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「同僚、先輩、大学時代の友だちも。前職で、結婚や子育てを理由に女性が仕事を辞めている現実を目の当たりにして」

「なぜ女性へ負担が偏るんだろう。なんかおかしくない?って。なんとかしないといけないと思ったことが、ノーベルのスタートなんです」

そう話すのは、認定NPO法人ノーベル代表の長谷(はせ)さん。淡々と、けれど言葉の奥には熱を帯びている。

ノーベルは、「子どもを産んでも当たり前に働ける社会づくり」を目指す認定NPO法人。

子どもの体調がすぐれないときに、働く親御さんの代わりに保育を行う訪問型病児保育を主な事業としています。

今回は、大阪のオフィスで働く事務局スタッフを募集します。入職後3か月間は事務所への出勤が基本ですが、以降は週に3回ほど出勤、それ以外は在宅勤務も可能です。

業務内容は、主に現場で働く保育スタッフのサポート。ほかにも研修準備、シフト調整、業務改善など。

業務が多岐にわたるため、社会人経験が5年以上あるとうれしいとのこと。

あわせて、事務局のバックオフィス部門を統括するマネージャー候補、総務・請求事務スタッフも募集しています。

ノーベルで社会課題に向き合うみなさんの話は、きっと力をもらえるものだと思います。

 

大阪・本町。

駅の地下改札を出ると、目の前に問屋街が。東西1キロほどに伸びる通りには飲食店がひしめき、店前にサラリーマンが列をなしている。

地下から地上に出ると、ひらけた視界にオフィスビルが連なる。本町駅から15分ほど歩くと、ノーベルの入るビルを見つけた。

中では、スタッフのみなさんがデスクワークをしている。隣のスペースでは、保育スタッフの方が大きなテーブルを囲み研修をおこなっている。

絵本や子どものつくった折り紙が飾られた空間で迎えてくれたのは、代表の長谷さん。

まずは、ノーベル設立までの話を聞く。

きっかけは、長谷さんが社会人になって数年目のこと。友人や同僚など、周囲の女性たちが結婚や出産を機に離職していった。

理由はどれも、仕事と育児の両立が難しいこと。

「子どもが風邪を引いたとき、保育園へ迎えに行くため会社を休む。休みのあと、会社にいづらそうにしている。そんなお母さんたちを、たくさん見てきました」

調べると、20代後半から30代前半の女性のうち、結婚して第一子を産んだあと仕事を辞めている人は6〜7割にのぼるというデータもあった。

「世の中には、育児は女性に任せるもの、という考えが根強く残っている。どの会社や自治体も、育児負担を軽くできるような補償制度が十分に整っていないと思います」

課題に対するアプローチを模索するなか、「病児保育」という言葉を見つけた。

「東京で、病児保育をしているNPO団体フローレンスの存在を知って。さっそく連絡を取って、大阪から東京の茅場町まで話を聞きに行きました」

「代表の方とお話をして。これは現場で学んだほうが早い!と思って、帰りの飛行機で入職を申し込みましたね」

すごい、勢いがあるなあ。なにが長谷さんを掻き立てたのでしょう。

「女性に育児を強いるような空気や環境が、日本社会を蝕んでいるなと本気で思って。絶望というか… 憤りを感じました。なんとかしなければ、と決意したんです」

フローレンスに入職し、1年間のサイクルを経験し独立。ノーベルとして病児保育事業を立上げるにあたり、フローレンスが定期的に進捗をチェックし、アドバイスをするなど、手厚いサポートを受けた。

「病児保育を通して、現状はより良くなるってすごく希望を持ったんですよね。私、絶対この事業を成功させて、社会を変えられるかもしれないって。もうそこから、ワクワクして」

設立した2009年当時、大阪での病児保育を行う団体はノーベルが初めて。さっそく、各メディアで取り上げられた。

2021年には、Googleが主催する「インパクト・チャレンジ」にも採択された。女性の経済的・社会的活躍を促進するための事業への資金援助プロジェクトで、約8,000件の応募のなかから選ばれたという。

着実に認知と信頼を獲得して、今年で15年目を迎える。

保育スタッフが50名程度、事務スタッフが30名ほどと、志を共有するスタッフも増えている。

「今、ノーベルは新しく舵を切ろうとしています」

「子どもを産んでも当たり前に働ける社会を私たちは目指している。とすれば、世の中全体を見渡したとき、解決策は病児保育だけなのか?いや、違う」

育児への手の回らなさ、周囲への頼みづらさ。夫婦間での育児に対する意識や、子育ての方法のギャップ。金銭的な日々のやりくりなどなど。

「各家庭に起こる課題は、子どもが体調を崩したときだけではない。さまざまな背景を知り、解決するためのアプローチを広げていくべきだと思ったんです」

そこで昨年11月、リリースしたのが新事業「子育て家族のまるごとサポート」。

51の質問に答えれば、各家庭の特徴がタイプ分けされるアセスメントツールを開発した。

結果に応じて、担当ガイドが伴走し課題の解決をサポート。病児以外の保育にも幅を広げて提案し、家事代行など第三者サービスにつなげることもある。

現在はモニターを募集して、テスト実施をしている段階だそう。

「すべてを解決することは難しいけれど、力になれることがきっとある。そういう目を持って、各家庭と関わりを持つことが大切なんです」

長谷さんにとって、「社会で育児をする」とはどんな状態だと思いますか。

「私は、頼れる人がいるかどうかだと思っているんです」

頼れる人。

「いろんな親御さんと出会うと、頼ってないんです、周囲の人に。家庭だけ、自分たちだけで子育てを頑張らなければいけないとか、言いづらいとか。そういう社会になってしまっている」

「自分たちだけで完璧に育てる、というような理想は追わなくていいと思っていて。ひとつでも相談できるとか、話して心が軽くなるような、頼り先があればいい。ちょっとでも助かったっていう経験は、きっと今日よりも明日をより良くしてくれる。そんな経験を、提供しつづけたいと思っています」

 

次に話を聞いたのが、保育事業部の担当窓口を統括している成田さん。新しく入る事務局スタッフにとっては、直属の先輩にあたる。

事務局スタッフの主な役割は、訪問先の保育現場で起こる困りごとや相談ごとへのサポート。

保育が行われる朝8時から18時半まで、スタッフと親御さんの間に立ち、手が離せないスタッフの代わりに、親御さんに連絡する役を担う。

「お子さんの様子や、病状の経過などは都度ご連絡します。そのうえで、依頼時にいただく情報以外で対応が必要なとき、親御さんに確認を取るのも私たちの役割です」

お子さんの熱が上がったときに解熱剤を使うべきか。ときには熱が高くなり熱性けいれんを起こしてしまうこともあるため、緊急時に対応した内容の報告が必要となる。

「その日はじめて会うお子さまと、1対1で接するわけで、いつなにが起きるかはわからない。事故は、確実に避けなければいけません」

「もちろん事前にできる限りの準備をしますが、すべて予測することはできません。確認すべき点はきちんと、親御さんへ迅速にご連絡する必要があります」

事務局スタッフは保育スタッフのサポートのほかにも、業務やマニュアルの改善に取り組むことも。

最近、災害発生時の対応フローを事務局スタッフを中心に設計したそう。

保育現場で災害が起きたとき。避難をするべきか、避難する場合、どこへ行くべきなのか。建物の耐震性や、どの地域にいるかによっても、避難のあり方は変わる。

保育スタッフは、命を預かる責任重大な仕事。一つの判断が、のちの被害拡大につながりかねないため、理性的に対処できる仕組みが必要となる。

初動の対応をするうえで知らないといけない各家庭の情報は何か。保育スタッフに何を、どう伝えるかなど。

事務局スタッフを中心としたプロジェクトチームで、防災知識の収集はもちろん、いくつものケースを想定した実践を繰り返して完成させた。

保育スタッフからは「いざというとき冷静に対応できそう」、「初動の対応が明確になったことで、心が少し軽くなった」などの反響があったそう。

状況に応じた対応が求められる保育スタッフをサポートする立場として、大小さまざまな改善、仕組みづくりを日々行っている。

「ノーベルでは、疑問に思ったこと、改善した方がいいと思ったことがあれば、フラットに質問や提案ができる風土があるんです。部署や業務内容、経験は一切問いません」

「変えるべきだとみんなで話し合って判断すれば、ルールやマニュアルも変わっていく。変化することに躊躇がないというか…ポジティブに考える集団なんですよ。だから、自発的に考えられる方は大歓迎ですね。仕組みづくりの経験があるとありがたいなって」

現在、ノーベルへの1日の依頼数は、感染症の流行により動きはあるものの、10件以上がほとんど。

利用者アンケートの満足度は95%以上を維持している。

事務局スタッフの男女比は1:9とのこと。どんな人が多いんでしょう?

「お互いのことをリスペクトしている気持ちが、根っこにあるなと感じます。現場にこそ知恵や経験があって、保育スタッフってやっぱりすごいよねって気持ちをみんなが共有している」

「そして何より、子どもを産んでも当たり前に働ける社会をノーベルで働く全員が本気で目指している。そんな思いは目に見えなくても、振る舞いとして伝わるんです。向かう先を共有しているからこそ、役職、役割、部署関係なく、フラットに接してくれる人ばかりですよ」

最近では、成田さんも中心メンバーとなって、スタッフの働き方の整備に取り組んでいるという。

「これまで事務局スタッフは、どうしても教育に手が回らないことがあって。数日間の引き継ぎをするだけで、個々人の教え方に依存していたんですよ。十分な引き継ぎや教育ができず、1〜2年で退職する人も一定数いて」

その理由を振り返り、改善策として昨年スタートしたのが、半年間のオンボーディングプログラム。

入職時にマンツーマンで長谷さんの講義が受けられるビジョン研修。擦り合わせた目標は、月1回マネジャーとの面談で振り返る。その際に、日々のモヤモヤを相談することができる。

「子どもを産んでも当たり前に働ける社会づくりを目指しています。そのうえで、足元となる私たちの働く環境も整えていかないといけませんよね」

「やっぱり、みんながのびのびと働ける環境がいい。そのほうが、持っている可能性を発揮できるし。お互いにとって、いいことばかりやと思っているんです。安心して入職しにきてほしいですね」

 

社会も、働く人も。両方がいきいきとしている姿を目指す。ノーベルで働く方々の姿は、解決できない問題なんてきっとないんだと証明しているようでした。

社会に対して声を上げることの意義。行動の積み重ねによって、社会は変わりうるという確信。たしかな手触りを感じられる仕事だと思います。

(2024/04/02 取材 田辺宏太)

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