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団地とビールとわたしと

※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。

だんだんと、まちの飲食店にも灯りが戻ってきました。

あの店に行けば、誰かに会える。初対面の人とも、なんだか自然に話せる。

食を通して人とつながることに、やっぱり喜びを感じる人もいるんじゃないでしょうか。そんな人にぜひ知ってほしい場所があります。 

舞台は、西浦和駅から徒歩2分の場所にある田島団地のすぐ隣。全52棟の団地が連なるこのエリアに、シェアキッチンが誕生します。

その名も「団地キッチン」田島。シェアキッチンスペースのほか、クラフトビールの醸造スペースとカフェも併設される予定です。

醸造の過程をワークショップ化することで、地域の人からビールのアイデアを募り、地域を知り、人とつながる機会を生み出していきます。

今回は、ここで働くコミュニティマネージャーを募集します。シェアキッチンの利用案内や利用者のお悩み相談、イベントの企画など施設の運営もしつつ、ビールの醸造も担当します。

醸造の経験や知識はなくても大丈夫。外部ブルワリーにも協力を仰ぎながら、ゆくゆくはひとりでレシピを書いてつくれるよう、一から技術を身につけていきます。

ビールが好きで、人と話すのが好き。そんな人にとって、心から楽しめる仕事になると思います。


東京駅から50分。西浦和駅で降りて歩いてほどなく、団地が見えてきた。

この日は時間に余裕もあったので、付近を散歩することに。

団地の脇にある、緑の木々であふれる小道には散歩中のお年寄りや親子の姿が。平日の昼間、思い思いに過ごす人を見ていると、こちらまでのびのびとした気分になる。

時間になり、取材場所へ。敷地の端にある白い建物が、「団地キッチン」田島。まだ改装中とのことで、様子を見計らいながら中へ。

木枠とガラスで区切られたスペースに、シェアキッチンが3つ。正面にはカフェもあって、かなり広々とした印象。南向きの大きな窓から入る自然光が気持ちいい。

「ここはもともと銀行の支店だったんです。この辺りにちょうど窓口があったから、天井が高く感じられますね」

そう教えてくれたのは、日本総合住生活株式会社(以下、JS)の濵本さん。事業計画課の副長で、「団地キッチン」田島の責任者の一人を務めている。

「ちゃんと工事が仕上がった様子を見るの、今日が初めてなんですよね」と、うれしそうな表情で話してくれる。

創業からおよそ60年。長年、団地やマンションの管理を担ってきたJS。敷地内の清掃や点検、住宅の維持管理のほか、相談窓口的な存在として住民の困りごとに向き合ってきた。

近年力を入れているのが、ハードとソフト、両面から人と人をつなぐ機会をつくること。

たとえばコミュニティスペースを併設したコンビニや、本をテーマにしたシェアハウス「読む団地」の運営など。幅広い世代がより便利に暮らせるような住空間づくりに取り組んでいる。

そしてこの夏誕生するのが、「団地キッチン」田島。食をテーマにしたコミュニティ施設で、シェアキッチンのほか、カフェ、クラフトビールの醸造スペースが併設される予定。

施設は団地の住人に限らず、地域の人も利用可能。惣菜、ジャム・ソース、パン・菓子といった食品をつくって楽しむだけでなく、製造許可を取得して販売することもできる。

食という大きなテーマはたしかに、さまざまな世代がともに暮らす団地と相性が良さそうな気もする。でもなんでまた、クラフトビールなんでしょう?

「まあ、その… お酒好きが多いんですね、うち(笑)。以前からビールをつくってみたいねと話をしていて、多摩地域の団地のイベントでオリジナルビールをつくることになったんです。プロの指導のもと、レシピを考案したんですが、考える過程がすごく面白いなと思って」

「せっかくなら、地域にちなんだビールをつくりたい。この地域の特色ってなんだろう?って調べていったら、多摩はブルーベリーが特産品だとわかって。レシピを考えることが、地域を知るきっかけになったんです」

イベントでの販売の際には、ブルーベリーの話題でお客さんとも話が盛り上がったそう。さらに地域の話や、今度飲んでみたいビールの話まで話題が膨らんでいった。

「ただビールを売るだけでは、そんな会話って生まれなかったと思うんです。自分たちでつくることで地域を知り、会話が生まれて、新たに人とつながることができた。こんな取り組みを重ねていくことで、地域がにぎやかになるんじゃないかなと」

地域の人からも「さいたま市の花であるサクラソウをイメージしたビールはどうか」とすでにアイデアが挙がっているそうなので、そこからワークショップを企画しても良いかもしれない。

醸造したビールは施設内のカフェや、イベントなどで提供される予定だ。

「まずはさいたま市、埼玉県、ゆくゆくは関東を代表するような場所になれたらいいなと思ってます。日本全国の団地の住人さんがここに来てビールをつくるような、聖地みたいなところまで目指したいですね」


今回募集するのは、「団地キッチン」田島のコミュニティマネージャー兼醸造スタッフ。

シェアキッチンの利用者向け案内のほか、醸造スペースを含め、施設を活用したイベントの企画・実施まで幅広く取り組むことになる。

食を通じて人と人をつなぎ、にぎわいを生み出す。言葉にするとシンプルだけれど、なにから始めればいいのか不安に感じる人も多いと思う。

次に話を聞く、コミュニティマネージャーの奥寺さんの話が参考になるかもしれない。

「団地キッチン」田島では、新しく加わる人と二人三脚で立ち上げを担当する。独り立ちするまでの間、伴走してくれる存在だ。

これまで、団地内に新しくつくられたベーカリーやコンビニなどの立ち上げを経験してきた奥寺さん。現在は、足立区にある団地をリノベーションしたシェアハウス「読む団地」ジェイヴェルデ大谷田のコミュニティマネージャーを務めている。

団地に住む若い世代を増やす、という目的ではじまったプロジェクト。一方で、シェアハウス入居者と団地の住人、地域住民の間でなかなか交流が生まれないという課題があった。

「実は私自身もそこまで本が好きというわけではなくて。近隣住民の方のなかにもきっと似た人がいるはず。そんな人でも参加したくなるようなイベントってなんだろう?と考えては実践しているところで」

たとえば、自宅にあるおすすめの本を持ち込み、一言メッセージを書いて置いておく本の交換会。ほかにも、本にあるレシピをもとに料理会や手芸会を開いたことも。

今では少しずつ参加者も増え、交流が生まれつつあるという。

「団地キッチン」田島でも、テーマは違えど、柔軟な発想で企画をしていくことが求められる。

「私たちコミュニティマネージャーが属する事業計画課って、垣根がない部署だと思っていて。今度何をやるの? とか、こうした方がいいんじゃない? っていう意見の交換が常に起きている。横で全部つながっている状況で」

横で全部つながっている。

「テーマは違っていても、参考になるものがたくさんありますよ。良い事例っていうのをどんどん真似たり取り入れたりしないと、施設の訴求力がなくなっていくんですよね。変わり映えのないイベントを続けていても、参加者層は広がっていかないので」

「新しいものを生み続けていくのは正直大変です。でも、その苦しさも含めて企画の楽しみなんですよね」


次に話を聞いたのは、事業企画課の野村さん。

この日は新たな施設の開業前日だそうで、現場からオンラインでつないでもらった。

もともとビールが好きで、ブルワリーで修行した経験もある方。

各地の団地で新規施設を立ち上げる傍ら、新しく加わる人にビールづくりを伝授する予定だ。

「最初の数ヶ月は外部ブルワリーさんの元で研修していただきます。ここでもどんどん試作をして、醸造の技術を身につけてもらえたら」

醸造のスキルを身につけるうえで、どんなことが大切になるでしょう?

「たとえば温度を上げるとき、これってなんの意味があるんだろうと考えることですね」

「ビールって細かくレシピは決まっているものの、気温などその日の条件で味が変化してしまうんです。理想の味に近づけるなら、どこの時間を調整すればいいのかとか、毎回観察しながら進めていかないといいものがつくれない。現象と理屈をちゃんと理解することが必要ですね」

野菜や果物、基本的にはどんなものでも副原料になりうるとのこと。投入するタイミングや方法によっても味は変わるため、イメージに近づくまで仮説立てと試作を繰り返していくことになる。

「醸造はこれから学んでいけばいいので、ビールが好きな人に来てもらいたいですね。あとは団地の住人さんとの関わりが多いだろうから、要望を聞きつつ、うまく自分の仕事を進めていくことも必要かなと」

どういうことでしょう?

「団地に住んでいる方とは長いお付き合いがあるので、はっきりとものを言いづらいときがあるかもしれません。相手の要望と、自分の譲れないラインと、柔軟に調整していけるといいですね」

シェアキッチンや醸造スペースといった施設の需要は見込んでいるものの、人と人をつなぐ仕掛けはまだまだこれからつくっていく段階。

気になることがあればいつでも相談してください、というスタンスで利用者さんと会話を重ねるなかで、アイデアを育てていくといいかもしれない。


最後に、濵本さんと奥寺さんに、どんな人と働きたいか聞きました。

まずは濵本さんから。

「もう…好奇心が強くて、企画したり、発信することに快楽を感じる人が来てくれると、すごく合うだろうなと思います」

快楽!

「会社組織にいると、自分が考えたことってなかなか思うように実現しないことも多いと思うんですが、ここは自分で企画したことが結構な頻度で実現していくので。企画、発信が大好きな人であればもうぴったりじゃないかと思います」

うんうん、とうなずきながら奥寺さん。

「ここを、自分が楽しむためにうまく利用してほしいです。仕事って決して楽しいことばっかりじゃないけれど、楽しみ方次第だと思うんですよ」

「気になる人がいれば、その人を招いてトークイベントをしたり。ビールとフードでペアリング会をしたり。自分起点でどんどんアイデアを出していってほしいですね」

まずは自分自身が楽しむことができれば自然と伝えたくなるだろうし、利用者さんにも楽しさが伝播して新しいアイデアも生まれていく。

「逆に醸造は好きでも、人と関わるのが苦手な人はむずかしいかもしれません。クラフトビールに興味があってちょっとつくってみたい、くらいな軽いノリできてもらっても大丈夫」

「我々2人も含め社のみんなでフォローしていくので。一緒に覚えてつくっていこう、ってスタンスで仕事ができるとうれしいです」

取材中、濵本さんと奥寺さんが至るところで「この仕事は大変だけど、面白いんだよね」と話していたのが印象的でした。

よく話し、何度も揉みながら、いろいろな企画を育ててきたんだろうな。楽しげに話すふたりの姿から、そんなことを感じました。

働くことと自分の楽しみと。重ね合わせてつくりあげていく環境がここにはあります。

(2022/5/18取材 阿部夏海)
※取材時はマスクを外していただきました。

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