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標高1500mの村で
好きを仕事に

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「ここで働いていると、よくお客さまから、仕事とプライベートが同じような方向を向いていていいね!って言われるんです。自分が追い求めているものを仕事にできているので、今いい感じだと思っています」

そう話してくれたのは、公益財団法人名古屋市民休暇村管理公社で働く小池さん。

休暇村管理公社は、長野県王滝村にある名古屋市所有の体験型宿泊施設「おんたけ休暇村」を管理運営している団体です。

「おんたけ休暇村」は名古屋市が水の源である木曽川の上流域に、市民のための自然体験ができる環境をつくろうとはじまった場所。東京ドーム14個分の敷地を使い、主に名古屋市民を対象に、登山やクライミングなどの自然体験や、森林保全活動、小中学生向けのキャンプやスキー教室などを実施しています。

今回は、自然体験事業のスタッフと宿泊施設のフロントスタッフを募集します。

特に自然体験事業は、豊かな自然のなかで暮らしたい人はもちろん、登山やスキー、キャンプなどのアウトドアや、植物・昆虫が好きな人など、自然を楽しめる人にぜひ知ってほしい仕事です。

名前は少し堅いけれど、柔軟な関わり方のできる法人なので、自然が好きな人はぜひ読んでみてください。

 

木曽街道から御岳山に向かって伸びる細い道を進んでいくと、王滝村に到着。そこからさらにくねくねとした山道を登っていった先に、「おんたけ休暇村」はある。東京からだと車で4時間半ほど。

標高1500mに位置するので、まだ9月の初めだというのにすっかり秋の風が吹いていて、半袖だと少し肌寒い。

「ここは昭和48年の設立なので、来年で50周年を迎えるんです」

そう話すのは、理事長の齋藤さん。休暇村管理公社の立ち上げ段階から関わっている。

岐阜県中津川市出身で、親の仕事の関係で木曽に来てから、ずっとここで育った。

「親が森林関係の仕事をしていたので、子どものころは本当に山のなかに住んでいたんです。電気がないので灯油の明かりで勉強して、2時間かけて小学校に通っていました」

「だから山のなかに一人で放り出されても、自分で食べるものも探せるし、冬でも生きていけるくらい自然には馴染みがあります」

そんな環境で育ったこともあり、自然が好きになった齋藤さん。特に冬山が大好きで、最近は百名山の頂上まで登ってからスキーで滑降することにはまっているのだそう。

休暇村管理公社ができたのは、高度経済成長期。皆が働き豊かになるにつれ、単なる観光だけでなく、自然のなかでの体験を求めるニーズが高まっていった。

そんななか、名古屋市が王滝村に休暇村を設立。山岳ガイドの資格をもっていた齋藤さんは、その資格を活かせる仕事として、おんたけ休暇村の運営にかかわることに。

「私は自然や植物が大好きなので、人と自然の仲介人になりたいと思っていたんです。登山だけではなくて、自然のなかにいると地球温暖化の進行を感じることも多いので、自然環境を守っていくための環境教育も行っています」

「御岳山から流れる水が木曽川に注ぎ、名古屋市民の生活水になる。上流である王滝村が水をきれいに使って、下流の名古屋市民が環境整備を手伝うっていう流れをうまくつくれればいいなと」



宿泊施設の管理運営のほか、休暇村管理公社が行う事業は3つ。

登山ツアーやキャンプ場の運営、森林の整備などを行う「自然体験事業」。小中学生を対象にした『おんたけこども村キャンプ』やスキー教室、それをサポートする学生ボランティア育成などの「青少年健全育成事業」。そして、ウォーキングや森林セラピーなどの「健康増進支援事業」。

おんたけ休暇村を拠点に、南アルプスから北アルプス、里山などの自然に触れるさまざまな事業を展開している。

職員は現在31人。そのうち6人が主に自然体験事業を担当する「事業課」で働いている。

具体的に事業課ではどんな仕事をするのだろう。

 

次に話を聞いたのは、事業課で働く小池さん。

静岡県の出身で、2014年に王滝村の地域おこし協力隊として移住した。

「もともとスノーボードが好きで、スノボで暮らしていきたいと思っていたんですけど、まあ無理で。任期中は農業とかいろいろ試したうえで、やっぱり観光業がいいなということで、協力隊の研修として休暇村に関わるようになりました」

1年目はフロントで働いたのち、2年目から事業課に所属して自然体験事業を担当している。

休暇村管理公社は行政の出資法人のため、観光業でありつつも給与や休暇などの制度がしっかりしていて、今ではプライベートも含めて月に10日ほど山を登っているそう。

事業課では、登山をはじめとした自然体験ツアーのほかに、キャンプ場の運営、森林整備、間伐材での木工体験や、そば打ち体験などを行っている。事業課のなかで大まかに担当は決めるものの、すべての仕事に関わることになる。

自然体験ツアーだけでも内容は多岐にわたり、施設内にあるクライミングや経口60センチの天体望遠鏡を使った天文ツアー、五平餅やそば打ちなどの郷土食づくり体験、施設の周辺で採れる薬草を味わうツアーなどを企画している。

「ぼくらは小さい規模でやっているので、ツアーの企画立案だけじゃなくて、ごはんの手配とか、当日のガイドも自分たちでやるんです。食堂を手伝ったり、電話をとったりすることもありますね」

ツアーのすべてにかかわる分、やりがいは大きい。

「行きたい山の新聞の切り抜きを持ってきたり、この山が面白そうって紹介してくれるお客さんもいます。そういう声を聞いて、実際にツアーにすると本当に喜んでくれるんです」

「しかもお友達を連れてきてくれたり、ツアー中にバスで隣になった人と仲良くなって、ほかのツアーで一緒にくるとか。そういうつながりを見ると、やってよかったなって思います」

参加するお客さんのリピーター率は6~7割ほど。お客さんとの関係も深くなっていく。

「本当によく来てくださるので、僕のなかではお友達みたいな感覚ですね。年配の方が多いので、いつもかわいがっていただいて、お土産を持ってきてくださる方も多いです」

スノボや登山はもともと好きだった小池さん。ガイドの資格は持っていなかったので、働き始めてから山岳ガイドの資格、さらにはツアーを企画するために、旅行業の資格も取得した。

新しく入る人も、働き始めてから資格を取得すればいいそう。

「資格は勉強すれば受かりますけど、知識を身につけているだけではだめで。山岳ガイドは命を預かる仕事なので、まずは先輩ガイドについて回りながら、お客さんの気持ちや体調をみながらルートやスピードを決めるやり方を学んでもらいます」

「お客さんに『大丈夫ですか?』と聞いても、だいたい強がって『大丈夫!』って言うんです。でも1時間もしたら、高山病の症状が出てくることもある。そのサインをガイドが見逃したら、それはガイドの責任なんです」

急病への対処法や地図読み、気象の知識から、生えている植物、鳥、岩石や土地の歴史まで、現場では幅広い知識や経験が必要となる。

「本当にいろんな知識とか経験が増えていくので楽しいですよ。『おんたけ子ども村キャンプ』で使う炭をつくるために、1週間かけて炭焼きする仕事もやっていて。それを10年くらい担当していたら、いつの間にか木曽の製炭組合の副会長になっていました(笑)」

休暇村でもう一つの大きな事業となるのが、名古屋市の小中学生をを対象にした「おんたけこども村キャンプ」。今年はコロナ対策もあって、500人程度の参加者に留まったが、例年は1000人以上の子どもたちを受け入れてきた。

参加するこどもたちと、キャンプをサポートするボランティアの大学生が、安心して活動できる環境を整えるのも小池さんの所属する事業課の仕事だ。

小池さんはそれ以外にも、旅行業の資格を活かして同僚からのツアー企画案をブラッシュアップしたり、昆虫や天文ツアーなどで外部講師への依頼や調整をしたり、ツアーの案内書の作成なども行っている。

「山岳ガイドの仕事じゃなくても、プランニングが得意な人もありがたいですね。僕もほかのことをできるようになるし、僕とは違う視点で新鮮な企画が生まれると思うので」

取り組みの幅が広い分、働く人に合わせて得意なことを分担していくことができる環境なのかもしれない。

 

これから得意なことを仕事に活かしていこうとしているのが成田さん。7月に王滝村の地域おこし協力隊として移住した。

現在は地域おこし協力隊の支援団体でもある休暇村管理公社で、まずは観光業の入り口を担う役割として、施設のフロントで働いている。単に予約や宿泊客の受付だけでなく、PRイベントへの参加など、さまざま業務に携わっている。

「身体を動かすことが好きで、休日にはトライアスロンをやっているんです。このあたりは自然が豊かなので、そういうアクティビティに向いていて、協力隊の任期後も王滝村に住むつもりです」

まだ王滝村に来て2カ月ほどだけど、すでに御岳山には2回登っていて、登山にも心惹かれているそう。

「将来は独立するにしても就職するにしても、自然アクティビティにかかわることを仕事にしたいと思っていて。まずは休暇村でいろいろと学んでいければと」

自然豊かな環境に住みたいけれど、自然体験事業に携わるのはハードルが高そうという人は、フロントスタッフとして働いてみるのもいいかもしれない。王滝村の自然や生活に慣れ、登山やキャンプなどに携わりたいと感じたら、事業課への異動も希望できるとのこと。

神戸出身の成田さん、王滝村での暮らしはどうなのだろう。

「買い物するのに片道30~40分はかかるので車がないと不便ですが、周囲が本当に大自然なので、そこはドンピシャですね」

王滝村に入ってからはほとんど山道で、冬には雪も積もる。車はある程度自信をもって運転できたほうが安心とのこと。

「あとは地域柄か、積極的に話しかけてくる人は少ないので、こちらから声をかけることを意識していますね。村の人も話しかけてくれるのを待ってるんだと思います」

「僕もコミュニケーション力はそんなに高くないんですけど、最初の一歩を踏み出すことを頑張れる人であれば大丈夫じゃないかな。もし難しかったら、僕らみたいな協力隊が橋渡しするので安心してほしいです」

続けて、横で聞いていた齋藤さん。

「小池さんや成田さんのような人に来ていただくことで、王滝村の人たちも年々少しずつですけど、社交的になってきているのかなと思います。休暇村もそうやって王滝村の地域活性に携われたらと思っています」

それは事業を通しても言えること。

「この自然を観光に活かせるような余地が王滝村にはまだまだあると思うんです。ダム湖もあるし、自転車の聖地でもあって、御岳山でトレランだってできる。自然が好きな方であればやれることはたくさんあると思います」

幅広く自然が好きな人も、昆虫や薬草のことなら誰にも負けない!という人も、ここでは活躍できる機会がたくさんあるんじゃないかな。

まずはぜひ、御岳山を登りに来てみてください。

(2022/9/2取材 堀上駿)

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