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栃木、富山、高知、宮城…
地域と東京をつなぐ
120の仕事

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メールや電話越しにも伝わってくる、前のめりな仕事ぶり。いそがしそうではあるけれど、めいいっぱい仕事を楽しんでいるのだろうな。

これは取材前のやりとりで感じた、早川剛史さんの第一印象。

早川さんが働くふるさと回帰支援センターは、移住を考える相談者と地域をつなぐ認定NPO法人。

2002年に、オフィスの一室からはじまりました。

現在は、44都道府県と静岡市が移住相談窓口をかまえ、60人以上の移住相談員が在籍する大きなチームに。

今回は、早川さんが事業の中心をになう新規事業の求人です。

地方自治体からの移住促進イベントの受託事業。移住や関係人口づくりを目的とするイベントを受託し、企画から運営までを行っていきます。

首都圏育ちで、地域に興味がある。地域に軸足を移したいけれど、仕事のつながりがない。民間企業で自分がやってきたことは、地域で活かせるの?

そう思っている人は、ふるさと回帰支援センターで“サッカーでいうボランチ”のように働き、有楽町にクレジットを残すのはどうでしょう。

 

ふるさと回帰支援センターは、東京・JR有楽町駅前の東京交通会館ビル8階にある。

オープンは、10時。早めに到着すると、職員さんがつぎつぎと出社するところだった。

出勤時間が遅めなこともあってか、みなさんの足どりは少しゆったりめ。

10時になると「お待たせしました〜!」と受付の方に気持ちよく声をかけていただく。

案内されたのは、自治体の関わるイベントを企画運営している「事業部」という部署。

そこでは、早川さんが打ち合わせをしていた。

「1週間後に、栃木県の25町村が集う“オールとちぎフェア”を控えていて。準備の真っ最中なんです」

セミナールームへと移動して、これまでの歩みを聞く。

新卒から、教育系の会社で14年間働いてきた早川さん。ふるさと回帰支援センターへやってきたのは2020年。

37歳、はじめての転職だった。

「自分の経験を活かして、地域に関わる仕事がしたかったんです」

「ずっとひたむきに働いて、管理職も任せていただいて。目標を達成していく手応えを感じつつも、自分のルーツである神戸市や西日本に何かしたい、という思いが年々高まって」

当時は、兵庫県神戸市の移住相談員としての採用。

応募する際のエピソードがある。

「周りからは『給料は下がるけど大丈夫?』と聞かれたんです」

「でも、給料以上に、チャレンジしたかった。前の仕事の経験をもって、外でどれだけ通用するか。自分を試したくて」

神戸市の相談窓口でも、八面六臂の働きを見せていく。相談件数も順調に増え、移住セミナーでは、自ら司会進行や企画も務めた。

しかし、2022年3月をもって、相談窓口がクローズすることに。

そこで、ふるさと回帰支援センターの理事長から声がかかった。

「早川くん、ここでもうひと頑張りしない?」

異動先の事業部では、新規事業の立ち上げが進んでいた。

その責任者が水谷部長。

水谷さんが準備していたのは、自治体からの移住イベントの受託事業。

「企画を描くところから地域に携われる。最高の力試しの場だと思ったんです」

新規事業を立ち上げる経緯は、次のようなものだった。

東京交通会館の12階には、約300坪の貸しイベントホールがあり、自治体が移住のイベントを開催している。ふるさと回帰支援センターもサポートに携わってきた。

長年、いろいろなイベントに携わるなかで、ぽつぽつと、気になることが増えていく。

「地域からはるばるゲストが訪れるのに、来場者がまばらだったり。告知ポスターのデザインはよいけれど、ゲストの人選に『?』が残ったり」

「自分たちが企画段階から関われたら。もっといいものにできる」という思いが募る。

2022年にスタートした新規事業は、順調に成長を遂げている。

初年度は、栃木県と群馬県の事業を受託。

つづく2023年度は、高知県、栃木県、宮城県、群馬県、富山県から受託。売上ベースで、350%増。次年度は、ますます増えそうな気配がある。

現在は、イベントの受託事業を2.5人体制で運営している。事業拡大を見込み、増員を行うこととなった。

どのように働くのでしょう?とたずねると「大変ですよー」と早川さん。

「帰りの遅い日もあります。ぼくは山手線内に住んでいるんですけど、終電ギリギリで帰ることもあります」

どう大変なのだろう。

ここで早川さんが見せてくれたのは、事業部の仕事一覧。

「やることが多いんです」

パッと目についたものだけでも企画、制作、プロモーション、調整事業、会場設営、参加者のアンケート集計など。すべて数えると、23グループ・120項目も仕事があった。

早川さんは、自分たちの働きをサッカーにたとえる。

「ボランチかなあ。募集したいのは、ふるさと回帰支援センターのボランチです」

ボランチとは、ポルトガル語で「ハンドル」を意味する。ディフェンスが危うくなるとゴール前まで戻り、チームが攻めに転じれば、前線に最高のパスを送る。

点取り屋というよりは、チームの舵取り屋というイメージ。

ボランチは、ふるさと回帰支援センターをどのように動きまわるのだろう?

開催を来週末に控えた栃木県のイベントを例に聞いていく。

「オールとちぎ移住&しごとフェア」は、2022年より栃木県から受託している事業。

イベント会場には、北端の那須町から南端の野木町まで、25市町が集う。くわえて、マルシェや体験コーナー、ローカルのゲストを招いたセミナーも開催。

事業部の仕事は、企画書づくりからはじまる。

というのも、自治体の事業には、数社によるコンペを経て、よりよい企画を提案した事業者が仕事を受託するという流れがあるから。

2023年度に栃木県へ提出した企画提案書を見せてもらうと、30ページ以上にわたる、ずっしりとしたボリューム。

コロナがひと段落したタイミングにあわせ、テーマを「リアル」と「交流」とした。

栃木県の移住の現状分析を行った上で、企画内容を固め、イベントのゲスト候補までをリストアップしていった。

これがなかなか大変な作業。

「提出期限の1時間前まで企画を詰めて、大急ぎで印刷。郵便局に駆けこんで『速達でお願いします』って。締切当日は、バタバタですね」

受託が決まり、6月ごろから県の担当者と打ち合わせがはじまる。

そして、10月のイベントに向けて準備を進めていく。

この4ヶ月間、事業部の担当者はいろいろな肩書きを担っていく。

まずは、プロジェクトマネージャー。

イベント当日までのスケジュールを組み立て、スケジュール通りにプロジェクトが進むよう、進行管理を行う。運営に関わる人も100人規模。大きなイベントだ。

かと思えば、イベントプランナー。

「会場のレイアウトを考えて、設営会社さんに発注して。イベントのトークゲストを選定して、出演依頼もします。かと思えば、来場者に栃木のお土産をお渡しできるように準備も進めます」

それから、プロモーター。

イベントにおけるゴールとは、会場で密度の濃いコミュニケーションが育まれ、ひいては、移住や関係人口づくりにつながること。

そのためには、確度の高い集客につながるプロモーションが欠かせない。

告知用のティザーサイトの手配も、紙のフライヤーの準備も必要になる。

「オールとちぎのイベントなので、制作もオールとちぎでやりたくて。フライヤーのデザインは、栃木に住むデザイナーさんにお願いしたんです」

早川さんがいそがしいのは、こうして一つひとつの仕事をつくり込んでいくからかもしれない。

「イベントを企画運営する上では、移住を考えている参加者や、クライアントである自治体だけでなく、受け入れを行う地域の人たちにも喜んでもらえるものにしたいんです」

どこまで手をかけるかは自分次第だけれど、仕事は120種類あるからこそ、できることも120通りある。

今回募集する人は、プロジェクトの企画運営や進行に携わった経験があるといい。今までのキャリアをどう地域に活かせるのか、と腕試しをしたい人も歓迎。

ふるさと回帰支援センターに入職したら、まずは、早川さんと机を並べて、一つひとつ仕事を覚えていく。

「一緒に企画に取り組みながら全体像をつかんでいき、だんだんと仕事をお任せしていけたら」

2024年度には、一つのプロジェクトの企画運営を自分でできるようになってほしい。企画書づくりからできるようになりたい、という人も歓迎。

とはいえ、オールラウンドにこなしていくのは早川さん自身も「めっちゃ大変」だそう。

自身の得意不得意も見極めつつ、事業部のみなさんと協力していってほしい。

 

ここで、早川さんが向かったのは栃木県の移住相談窓口。イベントの会場レイアウトについて打ち合わせがあるという。

迎えてくれたのは、栃木県の移住相談員である生田さん。

生田さんは、日々、栃木県の移住相談の窓口となっている。

「限られた時間のなかで進めていくからこそ、日ごろのコミュニケーションがイベントの成功に直結します。事業部のみなさんと近い距離感で走りぬけながら、一緒にイベントをブラッシュアップしていけるのがよいですね」

生田さんは、今回あわせて募集する宇都宮市の移住定住相談窓口「miya come(ミヤカム)」をはじめ、栃木の人とつながっている。だからこそ、「那須塩原市でカフェをはじめた人がいるらしい」「最近の農業分野の移住トレンドは…」といった生の情報が行き交う。

ふたたび、早川さん。

「45の地域と日々関わる移住相談員のみなさんがいるからこそ、イベントも受託できる。ここでしかできない仕事という気がしていて。ふるさと回帰支援センターが培ってきた関係性を、イベントという形にしていく仕事なんですね」

「しんどい面もすごくたくさんあるんですけど…やっていて楽しい。自分の企画が形になることも、人とつながりができることも、自治体の方や移住相談員の方から『よかった!』と言ってもらえることも。ぜんぶありがたいです」

これから働く人の道すじについて。

事業部からのメッセージとして、早川さんが異動した日に水谷部長から言われたことばを紹介したい。

「ここで地域を知り、地域とつながりを育み、いつか外に出たとしても、人との関係性から仕事をつくっていける人材になってほしい」

いずれ地元に帰りたい。いずれどこかの地域に行きたい。そのために、地域での仕事のつくり方やプロジェクトの運営を学びたい。そんな人の一歩につながる仕事だと思いました。

最後に、早川さん自身の意気込みを。

「自分の人生の一場面として、ふるさと回帰支援センターで働いています。ここに、ちゃんとクレジットを残したい。そうすることで、一生ものの人とのつながりが、自分に育まれていきます」

(2023/10/14 取材 大越はじめ)

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