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海辺じゃなく、山辺
暮らしを旅して
人と人、点と点をつなぐ

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ほどよく自然があり、公共施設やお店も整っていて、行政もまちづくりに力を入れている。

そんなまちがあれば、移住して住んでみたい、と思う人も多いのではないでしょうか。

都会に人口が集中しているいま、地方ではさまざまな施策をおこなうことで、移住者や関係人口を増やすための取り組みがなされています。

今回紹介する三重県いなべ市も、そんな自治体のひとつです。

名古屋から車で1時間ほど。三重県の北部に位置するこのまちには、行政と民間でつくられたまちづくり組織、「グリーンクリエイティブいなべ(GCI)」という一般社団法人があります。

イベントの企画や、役場に隣接している「にぎわいの森」という商業施設の管理、また今後はツーリズム事業も手がけていく予定。

今回募集するのは、地域おこし協力隊としてこの組織で働く人。

ほどよい田舎で、まちづくりの先陣をきるような仕事です。暮らしを大切にしたい人も、ぜひ読んでみてください。

 

いなべ市は三重県の北部、地図で見ると、細長い形をしている三重のてっぺんに位置している。

まちの中心には員弁川(いなべがわ)が流れていて、山と山のあいだにぐぐっと入り込んだような平地にあるまち。

市内に入っていくと、前と左右に山がどんどん近くなってくる感覚になる。

「いなべ市は、“山辺のまち”、で売り出しているんですよ。海辺っていうと湘南とかのイメージじゃないですか。いわばその逆で。海はないけど山はあるぞっていう」

そう話してくれたのが、一般社団法人グリーンクリエイティブいなべの一橋さん。

一橋さんは行政の職員でもあり、商工観光課に所属している。

「市役所のとなりにある『にぎわいの森 いなべヒュッテ』も、自然を活かした場をつくろうというコンセプトで運営していて。グリーンクリエイティブいなべ自体も、にぎわいの森の運営主体としてスタートした団体なんです」

2019年、いなべ市役所の新庁舎の完成とともにオープンしたのが、にぎわいの森。

未整備だった森を活用し、もともとの地形を活かした遊歩道を設置。また名前のヒュッテにもあるように、点々と建てられた小屋のそれぞれに、いなべの特産物を扱うお店や、名古屋で有名なパン屋さんなどが入っている。

「主には、テナントのみなさんとの調整ごとだったり、来てくれた人への情報発信をしたり。あとは日曜マルシェも始めました」

「ほかにも、地域を紹介する冊子づくりも行政から受託しているんですが、いなべの産品の物販もするようになったし、イベントも企画運営するようになって、活躍の場が増えていますね」

今年の4月には、市内の鈴鹿国定公園内にある宇賀渓に、デンマークのアウトドアブランド「Nordisk」と連携し、「Hygge」をテーマとした新しいアウトドアフィールド「Nordisk Hygge Circles UGAKEI」がオープン。昨今のアウトドアブームもあり、人気の施設となっている。

やることが幅広いですね。

「行政からの依頼やまちの人の声に応えていたら、どんどん活躍の場が増えていって。移住者も増えつつあるので、もっといろんな人にいなべの魅力を知ってもらいたいなと思っています」

一橋さんたちが考えているいなべの魅力。それを表した言葉が、「暮らしを旅する」というキーワード。

今でこそにぎわいの森やキャンプ場があるけれど、昔はこれといった観光地もなく、移住者も関係人口も少なかった。

「いなべは観光地じゃない。じゃあなにが魅力かって考えると、のんびり豊かな暮らし自体が一番の魅力なんじゃないかと」

「冊子をつくったり、移住者向けのイベントに出展したりしたときも、『暮らしを旅する』というキーワードを軸にしました。結果的にそれで興味を持ってくれた人が移住してくれて、さらにその人たちが移住者を呼んで。そういう意味ではいいコンセプトだったのかなと思っています」

たとえば、移住して有機農法の野菜づくりをはじめたご夫婦がいたり、名古屋で人気のフレンチを経営していた人が、にぎわいの森で食肉加工屋をはじめたり。

いなべに惹かれ、素朴で豊かな暮らしを営む人を紹介することで、興味を持ってもらう。

「もともと、素朴な暮らしっておもしろいと思っていたんです。昔、広報課にいたときも、畑仕事してるおばあちゃんに話しかけて、オクラとかゴマってこんなふうに実るんですか、みたいな話をして、それを記事にして。それがおもしろかったから、たぶん今もまちづくりの仕事をしてるんでしょうね」

一橋さんは人脈がとても広い方なので、新しく来る人も、まずは一橋さんからいなべ市のいろんな人を紹介してもらうところから始まると思う。

「素直に相手のことを認められる人でないと、まちづくりをする立場にいるのはむずかしいと思っていて。人を認めて、いい部分を見つける。その蓄積で、いろんなことができるようになると思うんです」

「この人を知ってもらうには、とか、この人が輝くにはどうしたらいいんだろう、とか。それを考えながら仕事をするのが大事で。いろんな考えを受け入れられる人と一緒に働きたいなって思います」

 

行政の立場からも、民間の立場からもいなべのまちづくりを見守り、動かしてきた一橋さん。

それを支えてきたのが、2021年にGCIに入った加藤さん。以前は印刷会社で営業の仕事をしていた。

「紙ものだけじゃなく映像やWeb、イベントの仕事もあって。0から1をどう生み出すかを経験してきました」

「東京や名古屋で働いていたんですけど、いなべに移住したのは、もっとクリエイティブな仕事をしてみたかったのと、自然がある場所で子育てをしたいというのがきっかけで。そのときにGCIの公募を見つけました。いまはすごく楽しく仕事をしています」

地域の住人やいろんな事業者とつながり、課題やニーズ、そしてそれぞれの強みを聞き出して、まちづくりの文脈に落とし込んでいく。その過程では、営業の経験が活きたそう。

「移住に関しては、今しかないって思ったんですよね」

今しかない。

「社会人を10年ちょっと過ごして、残りの人生を考えたとき、今しか転職するタイミングがない気がして。昔は企業の課題解決をしていたけど、今は地域や個人の課題に向き合って、それがまちのためになっているのを肌で感じられるのがおもしろいなと思います」

「地域のため、もっと言えば、目の前の人のためになるっていうのが、本当に僕がやりたかったことだったんだなって。それは大きな気づきでしたね」

いなべで暮らしてみてどうですか。

「移住者も多くて、つながった人のお店にご飯を食べにいくとか、パンを買いに行くとかして。生活の一部に、人に会いに行く、話しに行くっていうことがあるのが、こんなに魅力的で楽しいんだって感じました」

「どんどん点と点がつながって、人が人を呼んでくる。新しいお店ができたときも、あの人が声をかけて移住を決めたんだよ、みたいなことが多くて。一個つながると、どんどんつながっていくんですよ。それがすごくおもしろい」

今は加藤さんを中心に、新しくツーリズム事業を始めているところ。地域限定の旅行業の資格も取得したので、自分たちで旅行商品の企画から運営まで携わることができるようになった。

たとえば、企画しているのが農業や暮らしの体験。地元の農家さんに協力してもらって収穫体験をしたり、かまどでご飯を炊いたり。いなべは野菜やジビエなど食も豊富なので、ツーリズムと組み合わせることでいい相乗効果が生まれるはず。

「猟師さんと山を歩いて、鹿がどういうところで暮らし、どういう生活を送っているのかを教えてもらうとか。鹿肉は地元でフレンチを提供している人に料理してもらって、自然のなかで食べることができたらいいなって」

宿泊については、新しくキャンプ場ができるなど、次第に整備されつつある。ツーリズム事業が軌道に乗れば、宿泊施設と一緒に企画を考えることもできるだろうし、インバウンド需要が回復してきたのも、いい追い風になると思う。

「人と話すのが好きだったら、ツアーガイドをしてみるのもいいし、食に興味があるなら食のコーディネーターみたいなこともできる。デザインのスキルとかも、地域では重宝されると思います」

「一緒に働いていくなかで、自分の強みを活かしてくれたら一番いいですよね。働きながら、協力隊の任期の3年が終わったあとに、自立するための種を見つけてもらえたらいいなと思っています」

 

最後に話を聞いたのが、GCIの荒木さん。

いなべ市の出身で、もともとは広告代理店や出版系の会社などで働いていた。東京からUターンで帰郷し、協力隊を経てGCIへ。

「いずれ地元で何か仕事をしたいなって探していたときに、ちょうどにぎわいの森のオープンに向けて市がいろいろ動いていたんです」

「自分のキャリアを活かした仕事をいなべでやってみたいと思って、一橋さんにお願いをして。まずは協力隊という形でGCIの仕事をすることになりました。今は地域のプロデュースという形で、人と人をつないで新しいものや企画をつくる仕事をしています」

実際に働いてみてどうですか。

「幸せでしかないですね。暮らしが充実してないと仕事ってできないじゃないですか。都会では忙しくてそれができなかったけど、今は大事にしている暮らしの上に仕事がある。だからとても幸せです」

暮らしの上に仕事がある。

当たり前のことに聞こえるけれど、つい忘れがちなことなのかもしれない。

「最近の仕事で印象に残っているのは、昨年開催した『TRUE LIFE MARKET』ですね。今年は5月6日に開催する予定で、ちょうどこの後、地域の人と打ち合わせをするんですよ』

にぎわいの森が会場となり、市内外から40店舗ほどが出店するイベント。トークライブや子どもの遊び場をつくるなど、いろいろなコンテンツを企画している。

協力隊の先輩として、どんな人に来てほしいでしょう。

「自分を大切にできて、仕事もちゃんと愛せる人。いなべはこれからもいろんなチャレンジができるまちなので、私たちが活躍できる場面はたくさんあるんです。こんなことをしてみたいっていう想いを持っている人が来てくれたら、きっと形にできる」

「一緒にビジョンを共有しながらお仕事できる人がいいですね」

 

取材後、あるご夫婦が営んでいるお店に、荒木さんが今年の「TRUE LIFE MARKET」の打ち合わせへ向かいました。

真剣な話し合いのなかでも出てくる、楽しそうな笑い声。

開催する側が楽しんでこそ、来てくれるお客さんも楽しむことができる。打ち合わせの姿を見て、本番のイベントもとてもいい時間になりそうだと感じました。

まずはいなべに来て、自然を感じ、行政の一橋さんたちと話してみてください。

ピンとくるものがあったら、ここでの暮らしはおもしろいものになると思います。

(2023/4/4 取材 稲本琢仙)



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