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たのしいから学ぶ。自分が好きだから学ぶ。
そんな気持ちが爆発している生徒・学生を、大人が一丸となって応援する学校法人 履正社(りせいしゃ)。
大阪で専門学校、高等学校、中学校、スイミングスクールを運営しています。
ここで、パンフレット、広報誌、リーフレットを制作する編集者と、ホームページ、SNS、広告の運用などを担当するWebエンジニアを募集します。
すべての制作物を彩るのは、生徒・学生や卒業生、先生から聞いた生の声です。
企画、誌面構成、執筆までを編集者が手がけ、生のまま届けます。
今回募集する人は、編集者やエンジニアとしての実務経験がある人が望ましいとのこと。
関西で編集の仕事を探していた。企画から制作まで関わりたい。Web関係の仕事を横断的にしてみたい。
そんな思いをくすぐってやまない日々が、きっとあります。
大阪・梅田駅から阪急電車で3分。
下町のような雰囲気の十三(じゅうそう)。
このまちに、履正社の法人本部のオフィスと、専門学校、そして子どもからも大人からも「リセイ」と呼ばれているスイミングクラブがある。
法人本部、広報企画局の会議室を訪ねると、壁にたくさんのメモが貼られていた。
名前、部活、将来の夢、学校選びの決め手などが書かれている。これはなんでしょう?
「最近は、専門学校のWebサイトのリニューアルを進めています。先日、編集デザイン部のメンバーやデザイナー、Web制作会社のスタッフさんたちと3日間連続でワークショップを行いました。その際、『どんな人がこのホームページを訪れるか』をみんなでイメージした跡ですね」
答えてくれたのは、釜谷(かまや)さん。
2018年以降、履正社の全学の広報を任されている人。初対面とは思えない、柔らかい笑顔にほっとする。
反対側の壁にもずらりとメモが並んでいる。どうやら、Webサイトのレイアウト案のよう。
「これもワークショップの参加者が個々人でアイデアをスケッチして、プレゼンしたものです」
履正社の専門学校に入学するとどんな資格が手に入るのか。卒業生たちはどんな現場で活躍しているのか。収入はどれくらいあるのか。
学生が将来を描く上で必要となる情報を、編集デザイン室のみんなで抽出していく。
企画が固まると、Webサイトへ掲載する記事を、自ら取材を担当し、執筆していく。
パンフレットやリーフレットといった紙媒体の場合も同じ。企画から編集、デザインまでを自分たちで手がけていく。
一般的にはディレクションを広報部が担い、デザインや編集の実務は制作会社へ発注することが多いなか、どうして履正社は、自分たちですべてつくるのでしょうか。
「パンフレットやWebサイトは、のれんだと思っているんです」
お店の軒先にかかっている“のれん”ですか?
「そうですね。履正社のことを知った方が、最初に目にするものであり、ブランドイメージを規定するものの一つだと思います。だからこそ、自分たちでしっくりくるものをつくりたくて」
履正社ののれんは、どんな色で、どんな生地をつかって、くぐるときの触り心地はどうだろう。
「文字の書体や色、写真や文字組みの表現、ページレイアウトなど五感に働きかける要素を駆使することで、本能的にいいなと思ってもらえればうれしいです」
2022年には、創立100年を迎えた履正社。
この先100年ののれんを育てていく編集デザイン部は、釜谷さんの「好き」からはじまった。
「2016年に家業である履正社へ入るまで、東京の出版社で編集者をしていました。今でも戻れるものなら戻りたいぐらい(笑)、大好きな仕事でした」
履正社での最初の配属先は、専門学校。4年制大学を卒業した釜谷さんにとって、専門学校は未知の世界だった。
「専門学生って、一般の大学生と比べるとめっちゃ忙しいんです。人によっては朝から晩まで授業を受けて、単位は落とせないし、実習にも行くし。でも、ほんとうにまっすぐに努力して、夢を叶えていきます」
「彼らの姿を見ていて、好きは才能なんだ、といつも学ばされてきました」
学生の話を聞いてまわるうち、釜谷さん自身も好きを追求したくなっていた。
「学生一人一人に、ストーリーがあります。ぼくは物語に弱いので、自分で履正社の雑誌をつくりたくなっちゃったんです(笑)」
釜谷さんの思いは、生徒募集に工夫を必要としていた専門学校のニーズともマッチした。
2018年に専門学校の広報部が立ち上がると、データに基づいた営業スタイルや広告戦略とあわせて、編集物やデザインに一貫性をもたせるようにした。すると、生徒が右肩上がりに集まるようになった。
成果が認められ、中学・高校の広報も任されていく。
広報が変わると、学校が変わりはじめた。
「外ののれんだけじゃなく、中ももっとよくできるんじゃないか。教育プログラムの改革、教職員の採用、校舎の建設やリノベーション。世の中のニーズから逆算して、学校のあり方をデザインする重要性が学内で理解されるようになっていきました」
履正社にしかない学びとは何か。
それを抽出し、ときに生み出しながら広報を行うと「国立大学の合格を辞退して、履正社の専門学校に入学しました」という学生もちらほら現れるようになった。
「私立の学校はお客さま相手のサービス業ともいえます。評価があきらかに生徒数に表れるからこそ、どこにもない学校をつくる必要性をつねに感じています」
釜谷さんの役割が広がるなか、編集の現場を任せられる頼もしい同僚たちも現れた。
2013年に新卒で専門学校に入職したのが萩原さん。事務職員のかたわらで専門学校のキャリア関連の授業も担当してきた。
釜谷さんに誘われて、2018年に編集デザイン部へ。
今では、一冊の冊子を企画から編集執筆まで任される編集者として活躍している。
萩原さんが立ち上げから携わっているのが、学校広報誌「risei + trip」。
生徒や保護者が先生に質問をしたり、卒業生の声を聞く機会をつくったり。履正社を旅するように巡ってほしいというメッセージが込められている。
四つ折りの広報誌を開きながら、「いつもページが足りなくって。泣く泣く原稿をカットするんです。この日は…」と言葉が溢れだす萩原さん。
手にとった誌面には、2017年に新設された専門学校の箕面(みのお)キャンパスの食堂で働くみなさんの笑顔が写っている。
「食堂スタッフのみなさんが、こだわりをもって調理している姿を伝えたくて」
はじめての一人暮らしに慣れない学生でも、栄養バランスのとれた食事をとれるようにと企画したのが「ひとりぐらし簡単レシピ」。
コンビニでも手に入る食材を用いたレシピを、食堂のスタッフのみなさんに考案してもらった。
「『焼き鳥缶で親子丼つくっちゃおうか』『サラダチキンを乗せるだけでパスタのできあがり』。一緒に考えながらつくるのがすごく楽しかったです」
在籍10年目を迎える萩原さん。産休に伴い、新しく入る人と会えるのは明けてからになる予定。
10年続けられるって尊敬します、と感想を伝えてみる。
「続いていた、という感じなんです。がんばって続けたわけじゃなくて。入学した学生から『risei + tripが履正社に入るきっかけだったんです』とうれしい声も聞くこともあったりして」
「履正社は毎年変化しているから、伝えたいことがつぎつぎ現れてくるのかな。2024年4月にオープンする専門学校の新校舎に、編集デザイン部のオフィスも入る予定です。今回応募される方も、楽しみにしてもらえたら!」
最後にもうひとつ質問をしてみる。萩原さんにとって、編集者とは?
「わたし自身に特別な専門性があるわけじゃないんですけど…。周りのみんなの専門性やいいところをうまく引き出して、情報を必要としている人に伝える。それが、わたしにとっての編集者なのかな」
もう一人、紹介したい人がいます。
2021年から仲間入りした宮地さん。出版社で、雑誌を20年間にわたって編集してきました。
釜谷さんいわく、「たしかな経験がある上に、自発的にどんどん考えて動いてくれるので助かっています」とのこと。
インタビューのはじめに今日の気分を聞いてみる。
「ごきげんモードです! 日々、そうありたいという気持ちでやっています」と笑顔を見せてくれた。
そんな宮地さんは、前職時代に東京で単身赴任をしていた。
家族と大阪で暮らしたいという思いから、帰阪を決意。
編集の経験を学校教育に活かせる職場はないか…と学校広報の仕事を探して、履正社へ。出会いは、幼稚園にまで遡るのだとか。
「わたし、十三の出身なんですよ。幼稚園から履正スイミングクラブに通っていて。履正社って、あのリセイ!? みたいな(笑)」
宮地さんの応募を後押ししたきっかけの一つが、Webサイトだった。
「写真がすごく素敵だなって。デザインや文章もこだわりもってるんやな、と感じて、働きはじめました」
釜谷さんとの面接をこう振り返る。
「『これまでわたしがやってきた経験を活かせますか?』って聞いたら、『その経験がほしいんです』って、きっぱり。安心しましたね」
入職してすぐに、中学と高校のパンフレット制作を手がけた。校舎を訪ね、先生や学生にインタビューすることで、履正社の雰囲気を感じとることができた。
ここで、宮地さんがパラパラとめくったのは中学のパンフレット。担当したコラム「履正社の横顔、お見せします」で手が止まると、笑顔がこぼれた。
ちょうど自身のお子さんの中学受験のタイミングで、いろんな学校を見学に回っていた宮地さん。
取材中に「ありがたい環境だな」と親目線で感じることがあった。
「休み時間や放課後になると、職員室に生徒が集まるんです。生徒と話すためのカウンタースペースがあって、勉強や進路の相談をしていたんです」
受け答えする先生の表情からも、熱心さが伝わってきた。
「そのとき、学校見学ではお見せしきれない日常の魅力を、誌面で伝えたいと思いました」
前職では芸能人のグラビアから占い、美容特集まで幅広く編集をしてきた宮地さん。編集の現場が教育へと移った今、どのように感じていますか?
「わたしが雑誌で経験してきたのは、人やモノやコトの魅力にぐぐぐっとフォーカスして、読み手が求めるものとマッチングすること。同じことが教育現場にもある。うれしい驚きでした」
インタビューが終わってから、宮地さんのいつもの仕事の様子を見せてもらう場面がありました。
取材前日に行ったインタビューの文字起こしをしているところ。
「肩凝るし、もう大変よ」と笑いながらも、インタビューの内容を早く伝えたくてウズウズしている様子。
ふと、文字起こしの手をとめた宮地さん。
「学校のパンフレットやホームページを取り扱う広告代理店の方が営業にくることがあります。そこで『すべて自分たちで編集しているんです』って返事すると、決まって驚かれます」
「生徒や先生の『好き』や『熱意』をダイレクトに引き出して、生のまま読み手へ伝える。それは、自分たちで100パーセントつくっているからできること。いいな、と思った方と一緒に働きたいです」
(2023/5/12 取材、2024/3/19 更新 大越はじめ)