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森のことは、森に聞け
からだで学ぶ
森の仕事と企て

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

日本の国土の3分の2は、森林が占めています。それらの山の多くは、人が手入れをして木を伐り、また植えて育てる。その循環のなかで維持されてきました。

ただ、近年は林業従事者も減り、その循環がうまくいかなくなってきています。なんとかしたいと思う人も出てきてはいるものの、いきなり林業に従事するのはむずかしい。

それならもっと身近なところから、今の自分の仕事や趣味と森を掛け合わせて何かできないだろうか。

そんなふうに考える一歩目として、「伊那谷フォレストカレッジ」はぴったりだと思います。

「伊那谷フォレストカレッジ」は、長野県伊那市の森をフィールドに、7月と9月にそれぞれ3日間の合宿と、オンラインの講座を通して森について学ぶスクールです。今回は、その参加者を募集します。

コースは、「森で働く」と「森で企てる」のふたつ。

どちらも、自分の身体で森を感じながら、森林が抱える課題を自分ごと化していく。その過程を丁寧に辿ることができるプログラムだと思います。

 

伊那市へは、東京から特急あずさに乗って2時間。岡谷という駅で乗り換え、さらに1時間ほど電車に揺られて辿り着く。

中央アルプスと南アルプスに挟まれたエリアで、ぐるっと見渡すと遠くに山の稜線が見える。標高が少し高いこともあってか、空気もカラッとしていて気持ちいい。

「いいですよね。僕も学生時代からこの景色と空気が好きで、それからずっと伊那に関わっているんです」

そう話してくれたのが、株式会社やまとわの奥田さん。

やまとわは、伊那市を拠点に地域の森林資源を使って、森と暮らしをつなぐ取り組みをしている会社。木を使った家具づくりや農林業、住宅づくりにリノベーションなど、さまざまな事業を手がけている。

今回募集する伊那谷フォレストカレッジは、伊那市とやまとわが連携して2年前から開催している事業だ。

「今年で3回目になるんですが、最初のきっかけは『森=林業』みたいなイメージを変えたいと思ったことでした。森に関心があるけど、いきなり林業に携われるかって言ったら、むずかしいじゃないですか」

たしかに、いきなりチェーンソーを持つことはできないですよね。

「そうそう。でも、たとえば森でマウンテンバイクができるコースをつくりたいって考えたら、コースづくりの過程で森が整備されるし、観光収入も入る。森を子どもたちの遊び場にしようってなったら、暗いうっそうとした森より明るい森がいいから、間伐したりして森を整えることにつながる」

「森の活かし方っていうのは、実は林業だけじゃない。いろんな関わり方をいろんな人が集って考えてみようというのが、この企画のはじまりでした」

テーマは、「森に関わる100の仕事をつくる」。

木こりを育成するのではなく、もっと広い意味で森に関わる仕事を生み出すことを目指している。

今年は「森で働く」と「森で企てる」のふたつのコースがあり、定員はそれぞれ10人と14人。

「森で働く」コースは、主に林業の現場をフィールドにして学ぶコース。座学で森のことを学びつつ、実際にチェーンソーを使って木を伐ったり、製材所を見学したり、家具づくりの現場に立ち会ったり。実地体験をメインに森との関わり方を学ぶ。

もう一つの「森で企てる」コースでは、間伐した木の活用方法をワークショップ形式で考えたり、森林の新しい活用方法を企画して発表したりなど、森をいかに使うかという視点で学びを深めていく。

講師には、森のプロフェッショナルはもちろん、デザイナーや編集者、ツーリズム、アウトドアといったさまざまな業界の人が参加。それぞれの視点を交えながら、森の価値について考えていくプログラムだ。

「昨年と一昨年はオンライン開催だったんですが、今年は伊那で合宿形式で開催したいと思っています。やっぱり身体性を伴う体験をしてもらいたいなと、オンラインでの経験を通してすごく感じて」

「身体を使って自分で木を伐るとか、森を一緒に歩くとか、焚き火をするとか。体験のなかで地域の面白さとか森の気持ちよさを感じてほしいなと。僕が一般参加者だったら、両方行きたいなっていう内容を考えました」

伐倒の体験や林業の知識を得たい人が参加してもいいし、もっとゆるやかに森林問題に興味があるけど何から始めたらいいかわからない、という人でもいい。

関わりしろを広く、伊那の森と人が出会う場所にしていきたい、と奥田さん。

「自分が持っている手札次第でいろんなことができると思うんですよ。会社の人事部にいる人だったら、採用面接を森でやってみようとか。個人の生活だったら、薪ストーブを暮らしに取り入れてみようとか」

「やまとわでは伊那の木を使った家具づくりをしているんですけど、それも買って支えていただく以外の関わり方があると思うんです。めっちゃいいですねって褒められるだけでも、つくる人はうれしいし、もうちょっとがんばってみようって思える。森への関わりしろって、実はすごく広いんだよっていうことが伝わる機会になればいいなと思っています」

これまで参加した人のなかには、都会から参加して今も伊那に関わり続けている人もいるし、実際に移住した人もいるそう。

どんな人に参加してもらいたいですか?

「伊那の森で何かやりたいっていう気持ちが一番大事だと思っていて。たとえば都会に暮らしながら伊那の森とつながってくれたら、めっちゃありがたいんですよ。なにかあったら伊那の木を使おうとか、森へ遊びに行こうとか」

「もちろん移住してみたいっていう人も大歓迎ですけど、そうじゃなくても森には関わることができる。だから森のそばで働く人も、都会にいながら森に関わりたい人も、どっちもいいなと思います」

今回ふたつのコースをつくっているのも、将来的に「森で働く」と「森で企てる」それぞれに参加した人たちが混ざり合って、新しいことを生み出してくれることを期待しているから。

「伊那で林業に携わっている人たちは、僕の肌感覚ですけど新しいチャレンジをすごく応援してくれるんです。そういう意味ではすごくやりやすい地域だなと思っていて」

「僕が目指しているのは、森のことを学んだり実験したりするなら伊那谷がいいよね、っていう印象が生まれること。フォレストカレッジの取り組みを通して、うまくその土壌をつくっていきたいと思っています」

 

今年で3回目になるフォレストカレッジ。過去の参加者のなかで、4組が実際に伊那へ移住している。

その一例が、関東から一家で移住してきた藤井かおりさん。伊那にある小学校に魅力を感じたことがきっかけだったそう。

「コロナ禍をきっかけにリモートワークになって、自然を求める気持ちが出てきたんですよね。それで森関連のイベントをひたすらSNSでフォローしてたときに、森林を授業に取り入れている伊那の小学校にたどり着いて」

「オンラインツアーを見学したんですけど、木を伐倒してそれを小さい子たちが引っ張ってるんですよ。木がどすん!って倒れる音もすごかったし、公立の小学校でこんな体験ができるのか!って。感動っていうか、衝撃でした」

その後、本格的に移住を検討し始めた藤井さん。実際に足を運んでみて、伊那の景色と空気を直接感じ、気持ちは固まっていった。

「なんといっても山が綺麗だし、自然がたくさん。あとは観光地化されてない素朴な良さが伊那にはあるなと思っていて。移住しようかなって考え始めたタイミングで、一期目のフォレストカレッジのことを知って、参加してみようと思ったんです」

とくに印象に残っていると藤井さんが話してくれたのが、参加者同士のフリートークの時間。

「講義が土曜の午後にあったんですけど、スピンアウト企画みたいなので、平日の夜に森について深めるフリートークの場があって。そこで話すうちに、思考がクリアになっていったんですよね」

どうして移住したいかが、より明確になったと。

「そう。人も動物じゃないですか。でも都市で生活していると、土いじりとかせずともスーパーで野菜が買えるし、大工仕事だって工務店さんにお願いする。お金で解決してきた生活だったけど、野菜を育てたり木を伐ったり。自分でなにかを生み出す、動物的な本能を取り戻していきたいんだって。話してるうちに気づいたんですよね」

移住後も、フォレストカレッジを通して得た知識や人脈が役に立っているそう。

「1年前の4月に引っ越してきて、10月くらいにチェーンソーとかユンボの資格をとって。資格を取るときも林業用語がすんなり頭に入ってきました。伐倒とか皆伐って聞いても、それわかる!みたいな感じ(笑)」

「あとは人脈もすごく大きかったです。女性だし、いきなり林業を手伝わせてくださいって言っても、普通はなかなか受け入れてもらえないと思うんです。でも、フォレストカレッジで知り合った人づてに頼んで、林業の現場を手伝わせてもらったりして。フォレストカレッジなしには、今の私の生活はないと思います」

伊那は暮らしてみてどうですか?

「朝、鳥のさえずりで目覚めるんですよ。鳥もたくさん種類がいて、季節によってもちがう。あ、今日はかっこうが鳴いてるねとか。あと食べ物もおいしい。人生最大級においしいものに出会いました」

人生最大級! なんだったんですか?

「知り合いの方が養蜂をやっていて。本当に花の蜜だけ吸ってきた蜂の蜂蜜を食べたときの衝撃たるや…。今まで私が食べてた蜂蜜は一体何だったんだろうっていうくらい。ただ甘いだけじゃなくて、栗はちょっと酸味があったりとか、アカシアは上品な甘味だったり。あれは人生最高だったな…」

「きのことかもプリプリでおいしいんですよ。お酒のつまみに、椎茸をちょっと炙って塩をちょこっとやって食べるとか。そういう食べ方って都会ではできないなって思います」

フォレストカレッジの経験を糧に、伊那の森との関わりをどんどん広げている藤井さん。

藁細工を習ったり、野草のことを勉強したりと、話しているなかでもどんどんやりたいことが溢れ出てくる。

すると、話を一緒に聞いていた奥田さん。

「藤井さんが話してくれたように、フォレストカレッジを通じてひとつのコミュニティが生まれることにすごく意味があると思っていて。それまでまったく知らなかった人と喋って、自分の考えが鏡のように跳ね返ってくる。そのなかで、なんで参加したいと思ったんだっけ、という自分の思いが言語化されていく。その体験が大事なんですよね」

「大きい木を伐倒するその迫力や木の命を感じてもらう身体性が大事だって言いましたけど、それと同じくらい体験をともにする仲間も大事で。今回も、いい場をフォレストカレッジでつくっていきたいと思ってます」

 

奥田さんと藤井さんの話を聞いていて、森への関わり方って実はすごく広いんだということに気づかされました。

自分は森とどう関わって、何がしたいのか。参加してみてわかることも多いと思うので、ぜひ伊那の森で輪を囲んでください。

(2022/3/10 取材 稲本琢仙)
※撮影時はマスクを外していただきました。

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