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どんなときも
柔らかい心ではたらく
クリエイティブな福祉

福祉の仕事って大変なんだろうなと思っていました。

今回の取材を終えてみて、大変さ以上に、この仕事を楽しむ愛成会のみなさんが印象に残っています。

愛成会は、東京で2番目に古い社会福祉法人。

障がい者支援施設の運営のほか、障がいのある人の芸術文化活動をサポートしたり、障がいの有無にかかわらず誰でも参加できるアトリエを運営したり。

利用者に寄り添いながら、ユニークな取り組みをしてきました。

今回募集するのは、障がい者支援施設「メイプルガーデン」で働く2つの職種。

ひとつは、食事や入浴、トイレなど、障がいのある方の生活をサポートする仕事。もうひとつは、日中の活動を支援する仕事です。食事やトイレなどの支援に加えて、ものづくりやレクリエーション、季節のイベントを企画したりします。

ほとんどの利用者の方が女性のため、どちらも女性のみの募集です。

障がいのある方の支援が初めてでも大丈夫。

美大を卒業して、利用者さんの好きや得意を活かした活動を企画している人や、事務職のスキルを活かして仕事の効率化を進めている人もいます。

自分次第でいろいろ挑戦できる環境がある場所です。

 

新宿駅からJR中央線で1駅の中野駅で降りる。

北口改札の目の前には、アーケード街「中野サンモール」がまっすぐに伸びている。

飲食店や古着屋、そのほかいろいろなお店が立ち並ぶ。明るい音楽がかかっていて、朝から人通りも多い。活気のある商店街だ。

路地に入ると、さっきまでの賑やかさが嘘みたいに閑静な住宅街が現れた。

メイプルガーデンは、そんな住宅街の一角にある。

「遅くなっちゃってすみません」

そういってとびきりの笑顔で迎えてくれたのは、施設管理者の友利(ともり)さん。

この道36年の大ベテランだけど、誰よりも動き回っている働き者。スタッフからは「レジェンド」として頼りにされる存在だ。

友利さんが、メイプルガーデンを運営する社会福祉法人愛成会の歴史を教えてくれた。

「戦後まもなく、牧師さんが障がいのあるこどもたちを集めてケアをしたのが始まりです。当時は障がいのある子は学校に行かなくていいという制度があったので、ここが学校の代わりのような役割も果たしていました」

文字を書く練習をしたり、掃除のやり方やご飯の炊き方を学んだり。食卓には果物ナイフが置かれ、こどもたちが自分で果物の皮を剥いて食べていたそう。

「分厚く剥きすぎて食べるところがほとんどなくなってしまうこともありました。でも、自分でやってみることに意味があると思っていて。今はナイフは置いていませんが、この考え方はずっと続いています」

暮らしていた子どもたちが成長するにしたがって、施設も児童施設から大人向けの施設に移行。その後もグループホームの運営や、障がいのある人たちの芸術文化活動のサポートなど、さまざまな事業に取り組んできた。

「目の前の課題を解決するために動いていたら、だんだん形ができてきて、進んでいくとまた別の課題があって。その繰り返しで今があるような感じです」

施設で暮らす人々や、地域のニーズに寄り添い続けながら歴史を積み重ねてきた愛成会。

一方で、数年前には当時の理事による職員へのハラスメントが報道された。今はハラスメント行為に関与していた理事3人を解任、翌年からは体制を一新して、新たな歩みを進めている最中でもある。

 

ここではどんな人が働いているんだろう。

7年目になる主任の大澤さんに話を聞く。

大澤さんは、利用者さんの日中の活動を支える仕事を担っている。

9時半から16時ごろまでのあいだ、運動やカラオケなどのレクリエーション、ものづくりや地域の公園清掃、入浴や食事のサポートをする。ほかには、夏祭りなど施設内でのイベントも企画しているそう。

「その人らしさを引き出しながら、いかに楽しく幸せに過ごしてもらえるかを柔軟に考える。支援の仕方はたくさんあると思っていて。ご利用者さまがより楽しいと思ってもらえる方法を選びたいと思っています」

そう言って、ある利用者さんの話をしてくれた。

「お風呂に入りたくないご利用者さまが2人いて。2人とも入りたくない理由も性格も違うので、誘導するスタッフの頭の柔らかさが求められます。ひとりの方は、もともといたずらっぽい心の持ち主。いたずら心をくすぐると笑いながら浴室まで追いかけてきて、その後は楽しそうに入浴してくれました」

「もう一人は、言葉のニュアンスにとても敏感な方。『お風呂に行きましょう』ではなく、『準備ができたのでいつでもどうぞ』とご本人のタイミングに任せることで、気持ちよく行動にうつしていただけます」

利用者さんの話をしているときの大澤さんはとっても楽しそう。

「もちろん、体力的にも精神的にも大変なことはたくさんあります。でも、それは一つの方向からの見え方、感じ方でしかなくて。視点を変えるとご利用者さまの伝えたい思いが隠されていることに気づいたり、今の状況をよりよく出来るチャンスだったりするんです」

「私は、この仕事をとても創造的だと感じています。自分の気持ちを言葉にすることが難しい方も多い中で、沢山のアンテナを張って、そういった方々の思いを『こうかな?』『ああかな?』って考え続けています。正解がない中で、それぞれの幸せの形を考えながら、お一人お一人の人生に伴走させてもらっていると思っています」

日常生活のサポート以外にも、利用者さんと社会とをつなぐことも大事な仕事のひとつ。最近は、近所の複合施設「中野ブロードウェイ」とのコラボイベントを企画した。

「コロナ禍でご利用者さまもなかなか外に出られない日が続いていて。外に出られないなら、来てもらおうと考えて、メイプルガーデンに中野ブロードウェイの店舗を呼ぶことにしました」

イベントは、「会いたかったよ」が口癖の利用者Fさんの言葉を借りて「会いたかったよプロジェクト」と命名。

中野ブロードウェイの衣料品店や、つながりのある地方の物産店が施設内で商品を販売し、実際に使っているものと同じデザインの看板を飾って中野ブロードウェイらしさを演出した。

「イベント中、Fさんの「あいたかったよ!」を実際に耳にし、イベントを企画してよかったなあとしみじみ思いました。」

「やりたいことがあれば何でも挑戦できる環境だと思うので、アイディアや個性をどんどん活かしてほしいです」と大澤さん。

ほかにも、歌が得意な職員がリサイタルを開いたり、園芸が得意な職員が畑を施設の屋上につくったり。職員それぞれが自分の特技や個性を活かして施設の活動を盛り上げている。

 

隣で楽しそうに話を聞いていたのは、チーフの正岡さん。

「ここに来るまでは医療事務の仕事をしていました。社会人10年目くらいのときに『そういえば私、人と関わるのが好きだったよな』と思って。福祉の仕事をしていた母にすすめられて、3年前にこの業界に入りました」

これまで障がいのある方と接する機会はなかったそう。

はじめての現場で戸惑うことはなかったのでしょうか。

「戸惑うというより、すごく面白かった。初めて会うのに、『会いたかったよ』って声をかけてくれる方がいたり、お互いの顔も名前も知らないのに『昨日なに食べた?』って聞かれたり。とにかく笑っちゃうようなことが多くて、面白いって気持ちが今もずっと続いています」

正岡さんは、メイプルガーデンで暮らす人たちの日常生活をサポートする役割を担っている。

「普段はご飯を炊くとか、洗濯物を一緒に畳むとか、パジャマに着替えるのを手伝うとか、そういった生活のお手伝いをしています」

「してほしいことをやってもらうんじゃなくて、やりたいと思っていることを汲み取って支援する感じかな。たとえば、寝たいけど自力では布団をかけるのがむずかしい方に、代わりに布団をかけてあげるみたいな」

人によってできることも性格も違うから、サポートの内容も方法もさまざま。

毎日の生活のなかでご利用者さまの人となりを少しずつ知りながら、誰に対してどんな支援が必要なのかを学んでいった。

現在、正岡さんは前職の事務能力を活かして、仕事の効率化にも力を入れている。

「たとえばご飯を食べるとき、ご利用者さまによってスプーンを使う方もいればお箸を使う方もいる。今まではそれぞれのスタッフ個人の記憶に任せていたんですけど、間違いも生まれやすくて。一目で見てわかるように利用者の名前と必要なカトラリーを表にまとめました」

メイプルガーデンでは今年の4月から、理学療法士や言語聴覚士など、外部の専門家の力を借りてよりよいサポートを継続的に提供し、目標達成に向かっていく仕組みづくりに取り組んでいる。ほかにも、職員同士のチームワークや意思決定をスムーズにするために、ファシリテーションを学ぶ機会もあるという。

「ご利用者さまを支えることに尽力したいので、それ以外のところは効率よくしたいと思っています。空いた時間で一緒にソファーに座ってお喋りするでもいい。そういう時間を増やせるような仕組みづくりもしていきたい」

日々の支援だけでなく、イベントの企画や仕事の効率化など、いろいろな経験やスキルを活かせる環境があるのは、働く人のやりがいにもつながると思う。

「つまんない話かもしれないですが、私は一緒に笑えたときが、めちゃくちゃ楽しくて」

「日記を毎日書いているご利用者さまがいて。字がすごく大きくて、『今日はピアノを弾きました』みたいな一文をノート5ページ分くらい使って書く。この間、その方から『さて、正岡さんに読めるかなー』って言われたんです。そう言うなら読める字で書いてくださいよ!って思いながら、すごく笑っちゃいました」

毎日、一度でいいから一緒に笑う。単純なことのように思えるけど、その人のことをちゃんと見て、知っていないとできないこと。暮らしにおいても、すごく大切なことだと思う。

最後に、どんな人と働きたいか聞いてみる。

「この仕事をしていると自分にとっての普通が相手にとっての普通ではない場面にたくさん出会うんです。だから、自分だけの価値観で判断せずに、相手の立場も想像できる人。様々な状況を興味深くとらえられる人にきてほしいと思います」

「たとえば、ご利用者さまが手についた便を壁に着けちゃったとき、壁が汚れたってことよりも、『手をきれいにしたかったのかな』『絵を描いて遊びたかったのかな』『だとしたら今度絵具で遊ぶ時間をつくってみよう』といろんな方向から物事を見られる人。そういう心の柔らかい、人に興味を持てる方に来てもらえるとうれしいです」

 

利用者への支援も、自分たちの働き方も、その時々で変化しながらより良い方向へ進んでいく。

常に変わるからこそ、毎日が刺激的で、挑戦しつづけられる環境なのだと思います。

(2023/10/03 取材、2024/5/24更新 高井瞳)

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