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地球規模で
民主的に
森を守るマーク

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このマーク、見たことはありますか?

ノートやティッシュペーパーを裏返してみると、見つかるかもしれません。

これは、FSC認証マークと呼ばれるもの。

その木材や紙が、環境・社会・経済の3つの視点で、適切に管理された森から生まれていることを示しています。

このマークを運用しているのが、FSC® (Forest Stewardship Council ®、森林管理協議会)という国際的な団体。環境団体や林業者、先住民族の代表など、森林に関わるさまざまな立場の人で構成されています。

目指しているのは、「森の産物を使い、森を守る」という、一見相反する営みを両立させること。

経済活動を維持しつつ、森とそこで暮らす生き物、働く人たちの権利や安全を守るための基準・ルールをつくり、守られているかをチェックしています。

今回は、そんな地球規模の挑戦を、日本で推進する仲間を募集します。

リモートワークの推進など、働き方は比較的柔軟で、グローバル会議への参加や、認証林へ出かける機会もあります。

自然や森が大好きで、よりよい未来を本気でつくりたい。そんな想いをもつ人に、ぜひ知ってほしい仕事です。

 

FSCジャパンのオフィスがあるのは、新宿駅。大きなビルや百貨店、東京を凝縮したような人の波。

「これから、森について話を聞きに行くのか」と、なんだか不思議な気分になる。

にぎわいを抜けるように歩いていくと、落ち着いた雰囲気のビルが見えてくる。中に入ると、シェアオフィスの一角で、スタッフのみなさんが迎えてくれた。

まず話を聞いたのが、事務局長の西原さん。

長年、コンゴ共和国などアフリカのコンゴ盆地の熱帯林を拠点に、ゴリラ・チンパンジーの生態学や人類学を研究されてきた方。

FSCと出会ったのは、アフリカで森林保全の活動をしていたときのこと。

「私が関わっていた国立公園の近くに、ある林業の多国籍企業があったんです。それまでの“林業”のイメージは、木を全部伐って、動物もいない、荒れた土地をつくってしまうというものでした。でもその企業がFSC認証をとったと聞いて、実際に見に行ったら、もうびっくりしたんですよ」

「ゾウやゴリラといった動物たちが、森の中に“普通に”いるんです。密猟対策もきちんとしながら、森林への影響を最小限にするように計画的に伐採している」

ほかにも、先住民族の土地の権利や伝統的な生活を尊重し、先住民専用の学校教育までも支援していた。

「人間は、資源を利用しなければ生きられない。ただ使用を制限・禁止するのではなく、『どう使うか』を問うFSCのあり方に、強く価値を感じたんです」

FSCの森林管理認証は、「木を使うこと」と「森を守ること」を両立させるためのものさしのようなもの。

認証審査は、世界的に統一された10の原則と70の基準にもとづいている。

この原則と基準の下に、各国の状況に合わせてつくられた細かな指標があり、日本では200を超えるという。

FSCマークは、社会的・環境的に配慮され、適切に調達された原材料から生まれた木材や紙などの林産物だけにつく。消費者がマークのついた製品を選ぶことで、「良い森づくり」にお金が循環していく。

そのための基準は、客観的かつ、たしかでなければいけない。

「FSCは、『世界中の当事者が話し合って決める』民主的な指標です。森林に関わるさまざまな立場のメンバーが集っているのも、大きな特徴のひとつだといえます」

その象徴でもあるのが、およそ3年に1度開催されるFSCの総会。認証の基本ルールの改定や、組織全体の方向性などを定める場。

林業関係者、環境NGO、先住民グループ、そして誰もが知る大企業まで。FSCに関心があれば、誰でも参加できるので、その顔ぶれは多彩。

たとえば、認証ルールを改定するとき。

ある企業が「もっとコストを抑えたい」と経済合理性を求めれば、環境団体は「生物多様性を守る基準は緩めてはいけない」と主張し、社会分野のメンバーは「労働者の安全は保たれるべき」と訴える。

議案を通すためには、立場の違いを超えて、納得できる妥協点やバランスのとれた解決策を見つけ出す努力をしなければならない。

「森から得られる資源をどう利用するかを、世界中の当事者が対話を繰り返しながら決めていく。この民主的なプロセスが、認証の信頼性の基盤になっています」

 

今回募集する仕事は、大きく2つの部門にわかれている。

ひとつは、森林部門。FSCの国際的なルールを、日本の林業の現場や企業の事情に合わせて解釈し、調整している。

もうひとつは、サステナビリティ部門。メーカーや消費者に向けて、FSCの価値を伝え、マークのついた製品が選ばれる市場を広げていく。

新しく加わる人は、経験や適性、希望に応じてどちらかの部門に配属されることになる。

まずは森林部門の三柴さんに話を聞く。

大学院で森林科学を学んだあと、インドネシアを拠点に、森林認証の審査員として活動するなかで、FSCの意義を実感したという。

「インドでの審査で、認証のルールに違反する点が見つかって。改善が必要だと伝えると、経営陣は激しく反発し、予定の時間を大幅に超えて議論が続きました」

ようやく会議が終わったときには、外は真っ暗。帰ろうとしたとき、工場で働く女性たちが、会議室の近くで待っていた。

「たくさんの女性従業員が周りに集まってきて、『あなたが頑張っている姿を見て、すごく勇気をもらった。こんなに励まされたことはない』と言ってくれたんです」

その地域では、まだ女性の社会的地位が低く、どの職場でも管理職はすべて男性。女性が任される仕事は、主に工場の特定の作業などに限られていたそう。

「恐らくまだ若かった私が、男性相手に議論する様子は、彼女たちにとってかなり衝撃的だったのではないかと思います。FSCの審査や国際的なルールにもとづく議論が、既存の価値観に変化を促すきっかけになった」

「このマークは、森林、自然、そして人、すべてにおいてフェアであることを追求する運動なんだと、心から実感しましたね」

2014年に帰国したあと、FSCジャパンで働きはじめ、現在は森林部門の責任者を担っている。

国際的なルールと日本の現場の橋渡しとして、本部に日本の状況を報告したり、FSCの新しいルールについて日本のステークホルダーに説明したり。林業の現場から流通経路まで、俯瞰的に関わっていく。

なかでも、最もタフで専門性が高いのが、FSCの森林管理の基準を、日本版の指標に落とし込む作業。

「社会情勢の変化に対応するため、FSC基準は約5年ごとに見直されることになっています。本部から送られてくる膨大な英語の文書を読み込み、指標の一つひとつについて、日本のステークホルダーの意見をまとめ、更新していきます」

「すべてを網羅するのに2〜3年かかることもある、部門の山場とも言える仕事です」

国際基準は、審査においては法律のようなもの。

単なる翻訳ではなく、文言のわずかな解釈の違いを汲みとる、繊細な調整が必要になる。

「なかには『先住民族の権利の尊重』や『特定の農薬使用の制限』といった、日本にはあまり馴染みのない項目も含まれます」

たとえば先住民族の権利については、日本の状況に合わせて基準を解釈し、当事者と丁寧に話し合う必要がある。

「一方で、農薬使用の制限については『日本の法律で認められているのになぜ使っちゃダメなんだ』という声もあって。代わりとなる方法を模索しながら、守るべき理由を丁寧に説明していく場面もあります」

農薬ひとつとっても、FSC認証で禁止、制限されるには理由がある。

それを理解し、リスクを抑えることで、労働者の安全を守るだけでなく、水の汚染や生態系への悪影響を最小限に抑え、ミミズや野鳥などの野生生物が健全に生息できるようになる。

そこから採れる木材なら、メーカーも社会的・環境的に安心して選ぶことができるし、最終的に消費者がFSC製品を選ぶことは、持続可能な森林経営を支援することにもつながる。

まさに、三方よしの仕組み。

膨大な知識のインプットに加え、英語でのやりとりや、現場との誠実なコミュニケーションまで。森林部門の仕事には、総合的な力が求められる。

三柴さんの仕事の原点には、「美しい森を未来に残したい」という想いがある。

「世界を回り、その広大さと森の美しさに驚きました。とくに思い出深いのは、私が森林を学んだ、アメリカのニューイングランド地方。オークやメープルの木々の紅葉は、日本の深い紅色とは違う、笑いかけるような明るい色でした」

「私は、世界中の美しい森林を見ることが夢なんです。いきいきとした生態系のバランスがとれている自然林は、言葉をなくすほどに…本当にきれいで。世界中の美しい森を、未来の子どもたちにも見せてあげたい。そんな気持ちが原点にありますね」

 

最後に話を聞いたのが、サステナビリティ部門で広報業務を担当している河野さん。

美術大学で木工を専攻していた際に、森林問題を調べるなかで、初めてFSCマークのことを知ったという。

「すごく重要な制度だと感じつつも、周りの友人に聞いても、FSCを知らないことが多くて。普及する立場にまわりたいと、2013年、大学卒業と同時に入社しました」

河野さんの主な仕事は、FSCの価値を広め、認証製品の利用を促すPRや企画の実行。

プレスリリースの発信や、HP・SNSでの情報発信、企業やイベントでの講演など。 FSCのドイツ本部やアジア地域事務所との連携も担う。

企業や学校と連携して、FSCマークを広めるための新しい企画を考えることも。

「たとえば、大手企業さんに協賛してもらい、SNSキャンペーンを実施しました。マークのついた紙パッケージやティッシュ、ノートといった商品の情報をシェアすると、商品が当たる企画です」

企画から企業への提案、投稿素材の作成まで、すべて自分たちで手がける。

「現在は、主に企業さんや自治体といったビジネスセクターに、FSCの価値を理解してもらい、認証製品を使ってもらうよう働きかけているんです」

「私たちが直接消費者にアピールするよりも、企業さんにマークのついた製品を採用・紹介してもらうことで、結果的にFSCマークを目にする機会が増えて、認知度向上につながる、という戦略を取っています」

新しく加わる人は、まずFSC商標の管理業務からはじめることになる。

細かな事務作業も多いけれど、製品にマークが付与されるまでのプロセスを理解しながら、関係者とコミュニケーションをとる、基礎的かつ重要な仕事。

業務に慣れてくれば、企業との新しい連携企画などにも挑戦していってほしい。

「サステナビリティ分野には新しい市場を開拓する業務もあります。たとえば、ファッション・アパレルを担当するスタッフもいますが、有名アパレル企業と協働し、木を原料とした新しい繊維の開発などに挑戦しています」

「いつかは、FSCマークがついた製品が当たり前に選ばれるような世界になってほしい。この未来への広がりを、新しく入る方と一緒に進めていきたいです」

 

サスナビリティが当たり前の時代。FSCの仕事は、遠い森の話ではありません。

木を使いながら、森を守る。

そのための責任ある森林管理を、日本に広めるというミッションを、一緒に追い求める仲間を待っています。

(2025/10/08 取材 田辺宏太)

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