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生き方をリノベーション
ただいま館山盛り上がり中!

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なにかやってみたい。

その“なにか”は決まってないけれど、新しい世界に踏み込んでみたい。

今回紹介するtu.ne.Hostel(ツネホステル)での人との出会いが、その一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。

舞台は千葉の南房総・館山。これからの夏、海を訪れる人で賑わうまちです。

館山にあるtu.ne.Hostelは、観光客に地域の魅力を伝え、館山の人やまちをつなぐゲストハウス。

移住者や新しいお店が続々と増え、盛り上がってきている館山。このタイミングだからこそ、飛び込んでほしい仕事です。



東京駅から高速バスに乗る。館山駅までおよそ2時間。

大きなビル群を抜け、バスは東京湾アクアラインを渡っていく。

だんだんと周囲が山に囲まれて新緑の景色を楽しんでいると、あっという間に館山駅に着いた。

到着したのは東口。海が見えるという西口へ行ってみる。

駅からまっすぐに伸びる道の両側にはヤシの木が連なり、その先に海が見える。

ぼーっと遠くの海を眺めていると、心のなかに穏やかな時間が流れていく。東京駅でたくさんの人に混じっていたことが遠い昔のよう。

駅の東口から歩くこと、およそ7分。六角形に「常」と書かれた看板のある、tu.ne.Hostelに到着。

まず話を聞いたのは、tu.ne.Hostel初代オーナーの漆原さん。

現在は2代目にすべてを引き継ぎ、ゲストハウスの運営には関わっていないそう。

tu.ne.Hostelを立ち上げた経緯を聞いてみる。

「宿泊業をやるとは思っていなかったんです。館山を元気にしたいと思ったときに、不動産の経験が宿泊業と相性がいいんじゃないかと思ったのがきっかけでした」

学生時代に起業したり、サラリーマンとしてIT企業で働いたりなど、いろんな働き方や業種にチャレンジしてきた漆原さん。

仕事に邁進するなか、癒しを求めて別荘地を探すことに。

そこで出会った館山で一軒家と投資用のアパートを購入。館山と東京を行き来する生活が始まった。

変わらず東京で働いていたけれど、あるとき、忙しさとストレスで体を壊してしまう。

「生き方を変えよう、やっぱり雇われずに働こうと思って。館山で始めていた不動産投資を生業にしようと考えたんです」

館山と首都圏でいくつかの賃貸物件を手がけた。

そのうちの一つが、館山市内にある使われていなかった公務員宿舎を丸ごとリノベーションした「ミナトバラックス」。

賃貸住居にゲストルーム、DIYやカフェ用のスペースが併設された複合施設で、住人のコミュニケーションも盛ん。イベントもよく開催されるのだとか。

2017年、ミナトバラックスのオープンと同時に、漆原さんは館山に移住。

「住人も増えて盛り上がりました。みんなに喜んでもらって、お家賃もいただける。最高だな、と」

「一方で、館山全体に目を向けると特に駅前が寂しい印象で。もっとまちが活性化するビジネスってなんだろうと考えたときに、ゲストハウスを思いついたんです」

物件を探して見つけたのは、空き家になっていた元診療所。

1階に受付と診察室、2階は院長先生の元自宅スペースで、部屋が小分けになっていた。ゲストハウスにぴったりの物件。

数人の仲間や大工さんと、1年ほどかけてリノベーション。2019年にtu.ne.Hostelを開業した。

「ゲストハウスではあるんですが、目指したのは“まちやど”で」

まちやど?

「ここは寝るだけの場所で、食事やおみやげといった楽しみはまちのなか。まち全体が宿、というイメージです」

「僕たちがいろんなお店や人を紹介して、お客さまがまちとつながる観光地。tu.ne.Hostelをそんな拠点にしたいと思っています」



どんな宿なんだろう。

現オーナーの山田さんに話を聞いてみる。

今年の春、漆原さんからtu.ne.Hostelを引き継いだばかりで、新しく入る人と二人三脚で働くことになる。

「館山はツーリングや釣り、サーフィンなどの目的で訪れる人が多いですね。とくに『シャークトルネード』という、サメと一緒に泳げるダイビングは海外の方にも人気なんですよ」

「いろんな旅人に出会えて楽しいです。英語の会話は四苦八苦中ですが(笑)」 

訪れたお客さんにとくによろこばれるのが、飲食店の紹介。

「おいしい海の幸を食べたいという方に魚介のお店をご紹介しながら、ジビエもおすすめですよ、なんてご案内することもあって」

「実際に行かれた方から『ジビエ、おいしかったです』と言ってもらえたり、ゲストブックにコメントをもらえたりすると、うれしいですね」

ちょっとした一言が結ぶ、お客さんとお店の新しい出会い。それは、直接会って話すことで生まれているのかもしれない。

山田さんは普段から、まちなかの飲食店に足を運んで、実際に食べてみたり、感想をSNSに投稿したり。まちの魅力を積極的に吸収、発信している。

「お店の方とのつながりも生まれるので、宿泊のお客さまがお店に行くと、『tu.ne.Hostelに泊まっているのね』とあたたかく迎えてくれることもあって」

「ときどき、『今、うちで食事中の人が宿を探しているんだけど、tu.neさん今日空いてる?』と、つないでくださることもあるんです」

tu.ne.Hostelを起点に、まちのつながりは広がりつつある。

「半年前から、5回ほどうちに来てくださっているご夫婦がいて。その方たちは、館山移住に向けた物件探しをされているんです」

「僕も1年前に移住したばかりなんです」と伝えたところ、話が盛り上がった。

スーパーや役所などがあって生活に便利な地区を紹介したところ、ご夫婦はその地区を候補地に物件を探しているそう。

移住先で頼れる人がいるって、うれしいことだろうな。

「ちょっとくたびれたときに、館山でほっと一息つく。まちから刺激を受けて、チャレンジしたいものがおぼろげにでも見えてくる。そんなきっかけをつくる場所になれたらうれしいですね」

そんな山田さんも、新しい道を踏み出そうと館山に移り住んだ。

「前職では9年、都内の学習塾で働いていました。お子さんの将来をサポートするので、プレッシャーも大きくて。毎日、仕事して疲れて帰って寝て、の繰り返しでした」

転職も考えてみたものの、エージェントに提案される仕事のほとんどが経験を活かせる学習塾。なかなか次の一歩を踏み出せなかった。

日々の生活に、なにか変化が欲しい。山田さんは、休みの日に社会人向けのフットサルサークルに足を運んでみた。

「やってみたのはいいんですが、平日に過度に働いたぶん、休日を楽しんでいるように感じてしまって。仕事とプライベートって、どっちかに振り切らないといけないのかなと思ったんです。合う人はいいですけど、なんか自分は違って」

もやもやを抱えながら過ごしていたころ、コロナ禍が訪れる。

仕事が休みとなってできた時間に、日本仕事百貨の記事や、いろんな生き方働き方をしている人の本を読んだ。

すると、生きることと働くことが地続きの人がいることに気づいたという。

「地方にもおもしろい仕事があると知って、地方移住に興味が湧いたんです。でも、山の中で生活できるかとか、田舎の人たちに馴染めるかとか、不安も大きくて」

自分に合う暮らしができる場所はどこだろう。探すなかで出会ったのが、ほどよい地方都市で、実家とも行き来しやすい館山だった。

調べてみると、館山には若者の移住者も多く、飲食店や人材系の会社を立ち上げて活躍している人がいることを知る。

とはいえ、初めての土地はわからないことのほうが多い。まずは仕事を探してみたけれど、館山でやってみたい仕事はすぐに見つからなかった。

1年ほど足踏みをして偶然見つけたのが、tu.ne.Hostelの事業承継者の募集。

「まちづくりの一環でつくられたゲストハウスで、訪れた人が館山へ移住するきっかけとなる場所にしていきたい、と書かれていて。おもしろそうだなと思ったんです」

面接で話すうち、漆原さんの生き方に山田さんは強く惹かれた。

「仕事とプライベートの境目がゆるやかにつながっている人たちにようやく出会えた。ここなら自分の目指す生き方や働き方が叶うかもしれないと思って。えいや! って感じで来ちゃいました(笑)」

2022年に移住し、まずはスタッフとして働き始めた。

「もともと裏方の仕事も好きだったので、大きなギャップはありませんでした。仕事の半分以上は清掃とベッドメイク。その繰り返しですね」

加えて、お客さんへの施設やまちの案内、チェックインや予約確認などの事務作業など。一通りのことを経験し、自立できるように学んできた。

6月から8月の繁忙期は忙しく、夜まで残業することも。一方で、その時期以外は時間的な余裕もある。

別の仕事をしてまちとのかかわりを増やしたり、自分の経験や興味をまちと掛け算して事業を立ち上げたり。

新しい一歩につながることを模索中、と話す山田さん。まるで、人生をどんどんリノベーションしているかのよう。

「この間、館山の駅前で焚き火イベントがあって。そこで地元の高校生と出会ったんです」

その高校生は、「バイクでツーリングをしてみたい」と山田さんに夢を話した。

「バイクを買うお金を貯めたいと話していたので、その子が今年の夏休みにtu.ne.Hostelでアルバイトをすることになって」

ツーリングの夢も近づくし、tu.ne.Hostelで人と出会うことで、生き方のヒントが見つかるかもしれない。

「だれかの自己実現をまちが後押しする。そんなうねりのようなものが高校生にも届きつつあるんだと感じて、すごく印象的でした」



焚き火イベントが開かれたのは、2022年にオープンした館山駅前にある「sPARK tateyama」(以下、スパーク)というパブリックスペース。

スパークは、漆原さんが共同代表を務めるまちづくり会社が立ち上げた。

元デパートと、その前に設置されていた駐輪場をリノベーションしてできたスパークは、コワーキングスペースやカフェ、クラフトビールを楽しめるお店が連なっている。

そのクラフトビール店の運営やイベント企画を担っているのが、佐々木さん。tu.ne.Hostelの元スタッフだ。 

海上自衛隊の隊員として館山基地に赴任したのが、館山との出会い。

「長年働いて仕事にも慣れて。自分で起業してみたいと思って、勉強場所を探していたときに、tu.ne.Hostelをカフェだと勘違いして入ったんです(笑)」

「tu.ne.Hostelに通ううちに、自分のやりたいことをビジネスにしている人たちと出会って、こういう生き方をしたいと思いました」

自衛隊を辞めて、tu.ne.Hostelで働き始めた佐々木さん。

半年ほど経ったころ、tu.ne.Hostelの隣にあったそば屋さんを夜だけ借りて、副業でクラフトビールの販売をスタート。

「ビールなら親しみやすいし、クラフトビールという新しいもので館山を盛り上げられたらいいなと思ったんです」

最近はパブリックスペースを活用して、焚き火イベントやビアガーデンなども企画している。

「ここ数年は、移住してきた若者がお店を出すことが増えていて。20店舗くらい増えたんじゃないかな」

「まちをにぎやかにするために、やってみたいことはまだまだありますね」

tu.ne.Hostelを通じて、館山のまちと、人と、出会う。

そこから、自分がやりたい“なにか”が見えてくるのかもしれません。

(2023/5/16 取材 小河彩菜)

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