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すべては出会いから
新しい人、新しい視点が
「やってみたい」を灯す

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いつか、自分の仕事をはじめたい。まずは移住して、何をするかはあとから探したい。生まれ育ったまちの人と、何かをつくっていけたら。

創業にはいろいろな形がありますが、きっかけは仕事をつくる人たちを身近に感じることだと思いました。

まさにBONCHIは、そんな場所。

「どこでどう創業につながるかはほんとうにわからなくて。人と接点が生まれるなかで、気づいたら一歩踏み出してる。そんな環境をつくりたいんです」

一般社団法人TOMOSU・代表の中島章(あきら)さんの言葉です。

2020年から奈良市にある創業支援施設「BONCHI」を運営しています。

行政とともに移住を考える人向けのプロジェクトを運営したり、奈良ではなかなか出会えないゲストを招いてトークライブを企画したり、ベビーカーでも気軽に立ち寄りたくなる絵本のイベントを催したり。

人との出会いや、本やモノに触れることから新しい気づきが生まれて、一人ひとりが動き出す。

アシスタントプロジェクトマネージャーとして、TOMOSUの企画運営に取り組む仲間を募集します。

社会人経験は必要ですが、専門性は問いません。ぜひ、チャレンジしてみてください。

 

近鉄奈良駅からBONCHIに向かっていると、もちいどのセンター街の入り口でばったり中島さんと出会った。

一緒にBONCHIへ歩き出すと、つぎつぎ知り合いから声をかけられる。

すっかりこのまちの人という印象。

「いやー、33歳で帰ってくるまでは、全然奈良の人を知らなかったんですよ」

そんな中島さんが、どうしてTOMOSUをはじめたのか。これまでの話を聞いてみる。

京都の大学を卒業後、東京で就職した中島さん。人材サービス会社とコンサルティング会社で計10年間ほど勤めた。

「就職して3年目には、奈良で暮らしたいと思いはじめて。でも、仕事を考えると踏み出せなくて。転職先の選択肢はぐんと限られるし、手に職のない自分に創業はムリだろうし」

何をやろう、何で食っていこう?

長いトンネルから抜け出すきっかけは、人との出会いだった。

2015年に、奈良市の創業プログラムに参加する。

「デザイン、建築、まちづくり、教育と、分野を横断して仕事をつくる人に出会ったんです。『この人は何をやって食べているんだろう?』が第一印象。同時にこんな生き方があるんだ、とも思えて」

「それまでのぼくは、会社に勤めて給料をもらう働き方しか知らなかった。でも『自分もいけるんじゃない?』って、わけのわからない自信が湧いてきたんです」

仕事をつくる人たちの熱に突き動かされて、家族とともに奈良へ移住する。

何で食べていくかは決まっていなかった。けれど、とにかくワクワクした。

はじめの3ヶ月間は、奈良で活動する人を訪ねてまわる。

「その出会いから、奈良移住計画が生まれたんです」

「奈良移住計画」は、奈良に住みたい人を、仕事や住まい探しから応援するプロジェクト。一人では決断がむずかしいことも、寄り添う人がいることで踏み出せたら、という思いがある。

2019年には一般社団法人TOMOSUを立ち上げる。

2020年には奈良市が所有する築30年・4階建てのビルの運営を受託。建築家やデザイナーの人たちとともにリブランディングに取り組み、創業支援施設「BONCHI」が誕生した。

BONCHIの1階には、コーヒー屋さんとお菓子屋さん、そして本屋さんが入居している。誰でも利用できるフリースペースを併設していて、なんとなく通りがかった人の目にも留まりやすい。

ひと目見ただけでは、創業支援施設だとは気づきにくいデザイン。

「もしも『創業支援セミナー開催中』というのぼりを立てたら、フリーランスで食べていきたい人や、法人を立ち上げようとしている人との接点は生まれると思います。でも、TOMOSUが考える創業支援は、それだけじゃない」

それだけじゃない?

「『子育てが落ち着いたら何かはじめたいな』とか『ふだんは勤めているけど、いつかこういうことをやりたくて』とか。思いを持つ人との接点もつくりたかったんです」

接点の数だけいろいろな人がやってきて、奈良で創業する人も増えていくから、ワークショップから展示まで幅広い企画に取り組んでいる。

興味を持った人は、無料で創業相談を受けられて、2階から4階にはコワーキングスペースと会議室がある。会員になった人だけでなく、1日利用の人も使うことができる。

BONCHIの創業支援は、どのように進んでいくのだろう。

奈良県内で廃棄されていた規格外の野菜から加工品を開発した人がいる。

「はじめて来たときは、小売店に勤めていました。コロナ禍の買い占めを目の当たりにして、地域のギスギスをゆるめたいと考えたそうです。創業相談を数回受けるなかで、事業計画を固めていきました。現在はコワーキングスペースに入居して、一般社団法人として活動しています」

創業する上では、お金の話も欠かせない。

ロボット開発の分野で法人を立ち上げたいという相談があった。

「法人形態は合同会社か、株式会社か。設備投資の資金はどこから調達するか。税理士や金融機関とも連携しつつ、創業支援を行いました」

自分たちではわからないことは、専門家にも入ってもらいながらサポートする。創業支援のためのさまざまなネットワークを持っているからこそ、安心して相談してもらえるのだと思う。

 

中島さんとともに活動するのが、福岡県出身の久美さん。

家族の都合で、2020年に東京から奈良へ移住。2021年から週に2日ほどTOMOSUで働いている。

「前職は、人事部で新卒採用をしていました。わたしは、出会いを通じて人の変化する瞬間が好き。TOMOSUでの仕事にも、人が人で変わる瞬間があるんです」

久美さんは自主プロジェクトに加え、行政から受託したプロジェクトなどの企画運営を担当している。

2022年に担当したのが、奈良市とともに取り組んだ「ならわい」。

県外在住の参加者が、奈良の企業と一緒に新規事業企画を通じて、つながりを育んでいくプロジェクト。

久美さんは事務局として、奈良市との打ち合わせから参加者の選考・採用、プログラム中のサポート全般を手がけた。

このプロジェクトを一つのきっかけとして、奈良へ移住する人も現れる。

また、「準備から当日までずっと楽しくて」と話すのは、BONCHI ORANGE FES(ボンチ オレンジ フェス)。

これはマルシェのような場づくりで、当日はお茶農家、福祉作業所、医療、木工、はらまき……といろいろな出展者さんたちがBONCHIに集う。

このフェスもまた、訪れた人が新しい気づきや視点を得る場。

どんな思いで企画運営するんだろう。

「展示・販売されているモノに触れて、それをつくった人と話してほしい。モノや人との出会いから、『自分もやってみよう』と踏み出す人が現れたら、わたしたちが相談に乗りますよ」

久美さん自身も、TOMOSUの仕事に刺激を受けたひとり。

お酒と食事を通じて人が出会う場をつくりたいと、東京にいた時から考えていた。

奈良に移住して出会った人たちに、やってみたらと背中を押されてはじめたのが「はかた小料理 久美子」。

TOMOSUがきっかけで出会った人たちの応援もあり、今は月2回のペースで営業するようになった。

この場では、隣り合ったお客さん同士で会話がはじまり、週末に家へ遊びに行くような大人の友だちづくりの機会も生まれている。

あらためて久美さんにとって、TOMOSUで働くってどういうことなんでしょう。

「仕事を通じて人の顔が見えていくほど、奈良での可能性が醸されていく。ここは出身に関係なく、やりたいことが膨らみやすい場所なのかな」

やりたいことが膨らみやすい場所。これから応募する人は、ここでどのような仕事をするんだろう?

ふたたび中島さんに聞いてみる。

「まずは一緒にプロジェクトに入って、企画会議の議事録をまとめる。イベントに向けてデザイナーさんとフライヤー制作の打ち合わせをする。コワーキングスペースで利用者さんと机を並べる。そうやって、空気に慣れてもらうところからだと思います」

場になじんできたら、一つのプロジェクトを自分で担当する。企画から手がけていきたい人にもぜひ来てほしい。

「きっと、はじめて体験することばかりだと思うんですよ。いろんな人がBONCHIにやってきて、創業の相談に乗ることもあれば、行政の人と打ち合わせる。かと思えば、イベントの日は音響やMCを務めたり」

ということは、職務経験が豊富な人に応募してほしいのでしょうか。

「最低限の社会人経験があれば大丈夫ですよ。これまでの経験が活きる場面もありますが、過去の実績にしがみついてしまうと大変かも。目の前の人と話すことから拓けていく可能性に、目を向けてほしいです」

裁量が多いからこそ、戸惑う場面もありそうです。

「間違えたっていいんですよ。お互いズレたときにちゃんと話し合って、『それならば、こうしてみませんか』って。軌道修正しながら同じ目的に向かっていきたいです」

「自分の頭で考えることと、チームのコミュニケーションのバランス、ということかな。TOMOSUは新しい組織だからはじめてのことが日々起きるし、ぼくや久美さんが正解を持っていない場合だってあります」

たとえばイベントのフライヤーをつくるとき。

「どんな人に参加してほしいのか。届けたいメッセージは何なのか。そういう部分はしっかりコミュニケーションをとっていきましょう」

いろいろな経験が積める職場だと思います。

それに仕事をつくる人が身の回りにもたくさんいる環境。

もしかしたら自分も仕事をつくりたくなるんじゃないかと思いました。

すると中島さん。

「ひょっとしたら、その人が創業することもあるかもしれませんね。それで、プロジェクトベースで一緒に仕事をしているかも。TOMOSUの新規事業として、次の拠点を立ち上げてもらう可能性だってあると思う」

「少人数の組織だからこそ、チームビルディングや場の運営、プロジェクトマネジメントなど。事業運営に必要なことを、一通り全部見て学べる環境にあります。自分にできることを増やしていくのって楽しそうだな。やってみたいなと思う人に出会いたいです」

(2023/3/6 取材 大越はじめ)

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