求人 NEW

チャレンジする実践者と
ともに走り続ける
シビックイノベーション拠点

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ここに行けば、一歩前に進める。

何かを始めようとしている人、悩みを一緒に考えてくれる仲間がいる。

今、長野県塩尻市の「スナバ」は、想いをもった当事者が集い、切磋琢磨する面白い場所になりつつあります。

スナバは、2018年8月に塩尻市がオープンした「シビック・イノベーション拠点」。コワーキング・アクセラレーター・リビングラボという3つの機能をもち、起業家精神を育てるコミュニティスペースでもあります。

地域課題や社会課題を解決したい。何か新しいことを始めたい。そう思う人は誰でも起業家であるという考えのもと、運営チームを中心に伴走し、起業をサポートしています。

今回は、地域おこし協力隊としてスナバの運営チームに加わる人を募集します。



新宿駅から特急あずさに乗っておよそ2時間半。乗り換えが必要ないので、塩尻は思っていたよりも近くに感じる。

駅を出て歩くこと数分で、目を引く建物があらわれた。ここがスナバだ。

中に入ると、スタッフのみなさんがこちらに気づいて挨拶してくれた。

ソファやテーブルで緩やかに仕切られたフロアには、集中してパソコンに向かう人や、スクリーンを使って打ち合わせをするグループ、キッチンでコーヒーを淹れている人もいる。

それぞれがほどよい距離感で過ごしている、居心地のいい空間。

中を見て回っていると、三枝(さいぐさ)さんが声をかけてくれた。

塩尻市役所の職員で、スナバの立ち上げから関わってきた方。現在も運営スタッフとしてここに常駐している。

コーヒーを飲みながら、まずはこの場所について教えてもらう。

「もともと塩尻市では、4年前から『MICHIKARA』という官民協働プログラムに取り組んでいて。市の抱えている課題を、首都圏の民間企業で働く社員と一緒に解決しようというものです」

参加者はチームを組み、2泊3日のフィールドワークを経て、市長に向けて事業プランを発表。

子育て世代の復職・両立支援や、空き家対策など、実際に予算がついて動き出すプロジェクトもあった。

「それなりの成果は残せたけど、年に1回のイベントでしかないし、市役所の課題しか持ち寄れない。街で実際に生活する人が抱いている課題かというと、またちょっと違うんですよね」

「これからは、事業課題に取り組む人や、地域課題にアクションしたい人が主役になる。そこで、彼らを応援したり、みんなで解決したりできるような拠点の構想がはじまったんです」

はじめて出会う子ども同士が、一緒になって城や山をつくったり、壊したり。そんなふうにトライアンドエラーを繰り返しながら、新しい事業をつくっていける砂場のような場所を目指して。

2018年8月、スナバは“シビック・イノベーション拠点”という肩書きを掲げてオープンした。

「社会課題や地域課題を本気で解決したいっていう人に対して、持続可能な事業づくりのために必要なリソースを提供したり、コミュニケーションのきっかけをつくったり。そうやって、彼らが一歩でも前に進むサポートをするのがぼくらの役割です」

伴走のしかたは、スタッフによってそれぞれ。高校生から定年退職した方まで、多様な50名のメンバーを支えている。

「絶対に事業がうまくいく方法なんて、誰もわからないじゃないですか。だから運営スタッフも、メンバーと同じ山頂を見ながら『この道から登ったら?』とか、『こんな道具があるよ』とか。それぞれの経験や知識を生かしてアプローチしていくしかないんですよね」

「起業って、一人きりではとても苦しい。その人のやりたいことや特性をきちんと理解して、とことん伴走してくれる存在が必要なんです。スナバは、その必要性に常に応えられる環境でありたい」



現在スナバは、市役所の職員3人と、地域おこし協力隊2人、業務委託2人、会員メンバー兼スタッフであるレジデンスメンバー2人で運営している。

そのうちのひとり、地域おこし協力隊の田中さんにも話を聞いた。

20年近く、プロモーションや広告、デザインの分野で活躍している田中さん。

「スタッフによって伴走の仕方は全然違うんですけど、自分なんかはグイグイ自分ごととしてやっちゃいますね。ずっと個人事業主として動いている強みを生かして、メンバーさんの事業計画を手伝ったり、スナバのリソースを活用しながら仕事をつくったりしています」

今まさにスナバのメンバーと動いているのが、HYAKUSHOプロジェクト。

ブランディングや消費者とコミュニケーションを交わせる場づくり、ECサイトの企画など、クリエイターのスキルを生かして農業法人や農家さんの課題を解決していこうというものだ。

立ち上げのきっかけは、もともと農家の財務コンサルタントをしていたメンバーとの会話だった。

「農家さんがちゃんと稼げる仕組みをつくっていきたいよねって話していたら、同じくメンバーの大手電力会社の社員さんも反応してくれて。いま、一緒に事業化しようぜって動いているところです」

「移住してきた身なので、新しい土地で新たなキャリアを築いていかないといけないし、それがスナバの事例になればなお良しだなと。だから、僕は運営スタッフなんですけど、ある意味スナバを使い倒すメンバーの一員でもありますね」

今回募集する人も、田中さんと同じ地域おこし協力隊。

スナバでの勤務時間数は、週に19時間。2〜3日は運営スタッフとして出勤して、残りの時間は自分自身の活動に充てることができる。

「協力隊は最長3年というリミットのなかで、今後自分が飯を食っていけるだけの仕事や人脈をつくらないといけない。だからスナバのリソースをうまく活用して、自分にも還元できる人であればすごく有利だと思います」

「ここってすごくチャンスがある場所で。行政の人もいるし、モチベーションの高い起業家や面白い人材もいる。『MICHIKARA』の縁もあって首都圏の大手企業ともつながっているし、国とか市町村の視察もあります。そういう環境で自分の成長イメージをもてる人にとっては、面白い環境なんじゃないかな」



個々のメンバーと事業を切り拓いていくスタイルの田中さんに対して、「私はコミュニティ全体を見て動くことが多いかな」と話すのは、同じく運営チームの草野さん。

以前は大阪で飲食業やコワーキングスペースの運営に携わっていた草野さん。そのときから、地元という縁もあってスナバには何度か顔を出していたそう。

「スナバは敷居が高すぎず、新しい人もすんなり受け入れてくれる印象でした。それに、都市部だと別々のコミュニティに属しているような人たちが集まっていて。まさか塩尻にこんな多様性があるなんて、ってびっくりしたんです」

「塩尻やスナバに出入りするなかで、私そのものの強みを引き出してくれる場所だと感じて。ずっと大阪でやっていこうと思っていたんですけど、今私に必要な土地なんじゃないかとピンときて、拠点を移すことにしました」

そうして昨年5月、メンバーとしてスナバにやってきた草野さん。12月からは運営チームに加わることになった。

今は、メンバーの相談相手になったり、コミュニケーションが円滑になるように定期的に模様替えをしたり、コミュニティの潤滑油のような役割を担っている。

ただ、最近までは「結構辛かった」と話す草野さん。

「何がメンバーさんの支援につながるのかわからなくて、手探り状態。『私って耳障りのいいことだけ言って、結局何の解決にもなってないじゃない』と思うこともよくあって」

「誰かに指示されることはなくて、メンバーさんにとっていいと思うことを自分なりにやって、フィードバックをもらうしかない。それは楽しくもあり、過酷だなと思います。だから私はよくチームに相談していますね」

スナバでは週に一度会議をひらいている。普段はシフト制で勤務時間がずれることも多いため、会議はチームが揃う貴重な時間。

メンバーについて共有するだけでなく、スタッフ自身が心境を打ち明けたり、互いに相談したりする場にもなっているそう。

「なんでもオープンに話すんですよ。スナバの経営ミーティングも、そこらへんでするの(笑)。最初はドキドキして苦手だったんですけど、隠しごとが何もないっていい文化だなと思って」

さらに半年に一度はチーム合宿を行い、スナバの経営課題や目指すべきビジョンなどについて、じっくり話し合う。今後はスナバ自体の収益性も高めて、自走していくモデルをつくろうと話しているそう。

「みんなカラーがバラバラなのにバランスが取れている不思議なチームなんです。それはきっと、社会や地域が良くなるといいよね、そのために頑張る人を応援したいよねって感覚が揃っているからだと思います」



最後に、実際にスナバを活用しているメンバーの一人として、吉江さんを紹介してもらった。

市内で表札と看板屋を営む吉江さん。スナバがオープンしたのは、独立して1年後のことだった。

「事業をしていると、困ったときに話を聞いてもらったり、相談できたりする場があまりないんです。人とのつながりを求めていたのもあって、メンバーになりました」

なかでも力になったと話すのは、「スナバ・ビジネスモデル・ブートキャンプ」という4ヶ月間の起業家支援プログラム。

事業への想いを整理したり、ターゲットへのインタビューを通して需要を測ったり。参加者や運営チームと一緒に、ビジネスモデルの確立に向けて実践を重ねるというものだ。

「今後自分は事業をどうしていきたいのか、無我夢中になりながら考えて、手を動かす。チームの皆さんも、言葉足らずな僕の話をしっかり理解して、フィードバックをくれました。最後は大勢の前で発表するんですけど、それも初めての経験でしたね」

「ここまでやり遂げたなんて、俺やるじゃん!って。自信をもらえたのが、いちばん大きかったです」

ブートキャンプ後も、運営チームに定期的に壁打ち相手になってもらっているそう。

「この間も『市内に気になる物件があるから、そこを事務所にしたい』って話を三枝さんにして。そしたら『その物件に関わっている人と知り合いだから、紹介しようか』って言ってくれて。ダイレクトに繋がることができたんです」

「助かりますよね。ここに来たらコトが進むから、とりあえず行ってみようって思える。僕みたいな事業をやる人間にとって、信頼できる場所になっていると思います」



塩尻という街や、社会そのものがよくなることを目指して、チャレンジする人たちとともに走り続ける。そんな心強いチームの皆さんがいるからこそ、ここにはさまざまな人が集まってくるのだと思います。

新たな運営チームの一員として。ともに伴走する人を待っています。

(2020/03/10 取材 遠藤真利奈)

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