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好きな気持ちを伝えたい
おもてなしのはじまりは
八女を愛でる心から

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

心からいいと思えることは、人に紹介したくなる。

自分がいるまちを探検して、いいところを見つけて人に伝える。まちの人たちをじっくり知り、人と人をつなげることで新しい価値を生み出す。

そんなふうにまちを活性化していく仕事を紹介します。

舞台となるのは、福岡・八女(やめ)市。古き良きまち並みが残るこの地域に、「RITA 八女福島」という古民家を改修してつくられた宿があります。

今回募集するのは、宿の支配人候補とまちづくりプランナー。

どちらも先輩がいるので、これまで八女に縁がなかったという人でも大丈夫。

じっくり地域に浸りながら、いろんなことにチャレンジしていける仕事です。

 

八女へは、福岡空港から車で1時間弱。周辺のうきは市や久留米市などと合わせて、筑後地方と呼ばれている。

お隣のうきは市と同じく、八女にも昔ながらのまち並みが残っていて、一部は国の伝統的建造物群保存地区に指定されているそう。

RITA 八女福島があるのもそのエリア。古民家を改装した宿は外観からも趣を感じる。

2022年の8月にオープンしたRITA 八女福島。

「八女福島は商人と職人のまちとして江戸時代に栄えました。戦後も市街地があまり開発されず、昔の街道沿いのまち並みが残ってきたんですね」

八女の歴史について教えてくれるのは、北島さん。

八女の出身。もともと役場に勤めていた方で、当時からまちづくりや空き家活用の取り組みを引っ張ってきた、まちのキーパーソンだ。

RITAの一階でさらにお話を聞いていく。

「太平洋戦争でも、福岡や久留米などは空襲にあったけれど、八女は被害が少なかった。車社会への変化に伴う道路の拡大などの影響も大きく受けなかったので、歴史的な建物が残っているんです」

平成に入って、大型の台風が襲来。壊れた建物の修復に向けて行政も動き、当時役場に勤めていた北島さんは、まち並み保存を進める部署に配属された。

伝統的建造物群保存地区の指定を受けるために奔走したのも北島さん。その後、自らNPOを立ち上げ、官民の両面から空き家問題に向き合うように。役場を退職後も精力的に活動している。

「このまちの風景を子々孫々まで伝えていきたい。そんな思いで、地域の人たちと一緒に活動しています」

宿の事業も、空き家再生の動きのひとつ。RITA 八女福島には母屋に2室、離れた場所に一棟貸しの客室が1室あり、2024年にはもう1棟増える予定だ。

「空き家はまだあるので、関係人口を増やすためにも、あと10室以上はつくりたい。ほかに足りない機能でいうと、ふらっと寄れるカフェとかがあったらいいかな」

「移住者が増えてくるなら託児所とかね。雇用も生まれるので、地域の人にとってもいいことだと思います」

今回募集するのは、支配人候補とまちづくりプランナー。いずれにしても、地域で活動する北島さんの力も借りて活動していくことになる。

「積極的にコミュニケーションをかわしていく心構えがある人がいいかもしれないですね。やはり地域の人とうまくやらなきゃいけないので」

空き家活用の経験豊富な北島さん。困ったことがあればいろいろと相談できる存在だと思う。

 

そんな北島さんのアドバイスを受けながら活動しているのが、RITAの支配人兼エリアマネージャーの玉垣さん。

うきはや久留米など、九州各地のさまざまな場所でまちづくり事業に携わっている、株式会社つぎと九州で働いている。

「ようこそ! ではいつも通りにやらせてもらいますね」と、部屋のチェックインを実演してもらった。

名前などを記入するのは一般的な宿と同じ。そのあと、周辺のお店などの情報が載ったマップを手渡してくれた。

「いまここにいるんですけど、茶色の道を進むと歴史的なまち並みをきれいに見ながら歩いていただけます。お店がたくさん点在しているんですが、お酒を飲むならここで、買うならここ」

「このバーはマスターが面白くて、テンションが上がってくるとテキーラをみんなに配るんですよ。その通りの奥にある焼き鳥屋さんもおいしいです。あとはもつ鍋屋さんかなあ。トマトもつ鍋とかレモンもつ鍋とか、10種類以上のもつ鍋があります」

地図を指差して書き込みながら、どんどんまちのことを教えてくれる玉垣さん。たのしそうに話してくれるから、聞いていて心地いいし面白い。

たっぷりチェックインの時間をとったあとはお部屋に。

なかには、もともとこの家にあったという古家具も置いてある。古民家の雰囲気を活かしつつ、水回りやベッドなどは新たに設えられていて、清潔感がある。

部屋にはお茶の飲み比べセットが置いてあって、全国的に有名な八女茶の品種ごとの味の違いが体験できるようになっている。

「普段わたしたちが飲んでいるのはブレンドされたお茶です。でも実は、単体の品種ごとに飲んでみると、味わいがぜんぜん違うんですよ。わたしはそれを体験したときに感動しちゃって。お客さまにも感じてほしくて用意しているんです」

マップもそうですが、これだけ地域のことを教えてくれたり、体験できるセットを置いてくれたりする宿って、なかなかない気がします。

「そうですよね。わたしたちはこれが大事だと思っていて。マップも渡すだけだと面白くないし、せっかく来てくれたからには、お客さまに地域の良さを知ってもらいたい。だからうちのチェックインって長いんですよね(笑)」

玉垣さんは宿の支配人と並行して、八女のエリアマネージャーとして地域住民を巻き込んだまちづくり活動や古民家物件の開発、イベントの企画運営など、幅広い仕事を担っている。

今回の募集は、玉垣さんが担っている業務を分割する意味合いもある。支配人業務とまちづくり業務を任せることで、玉垣さんが新しい物件の開発や企画により力を入れられるようにしていきたい。

支配人は主に宿のオペレーションと責任者としての仕事を。まちづくりプランナーは、地域の人を巻き込んでいろいろイベントを企画したり、それを実行・運営したりするところまで関わることになる。

とはいえ、新しく入る人にとっては馴染みのない地域で、わからないことも多いはず。最初は玉垣さんに付いて教えてもらいながら仕事を覚えていくことになると思う。

「支配人もまちづくりプランナーも、地域の人と関わる機会は多いと思うんです。お茶屋さんと一緒に飲み比べセットをつくるとか、地域の人がつくったアート作品を飾るとか。みんなの『ちょっとやりたいな』って思ったことを実現できるようにするのがまちづくりだと思っていて」

「宿っていうのは、そのきっかけをつくれる場だと思うんですよね。宿業務の先に広がることがたくさんある」

そんな玉垣さんがいま企画しているのが、7+1pieces restaurant(セブンプラスワンピーシーズレストラン)。

地域のお母さんたちに地元の食材を使った伝統食をつくってもらい、プロの料理人のアイディアと技術をプラスして、現代風に盛り付けして出すというイベント。

八女地域にある7つの地区それぞれの風土を食すことをテーマにしている。

「たとえば立花町と星野村っていう地域があるんですけど、1品目は立花、2品目は星野の食をお出しする。立花のお料理に合わせるのは、立花の八女茶と立花でつくられているお酒」

「土地の豊かさを発信しつつ、その料理をつくってかっこよく盛り付けているのは地域のお母さん。力強く、繊細で、とてもかっこいいんです」

地域の人も、自分たちにとって当たり前だと思っていたことでたくさんの人が喜んでくれたらうれしいだろうな。

今後はお母さんたちの料理の腕を活かし、伝統食を教えるセミナーも開催したいそう。まちづくりプランナーは、こういった企画を積極的に生み出して動かしていってほしい。

「地域で輝いている“きらきらさん”を見つけていくと、不思議なことにまちづくりの事業につながっていくんですよ。わたしたちが宿泊事業をする意味って、こういうコミュニティを生んでいくことやったんやなって、この一年実感しています」

「そこで必要になってくるのは、真心だと思っていて。真心があれば、お客さんや地域の人に想いが伝わる。うちの山口も、若いぶん元気すぎたり、拙い敬語やったりするんですけど、真心があるので大丈夫なんですよ」

 

そう紹介してくれたのが、最年少の山口さん。

高校卒業後、新卒で2022年の4月から働きはじめた。実家もここから近いそう。

「もともと接客業がしたくて。高校時代もファミレスでバイトしてたんですけど、お客さまと話すのが楽しかったんですよね」

RITAは知り合いの人に紹介してもらい、そのとき初めて玉垣さんと出会った。

「『なにも知らないですが、なんでもがんばります!』って宣言しました。ここまで育てていただいて、ありがとうございますっていう気持ちです(笑)」

隣の玉垣さんを見ながら笑顔で話す山口さん。

敬語の使い方など、細かいところはまだまだ伸び代がある感じだけれど、話しているだけでこちらも笑顔になる。不思議なパワーがある人だ。

「『いらっしゃいませ』って迎えるのも大事なんですけど、それよりも『おかえりなさい』って自然に言えるような接客がしたいんです。地元に帰ってきた気分で過ごしていただきたいなって思っています」

ここで玉垣さんがすかさずツッコミを入れる。

「外を歩いている小学生にも『おかえりー!』とか言ってるんですよ。すごいですよね。面白い子やなと思って(笑)」

オープンからしばらくの間は、玉垣さんと山口さんふたりで宿を運営していた。絶妙な掛け合いも、お互い信頼しあっている証拠なのだろうな。

再び山口さん。

「お客さまに『八女に来てよかった』って言っていただくのがうれしいですね。まだまだ敬語の使い方とか、電話対応とか。今後も努力しないといけないことはたくさんあると思ってます。日々勉強ですね」

宿の基本となる業務は、お客さんを迎えるチェックインと翌日の朝食出し。チェックアウトの対応が終わったら、パートさんにも入ってもらいながら部屋の掃除をする。

今回募集する人は、ホテル業経験者だとありがたいけれど、未経験でも構わないとのこと。

お客さんに対して真心を持って接することができるか。そのホスピタリティを一番に求めたい。

「人と関わるの苦手やけどやってみたいな、けどやれないな、でもやってみたい… みたいな。チャレンジ精神があればいいのかなと思うんです。あとは人をお迎えする気持ちを持っていれば大丈夫だと思うので」

「自分がいいなと思ったことを、素直にお伝えすることがまちづくりにもつながっているので。八女を愛でてほしいです。八女のいいところ探しをしながら、一緒にそれを伝えていけたらいいなって思います」

 

いい人が集まるところには、次々といいご縁が生まれていく。新しい活動が始まって、よりたのしく、面白いまちになっていく。

そんないい循環が、八女では生まれているように感じました。

興味がある人は、ぜひ一度訪れてみてください。その真心と八女を愛でる気持ちに、きっと心動かされると思います。

(2023/11/21 取材 稲本琢仙)

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