんです。タマリバでもお客さんに混ざりながら、よく飲んでます」

野菜を仕入れる農家さんや、お肉を扱っているJAのお偉いさん、アクティビティで関わってくれそうな人、地元の区長さんなど。のちのホテル運営に関わるつながりもそこで生まれた。

「東京メンバーには言ってないけど、夏は仕事するふりして海で泳いだりしてました。『ちょっとミーティング入ってるんで』とか言って、春は鬼岳で昼寝したり。日焼けしすぎてすぐにバレたのですが(笑)」

「たとえば『五島の海は気持ちいいね』って話になったときも、泳いでなかったらそうですねとしか言えないけど、『あそこの海がいいよね』って返せるだけで、会話の幅が全然変わる。なんでも経験することが大事だなって」

カラリトが掲げる“自分らしく、晴れやかな生き方”。

それは、平﨑さん自身が試行錯誤のなかで見出してきた理想の生き方なんだということが、話を聞いていると伝わってくる。

今後事業を通じて、そんな生き方を広めていきたい。そのための軸として、短期滞在のホテル、中長期滞在の2nd Home、地域還元という3つを掲げている。

ホテルの建設地は、市街地から車で10分ほど離れた大浜というエリア。

企業の元保養施設を活かしつつ、半分は新築。目の前には白い砂浜と遠浅の海が広がる。

「飾らない時間を日常に持ち帰ってもらえる場所にしたくて。“ホテル”と銘打つと、どうしても決まったイメージがあるので、名前はシンプルに『カラリト五島列島』です。スタッフも、ラフと言うと変ですが、自然体で気さくなサービスを大事にしてほしいと思っています」

中長期滞在の2nd Homeは、周辺の空き家をリノベーション。入退去に関わる手続きや決済、子どもの体験・学習メニューなどの申し込みをすべて完結できるアプリも計画しているという。

これらのサービスを通じて得た利益の一部やつながりは、地域の自然環境保護や地場産業の育成、子どもたちの教育へと還元していく。そうすることで地域が元気になれば、巡りめぐってカラリトの事業にも継続性が生まれる、と平﨑さんは考えている。

「ぼくの根っこは性善説なんです」

生まれながらに人は善である、と。

「最近“騙されるのが怖くて人を信用できない”ってツイートを見かけて。その気持ちもわかるけど、ぼくは信用するかしないか悩むくらいなら、騙されたほうがいいやって考えちゃう。やさしさはいつかやさしさで返ってくると思い込んでいるんです」

「そこは自分の矜持に従って、会社の風土にしていきたい。一緒に働くなら、まず素直さが一番ですね。嘘つけない人、というか。そういう人がひとりでも増えていけば、ポジティブにいろんな挑戦が生まれていい社会になっていくだろうし、それに資することならなんでもやっていこう、というのがうちの会社だと思っています」

 

嘘つけない人。たしかにいるよなあ。

そう思っていたら、またひとり目の前に現れた。エクスペリエンス・デザイナーの原野さんだ。

「アクティビティギアを使ったサービスも担当するんですけど、あまりアクティビティという言葉は使いたくなくて。日常の延長線上で、何も気にせず笑顔になれる瞬間をつくってあげたい。お客さんと一緒に遊びたい、っていうほうが近いかもしれません」

たとえば、焚き火やバーベキューに誘ったり、平﨑さんが昼寝していた鬼岳に連れていって草スキーをしたり。連泊する人たちがいたら、「3泊目はキャンプしてみませんか?」と提案してもいい。

道具や経験則に頼ることなく、自由な“あそび”の時間をつくっていきたいと原野さんは言う。

「もちろん、安全管理は必要ですし、お金のことも考えなければいけません。でも、利益より大事にしたいのは、お客さんもぼくらも晴れやかにいられること。ただお客さんを喜ばせればいいわけじゃなく、お互い自分たちらしくいられる。その軸はずらさずにいたいです」

いつか地元の福岡に帰りたいという原野さん。

カラリトとしても、今後九州各地に拠点を増やしていく予定で、すでに奄美大島での計画が決まっている。2030年までに10拠点が目標とのこと。

「福岡に展開するときには、自分に任せてほしいという意向も伝えています。経営陣との距離感も近いですし、何かやりたいと思ったら、無下にせずちゃんと聞いて、一緒に考え行動してくれるのがこの会社のいいところだと思います」

原野さんはどんな場所にしていきたいですか。

「何より人が魅力の場所ですね。人に会いに来てほしい。景色には負けたくないんです」

 

今回募集したいのは、ホテルとレストランそれぞれのマネージャー、副料理長、そしてアクティビティ担当。

とくに両マネージャーは、施設全体の責任者を務める川村さんとの接点が多くなると思う。

お母さんが隣の久賀島出身という縁もあり、昨年の4月に大阪から移住してきた川村さん。半年ほどはタマリバでホールの仕事を担当していた。

「スーパーや飲み屋で声をかけられることもありますね。人との距離感が近いのはよさだけれど、自分ひとりの時間がつくりにくい面もあります」

人口およそ3万5千人の福江島。市街地にはお店も病院もあるし、なじみのない人がパッとイメージする“離島”よりも不便はしないはず。

ただ、ないものはない。楽しみを自分からつくっていくような姿勢は、暮らしの面でも仕事においても、都会で生活する以上に問われるかもしれない。

そんな環境に暮らしはじめてもうすぐ1年。川村さんは、ふとした瞬間に自身の変化を感じるという。

「前は、見えない誰かに向けていい服を着て、ブランドものを持って、役職的にこれぐらいしないと…って、ずっと気を張ってたような気がするんです。でも、人に迷惑さえかけなければ、自分の好きなものを着て、自由に行動すればいいじゃんって。そう思うようになったのは、自分のなかですごく大きな変化だと思います」

人波にまぎれて自由を感じる人もいれば、川村さんのように顔の見える関係性が増えていくことでより自然体になれる人もいる。

このあたりの感覚は人によって違うかもしれない。いい予感を感じたら、思いきって新しい一歩を踏み出すのもありだと思う。

一方で、川村さんはこんなふうにも話していた。

「今いるところから逃げ出したいとか、マイナスな意味での転職にはしてほしくなくて。新天地で自分の力を発揮したい、将来の夢に向かってステップを踏みたい。そういう前向きな気持ちで来てもらいたいと思っています」

都市部と比較して平均賃金が低く、飲食・宿泊業は労働時間が長くなりがち。そうした働く人の側から見た現状も変えていくことで、本当の意味で“自分らしく、晴れやかな生き方”を広げていける。

現場のオペレーションや福利厚生など、すべてが整っているわけではないので、これから入る人と一緒に考えていきたいという。

インタビュー後、みなさんと一緒に現場へ。

「ここがウッドデッキになって、海のほうまで歩いていけるようになります。あっちは広場にして、キッチンカーを呼んだり、ナイトシアターをやっても楽しそう。中庭で焚き火をするのもいいね」

まだ新築部分は基礎ができつつある段階で、建物の全貌は見えない。でも、楽しそうに妄想を膨らませている3人の話を聞くうちに、こちらまでワクワクしてきました。

オープンは今年の夏。からりと晴れた空のように、気持ちのいいチームに飛び込んでください。

(2022/1/27 取材 中川晃輔)

撮影時はマスクを外していただきました。

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