求人 NEW

森、湯、食、本、
そして、おもてなし

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

川沿いを歩き、ベンチに腰掛けてお気に入りの本を読む。聴こえるのは木々の揺れる音と、川の流れる音のみ。

温泉に入ってリラックスしたら、お風呂上がりには野菜をふんだんに使った料理を食べて、また本の世界へ。

温泉と本、食、そして自然。それらが一体となったリトリート施設が、湯河原に誕生しました。

名前は「湯河原惣湯 Books & Retreat」。

湯河原の温泉街の玄関口にある万葉公園を活用し、昨年の8月に全面オープンした日帰り温泉施設です。

温泉がある惣湯テラスの利用料は、食事付き5800円、食事なしは2900円。ちょっと贅沢な、洗練された空間が広がっています。

今回募集するのは、接客や調理補助のスタッフ、マネージャーです。

人を思いやる気持ちがあれば、仲間とともに成長していける環境だと思います。

 

湯河原へは、東京から特急踊り子に乗って1時間弱。

駅前からバスに乗り、湯河原の温泉街の入り口で降りる。するとすぐ左手に見えるのが、湯河原惣湯の玄関テラス。

外のベンチにはぽつぽつと人が座っていて、思い思いに秋晴れの一日を過ごしている。

無料で誰でも入れる玄関テラスでは、コーヒーやサンドイッチなどの軽食を販売。湯河原にゆかりのある人物の本や、子ども向けの絵本が置いてあって、自由に借りて読むことができる。

ここで迎えてくれたのが、湯河原惣湯を運営する湯河原惣研の林さん。

公園の奥にある惣湯テラスへと、川沿いを歩きながら話を聞く。

「湯河原惣湯のオープンに続いて、新しいお店とかグランピング施設とか、まちに新しい動きが出てきていて。いい流れが来ているんじゃないかなと思っています」

湯河原では、従来から外部の専門家を交えたまちづくり活動が行われてきた。

そのなかのひとつが、万葉公園のPark-PFIプロジェクト。

公園の入り口には、コーヒーと軽食が楽しめるコワーキング・カフェ施設「玄関テラス」、公園の奥には、かつての足湯施設を改装した日帰り温泉施設「惣湯テラス」。玄関テラスは、湯河原町の指定管理事業として運営管理している。

日帰り温泉にすることで、地域の温泉旅館とお客を取り合うことなく共存できる。

「この公園は、なにより環境が本当にいい。東京からこの近さでこれだけの自然を体感できるところって、なかなかないと思います」

「この川沿い以外にも、公園の敷地は広がっています。この場所をどう面白く使うか、まだまだやりようはあると思っているんです」

昨年オープンしてからの1年は、内部の体制を整えるので精一杯だった。

今後は湯河原町の人にもっと利用してもらえるように、公園を活用したイベントや、近隣事業者とのコラボレーションの機会を増やしていきたい。

「まだまだ、出来ていないことがたくさんありますが、まずは地域内外の人も含めて実際に足を運んでもらって、期待以上に満足してもらうことが大事。それは簡単なことではなくて、すごく細かくて地味な作業の積み重ねです」

「まずはしっかり接客・清掃ができる人。それなりの価格を設定させて頂いているので、高いホスピタリティが必要で。人を喜ばせることにやりがいを感じる人じゃないと難しいと思うんです。その上で、湯河原惣湯を活かしたまちづくりも一緒に考えてほしい」

接客や掃除、料理の配膳など。“サービス業”と一言でまとめてしまうそのなかには、たくさんの細かな仕事の積み重ねがある。

まずは日々の仕事に向き合いつつ、どうしたら湯河原惣湯がもっと地域に貢献できるのか、アイデアを育て、行動に移していく。そんな意識で入ってこれるといいかもしれない。

 

話しているうちに、公園の奥にある惣湯テラスに到着。

平日にもかかわらず、お客さんの数は多い。

コンクリートの筐体をそのまま活かしたシンプルな内装に、洗練された家具が並ぶ。

お客さんは、ソファでくつろいだり、本を選んだりと、自分だけのゆったりとした時間を過ごしていた。

個室に通してもらって少し待つと、ゼネラルマネージャーの大門さんが来てくれた。

現場で接客や清掃をしながら、事務や全体のマネジメントも担っている方。

「前職は新聞にかかわる仕事をしていたんですけど、マスコミュニケーションの視点からもう少しローカルなところに入って、地域やそこで暮らす人に関わってみたいなっていう思いはずっと持っていて」

「そのときに、ちょうど日本仕事百貨の湯河原惣湯の記事を読んだんです。面白そうだし、住んでいる横浜からも通える範囲だったので、応募して。オープニングスタッフで入らせてもらうことになりました」

サービススタッフとして働きながら、オペレーションの仕組みづくりや改善に取り組み、今は、現場のマネージャーと総務・経営企画を兼ねたゼネラルマネージャーを務める。

「惣湯テラスのスタッフの仕事としては、シェフの調理補助がひとり。残りの4人でフロント業務やダイニングでの配膳をしています。あと大事なのは掃除ですね」

「毎朝8時から館内と外の掃除を手分けしてやっています。ここまで来るのに歩いてもらった川沿いの道も、スタッフが掃除しているんですよ。いまは葉っぱが落ちる時期だから余計大変で…。それで10時のオープンを迎える、という流れです」

接客については、マニュアルはないそう。OJTで学びながら、その人の個性を活かして働いてほしい。

「マナーみたいなことは、あとからでも学んで身につけられると思うんです。それより大事なのは、相手を思いやる気持ち。こちらがどれだけ誠意を持って接しているかって、お客さまには伝わると思っていて」

「あと記憶に残っているのが、ここの設計をした岡が話していた、『コップの置き方ひとつでその場所の空気が変わります』っていう言葉。そういうことに気づくことができる感覚を求められる場所で働くんだな、っていうことをすごく実感したんですよね。この言葉はずっと覚えています」

新しく入る人は、まずは大門さんにいろいろ教えてもらうことになると思う。

大門さんは、惣湯をどんな場所にしていきたいですか?

「心がスッとするというか、背筋が伸びる感じというか。そんな感覚になってもらえたらいいなと思っています。個人的な話なんですけど、ヨーロッパの郊外にある小さい教会で、ひとりで過ごすのが好きなんですよ(笑)」

「そこから出てくると、気持ちがスッと少し変わっていて。そういう感覚をお客さまにも感じていただける場所になれたらいいなって思います」

 

続いて話を聞いたのは、マネージャーを務める松村綾子さん。

年末くらいから産休に入る予定なので、新しく入るマネージャークラスの人は、綾子さんの後を継ぐような形でスタッフを引っ張っていってほしい。

「以前はパティシエやアパレルの世界で長く働いていたんですが、夫がここで働くことになって、施設のことを聞いているうちに、私自身も一緒にやっていきたいなっていう思いが強くなって。働きたいとお願いして入社しました」

入ってみてどうでしたか?

「私が入ったときは『もっとこうしたらいいのに』って思うことがすごく多くて。日々そういうことをディレクターの広瀬に相談しながら、いろいろ改善してきました。まだまだいまも発展途上ですね」

たとえば、どういうことでしょう。

「接客未経験のスタッフも多かったので、まずは接客の基本から伝える必要がありました。たとえば玄関テラスだったら、扉から入ってきたお客さまにすぐに気づくこととか。もっと外に目を向けたほうがいいっていう話は何度かしたことがあります」

惣湯テラスであればお客さまに呼ばれる前にお茶を注ぎにいったり、お客さまの視線から察したり、そういうことが求められる。いち早く察知して行動できるようになったら、接客レベルはぐっと上がる。

「私はきちんと伝えたいので、スタッフにはまずはっきり言うようにしています。1、2回伝えたら、そのあとは自分からやっちゃう。言葉で伝えたあとに行動で示していくと、次は気づいてくれるかもしれないなと思っていて」

「気になるところがあると、どんどん改善していきたくなるんです。同じように、スタッフからも声を上げてもらえたらうれしいですね。今後入っていただく方にも、いまあるものを守るだけではなくて、もっとお客さまに喜んでもらうためにはどうしたらいいのか、積極的に提案してもらえたらいいなと思います」

始まったばかりの組織には脆い部分もあるけれど、ルールが決まりきっていないぶん、失敗を恐れずに試行錯誤していけるのが強みだと思う。

たとえば、今は月に一回、テラスショップという小さいマーケットを開催している。まずはそこから入って、まちの人がより来やすくなるような企画を考えてみるのもいいかもしれない。

 

最後に話を聞いたのは、シェフとして働いている松村康基さん。

鎌倉の野菜レストランなどで働いたのち、ディレクターの広瀬さんからの誘いで湯河原惣湯に来た。

「面白そうだなと思ったんですよね。以前一緒にお仕事をしたことがあるディレクターの広瀬からお誘いをうけて。そのときに料理のイメージがパッと浮かびました」

「料理は月替わりなので、基本的に毎日同じものをつくっています。ただ、月の中でも食材の状態は日々変わるので、素材と向き合い、調理の仕方を工夫するようにしていて。慣れないことが大切です。そうしたなかでお客さまに喜んでもらえるのは本当にうれしい。それに尽きますね」

松村さんのつくる料理は、旬の食材の持ち味を活かした野菜中心の和食。

リトリートというコンセプトに合わせて、身体をリセットできるような、シンプルでしみじみとした美味しさの料理を目指してつくっているそう。

調理補助のスタッフは、松村さんのもとで働くことになるので、料理を勉強したい人にとってはいい経験になると思う。

料理の評判はとても高い。開業1年ちょっとで多くの人がリピートしているのも、料理の力が大きいと林さんも言っていた。

そういえば、ミシュランを取りたいという話も林さんから聞きました。

「ああ、それはスタッフの初めての顔合わせのときに、ちょっと大きな目標を掲げたほうがみんなやる気になるかなと思って言いました(笑)」

「でも実際、料理の質とともに接客のホスピタリティも高めていったら、星をとるのも夢じゃないと思っていて。それくらいの気持ちで取り組んでほしいなと思います」

 

試行錯誤を繰り返し、ようやく一つの形になってきた湯河原惣湯。

心からのおもてなしとおいしい食で、これからも来る人の癒しや幸せをつくっていきたい。その仲間となってくれる人をお待ちしています。

(2022/11/4 取材 稲本琢仙)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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