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清らかな水の地で
宿を起点にまちづくり

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まちに根付いた宿には、泊まってもらうだけではない可能性があるように思います。

たとえば、スタッフが地域のことをよく知っていれば、おすすめのお店を教えることができるし、そこにお客さんが実際に訪れることで、新しいお金の巡りや人のつながりが生まれる。

まちづくりの起点になることさえあると思うのです。

今回紹介するのは、そんな宿の可能性を追求している人たち。

空き古民家を改修した宿を拠点に、まちの活性化を見据えた事業をしている株式会社tsumugi。

数棟の古民家からなる分散型の宿泊施設を運営していて、九州では主に福岡県うきは市などを中心に、昔ながらのまち並みを守るための活動をしています。

今回は宿泊事業の責任者と、現場を取り仕切る支配人候補、そして宿のスタッフを募集します。責任者と支配人候補については、近隣の八女市で運営している宿も見ることになります。

宿泊業の経験があってもなくても、まちづくりに興味があったり、1から仕組みや企画をつくることに面白がって取り組めたりする人は、活躍できる環境です。

 

福岡県の南東部にあるうきは市は、福岡空港から車で高速に乗って50分ほど。

山に囲まれた平地にあって、湧き水が豊富。水質もよく、家庭の上水道には湧き水が使われているそうだ。

今回募集する宿「みなも」は、うきは市の吉井町という地域にある。

白壁の町屋や土蔵が連続するまち並みと、立派な庭木に包まれた屋敷や社寺建築。さらに吉井の経済基盤を支えてきた河川や水路などが一体となった、歴史的な景観が残っている。

みなもは、街道沿いにある古民家を改修してつくられた宿で、2022年の7月にオープンした。

暖簾をくぐって中に入ると、「こんにちは、おひさしぶりですね」と、株式会社つぎと九州の神谷さんが迎えてくれた。2年ほど前、オープンする前のタイミングでお会いして以来だ。

神谷さんが所属するつぎと九州は、九州を中心に古民家活用を軸にしたまちづくり事業に携わっている会社で、tsumugiの親会社的な存在。

お元気そうでなによりです。

「ありがとうございます。あのときはサポート的な仕事が多かったんですが、今はエリアマネージャーという肩書きで仕事をしています」

エリアマネージャーは、どんな仕事なんですか?

「うきはを中心に、宿泊施設の開発やイベントの企画に携わっています。行政から空き家調査の事業を受託したりと、まちづくりにかかわる事業にも広がっているところです」

もともとは海外の不動産にかかわる仕事をしていた神谷さん。うきは市の地域おこし協力隊となったことから、みなもの立ち上げにかかわることに。

協力隊卒業後はつぎと九州に入社し、宿のオープン準備から運営まで奔走してきた。

「いやぁ、すごく大変でしたね。宿は初めての経験で、しかも立ち上げを任せてもらったので、わからないことだらけで」

「家具や茶碗一個決めるのにも、無限に選択肢があるなかで、こっちだ! って決断しないといけない。大変だったけどいい経験になりました」

みなものコンセプトは「水に支えられたうきはの営みに浸る」。

施設の設えやサービス内容なども、このコンセプトを念頭に決めていった。

たとえば、阿蘇山や耳納(みのう)連山から流れくる良質な地下水を肌で感じる専用浴場とサウナ付きの部屋があったり、川のそばで水の音を感じられる一棟貸しの客室をつくったり。

蔵を改修して昨年オープンさせた一棟貸しの建物には、バーカウンターを設置。うきはの水を使って、宿泊客自身でカクテルをつくって楽しめるようになっている。

「バーをつくったのは、『BAR うきは』っていうイベントを企画したのが大きなきっかけです。うきはのおいしい水と氷を使ったお酒は絶対おいしいよね、っていうところから考えた企画で」

うきは市に点在する数カ所の建物をバーに見立てて、お客さんに各会場をまわってもらいながらバーの空間とお酒を楽しんでもらうというイベント。ドリンクの提供はプロのバーテンダーに依頼した。

一昨年と昨年の2回開催していて、福岡方面からや海外のお客さんも訪れるなど、好評だったそう。

歴史ある建築と、きれいな水。うきはの強みを活かすことで、企画の強度も、このまちで行う必然性も高くなる。

なおかつそれを形にできるのは、地域の人にも協力してもらえる関係性があってこそ。

「わたしたちには、地域の人や行政の人と一緒に、もっとまちを盛り上げていくんだっていう大きな目標がある。宿はそのための手段のひとつなんです」

まちのことにも詳しい神谷さん。協力隊時代から地域にかかわってきた積み重ねが今に活きている。

新しく入る人にとっても心強い存在になると思う。

「オープンしてまだ1年4ヶ月ですが、海外のお客さんが増えてきていて、それはうれしいことですね。一方で、支配人の安村さんに負担がかかり過ぎているとか、課題もあって。改善していくべきことも多いと思っています」

 

そんな神谷さんとタッグを組んでみなもを切り盛りしている、支配人の安村さんにも続けて話を聞く。

これからここで働く人は、日々の業務について安村さんから教わることになる。

「11月は行楽シーズンなのもあって、売り上げが伸びていて。うれしい反面、スタッフが足りずにいっぱいいっぱいになっているので、多少つかれております(笑)」

「インバウンドが回復して、平日にもご予約いただくことが多くなりました。海外からは韓国の方が8割くらいで、台湾や香港、マレーシア、タイからも来ていただいていますね」

うきは市は、ぶどうや梨などのフルーツ栽培が盛んな地域。とくに秋は多くの人が訪れる。

パートさんたちのシフト管理をしつつ、自らも現場に入っている安村さん。部屋の掃除やチェックインからチェックアウトまでの対応、朝食提供やまちの案内など、やることはさまざま。

現状、みなもの客室は、母屋の4室に加えて一棟貸しの建物が2棟ある状況。今後も空き家があれば改修していきたいという。

もともと、うきはを含む筑後地域に魅力を感じていたという安村さん。

どういったきっかけで働くことになったんでしょう。

「九州出身で、昔は番組制作プロダクションのディレクターとして働いていたんです。そのときに、地域のネタを筑後地域で探すことが多くて、取材でよく訪れていたんですよね。それが15年くらい前のことです」

その後、番組制作プロダクションを退職。JICAの青年海外協力隊に参加して、コスタリカでコミュニティ開発の仕事に就き、任期後もコスタリカで暮らしていた。

ただ、コロナ禍で仕事がなくなってしまった。生活のためにメキシコに移住したものの、治安がよくなく、日本に帰ってくることに。のどかなところで暮らしたいという希望からうきはを選んだ。

「みなもの事業に一番惹かれたのは、宿を通してまちづくりをしていることでした。地域の人と一緒にイベントを企画したりして、まちを活性化する。コスタリカでも地域にかかわる仕事をしていたので、重なるところがあると思ったんですよね」

「入ってみて思ったのは、tsumugiはベンチャー企業なので、1から10まで自分たちで動かないといけない。大変だけど、新鮮な感じでした。これもわたしが決めていいんだっていう、驚きもありましたね」

たとえば経理でも、自分たちで買い物に行って精算して、レシートは全部ここで管理してと、大きな会社では分業化されていることも、すべて自分たちでやらないといけない。

「施設の不具合が起きたときも、業者さんを探して見積もりを取ったりして。神谷さんに相談したり、自分たちで調べたりしながらって感じですね」

うきはは、住んでみてどうでしょう。

「うきはって移住者が結構多いんですよ。それもあってか、移住者にも観光客にもオープンな人が多い印象です。あとはフルーツがおいしいし、お水もとってもおいしい。耳納連山も見えて、空気がおいしく感じます」

とくに宿周辺の吉井町は、美しいまち並みに水路が巡っていて、歩いているだけでも心地いい。水もきれいで、食や景観も秀でているというのは、素直にうらやましいなと思う。

「ベンチャーだから自分たちでやらないといけないことが多いって言ったんですが、言い換えると、好きにできる部分も多いんですよ」

「自分がこれやってみたいなって思ったら、やらせてくれる土壌があるというか。わたしだったら、指定管理を任されている鏡田屋敷っていう建物で、ラテンの会を開催したり、ヨガ教室を企画したり。地域の人を巻き込みながら、やりたいことを形にできる場所があるし、それを許してもらえる環境でもあると思います」

安村さんはどんな人と一緒に働きたいですか。

「いろいろやってみたい、意欲のある人が向いているのかなという気はしますね。もちろん、ホテル業とかレセプションとかまちづくりとか。あとは語学ができたら、すごく活きると思います」

 

最後に話を聞いたのは、現場を裏で支えている早川さん。主に総務や労務など、バックオフィスを担当している。

「新卒でコーヒー屋さんに入社して、12年働きました。店長業務とかマネージャーを任せてもらって、それはいい経験でしたね。退職したあとはEC事業をしている会社で働いて、ふるさと納税の仕事もしていて」

「採用してもらったのも、tsumugiとしてゆくゆくはふるさと納税の事業をしたいっていうところからだったようで。わたしの経験で力になれたらいいなと思ってます」

地域に根付いた活動をしているぶん、地域のいいものはよくわかっている。それをふるさと納税に活かせば、さらに地域のよさを発信することにつながる。

加えて、現場で働いているスタッフのケアも、早川さんが取り組んでいることのひとつ。

「わたし自身はお宿で働いていないので、直接何かをしてあげることはできないけれど、話を聞いたり、仕組みを整えたりすることはできるかもしれない。そのために、時間を惜しまず使いたいって思っています」

「みんなで楽しく働いてほしいし、自分も楽しく働きたいじゃないですか。まだまだ成長しつつある段階なので、根気強くより良い組織にしていきたいですね」

宿としても、会社としても成長段階にあるみなも。早川さんのように、よりよくしていこうと考える人たちが裏方で構えてくれていることも、安心材料のひとつだと思う。

 

みなもに関わるみなさんの話を聞いていると、前向きな気持ちになってくる。自分がもしここで働いたら、こんなこともできるんじゃないか、という想像が湧いてきます。

それは働いている人たちが明るく前向きで、面白いこと、うきはのためになることをやっていこうという活力に溢れていたからかもしれません。

気になる人は、ぜひ一度tsumugiのみなさんに会ってみてください。ともに成長していくダイナミクスを感じることができると思います。

(2023/11/21 取材 稲本琢仙)

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