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生きたいまちを共に創る
ムーブメントがはじまる場所

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「一部のカリスマ人材によるイノベーションだけではなくて、生活している感覚から地域、暮らし、そして社会を変えていく。そんなムーブメントをこの場所から広げていきたいんです」

長野県塩尻市にあるシビック・イノベーション拠点「スナバ」

ここではコワーキングスペースとしての機能を持つ場を開きながら、アイデアや事業を進めていくための伴走支援を行っています。

運営をはじめて5年を迎える今、自分の手で自分が生きたいまちや暮らしをつくっていく“シビック・イノベーター”を増やすべく、ビジョンをリニューアル。

スナバを中心に、より多くの活動が起きるよう、シビック・イノベーターたちに伴走していく運営スタッフを募集します。

施設を気持ちよく保つ地道なことから、話を聞いて協力してくれそうな人材とつないだり、事業を進めていくために重要となる思考法や手法についてのセミナーを企画したり。目の前にいる人が実現したいことを、おせっかいなくらい一緒に考え、支えることで、必要な環境をつくっていくのが仕事です。

中心メンバーの1人としてともに走っていく人を探していますが、週の半分ほど働くシフトを想定しているので、自分自身でもなにかやっている人、地域をフィールドにこれから挑戦したいことがある人も働きやすいはず。

スナバ、そして塩尻で生まれつつある生態系を楽しみ、温めていくような役割になると思います。



長野県塩尻市へは、新宿駅から特急あずさで約2時間半。

駅を降りると、どの方向を向いても、まちの向こうに山が見えて清々しい。

5分ほど歩いてスナバに到着。

ソファーでおしゃべりをしている人、カウンターでコーヒーを淹れる人、画面と向き合ってミーティングをしている人など、さまざまな人が空間をともにしているのが目に入ってくる。

手前のテーブルで出迎えてくれたのは、運営スタッフの岩佐さん。

穏やかな印象の岩佐さんは、横浜と長野の2拠点生活を経て、3年前に塩尻に移住。

スナバの運営に携わりながら、自分の事業として自転車を使ったツアーの企画やアーティスト・イン・レジデンスの運営などを行っている。

「2018年の立ち上げ当初の利用者は20名でしたが、今は10代の高校生から定年退職後のチャレンジをしている70代まで、100人ほどのメンバーがいます。これから事業をはじめようという人も、すでに多くの事業を進めている人も。やりたいことのある人たちを理解して、とことん伴走していくのがここでの仕事ですね」

塩尻市が立ち上げたスナバでは、気持ちよく働けるコワーキングの場を用意するとともに、さまざまな事業者をサポートするためのプログラムを実施。

事業をつくっていくのに必要な思考をインプットするアクセラレータプログラム、事業発表の場や人とつながる機会をつくりながら、このまちで事業をつくっていく人を全力で応援し続けてきた。

「これまでは主に施設やコミュニティをどう運営するか、体制を固めてきた時期でした。5年が経とうとしている今、あらためて自分たちの存在意義を考え直そうとしていて。ここ1年かけて、そもそもシビック・イノベーションってなんだっけ?ってところから言語化しなおしてきたんです」

みんなが納得するまで話し合うのがスナバ流。スタッフ全員で膝を突き合わせ、ときには利用しているメンバーにも意見を聞きながら。

たっぷりと時間をかけて考えたビジョンは「生きたいまちを共に創る」という言葉。

「ここを利用している人は、地域の課題や生活のなかの違和感や欲求から事業を起こして、継続しようとしている。そんな事業がうまく回っていけば、このまちはもっと住みやすくなっていくと思うんです。自分で事業をつくるって、結局はみんなが生きたくなるようなまちを一緒につくるっていうことなんですよね」

自分の手で、自分が生きる社会をつくる人が集まるまち。

前向きなこの空気感は、なぜ塩尻で生まれてきたんだろう。

そんな疑問に答えてくれたのは、スナバの立ち上げから関わり続けている運営スタッフであり、塩尻市役所の職員でもある三枝さん。

「塩尻の人口は約66,000人です。人もお金も減っていくなかで、行政ができることは少なくなっていくんですよね」

「そのためには誰かが課題解決してくれるのを待つのではなく、当事者意識を持ってアクションする人をまちのなかで増やすことが、この地域がちゃんと続いていくために、圧倒的に必要なことだと思うんです」

現役の高校生がビジネスをはじめたり、主婦として生活していた人が融資を受けて会社を立ち上げたり。スナバを拠点に活動しはじめた人のなかには、「ここに関わるまで、事業をやろうなんて思ってもみなかった」と言う人が少なくない。

それぞれが最初から大きな野望を掲げてスタートしているというよりも、自分の身の回りのことをよりよくするために踏み出した1歩が、事業をつくることにつながっている。

「変えたいとかやってみたいとか、まずは声に出してみる。応援してもらいながら形にしてみる。自分が生きたい社会を自分の手でつくる人が増えると、地域の多様性、寛容性が上がっていく。そうすると、いろんな人が住みやすい地域になっていくと考えているんです」

「関わる人が増えてきて、だんだんおもしろくなってきました。仕事だけじゃなくて、地域の集まりでも一緒になるとか、幼稚園の行事で会うとか。共に生きるって、そういうことなんでしょうね。スナバの周りに、いい生態系みたいなものができつつあるんです」

  

次に話を聞かせてくれたのは、スナバを利用するメンバーで、クリエイティブディレクターのゴレイコさん。三枝さんとは、お子さんが通う保育園が一緒なんだそう。

「塩尻には旦那さんの祖父母の家があって、2年前に東京から移住してきました。長野の友だちが、塩尻ならスナバに行ってみれば?って紹介してくれて、ここに顔を出してみたんです。使っているうちにつながりができて、いろんな人に出会える場所になりました」

デザイン分野のディレクターとして、さまざまな制作物をつくったり、ブランディングやコンセプトづくりに関わったり。

最近は少しずつ、長野や塩尻での仕事も増えているそう。

「ディレクターって、なにをする人か、なかなかわかってもらえないんです。だけど最近は、ディレクションありきの仕事をもらえることが多くなっていて。それって、ここで出会った人やスナバのスタッフが私の仕事を理解してくれて、それを必要としている人とつなげてくれているからなんですよね」

ゴレイコさんは1年ほど前、スナバで開催しているメンバー紹介イベントに登壇。

仕事や関心事について話す場で、育児と公共の場のデザインをテーマに、自分が考えていることを話してみたんだそう。

「私自身、育児中に行ける場所がすごく限られてしまって。支援センターみたいな場所も使わせてもらっていますが、子どもも親も、もっと楽しめるような場所ができないかってずっと思っていたんです。だけど、東京ではなかなかアクションを起こすことができずにいて」

「スナバのスタッフにこの話をしたら、自分の考えが整理されて、すごくやりたいんだってあらためて気がついたんですよね。気が合いそうな人を紹介してもらったり、できることからやってみませんかって背中を押してくれて。イベントで意見を発することで、思っていた以上に共感や反応が返ってきてびっくりしました」

その後、考えに共感してくれた仲間たちと一緒に、育児を楽しむまちをつくろうと、まちと育児をつなげる市民活動「ソトイク・プロジェクト」というプロジェクトを始動。

さらに、塩尻にあたらしくできる公共施設の授乳室のデザインに関わる仕事も舞い込んできた。

「地域のなかで自分の仕事が増えたり、関わる人が増えたりするほど、気が引き締まるというか。楽しいだけでは語れない感じがあります。もちろんどんな仕事でも命を削るくらいにがんばるんですが、さらに覚悟をしていかないとなっていう感じがありますね」

スナバをきっかけに、さまざまなことが動き出しているゴレイコさんは、慌ただしそうでもあり、とても楽しそう。



もう1人、スナバのメンバーとして紹介してもらったのが、東京から3年前に移住してきた日吉さん。

「コロナをきっかけに、友人がいた塩尻に来ました。それまで山手線の外に住むことはないと思ってたんですけど、もう東京には戻れなくなりましたね。空気が澄んでいて、息をするだけで気持ちがいい。ハワイに行かなくてもこんなところがあったんだって、もう大好きになっちゃって」

コンピューターのグラフィック事業やリノベーション事業など、いくつかの会社を経営してきた日吉さん。

塩尻でも一部の仕事を続けながら、あいた時間で田んぼの手伝いに行ったことが、新たな事業をはじめるきっかけになった。

「話を聞いていると、除草剤は使いたくないから人力で草が生えないようにしてるとか、農家さんってけっこう根性論でがんばってるんですよ。そんな修行みたいなことをしなくても済む製品はできないのかって、友だちと自動除草ロボットをつくってみたら、割と反響があったんです」

移住も起業も、身軽に行動していくのが印象的。

スナバに来たのも、ここに関わると友だちが増えるかな、というくらいの感覚だった。

「東京ではいかに儲けるかってことを中心に会社をやっていました。スナバで開催していたアクセラレータプログラムの説明会に参加してみたら、地域課題を解決しようとか、いわゆるソーシャル的な視点で事業をつくる話をしていて。なんだか楽しそうだから、試してみようと思ったんです」

アクセラレータプログラムの参加を経て、あらたに農家の高齢化や耕作放棄地といった農業の課題を解決するための事業をはじめた日吉さん。

今でも打ち合わせや情報収集の場として、スナバを活用している。

「市内の投資家と事業をマッチングするイベントがあったり、特許庁のプログラムを紹介してもらったり。ここのスタッフに声をかけると、困ったら誰に相談すればいいのか紹介してくれるんです。事業を進めていくために、すごくいいハブになってもらってます」

「農家さんを紹介してもらったこともありました。このあいだは無農薬の大豆から豆腐をつくるイベントをやったんですけどね。できたての豆腐がすごくおいしいって知ってます?お金じゃ買えない豊かさがあるなんて、東京にいたときは思いもしませんでした」

自分がやりたいことにまっすぐ取り組む人たちが増えると、まちがおもしろくなっていく。

シビック・イノベーターを支え、一緒に走っていく、地道で刺激的な仕事だと思います。

最後に、三枝さんからのメッセージをご紹介します。

「大切なのは、僕らやこの場所とフィーリングが合うかどうかだと思うんです。迷ったら、まずは会いに来てください。スナバのこと、塩尻のこと、いくらでも紹介しますから」

(2023/3/27 取材 中嶋希実)

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