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横浜にVlagが立つ

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1859年7月1日。

小さな村だった横浜は、開港を機に国内外からさまざまな技術・文化・人が集まるように。

ビール、新聞、写真、パンなど。いち早く西洋文化を取り入れ、多くの外国文化が横浜から日本中に広まっていきました。

新しいものや、見たことのないものを受け入れ発展してきた歴史をもつ横浜。今年の6月、事業共創施設が新たに誕生します。

その名は、「Vlag yokohama(フラグヨコハマ)」。

会員制のワーキングラウンジ、プライベートオフィス、カフェ・バー、ホール・スタジオなどの機能を融合し、共創を通じて社会をより良くする種を生み出すことを目指しています。

事業主は、株式会社相鉄アーバンクリエイツと東急株式会社。企画・設計・運営を一緒に担うのがUDS株式会社。

UDSに所属し、Vlag yokohamaの立ち上げから関わる運営スタッフを募集します。

役割は大きく分けてふたつ。

ひとつは、事業共創を促すようなイベントやプログラムの企画・運営。もうひとつは、オフィス・ワーキングラウンジとホール・スタジオの営業・リーシング業務。

場を盛り上げつつ、施設の売り上げも管理する。ロマンとそろばん、両方求められる仕事です。BtoBの仕事をした経験があるとよさそう。

あわせて、UDSが運営するコワーキングスペース「INBOUND LEAGUE」で働くコミュニティマネージャーも募集します。

 

向かったのは、INBOUND LEAGUE。新宿三丁目駅から歩いて5分ほどの場所にある。

1棟のビルを丸ごとUDSが運営していて、1階には飲食店とフリースペース、2階から上はラウンジやオフィスとレンタルスペース、7階はシェアハウスになっている。

8階の和室に案内されると、UDSのみなさんが迎えてくれた。

はじめに話を聞いたのは、ゼネラルマネージャーの三浦さん。さまざまなワークプレイスを手がけていて、「Vlag yokohama」の企画担当者でもある。

「UDSでは、LEAGUEやNTT西日本さんのオープンイノベーション施設など、単なるワークプレイスをつくるだけではなくて。そこにコミュニティをつくって、会員さんのいろんな事業の成長支援をお手伝いしてきました」

UDSの特徴は、企画・設計・運営まで一気通貫して関わっていること。

三浦さんも、企画の領域を越えてプロジェクト運営にも関わることがあるそう。

「藤沢市の湘南台に学生寮を立ち上げたときは、最初の入居者募集も自分でやったんです。ホームページをつくって、自分の携帯番号を入居希望者の窓口にして」

「入居は2年契約なので、一度決まったら大きな売り上げになる。その時期は最優先で対応していました。入居希望者から電話が来たら、ミーティングの途中でも『ちょっとすみません』って抜け出して(笑)。大学の合格発表の直後は電話が鳴り止まなかったです」

なんでもやるんですね。

「UDSは、それぞれの場所や状況に応じて施設をつくるので、基本的にどれも一品ものなんです。だから必然的に、自分たちでDIYしながらつくっていくことになります」

チームごとに予算を持っていることが多く、案件のジャンルのほかに、本人の希望や案件との相性を踏まえてチームを組むことも。規模も大きい会社で、ここまでシームレスな組織というのは不思議だなあ。

「決まった枠組みのなかで働きたい人だと、戸惑うかもしれないですね」

日本でコワーキングスペースの先駆けともなったホテル「CLASKA」、高校生から社会人までが一緒に暮らしながら学ぶ居住型教育施設「SHIMOKITA COLLEGE」など。

独自性のある場をつくり続けてきたUDS。積み重ねてきた実績から、今回のプロジェクトも声がかかった。

場所は、横浜駅きた西口鶴屋地区。

飲み屋やホテル、オフィスビルなどが広がるエリアだ。

その一画を再開発してできるのが、42階建ての複合施設「THE YOKOHAMA FRONT」。住宅やホテルも入りつつ、その最上階に事業共創施設が生まれる。

事業主は、株式会社相鉄アーバンクリエイツと東急株式会社。UDSは企画から伴走し、6月のオープン後は2社とともに運営も担っていく。

「まずは2社の強みを活かした場にしたいという話があって。鉄道会社さんって、ホテル事業をしたり、住宅事業をしたり。まちのなかにあるいろんな事業を、沿線というフィールドで実行している」

「それを活用できるようなもの、あとは駅前という立地を活かしたもの。何度も議論を重ねながら、コンセプトを決めていきました」

そうして決まったのが、「Vlag yokohama」という名前。

「オランダ語で、『Flag』のことを『Vlag』って言うんですね。施設の会員さんが、自分たちでやりたいプロジェクトやビジョンを立ち上げて、出会った仲間とともに向かって進んでいく。ここで旗印を掲げるイメージでVlagにしました」

Vlagのフロア面積は、およそ1000㎡。

約2000冊の書籍を自由に読めるワーキングラウンジ、6つのプライベートオフィス。

ほかには、誰もが利用できるカフェ・バー、イベントやセミナーなどのさまざまな用途に対応できるホール&キッチンスタジオも兼ね備えている。

「2社と共創する企業や人たちに集まってもらえたらうれしいです。でも、この施設単体で盛り上がるのではなく、もっと広いエリアで捉えていて」

相鉄線は、海老名などのベッドタウンへとつながる路線。東急線は渋谷や五反田など、都市エリアもフィールドに入っている。

つまり、会員が実証実験をしたいときには、それだけ広大なフィールドを使用できる可能性があるということ。

「沿線で出てくる課題は、ほかのまちでも活かせる可能性があると思っています。そういう意味では、地方都市ともネットワークをつくって、Vlagのソリューションをほかのまちに転用するとか、どんどんやっていきたいですね」

地元の金融機関もプロジェクトに賛同し、取り組みに協力できないか調整しているそう。

大手もスタートアップも、会員も一般客も。特定の層・ジャンルに捉われず、さまざまな人が集い共創できる場所だ。

 

次に話を聞いたのは、草野さん。Vlag yokohamaがオープンしたあとは運営にも関わるので、新しく入る人にとっては同僚になる。

大学時代には、船の上でさまざまな国の人とひと月半ほど共同生活をしたり、友だちと一緒にシェアハウスを始めたり。

お仕事も、電子機器メーカーや不動産会社、フリーランスで映像配信など、聞けば聞くほどいろいろ経験している方。

「不動産系の会社なのでトップダウンかと思ったら、フラットな組織でびっくりしました。パソコンも自分で好きに選んでねって言われて。こんなところから自分で考えるんだって」

「昨年の12月からジョインしました。インターネットを引かなきゃとか、利用規約をつくらなきゃとか。収支の調整もするし、なんでもやります」

新しく入る人に任せたい業務は、リーシングと共創を促すイベントの企画・運営。

リーシング業務はオフィスの契約だけでなく、企業や個人にホールを利用してもらえるように、営業・広報活動もおこなう。100人ほどが入る大型のホールで、ピッチやインセンティブイベントなど、年間250日程度の稼働を目標としている。

会員の共創を促すイベントは、たとえば読書会を開いたり、地域の生産者や食のスタートアップ企業などとコラボイベントを開催したり。ラウンジカフェ・バーといった施設の強みを活かした企画ができるといいと思う。

ひとりの人がすべて担当するわけではなく、本人の希望や適性に合わせて役割分担していく。

「あとは、事業共創とか新規事業を立ち上げる前に、ビジョンづくりのサポートをしようとしていて。そのプログラムを開発しているんです」

どんなプログラムなんでしょう。

「対話を通じて、個人の想いを引き出すというか。Vlagは特定のテーマをもった施設ではないので、いいマッチングをするには、支援する会員さんがどんなビジョンを持っているかを知る必要があって」

「ただ、ビジョンを明確に持っている人と、そうでない人もいます。会社としてのミッションはあっても、個人でビジョンが決まっている人ってあまりいないと思うんです」

会員に寄り添いながら、将来の夢や目標を具体化していく。ビジョンメイキングの専門企業に監修してもらいながら、Vlagで内製化するので、新しく入る人も関わることになる。

施設の規模は大きいけれど、1対1の関係性を大切にできる環境のように感じる。

 

最後に話を聞いたのは、谷野さん。

現在はINBOUND LEAGUEでマネージャーを務めている。会員との関わり方について、谷野さんの話は参考になると思う。

「『こんなことがやりたい』って人がいたら、その人に合いそうな人を見つけてつなげるようにしています」

たとえばと言って教えてくれたのは、会社登記の手続き代行サービスをローンチしたばかりの会員さん。

「INBOUND LEAGUEの会員さんのなかには、登記に悩まれている方も結構いらっしゃって。それなら、LEAGUE専用のプランを展開できたら面白いんじゃないかと思い、ご提案したんです」

「実際に登記を考えている方を、その人とつないだこともありました。最終的にはその専用プランをご利用いただいて。そういうことが増えていくと楽しいですよね」

谷野さんの仕事は、INBOUND LEAGUEのビルを一棟丸ごと管理・運営すること。会員同士をつなぐこともあるし、契約書の作成や日々起こるトラブル対応、リーシング業務も自分たちでおこなう。

「当たり前のことですけど、この仕事はコミュニケーションがすごく重要で」

「入居の成約が取れない時期があったんです。そのときに対話力養成講座に参加したんですが、とってもよくて」

どんなところがよかったんでしょう。

「たとえば、3人組になって悩みごとをお互いに話したり、聞いたりするワークがあって。それを観察している人がいて、フィードバックをくれるんです」

「それで気づいたんですけど、ちょっと私は話しすぎで、相手の求めているものが聞けてないかも、みたいな。反省しました(笑)」

会員同士をつなぐだけでなく、確定申告や補助金の情報など、会員に役立ちそうな情報があれば、積極的に発信している谷野さん。

ほどよい距離感で話もしやすいから、そんな過去があったなんて驚き。

「会員さんには、単に賃料を払ってるだけの感覚になってほしくないんです。人と人のつながりや、わたしたちのサポート。そういう部分に価値を感じてもらえるようにしたいです」

「一方で、施設の収支も全部管理するってことは、売り上げを立てるミッションがあるわけですよね。ここのレンタルスペースは時間貸しなので、ご要望に合わせて、予算内でできることを提案しています」

 

今回の仕事では、どんな人が向いてるんだろう。

あらためて、ゼネラルマネージャーの三浦さんに聞いてみる。

「Vlagの収益は、ラウンジの会費と100人ほど収容できるホールの貸し館業務がメインになります。ビジネスとして成立させる必要もあるけど、ビジョンを体現する場にもならないといけないわけで」

「なんですかね… ロマンとそろばんが大切。あとは、3社混合のチームで運営していくので、コミュニケーションは重要ですよね」

ロマンとそろばん。どちらかではなく、両方をとりにいって良い場づくりをする。

対話を大切にして進めているし、納得感をもって働ける環境だと思います。

(2024/02/16 取材 杉本丞)

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