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坐禅で、サウナで、ととのう
2600年伝わってきた
心をフラットに戻す手だて

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「サウナと仏教は一緒に日本に入ってきたんですよ。『ととのえる』という意味で、サウナは仏教の教えを伝えるひとつのツールだったんです」

「仏教が今もここにあるのは、時代に合わせて本質を伝えてきた人がいたから。僕はプロダクトを通じて、今の社会が必要とする本質を広められたらなって」

そう話すのはサカエ金襴(きんらん)の竹澤さん。

金襴とは、金糸で文様を織り出した伝統的な織物のこと。サカエ金襴はお坊さんの着るお袈裟やお寺の本堂に飾る幕、おりんや木魚の丸布団など、織物を加工した仏具をつくっています。

竹澤さんはそこで『ZAF(ザフ)』という坐禅用座布団のファクトリーブランドを展開。

自身が大のサウナ好きであるところから、サウナで使う『ZAF SAUNA』も開発しました。

「当時はいまほどサウナが流行ってなかったので、何考えてんの?!って言われてましたが、やってみたらとても好評で。時代が追いついてきました (笑)」

今回募集するのは、ファクトリーブランドなどの新展開を竹澤さんと一緒に形にする、プロジェクトの企画マネージャーです。

サカエ金襴は伝統ある仏具を作るメーカーでありながら、新しいことにもチャレンジでき、かつ「残業なし」という潔い社風。

そして、サウナと仏教をめぐる興味深い逸話の数々。

仏教という言葉に構えず、ぜひフラットな感覚で読み進めてみてください。

 

富山県高岡市・新高岡。

大きなショッピングモールの隣には青々とした田んぼが広がり、吹き抜ける風が気持ちいい。

サカエ金襴は新幹線の新高岡駅からほど近い、ものづくりの会社が集積したエリアにある。

「北陸新幹線のおかげで東京が近くなって、僕としては地方に住んでる感覚はほぼないんですよ」

そう話すのは、取締役の竹澤さん、32歳。

サカエ金襴は、竹澤さんのお母さんが創業した会社。小さいころからミシンの下を通ったり、座布団をつくる綿で遊んだり、家業に親しみながら興味深くものづくりを見てきた。

「東京の大学を卒業してから、京都の老舗卸屋で三年間修行させてもらいました。そのときに、仏具ってとても美しい、仏教の教えや世界観をアートとして表現するものづくりだと思って。どうしたらそれを布で表現できるか、考えながら商品をつくっています」

サカエ金襴は、お坊さんの袈裟やお寺の荘厳品など織物で仏具をつくる会社。宗派に関わらず、さまざまな製品を製造している。

得意とするのは、おりんや木魚を置く丸布団。形の提案から生地選び、縫製、サンプルづくりまで、すべて社内で一貫して製造している。

2018年に「ZAF」という坐禅用座布団のファクトリーブランドをはじめた竹澤さん。はじめたきっかけは何だったんだろう。

「僕自身が深刻な気持ちになることがあって、坐禅でもしてみようかと禅寺で40分2セットの坐禅を組んだんです。倒れそうになりながら、すごく心が調うのを感じました。それで仏教は『心が乱れたときにフラットに戻れる手だて』でもあるんだと思って」

フラットに戻れる手だて。

「坐布(ざふ)自体は江戸時代からある、坐禅の姿勢をサポートする伝統的な仏具です。仏教と聞くと構えるかもしれないけど、心を調える手立ては今の社会にすごく必要とされている。だからデザイン性のあるプロダクトを通じて、仏教や坐禅を広めていきたいと思いました」

ZAFに座らせてもらうと、骨盤がキュッと立ち、背筋が伸びる心地よさを感じる。

サウナが大好きという竹澤さんは、さらに「ZAF SAUNA」という坐禅スタイルで姿勢よくサウナを楽しめるサウナ用坐禅クッションも開発。

これが瞑想的にサウナを楽しんでいたコアなサウナファンに大好評。日本屈指のサウナ「ウェルビー」でも施設内で採用され、大手量販店でも商品を展開し売り上げを伸ばしている。

実はサウナと仏教には密接な関係があるのだそう。

「温室経(うんしつきょう)という、お釈迦さんがサウナ浴をすすめるお経があるんです。日本への仏教伝来の際には、そのお経も一緒に伝わっていて。法隆寺には蒸気浴をする25mプールくらいの大きな建物、『温室』があったり」

「銭湯の外観はお寺を模していたり。そもそもはお寺にあった蒸し風呂が人気すぎて、別施設になったことが銭湯の始まりなんです」

次々と興味深いルーツを話してくれる竹澤さん。サウナを見る目がグっと変わる気がする。

「ルーツについては『サ道』を描いてるマンガ家、タナカカツキさんに色々教えてもらいました。知人の紹介でお会いした際に『仏教とサウナはつながってるから!』とZAF SAUNAを応援してくださって。ZAFのおかげでいろいろな人に会えて世界が広がって、サカエ金襴全体にもいい影響が増えています」

「たとえばおしゃれな展示会やイベントで自社商品が並んでいると、モチベーションがあがりますよね。家族や友だちにも紹介しやすくなるし、ZAFをきっかけに仏教や仏具のことも知ってもらえる。これからはアクセサリーにするなど、金襴の新しい展開も考えていけたら」

今回募集するのは、竹澤さんのようにファクトリーブランドの企画やマネジメントを担う人。

「やりたいことはたくさんあるのですが、手がまわっていないことも多くて。瑞々しい感性で、ブランド運営や新しいものづくりを一緒に考えてくれる人を求めています」

仕事内容としては、まずはZAFのアシスタントとして、商談や展示会の対応、PR、SNSでの発信、それらに伴う事務作業などを全般的に担う。

慣れてきたらZAFの新しい企画や、金襴をつかった新しいブランド展開なども一緒に考えていってもらいたい。

プロジェクトマネジメントの経験はあれば尚よし、なくても構わない。サカエ金襴の事業に興味があれば経験は問わないそう。

「高岡は銅器や漆器などものづくりの産地で、若いプレイヤーがたくさんいます。県外から移住してきた人も多いし、外から来た人が盛り上げてくれている面もある。産地での合同展示会など、社員同士知り合える機会も多いので、富山や高岡に馴染みのない人でも安心して来ていただけたら」

秋には高岡のまちを巻き込んだクラフトイベントが開催され、県内外から多くの人が訪れる。工芸作家の作品展示会なども多く、アートや工芸に興味のある人にはとても楽しい土地だと思う。

ライブやコンサート、アートイベントがお寺で開催されるなど、お寺や仏教に紐づくものが暮らしに溶けこんでいる高岡。

働くにあたって、仏教の知識がなくても大丈夫ですか?

「大丈夫です。僕自身この仕事に就くまでほとんど知らなかったし、ほかの社員もそうだと思います。でも向き合って調べていくと、仏教が持っている現代的な要素が見えてきて」

サウナと仏教に共通項があるように、身近なもの、好きなものとの意外なつながりに気づくこともあるかもしれない。

「むしろまったく仏教を知らないところから新しく人が来てくれたら、今働いてる人たちにも刺激になります」

「ZAFはお坊さんに褒められることも多くて。仏具だけじゃなくてお寺とか、関連するいろんなところにいい循環を生み出していきたいですね」

ZAFは女性特有の悩みである、生理のPMS緩和を目的とした瞑想アプリ「poi」との協業もスタート。ファムテック・ファムケアの分野でも仏具の可能性を感じている。

「常に時代に即した必要性、伝え方があると思っていて。2600年の歴史をもつ仏教が今もここにあるのは、時代に合わせていろいろな伝え方をしてきた人たちのおかげ。今の時代ではピンとこない表現も、ある時代には仏教を伝える術としてものすごく響いたんですよね」

「だから僕は必要としている人のアンテナにひっかかるように、ものづくりのカテゴリで伝えていきたいんです」

 

「竹澤くんは小さいころからよく会社に遊びにきていて。歓送迎会で酔って寝てるところを見られたこともありました」

笑いながら話すのは社長の山岸寛子さん。働きぶりが前社長に評価され、6年前から代表を務めている。

入社当時は仏具のことは何も知らなかったけれど、仕事を通じて紋様に紐づいた歴史や、日本ならではのものづくりに魅力を感じるようになっていった。

「サカエ金襴は機械で自動化されたものではなく、針と糸を使って人が手で縫う、丁寧なものづくりを大事にしています。取引先のお客さんが会社にいらして製作工程を見て、『簡単に返品とか言えんようになったわ』と言われることもあって。わかったでしょ。って(笑)」

手仕事が行われているからか、社内の空気もとても柔らかい。

「社員同士のギスギス感はまったくないですね。何でも協力しながら、話し合いながら進めていきます」

「元社長が認めてくださって社長になりましたが、ほとんどみなさんに助けられている感じなんですよ」

募集要項には、きっぱりと「残業なし」の文字。残業がないんですか?

「基本的には残業しません。家に帰ってからも、家事に育児に、仕事はたくさんあるじゃないですか。そうでなくても、趣味に打ち込むのもいいと思いますし」

「たまにどうしても仕事が終わらないこともありますが、夜残るより次の日の朝集中しよう、という社風ですね。それは今回募集する人も同じです」

出産・育児休業取得と復帰率も100%なのだそう。

「私も2回とらせてもらいました。家庭環境に応じて時短で働く方もいらっしゃいます。担当以外の仕事もできるようになることで問題なく社内がまわるように心がけていますね。カバーしあえれば休みやすくなるし、自分の仕事への気づきにもなります」

働く人に求めるのは、素直で前向きであること。仕事で様々な人と出会い意見を聞くことで自分が磨かれ、成長を楽しめる人を求めている。

「大変なこともあるけど、これをひとつ乗り越えたら何か得られると思って、素直に頑張れる人がいいと思います。いろんなことに興味があって、前向きな人」

向いてない人はどういう人でしょうか。

「うーん。どんな人でも変化はできると思っていて、そこは会社の空気次第だと思っています。あ、でも不真面目な人はよくないか(笑)」

仏教や仏具というと、厳然たる歴史や厳しい修行をイメージしていたけれど、優しくどんなものも受け入れる、あたたかな心を教えてくれる面も大きいのかもしれない。

「目まぐるしい社会で心が荒むこともありますが、自分をふりかえったり、人のことを思ったり、慈悲ある心を思い出すことでフラットに戻れるのかなと。いつも平穏でいられれば良いけど、揺さぶられることはたくさんあるから、元に戻してくれるものも必要なんですよね」

「私たちは専門的な宗教用具を扱っていますが、自分が平静な状態に戻れるものは、なんでも仏具なのかなと思うんです」

(2023/7/21取材 籔谷智恵)

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