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拝啓、石見銀山より
島根の魅力を
見て、聞いて、感じるお店

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日本各地には、今も昔ながらの暮らしが残り、まちなみが維持され、それを未来へつないでいこうとしている地域がたくさんあります。

その一つが、島根・大森町。

国の伝統的建造物群保存地区にも指定されていて、石州瓦の古民家が並ぶうつくしいまちなみを、住民が力を合わせて守り続けている場所です。石見銀山で有名な地域ですが、最近だと子育てのまちとしても注目されています。

ここを拠点に、昔ながらの「根のある暮らし」を発信しているのが、石見銀山生活文化研究所。

「群言堂」というお店を全国で展開しており、アパレルや雑貨の販売、古民家宿の運営などを手掛けています。

今回は、7月にオープンするKITTE大阪にできる群言堂で働くスタッフを募集します。

群言堂のお店は全国にありますが、今回の新店舗では群言堂だけでなく、地域全体の魅力をより伝えていくお店にしたい。そんなコンセプトのもと、準備が進んでいます。

経験は問いません。どんなお店になるのか。変化の最中にある群言堂と、ともに歩んでいく仲間を探しています。

あわせて、石見銀山並びに全国各地の店舗で働くスタッフも募集します。

 

新しいコンセプトを持つ群言堂をオープンさせるということで、今回は本社のある島根・大森町へ伺うことに。

出雲の平野を抜け、電車は日本海沿いを進む。少し内陸に入ったくらいで、大田市駅に到着。ここから車で20分ほど山あいに入っていくと、石見銀山の入り口、大森町に到着する。

石州瓦の古民家が並ぶまちなみは、雨上がりだとなお趣がある。

まずは、群言堂が古民家を改修して運営している「暮らす宿 他郷阿部家(たきょうあべけ)」へ。

迎えてくれたのは、代表の松場忠(ただし)さん。

「この数年はコロナ禍も含め、変化の大きい時期でした。創始者の松場大吉さんと登美さんが第一線から退く形になったので、あらためてぼくたちの存在意義や、やるべきことを見直すタイミングになったんです」

もともとは石見銀山生活文化研究所という組織で、大森のまちづくり事業や、アパレル、化粧品の販売など、さまざまな事業をおこなってきた。

ただ、事業が広がってきたこともあり、2019年には会社を4つに分け、グループ会社にすることに。

「このまちで30年以上活動してきて、地域に合わせて事業もどんどんと広がってきていて。そのなかで地域をよりよくしていくためにどうしたらいいかって考えたときに、それぞれの事業に合わせて動きやすい形に整えたほうがいいなと思ったんです」

石見銀山が世界遺産登録されてから15年が経ったいま。群言堂として魅力ある商品を販売していくこと、そして地域づくりの上でより持続的なまちに進化させていくこと。

その両輪をうまく回していこうとしているのが、今の挑戦でもあり課題でもある、と忠さん。

そんな流れのなかで、今年の7月にKITTE大阪で、群言堂の新店舗がオープンする。

今回のお店は、群言堂だけではなく、地域全体のことを感じ、知ってもらえる場にしたいと考えている。

「4年前に観光の会社を立ち上げたんですが、『観光』って『国の光を観る』、つまりその土地の光り輝くものを見てもらうという意味で。そういった意味で考えると、この地域のライフスタイルは、世界中の方に観ていただきたいなと」

「だからこそ今回できる新店舗では、群言堂のことだけでなく、地域の魅力をお客さんに伝えていきたい。具体的にはこれまでの群言堂の商品だけでなく、より地域のつくり手と一緒に商品を開発したりして、地域を軸にした暮らしの提案をしたり、地域のことを知るきっかけをつくることにチャレンジていきたいんです」

地域のアンテナショップ、というとイメージしやすいけれど、地域のものを売るのが一番の目的ではない。

各地にある群言堂のお店が、群言堂が考える「根のある暮らし」を伝え、暮らしを考えるきっかけづくりをしているのと同じように、地域のものづくりや暮らしに興味を持ってもらう仕掛けをつくるお店になる。

「今って、どんどん合理化されてきていて、整ったものしか買えないような気がしていて」

「いくつも店舗を展開するうえではそのほうが都合いいけれど、ここでしか手に入らない変なものとか、地域の暮らしを感じるものとか、心がワクワクするものって、整ったもの以外にもあると思うんです。新しい店舗ではそういったものも扱いたいなと」

合理的じゃないけど、なんかいい。すごく機能性が高いわけではないけど、一つは持っておきたい。

そんな地域のものを集めたお店があったら、足を運びたくなる気がする。

 

忠さんが話す、地域らしさを伝えるお店。具体的にはどんなお店になるのだろう。

おなじく代表の由紀子さんが話を続けてくれた。

「イメージはさっき話してくれた通りで。ただ今の説明だけじゃわからないですよね(笑)」

「たとえば、家具職人として独立したばかりの若者が地域にいて。その方に、階段箪笥のような家具をつくらないかって話をしていて。わたし、階段箪笥が好きなんですよ」

古いまち並みが続く石見銀山の家の多くは、京都とおなじく間口が狭くて奥に長いつくりになっている。特殊な間取りのなかで限られたスペースをどう使うか。

「上ることもできるけど、実は家具でもある。あれは日本人のアイデアの塊だと思うんですよ」

「これから暮らしはさらに豊かになっていくと思いますけど、10年後20年後に昔の家具がすべてなくなってしまっていたら、日本の文化自体が失われるような感覚があって。そこで彼に、20年後にも『日本の家具ってすごいよね』って言えるものを一緒につくろう! と声をかけたんです」

ほかにも、焼き物屋さんにはピッチャーをつくってもらっているそう。

由紀子さんはそこに野花を活けることを提案したい、と話す。

「花があってもなくても、存在そのものがしゅっとしていて、うつくしいんですよね。花がない日もうつくしく置けて、花がある日はさらに華やかになる。そんな器をつくりたくて」

「花も、散歩の途中に摘んだものを挿すんだけど、そこに愛情があるというか。誰かのためじゃなく、暮らしのために花を飾る。華道ほど格式ばらずに、暮らしのなかに溶け込むようなイメージ。なんだか、それがこの地域っぽいなって思うんですよね」

つくり手の想いが込められたものを。そしてこの地域に根を張ったものが並んだお店。

そこに地域のことを語ることができるスタッフが加われば、その地域に行ってみたい、という気持ちがお客さんに生まれると思う。

「わたしたちが石見銀山っていう名前を背負っている理由は、このお店をつくるためだったのかもしれない、って思ったんですよね。やっとこさ、原点に戻れたような感じ」

「群言堂のあり方とか、地域のこととか。それぞれの言葉で話せるようになっていってほしいなと思うんです。そもそもみんなが集まって、言葉を出し合って良いものをつくるっていうのが群言堂の語源なので」

今回募集する新店舗のスタッフも、最初は大森の本店か各地の店舗での研修を予定している。まずは本店の雰囲気を感じてほしいけれど、そのあたりは相談しながら柔軟に決めていける。

 

群言堂がもっとも大切にしている、石見銀山 群言堂本店。どんな場所なのか、他郷阿部家から歩いて5分ほどの本店へ足を運ぶ。

この日は平日ということもあってか、お客さんはまばら。思い思いに、衣服や雑貨などを見ている。

スタッフのみなさんはいきなり話しかけることはせず、お客さんの様子を観察して、ときおり助け舟を出すように話しかけているのが印象的。

接客が落ち着いたところで、スタッフの2人に時間をもらい、2階の休憩ができるスペースへ。

話を聞いたのは、1月から店長を務めている金山さん。新卒で入社し、今年の4月で6年目になる。

「群言堂のことはテレビで知りました。もともとお洋服も好きだし、人と話すのも好きで。自然に囲まれた場所も好きなので、一度お客さんとして来たときに、素敵な場所だなって」

「ここから生まれたお洋服っていうのが、私にとっては新鮮で。どちらかというとお洋服に魅力を感じたのが大きかったですね」

出雲市出身の金山さん。地元に比べると不便なところもあるけれど、田舎に住むほうが自分にはあっていた、と笑顔で話してくれる。

群言堂で働いてみて、どうですか?

「最初に教えられたことって、よく聞く社会人としての心構え、みたいなものとはちょっと違っていて。季節の野花をとりにいくとか、そのお花を活けるとか。この季節にはこのお花、っていうのも教わりましたね」

「あとはお掃除。すごく大事にしています。新人にはとくに厳しく教えられますよ。たとえば… きれいとうつくしいは違う、っていうのが大前提としてあって」

きれいとうつくしいは違う?

「どれだけお花をきれいに飾っても、床にほこりが残っていたり、見えづらいところに蜘蛛の巣が張ってたりすると、うつくしくない。細かいところまで掃除できていて、季節の設えがされている。それが群言堂の基本なんです」

接客業という気持ちだけで入ると、ギャップが大きいかもしれない。本店はとくに、朝の掃除1時間から始まり、夕方も掃除をして終わる。さらには庭の手入れも。

「今度の新店に庭はないと思いますが、掃除を大事にするのはどのお店でも変わらないことです。慣れるまでは、それが大変だと思う人もいるかもしれないですね」

 

最後に話を聞いたのは、金山さんの前に店長を務めていた水野さん。

聞くと今日が本店での最終出勤日で、明後日からは京都店で一ヶ月働き、そのあと名古屋の新店で店長として働くそう。

「金山さんは若いけれどしっかりしているし、みんなからの信頼もある。安心して店長を任せられますね」

「逆に私がいまドキドキしていて(笑)。名古屋は地元なんですけど、新店をうまく回していけるか、不安とワクワクが両方って感じですね」

4年ほど前から働いている水野さん。群言堂のことは、日本仕事百貨の記事を読んで知った。

「まずは見に行こうと思って大森に来て。本店や本社の雰囲気もいいなと思いましたね」

「記事で読んだと思うんですけど、数字を追うよりもお客さまとの関係性を大切にしてほしいって書いてあったのがすごく印象的で。そんな接客をしたいと思っていたので、そこも一つ大きなポイントでした」

本店での日々は、やはりお客さんとの交流が心に残っている、と水野さん。

「名古屋のイベント出店でお会いしたお客さまが、実際に本店まで足を運んでくださったことがあって。『水野さん来たわよ』って」

「今度は名古屋に常設店ができるので、定期的にお会いできるなって、今から楽しみにしているんです。全国各地にお店があって、そこで石見銀山のことを知り、本店という存在がある。特別なことなんだなって感じますね」

売り上げも、個人ではなくお店全体での予算が決められている。ただ販売するだけの接客というよりは、お客さんとの関係を大切にしつつ、スタッフ同士で協力できる人だといいかもしれない。

 

群言堂のお店は、どの店舗も訪れるたびに吸い込まれるような魅力があります。

それは、商品やスタッフの人たちが醸し出している雰囲気もあるし、掃除が行き届いたきれいな空間がつくっているのかもしれない。

自分たちが大切にしている地域と、お店に集う人を大切に。群言堂の新しいチャレンジに加わってくれる方をお待ちしています。

(2024/1/10 取材 稲本琢仙)

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