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浅間山麓の恵みを
旅と暮らしへ
そして次の150年へ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

りんと張り詰めた冬の空気。

吹き抜ける風に、身体をきゅっと引き締める。

冬の澄んだ空を背に浅間山がそびえている。

高原のまち、群馬県・長野原町にある浅間酒造株式会社。山々から流れる柔らかい水と寒冷な気候を活かして、150年以上前から酒造りを行ってきました。

酒造業からはじまり、旅行者向けの観光センターを経営するなど、豊かな自然や、草津温泉や軽井沢に近い立地を活かした、観光業にも事業を広げています。

酒造と観光、2つの軸を持つ浅間酒造は、今転換期をむかえている最中。

外部のクリエイティブパートナーも迎え、浅間酒造のリブランディングと、新規事業となる「山麓マーケット」の立ち上げがはじまっています。

酒造の新たな代表作となる日本酒、浅間山麓ならではの魅力が詰まった独自の商品が酒蔵直売の観光センター内の「山麓マーケット」の売場に並び、地域の素材や人のつながりを活かした商品開発にも力を入れる予定です。

今回は酒造直販の観光センターの売場の一部を改装し新しくできる「山麓マーケット」を含む、観光センターの売場全体を統括するマネージャーと、販売・商品企画担当を募集します。

マネージャーは店舗の運営に加えて、販売・商品企画担当と共に新しい売り場や接客のオペレーションづくり、商品やイベント・プロモーションなどの企画も行います。

どちらも、新しく始まる事業のエンジンとなるような役割。募集する各職種の業務経験や、0から事業をつくり上げた経験があると、より力を発揮できそう。

群馬県と長野県にまたがる浅間山麓には、どんなものがあるんだろう?と地域を深掘りながら、地域の魅力をダイレクトに発信できる、そんな仕事です。

 

からっと晴れた青空のもと、山々をのぞむ国道145号線に車を走らせると、浅間酒造の観光センターが見えてくる。車を利用すれば、軽井沢駅からは50分ほど、草津温泉からは30分たらずで来ることもできる。

大型バスが何台も停まれる広い駐車場と、酒造に隣接する3階建ての大きな建物。

1階には日本酒や酒まんじゅう・どら焼きなどの自家製のお菓子を扱うお土産やさんが。2階には団体のお客さん向けのレストランと、酒粕を練り込んだ生地に地元の野菜を合わせたピッツェリアがある。

入り口を入ると、広い空間に浅間酒造の日本酒やお土産品がずらりと並ぶ。売場の半分ほどを浅間酒造でつくる日本酒が占める、商品の多さに驚いた。

ここで迎えてくれたのは、浅間酒造の5代目、代表取締役兼杜氏の櫻井さん。窓から山々が見える2階のレストランスペースに案内してもらい、早速話を聞く。

「今までは、バスツアーとかの団体のお客さんに向けて商売をしていたんです。大型バスが何台も来て、ここで30分とか休憩をする間にお客さんに買い物をしてもらって、数を売っていくような施設でした」

1872年から、この地で酒造りを行ってきた浅間酒造。食事に合わせやすい軽やかな味わいが特徴のお酒をつくってきた。

その多くは、この観光センターで販売されていたそう。櫻井さんが地元に帰ってきた2004年当時は、販売するお酒全体の7割を占めていた。

「大学を卒業し、山形の酒造での研修を経て、浅間酒造に戻ってきました。当時から団体旅行者の数は徐々に減っていて。旅行者のニーズが、団体から個人に変わってきていたんです。一刻も早く、体制を変えなければとずっと悩んでいました」

この状況に、コロナ禍が追い討ちをかける。

「観光が止まるとお酒も売れないし、つくることもできなくなる」

「バスツアーなら観光の途中で寄ってもらえていました。けれど、個人旅行の方が寄ってくれるかというと、そうではない。近くに道の駅もあるなかで、浅間酒造の在り方ってなんだろうと悶々と考え続けていました」

社外の人の助けも借りながら課題と向き合い続け、掘り起こしたキーワードが、会社があるエリアの「浅間山麓」。浅間山の麓の6市町村と、浅間酒造と関わりが深い草津町を加えた7市町村を「浅間山麓」エリアと捉え、事業を展開していく。

「『浅間山麓の酒造』と呼ばれるのを目指していきたいんです。県境を越え、浅間山を中心とする山麓の水や土、気候だからつくれるもの。もっと言うと、うちだからつくれるもの、届けられるものが必ずあると思うんです」

土地の水や蔵につく無数の菌、自分たちで栽培する米からつくる日本酒もそのひとつ。

「お酒に関して言うと、浅間山麓の風景を感じてもらえるお酒を届けたいと思っています。2011年から会社の近くの休耕田で試験栽培をはじめて、徐々に自社栽培米の割合も増やしていて。自社栽培米と浅間山麓地域の米にこだわって仕込む『山麓の風』という日本酒シリーズもこれから販売していきます」

リブランディングに合わせ、ラインナップを見直した日本酒のシリーズも今年の6月にリリースされる。

「原料のすべてを浅間山麓のものにすることで、この地域のことをより深く表現することができる。『山麓マーケット』の事業でも、取り扱う商品や売場での発信をとおして『浅間山麓』を伝えていける場をつくっていこうと思っています」

たとえば、広大な高原を有する浅間山麓には牧場が多い。その生乳でつくられた濃厚なヨーグルトと、浅間酒造の米焼酎を合わせたお酒は、発売以来の人気商品だそう。

表情豊かな浅間山麓の厳しい自然と歩む生産者は力強く、そこから生まれる商品も個性にあふれている。

新しく入る人には、そんな背景を活かして、浅間山麓ならではのストーリーがある商品を生み出していってほしい。その販売やプロモーションの方法にも、いろんな可能性があると思う。

日本酒や商品が並ぶ売場は、どんな場所になるんでしょう?

「浅間山麓地域7市町村それぞれの商品を紹介する棚があったり、『お酒のある食卓』や発酵食を取り上げたりするスペースもあります」

「コンセプトは、『浅間山麓の恵みを旅と暮らしへ』。浅間山麓の恵みを届けるために、商品を単純に売るのではなく、地域や人、暮らし、そして旅がつながるような体験をしてもらいたくて。偶然に手に取った酒器が気に入って、それをつくる作家さんが近くにいるならば、作家さんのアトリエに見に行ってみたくなるじゃないですか。売場での出会いから、旅の行き先も変えちゃう。そんなふうに、旅の質も上がるような売場づくりをしようと進めています」

売場の改修もこのプロジェクトの大きな要素ではあるけれど、その根幹にあるのは浅間酒造が次の150年をどう進んでいくか。

「150年を機に生まれ変わる瞬間を共に迎えて新しく動き出す。新しく入る人は、ある意味の創業メンバーとして、これからの浅間酒造を一緒になってつくっていきたいんです。もちろん、立ち上げにはすごくエネルギーがいるし、その後何年もかけて売場や商品を育てていく根気も必要になります」

櫻井さんや今いるスタッフ、ときには外部のクリエイティブパートナーにも提案や相談を投げかけながら、売場だけでなく、ブランドも一緒につくっていく。

「日本酒を売るって感覚よりも、日本酒がある暮らしや食文化を広げていく感覚なんだと思います」

「この地域に住んでいて当たり前に感じる風景や、周りの田んぼや畑でつくるもの。それらはすごく魅力的だし、私もまだ知らないことが多い。そんな浅間山麓を一緒に楽しみながら伝えていける人だといいですね」

 

日本酒から日本文化や浅間山麓地域など、興味の幅を広げているのが、酒造事業部課長の塩野谷(しおのや)さん。このプロジェクトを一緒に進めている、チームのムードメーカー的な存在。

「典型的な能天気大学生で、飲み会と言えばとにかく安くて量がある、いわゆる酔うためのお酒ばかりを飲んでいました。その頃は、日本酒を飲んでいなくて」

「そんなとき、落ち着いた雰囲気の居酒屋さんでバイトをはじめたんです。そこが日本酒を多く取り揃えていて。いくつか日本酒を飲んでいくうちに、それぞれ味に個性があって、面白いかも!って思ったんですよね」

日本酒の魅力をもっとみんなに知ってほしいと思い始めたタイミングが、ちょうど就職活動の時期。地元に戻り、縁あって浅間酒造で働きはじめた。

「入社してからは、日本酒だけじゃなく、広く食も含めた日本の文化に興味を持つようになりました。温泉や和食など、この地域の歴史も知っていくと面白くて」

「最近考えているのは、和食に合うワインやビールとかが出てきたなかで、日本酒が選ばれるためには何が必要なのかってこと。答えが出ているわけではないんですけどね。でも、つくり手の日本酒に対する愛って、ものすごいものがあると思うんです。ここまでこだわり抜いてつくったものは、日本の文化として誇れると思います」

塩野谷さんにとって、今の仕事のモチベーションはなんでしょう。

「僕は、やっぱり日本酒を飲む人がもっともっと増えてほしい、日本酒の魅力を知ってほしいっていう想いですかね」

「日本酒がある暮らしを広めるっていうのは、今までは売るところまでしか考えてこなかったところを、どんなシーンで、どんな人が、どこで飲むかっていうことまで考えることだと思っていて。シーンから日本酒の酒質を考え直したり、どこで飲んだら最高!とかね。日本酒の可能性を広げていける気がして楽しいです」

新しく入る人には、製造の現場を見て酒造りのことを学ぶ研修もおこなう予定。日本酒の知識がなくても、日本酒好きが集まるこの場所なら、楽しく知識と経験を深めていくことができそう。

これからこの地域に住む人なら、車や住まいなどの相談にも乗るよ、と塩野谷さん。長く住んでいるスタッフが多いから、暮らしの部分でもいろんなアドバイスももらえそう。

「会社のキーワードになってくる『浅間山麓』は、このまちの人のアイデンティティのように感じています。隣町出身で浅間山が見えない場所からきた僕からすると、浅間山って活火山で危険な山って印象があったんです。けれど、この辺りに住んでいる人たちは、みんな山に対してプライドのようなものがある」

「今回のプロジェクトで、浅間山麓地域の横のつながりも増やしていきたいなと考えています。浅間酒造だけじゃなく浅間山麓にあるまちや会社、住人が連携して魅力を発信する。それができたらいいですよね」

今は櫻井さん、塩野谷さんを含めた5人のコアメンバーでプロジェクトを進めている。周りのスタッフも巻き込みながら、会社を新しい動きに持っていくには、新たな仲間がほしい。

「山麓マーケットを大きく育てることで、浅間山麓全体の魅力を高めることにつながると考えています。地方が持つ魅力を、企業単位ではなく地域単位のコミュニティでつくっていけるようなプラットホームにしていきたい。そんなことを考えると、すごくワクワクしますね」

最後に、塩野谷さんはどんな人と働きたいですか?

「意見や提案をどんどん出してくれる人だといいですね。何か取り組んできたことがあればぜひ教えてほしい。お互いに学びながら、前向きにやっていけるといいな」

 

これまで積み重ねてきたことの根っこを見つめ直し、そこに立ち返ってまた新しく積み上げていく。

浅間酒造が始める、次の150年のスタートを一緒に走り始めてくれる仲間を待っています。

(2023/1/11 取材 荻谷有花)

※撮影時はマスクを外していただきました。

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