求人 NEW

砂場で遊ぶように
共有して、壊して
変わり続けるコミュニティ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

変わることは怖い。

でも、生きることは変化すること。同じ状態で居続けることはできないのだから、よりよく変わっていく方法を考えて、実践していくことが大事なのかもしれません。

何かはじめたい、変わりたい。そう思う人のためのコミュニティが、長野・塩尻にあるシビック・イノベーション拠点「スナバ」です。

スナバは、働く場を共有するコワーキング、伴走型のプログラムを通じて事業を加速させるアクセラレーター、仮説検証や実験的な取り組みをはじめるためのリビングラボという3本軸で運営されています。

メンバーはおよそ60名。エンジニアやデザイナー、地場産業の経営者や行政職員、最近では中高生や小学生まで出入りするコミュニティになっていて、平日は席の空きがないほど賑わうそうです。

いろんな人たちが出会うことで、マルシェが開かれたり、まちなかにアートが展示されたり、商店街の空き店舗が活用されたり。ここから生まれたアイデアは、プロジェクトや事業といった形で、まちの景色を少しずつ変えています。

今回は、この場所の持続可能な運営体制を一緒につくっていく人を募集します。地域おこし協力隊として3年間活動したのち、そのままスタッフとして雇用できる体制を整えていく予定。

目に映るまちのこと、ともに過ごす人たちのこと。一つひとつ、自分ごとが増えていくような仕事だと思います。

(取材はオンラインで行いました。写真は提供いただいたものを使用しています)

 

塩尻駅から歩いて5分ほどにあるスナバ。

そのオープニングスタッフ募集のために取材したのは、今から3年前のこと。

当時は影も形もなかった場所にたくさんの人たちが集まり、いろんな事業やプロジェクトが生まれている。そのことがなんだか感慨深いし、不思議な気持ちにもなる。

まず話を聞いたのは、立ち上げから関わってきた塩尻市役所の三枝さん。

「最初はどんな人が来てくれるかわからないまま、ひたすらイベントを開いたり、人を呼んだりして。手探りでしたね。そこから少しずつ関わる人が増えて、運営チームも、利用するメンバーも、いろんな色を持った人が集まってきて。スナバ的な文化が手触り感を持ってきているように感じます」

スナバ的な文化、ですか。

「失敗を恐れずにチャレンジするとか、自分のやりたいことや価値観をほかの人とシェアしながら、一緒に形にしていくこととか。そういう要素は、スナバらしさなのかなと」

そんな文化を生み出すきっかけとなっているのが、アクセラレーター・プログラム。

何かはじめたいという人に対して、なぜそれをやりたいのか、誰にとっての、どんな価値につながるのかなど、4ヶ月にわたる伴走を通じて一緒に事業やプロジェクトを加速させていく取り組みだ。

たとえば、スナバの初期からのメンバーで、看板や表札のデザインをしている吉江さんという方がいる。三枝さんたちスタッフと壁打ちを重ね、プログラムの卒業後も事業を磨いていくなかで、見えてきたのは“自分のお店を持ちたい”という想いだった。

そこで、塩尻駅前の大門商店街に空き家があることを思い出した三枝さん。オーナーさんにつなぎつつ、ほかのスタッフと一緒に場所の使い方まで考えるように。そして「一人だけで運営せずに、地域に開いていろんな人が使えるスペースにしたらどうか」ということになった。

今では、コーヒー好きな男子が週末に出店したり、地元のお母さんがベーグルやシフォンケーキを販売したり、マルシェの会場になったりと、このスペースそのものが “やりたい”を形にできる場所になりつつあるという。

また、地域の高校生を対象にした「エヌイチ道場」という企画もスタート。

エヌイチというのは、ビジネス用語で使われるN=1のこと。本当に喜ばせたい1人のことを思い、事業やサービスを形にする。その過程に、スナバ運営チームは伴走していく。

このあたりの地域には大学が少なく、高校卒業と同時に地元を離れる人も多いという。それは避けられないことだとしても、小さな起業を通じて地域と向き合う原体験をつくることが大切だと三枝さんたちは考えている。

昨年の12月からはじまったプログラムには、市内外から7名の高校生が参加。地域の未利用資源の利活用や、エシカル消費の促進、若年層と伝統的な街並みや工芸との接点づくりなど、それぞれのN=1を軸に事業プランを描いてきた。

毎年春と秋に開催されてきた漆器祭がコロナ禍で中止になろうかというときには、プロデューサーや現地レポーター、ライブ配信など、スナバのメンバーがそれぞれの得意を持ち寄ることでオンライン開催を実現。

ほかにも、ANAホールディングス株式会社との共同プロジェクトでは、アーティストインレジデンスを企画したり、中部電力株式会社の先端技術応用研究所の社員を対象に、地域課題を探り、その解決を目指す新規事業立ち上げの伴走プログラムを実施したり。

コミュニティの成長にともなって、まちやスナバという空間の内外を横断するような取り組みも増えてきた。

「固定化された仕事ではなくて、流動的に関われるようなプロジェクトが次々に生まれていくところが、スナバのおもしろさかなと思います。挑戦する人の姿がコミュニティ内で常に見えていて、誰にも参加の余地がある。だから周りの人も挑戦しやすいし、失敗しても支え合える」

たしかに、一歩踏み出すためのハードルとして、似た境遇の仲間がいるかどうかは大きい気がします。会社に勤めながらとか、一人じゃなく複数人のチームでとか、ゆるやかに“新しいこと”を起こす人が身近にいると勇気をもらえるし、相談もしやすくなりそうです。

「スナバに行けば何かはじまるんじゃないかっていう流れができていて。こういう文化がじわじわと広がっていけば、塩尻はもっとよくなるし、地域の課題がいろんな人の手によって解消されていく未来も見えてくるんじゃないかと思うんです」

 

そんなスナバの運営チームは、具体的にどういう働きをしているのか。

三枝さんとともに立ち上げから関わってきたスタッフの岩井さんにも話を聞いた。

今までのお話だと、まず大事なのはメンバーさんとのコミュニケーションなのかな、と感じました。話し相手になって、とにかく問いを返し続けるというか。

「スキルや肩書き以前に、その人らしさを見るチームだと思います。あなたは何者で、何をしたいのか、よく問う。最初はみんな反応に困っていたけれど、ここ1年ぐらいはメンバー間でも、そういうやりとりが生まれるようになってきたかなと」

運営チーム内でも、定期的に合宿を開いては“なぜここにいて、何がしたい?”と話すそう。それぞれの根っこを、互いに確認しながら進んでいく強さがある。

ただ、メンバー同士の自主的な動きが増えるのはうれしい反面、運営チームの“仕事”ってどんどんなくなりませんか?

「わたしは、メンバーさんの成長を支援するっておこがましい話だと思っていて」

成長支援は、おこがましい。

「この前、自然農法をやっている方と話したんです。『畑や農作物は、自分で新陳代謝をする。農家が手を加えるのは日光や水が足りないときだけで、あとは植物や虫がやってくれる』と言っていたのが印象的で」

「コミュニティも一緒で、一人ひとりに自己更新する力がある。わたしたちはそれを信じながら、適度な距離感で水を足したり、エネルギーや空気を入れ換えたりし続けることで、コミュニティが停滞しないようにする役割なんですよね」

それはたとえば、イベントや勉強会を企画することかもしれないし、動線を考えて家具の配置を変えたり、バックオフィスの仕組みを整えたりといった地道なことかもしれない。求められる役割はその都度変わっていく。

共通するものものがあるとすれば、それは受け取る力だと思う。気づきやきっかけを与えなきゃ、と肩肘をはるのではなくて、目の前の人は今何を求めていて、本当にやりたいことは何か。知ることからはじまる。

とても順調に進んできているように見えるスナバだけど、課題もあるという。

「今後を考えるうえで、どうしても切り離せないのが経営のことです。この3年間は、塩尻市からの拠出もあって運営してきました。これからは、経営的にもコミュニティ的にも、自立自走できる持続可能な状態をつくっていかなきゃいけない」

よいコミュニティも、実績も生まれはじめている。あとはこの場所を、いかに残していけるか。

起業や経営に携わってきた人なら、その視点を活かせると思う。

「スナバがこのまちに起こしているインパクトを鑑みつつ、中長期的なビジョンを描きながら、事業やプログラムの実施など実務面でも一緒に走っていける人に来てもらいたいですね」

 

最後に話を聞いたのは、昨年の7月からここで働いている岩佐さん。

以前は長野・蓼科の宿泊施設HYTTERに勤め、横浜との二拠点で生活していたそう。これからの働き方を考えて、長野でコミュニティに関わる仕事がしたいと思っていたところ、日本仕事百貨でスナバのスタッフ募集記事を見つけた。

「スナバって暑苦しいんですよ、スタッフが(笑)。ぼくは最初、スタッフ7人全員に面談されたんです。朝から夕方までかかって」

大変だ(笑)。

「ぼくに何ができるかではなくて、スタッフたちがぼくと働きたいかどうか。たっぷり話しました。そういう暑苦しさがメンバーさんにも伝わって、信頼関係につながっていくのかなと」

見学に来たら6時間話し込んでいた人、キャベツの収穫に連れていかれた人もいるらしい。いわゆる「営業」ではなく、スナバの人と関わるなかで、いつしかメンバーになっている人が多いそう。

運営チームにも多様性が必要だし、いろんな人がいていいのだけど、やっぱりベースには他者への強い関心がなければ続かない仕事のように感じる。noteやSNSにも、スタッフのみなさんがスナバへの想いをたくさん綴っているので、それらを読んでどう感じるかも大事かもしれない。

現在は地域おこし協力隊としてここの運営に携わりつつ、電動自転車を使った地域のガイドツアーなど、人と地域を結ぶ取り組みをはじめている岩佐さん。

自身が中心となって進めたアーティストインレジデンスの取り組みが印象に残っているという。

「ずっと住んでいると当たり前の風景も、アーティストの目を通して再評価されるというか。それは地域の人にとってもうれしいことだし、それまでスナバに来るきっかけがなかった人たちもやってきて、交流が生まれて。自分自身も、地域と関わるいい機会になりました」

新しいお店ができたり、アート作品が展示されたり、そこを目がけてくる人の流れがあったり。スナバがなければなかったはずの風景がまちに生まれているのは、あらためてすごいことだなと思う。

運営チームが目指すのは、そのさらに先。スナバ内で醸成されてきた文化がまちに根付き、残っていくように、長い目で見て取り組んでいきたい。

スナバの第二フェーズをともにつくり上げていく人の募集です。前後の予定を空けて、まずはみなさんとじっくり話してみてください。

(2021/2/25 オンライン取材 中川晃輔)

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