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桜舞う寮で
青春に伴走する

ちょっとしたことでも、深刻に感じていることでも。思春期は、いろんな悩みや葛藤が生まれる時期でもあります。

そんなときに、先生や親のような縱の関係ではなく、友だちのような横の関係でもない。少し上のお兄さんお姉さんのような、ななめの関係の人がいたら、少しでも本音を話すことができるかもしれない。

今回は、高校生たちに寄り添い、斜めの関係からサポートする人を募集します。

山形・小国町(おぐにまち)。

廃校の危機にあったこのまちの小国高校では、数年前から高校魅力化プロジェクトがはじまりました。

カリキュラムを見直し、他地域からの留学生用の寮をつくり、学校の魅力を発信。毎年、5~10人ほどの留学生が町外からやってくるように。

今回募集するのは、留学生が暮らす学生寮の運営をサポートする留学生アシスタント。地域おこし協力隊として赴任します。

経験は問いません。地域の人が担っているハウスマスターと連携しながら、アシスタントとして、主に朝と夕方の時間、生徒たちと話し、関わりあう。近所のお兄さんお姉さんのような立ち位置になる人です。

 

東京から新幹線で米沢へ。小国町は、米沢から西へ車で50分ほど山あいの道を走ると到着する。

周囲はぐるりと山に囲まれているような地形。標高がそれほど高くないためか、閉塞感はあまりない。

さっそく、留学生が暮らしている学生寮へ向かう。

到着すると、寮の前が一面の桜並木。ちょうど満開の桜が咲き誇っている光景を見ることができた。

「いいときに来てくださいましたね。この寮の名前も、桜寮っていうんですよ」

「もともとは民間企業が所有していた建物で、別の町内の企業が費用を出して寮として使えるようにリノベーションしてくださったんです」

話しながら、中の食堂スペースへ案内してくれたのが、役場で高校魅力化を担当している髙橋さん。

丁寧に話をしてくれる方で、安心できるような雰囲気がある。

以前取材に伺ったのは、およそ1年前。まだ寮がはじまって間もないころで、「寮の文化、土壌」のようなものがないことが課題だった。

「去年は話していた通り寮の文化ができていませんでした。上級生が下級生にどう関わるかとか、寮で暮らすうえでの決まりとかマナーとか」

「今年から、はじめて1、2、3年生が全員いる状態になって。そのなかでも、とくに3年生がだいぶ大人になったなと感じているんですよ」

大人になった、というと?

「3年生が1年生の子たちに話しかけて、いろいろ教えたり、注意したり。気を遣ってあげているなぁって。そうしろって言ったわけじゃないのに、自発的に行動してくれているんですよね」

「自分たちも、最初は知らないところに来て、不安のなか過ごしてきたから、後輩にはなにかしてあげようって。そんな思いがあるんだろうなと。これが来年も再来年も続いていくようにフォローしていけたらいいなと思っているんです」

寮は、今年から男女一緒の建物になったそう。環境も変わり、新入生も入ってくるなかで、まだ生徒たちは落ち着かない雰囲気のようだ。

まずは暮らしに慣れてもらうところから。役場の髙橋さんも含めて、寮生をサポートしているのが、ハウスマスターと、今回募集する留学生アシスタント。

ハウスマスターは主に地元の人が数人入っていて、夕方ごろから翌朝まで寮にいる。寮生と話したり、問題があったときに対応したりといった役割だ。

「寮生がつくったInstagramアカウントがあるんですけど、そこに生徒たちが写真を投稿していて。花見しましたとか、寮でこんなご飯食べてますとか。ハウスマスターやアシスタントからの情報共有に加えて、写真でもみんなの様子を見ています」

寮生活を楽しんでいる生徒がいる一方で、環境に馴染めなかったり、体調を崩してしまったりする子もいる。

「今は少なくなりましたが、前は遅刻や早退も多かったし、トイレに2時間くらい引きこもっちゃうとか、夜ずっと嘔吐が続いてしまった子がいたりとか。そういうときは僕も入って対応していました」

「今年だと、4月に入ってきた子がホームシックになっていて。ここ数日は大丈夫みたいなんですが、ちょっと心配しているところですね」

それぞれ抱えている思いがあるなかで、どう行動することが最善なのか。迷う場面も多い。

それでも、子どもたちを一人の人間として見て、ハウスマスターやアシスタントとも情報共有しながらサポートする。一人で抱え込ませないようにするのが大切、と髙橋さん。

今回アシスタントになる人には、どんなことを求めたいですか?

「まずは新入生たちの様子をしっかり把握して、それぞれの悩みとかを細やかに聞いてもらえたらいいなと」

「もう一つは、大人になっても困らないように、挨拶をちゃんとするとか、ご飯をつくってもらえるありがたさを感じるとか。最低限のマナーや社会的ルールも伝えてあげてほしいですね」

 

そんな髙橋さんが現場で頼りにしているのが、留学生アシスタントの中村さん。

昨年の記事に応募して小国町に移住。ハウスマスターと協力して、寮生たちの生活を支えている。

今回新しく入る人にとっては、同僚になる人だ。

「台湾の大学にいて、卒業後に日本に帰ってきました。就活もして内定をもらっていたんですが、あんまり気が乗らなくて。そのときに日本仕事百貨の記事を読んで、面白そうだなと思ったんです」

面白そう?

「ひとつは、写真家の星野道夫さんの本を読んで、雪国に住みたいっていう憧れがあって。もうひとつは、教育に関わってみたくて。やってみたいことが重なっていたのがいいなと感じました」

アシスタントとして働いてみてどうですか。

「高校生の日常に入り込んでるのが不思議な感じです。友だちでも親でもなく先生でもない。その中途半端な感じが絶妙で。どのくらい距離を縮めていいのか、言っていいこととよくないことはなにか。迷うこともあります」

アシスタントは、週5日間が出勤日になる。

朝は7時半に来て、ハウスマスターから引き継ぎを受け、学校に行く生徒を見送る。そのあとは事務作業などをして10時半ごろに一旦退勤。

夕方は4時くらいに来て、帰ってくる生徒たちと8時まで時間を過ごす。そのあとは担当のハウスマスターに引き継いで帰宅、という流れ。

「ぼくは結構甘いんですよね…(笑)。役場の人とかには厳しく言っていいって言われるんですけど。注意できないわけじゃなく、ある程度は生徒の自主性に任せたいというか」

「今は男女一緒になったので、毅然とした態度で注意しようと心がけてます。女子の部屋には勝手に入らないですが、男子とかは部屋チェックして、きれいにしろー!とか言って。1年かけてようやくそういうことも言える関係性になってきましたね」

高校生たちと話すときに気をつけていることはありますか?

「うーんと… まずは言っていることを否定しないこと。あとは相手が悩んでいるときに、こっちから答えを言うんじゃなく、自分自身で答えを出せるようにサポートすることですね。ぼくらはあくまでも裏方なので」

「子どもだと思ってないというか。生徒のことを信頼するようにしています」

信頼する。

「子どもだけど、大人っぽい面もある。子ども扱いせずに接しています。3年生なんかは、ご飯中に携帯をいじるなとか、片付けようよとか、自主的に言ってくれるようになったんですよ。新入生の歓迎会も自分たちで企画していて。ぼくは手伝うだけですね」

高校時代の3年間は、人生のなかでも大切な思い出になる。

その時間を楽しんでほしい。いま感じることを大切にしてほしいと中村さん。

「夜、信号が点滅信号に切り替わるんですけど、その瞬間を見に行こうって言って、本当に行っていたのは面白かったですね。大人だと気にもしないことじゃないですか。恋愛話も聞くんですけど、聞いてられないくらい甘酸っぱい(笑)」

「自分は戻れない時間にいる人たちだなって思います。かけがえのない一瞬を一緒に体験したり、覗き見したりできるのが、ぼくは楽しいです」

一方で、生徒とまち、そして保護者など。いろんな立場の人が関わる場所でもあるので、アシスタントはそれぞれの意見の板挟みになることも。

ルールからは外れていても、子どもたちのやりたい気持ちもわかる。それで悩んでしまうこともしばしばあるのだとか。

新しく入る人も、おなじように感じることはあると思う。そんなときこそ、中村さんやハウスマスターと相談して、納得いく方法を見つけてほしい。

「掃除しなよとか、部屋をきれいにしようとか。ぼくは細かいことを言わないので、細かいことを言ってくれる人だとありがたいですね(笑)。生徒をよく見て、声をかけたり、あえてかけなかったり。そういうことができる人だといいなって思います」

 

最後に話を聞いたのは、ハウスマスターとして週1回ほど働いている石村さん。

夜から朝の宿直のような役割なので、留学生アシスタントとは朝の引き継ぎのときに顔を合わせることになる。

「出身は四国で。2年前くらいに、小国町がマルチワークを実現するために組合を立ち上げるっていうのを聞いて、それに興味を持って。移住することを決めました」

正式名は、おぐにマルチワーク事業協同組合。

週のうち3日は製造業関連の部品をつくる工場で働き、2日は農業の手伝いをする。そんなふうに、働き先を複数組み合わせる働き方を実践している。

石村さんも、今は半導体の工場と、雑穀を扱う農業の手伝いをしながら、ハウスマスターの仕事も兼任している。

「新しい働き方に興味があるんですよね。わたしは一つの仕事よりは、いろんな仕事ができたほうが楽しいなって思うタイプで。今はそれができているのでうれしいです」

小国町は移住者も多いそう。移住者が中心となった「つむぐ」というコミュニティもあり、交流も盛んなまちだ。

石村さんは、今の3年生が1年生のときからハウスマスターとして成長を見ている。3年間見ていてどうでしょう。

「1年生のときなんかは平気で寝坊するし、夜遅くまでゲームするしで、はちゃめちゃだったんですよ(笑)。でも3年生になったらそういうことはしなくなって。逆に後輩たちに、ちゃんとしろよって言っていて、びっくりしました。成長してきたんだなって」

最後に再び髙橋さん。

「温かい人たちから見守られているので、楽しい寮生活を生徒たちは送っていると思います。一方で、楽しいだけの生活じゃなく、成長できたなって実感できるような場をつくっていきたいですよね」

「あとは、人との調整ごとも多い仕事なので。ぼくらまち側の話も聞いて、生徒の話も聞いて。その上で、子どもたちにどう伝えるか考える。大変だけど、それも楽しみながらできる人だといいなって思います」

寮生たちが通う小国高校のテーマは「挑め、ともに!」。

生徒たちとおなじように、寮に関係する大人たちも、さまざまなことに挑みながら試行錯誤を繰り返しています。

その輪に加わって、成長を促し、見守る。人との関わりのなかで、自分自身の成長も感じられる仕事だと思います。

(2024/4/16 取材 稲本琢仙)

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