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挑戦の一歩に伴走する
団地のエアポート

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「この団地が抱える課題と地方の抱える課題は限りなく近いものがあると思っていて」

「ここは『コトを起こす場』なんです」

新しいチャレンジも、見守ってくれる人がいたら頑張れるもの。まちの人の「やってみたい」を応援する、そんな場所が日本最大級の団地・花見川団地に誕生します。

およそ5700戸から成る、千葉県千葉市の花見川団地。敷地内にはスーパーや商店街、周辺には幼稚園・保育園・小学校が複数あり、ひとつの町のようになっているのが特徴です。

ただ、少子高齢化の影響もあり、入居者は年々減少。高齢化率は50%近く、とくに子育て世代を増やすことが求められています。

ここにできるのが、「コミュニタ花見川」。今回は地域とのつながりをつくりながら、まちの人の「やってみたい」を形にしていく人を募集します。

具体的には、コミュニタ花見川の家守をしながらイベントを企画する人と、放課後の子ども見守りと子ども向けワークショップを担当する人、そして施設管理スタッフの3職種。

週1、2回の勤務、業務委託もしくはアルバイトでの採用を予定。学生や、本業+αでなにかチャレンジをしてみたいという人も大歓迎です。

プロジェクトを手がけるのは、株式会社Hub Tokyo。社会にインパクトを生み出そうとする人々が集まるコミュニティ、「Impact HUB Tokyo」(以下、IHT)を運営している会社です。

Hub Tokyoの活動に興味のある人はもちろん、地域振興や地方創生に興味のある人にも合う仕事だと思います。

自分ならどんなことができるだろう。想像しながら読み進めてください。

 

花見川団地へは都内から電車とバスで1時間半~2時間ほど。

最寄りの八千代台駅からはバスが10分間隔で出ていて、交通の便はいいと思う。

花見川交番で降り、階段を登ると、商店街が広がる。

団地内につくられた商店街の一部で、1階が商店、2階が居住スペースになっている。スーパーや郵便局、昔ながらの個人商店が並んでいて、なかなか便利そう。

掲示板にはバザーやサークル活動、新しくできたシェアスペースでのワークショップのお知らせなど。活動的な人が多い団地なんだな。

コミュニタ花見川は、5分ほど歩いた北街区にある。保育園のすぐ隣だ。

作業している人に挨拶すると、「こんにちは!」と元気な声で返してくれた。千葉工業大学の学生さんで、コミュニタ花見川のリノベーションを手伝っているそう。

作業の様子を見学しながら、2階へ。

最初に話を聞いたのは、Hub Tokyo代表の槌屋さん。目黒のIHTからオンラインでつないでくれた。

「このプロジェクトは数年前、IHTに通っていたUR団地の方から相談されたのが始まりでした」

高齢化と過疎化が進む花見川団地。

高齢者も若者も住みたいと思うような、にぎやかなコミュニティをつくるにはどうしたらいいか。壁打ちを繰り返すなかで、Hub Tokyo自身が団地でなにかできないかと考えるように。

人類学者による住み込みのリサーチをもとに生まれたのが、コミュニタ花見川の構想だった。

「夏祭りや商店街のイベントなど、すでに暮らしのなかでのコミュニティの営みはあって。ただ、人材とかお金とか、誰かがどこかで無理をすることで続いているもの。そこに私たちがビジネスを入れ込んでも状況は変わらないなと」

「団地だけの経済で閉じないで、いろんなビジネスやアイデア、人材がこの花見川団地に舞い込んでくるようにする。それらが地域と接続されて、また飛び立っていく。そんな仕組みをつくることが、持続可能なコミュニティづくりにつながると考えたんです」

槌屋さんはそのあり方を「エアポート」と呼んでいる。

「これまでつくってきたのも、思えばエアポートでした」

たとえば、かつてHub Tokyoが立ち上げに関わった、長野県塩尻市のシビック・イノベーション拠点「スナバ」。

現役の高校生がビジネスをはじめたり、主婦が融資を受けて会社を立ち上げたり。起業家や会社員、役場職員、NPO、そして市民。多様な人々が肩を並べ、さまざまな新規プロジェクトや市民起業家を生み出してきた。

「そんなインパクトを、100㎡にも満たないこの団地の一角で起こすことができたら、同様の課題を抱える地域にも横展開できるはず。今回はその最初の1軒なんです」

団地の近隣には子育て世代など若い人たちも多く暮らしている。そのなかには起業など「やってみたい」ことを持つ人もいるんじゃないか、というのが槌屋さんたちの仮説。

「事業をつくる、じゃなくても全然よくて。温めていたアイデアがなんらかの形で一歩前に進むことが大事。人に話すっていうのもひとつの仮説検証なんですよ。その積み重ねがこの地域を変えていくと思うんです」

4月下旬からオープンするコミュニタ花見川。新しく加わる人には、ここを拠点に地域の人との関係性をつくっていってほしい。

「ここでなら話しても否定されないな、面白がって聞いてもらえそうだな。逆に、ほかの人のアイデアに対して、自分になにか貢献できることはないか、とか。インパクトが生まれるのって、そう感じられる場だと思うんですね」

たとえば新しく加わる人がファシリテーションを得意とするなら、ファシリテーションを学ぶイベントを開くのもいいかもしれない。参加者は学びの機会を得て一歩前に進めるだろうし、ほか参加者とのつながりも生まれる。

「同じ目的のもと集まった人って、考えていることを共有しやすくなるんです。イベントの企画運営や団地内外の人との交流を通じて、そういうつながりを少しずつ増やしていきたいですね」

 

コミュニタ花見川の1階はイベントや子ども見守りのスペース、2階は会員制のコワーキングスペースになる予定。

どんな場になるのか、教えてくれたのはコミュニティ・ビルダーのウォーカーホールさん。

花見川団地のプロジェクト進行と設計を手がけている方で、新しく加わる人と関わる機会は多いと思う。

「コミュニティは生き物で、有機的なもの。人だけじゃなく空間も互いに影響を与えて変わり続けるから、その場に身を置いてちゃんと感じることが大事で」

その考え方はコミュニタ花見川にも活かされている。

住居のような空間の2階に対して、1階はスケルトン。間仕切りはカーテンで調整、椅子もキャスター付きで動かせるようになっていて、使う人次第で工夫ができそうだ。

「完成されている場所って、入り込む余地があんまりないじゃないですか。ここは見せる人、見せられる人って関係じゃなくて、訪れた人が『自分だったらどう使うだろう?』と、思わず想像したくなるような空間にしようと思っています」

建物から外を見ていると、こちらが気になるのか、通りすがりにのぞいていく人も。作業中の大学生にと、差し入れをくれたおばあちゃんもいた。団地の人たちもここがどんな場所なのか気になっているみたい。

住み込みでリサーチをしていた人類学者の方曰く、この団地で暮らす人は結束力が強く、なにか新しいことをしていくモチベーションも高いそう。

団地ではすでにMUJI HOUSEがリノベーションで関わっている関係で、無印良品がPOP-UPショップを定期的に開催するなど、団地を盛り上げようと働きかけている。

新しく加わる人は、拠点の管理もしつつ、地域行事に参加することや、団地内外で活動する人と関係性をつくっていくことも仕事になる。

「地域の人とのコミュニケーションを楽しめる人がいいですね。あとは自分で考えながら進めていくことに抵抗がない人」

「これといった正解があるものではないんです。イベントの組み立ても、見守りのオペレーションもやりながら考えていくので。これはどうだろう?じゃあ次はこうしてみようと、一緒に試行錯誤できる人がいいですね」

 

関係性をつくるなかで、やってみたいことを相談してくれる人も現れると思う。どんな形で実現するのがいいのか、新しく加わる人には、チームの力も借りながら形にしていってもらいたい。

すでにいくつかイベントを実施しているそう。どんなものがあるんんだろう。

教えてくれたのはコミュニティ・ビルダーの三塩さん。IHTを中心にイベントの企画運営を手がけてきた方で、頼りになると思う。

「IHTのメンバーさんで、写真が好きなのを活かしてなにかしてみたい、という方がいらっしゃって。目黒でイベントを企画したことがあったんです」

イベントでは、ビジネスポートレートのほか、家族やペットとの写真を撮影、その場で額装もお願いできる。

「話しながら撮影してくれるので、自然と笑顔になるんですよね。その空気が写真にも表れていて。IHTの裏に住む方が『なかなかこんな機会もないから』と言って、ペットと一緒に遊びに来てくれたり、反応もよかったんです」

話すなかで、その人が写真以外にも、地方創生に興味があることを知っていた三塩さん。花見川団地でイベントをやってみないか、と提案したところ快諾してもらった。

「その方にとっては、目黒じゃない、ローカルな場所で自分の仕事がどれくらい通用するのか試すきっかけになりますし、地方創生に興味のある人には向いている場所だと思うんです」

ニーズはあるか。価格設定はどのくらいがいいか。やってみることで得られる情報はたくさんある。

「こういう機会があることは、地域の人にとっても刺激になると思うんですよね。いままで出会ったことのない職種の人に出会えることもあるかもしれないし、会話するだけでも別のストーリーが入ってくるというか」

多様な価値観を持つ人同士が関わりあうことで、イノベーションが生まれる。それはまさにIHTの運営で実感してきたこと。

団地の一員としてコミュニティに参加しつつ、外の世界と団地をつないでいくことも、コミュニタ花見川の役割だと三塩さん。

「多様な世代が交わりあうコミュニティをつくっていくのが、このプロジェクトの目的でもあるので。団地にいるといろんな相談があると思うんです。でも、誰でも使える公民館みたいになってしまうのは、私たちがやりたいこととたぶん違っていて」

やりたいこと、あらためて言葉にするとどんなことでしょう。

「ここが仮説検証の場になるってことですかね。相談されたらつい引き受けたくなると思うけれど、一度立ち止まって『なぜここでやるのか?』というのをクエスチョンできるといいと思います」

「なぜここでやりたいのか、考えてもらうプロセス自体が仮説検証になる。そのうえでやりたいとなれば、どんなプログラムがいいか、プロモーションはどうするかとか。一緒になって考えて、気づいたらそれが創業支援だった、というのが理想ですね」

イベントの企画や伴走の仕方については、三塩さんをはじめチームの知見を借りながら学んでいけると思う。大切なのは、関わる人たちのことを知ろうという姿勢と、ときに物事を俯瞰して見ること。

 

話を聞いて、まさに仮説検証のような取り組みだと感じました。

仮説という旗を立て、一歩一歩進んでゆく。その繰り返しで新しい取り組みが生まれていくのだと思います。

ともに挑戦する人を求めています。

(2024/2/29 取材 阿部夏海)

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