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飽きずに使えるデザイン。
安心して暮らせる耐久性。
柱に刻まれた身長の跡。
ずっと住みたいと思える家には、機能はもちろんのこと、住む人の愛着が欠かせないと思います。
NENGOが目指すのは、100年後も残したい街つくり。住む人のことをよく知り、細部までこだわって、愛着の持てる家をつくっています。
あえて「街つくり」と言い表しているのは、濁点があると上から目線な感じがしてしまうから、とのこと。
自分たちは黒子であり、主役は街に住まう人々だという意図が込められている。
新築戸建て、マンション・ビルのリノベーション、賃貸の管理運営。さらにはオーストラリア生まれの塗料「PORTER’S PAINTS」の輸入販売まで。
住まいに関するさまざまな事業を手掛けているNENGO。
今回は「NENGO工務店」と「PORTER’S PAINTS JAPAN」の2つの事業部でスタッフを募集します。
NENGO工務店では、新築やリノベーションの施工管理を。PORTER’S PAINTS JAPANでは、16色の顔料からお客さんの理想の色をつくる仕事を担います。
仕事内容はまったく違うけれど、どちらも目の前の人のために汗を流す仕事です。
経験者歓迎ですが、未経験からでも挑戦可能です。
渋谷から田園都市線で15分。
溝の口駅から8分ほど歩くと、NENGOの本社が見えてくる。
2階に上がると、「ようこそ」と代表の的場さん。
オープンしたばかりの「PORTER’S PAINTS」のショールームに案内してもらい、話を聞く。
「一番大切にしていることは企業理念です。『私たちは企業活動を通じて「世のため人のため」に貢献します。』簡単にいうと、いつも目の前の人に幸せになってもらおうよってことです」
もともとはホテルマンとして働いていた的場さん。そこでの経験がNENGOの企業理念・ミッションの根っこにある。
「ホテルで働いていた同僚が、自分のためじゃなく、お客さんのために働くんです。給料は安いし、休みも少ないのに、お客さんの『ありがとう』って言葉を聞いたら、元気になっちゃう人ばっかりで」
「あるとき、外国のお客さんに馬鹿にされたんです。『せっかく素晴らしい日本庭園があるのに、なんでヨーロピアンテイストな部屋なの。もっとプライドを持ちなさいよ』と言われて。そのとき、土地のことをもっと知らなければならないと思いました」
気候、風土、歴史、文化を読み込んで、その土地らしさをデザインする。そして住みたい、遊びたい、働きたい街をつくる。その結果、100年後も残したい街が生まれると的場さんは考えている。
たとえば、昨年新しく建てたNENGOの家。
四方を壁に囲まれた外観で、街の景観にとけこむ建物。
中はシンプルなつくりで飽きが来ない。経年変化を楽しめるように、使うほどに味の出る素材を使用していて、身長を測って壁に線を引くこともできる。
子どもが成長して巣立った後も、室内のレイアウトを変えたり、店舗に利用したりと、住む人のライフスタイルに合わせて使い方を変化させることができる。
100年後の街つくりに欠かせないのが、住み続けたいと思える家の存在。
安心して住み続けられるように、建物を火事から守る耐火被覆工事を。地球環境を守り、温熱環境を良くするために断熱工事を始めた。
その次に始めた事業が「PORTER’S PAINTS JAPAN」
日本人が自分の家に愛着を持ってほしい。そんな想いで世界中のペイントを探した。
そして「PORTER’S PAINTS」を通じて知り合った建築家、デザイナーと一緒に、工務店・不動産事業を開始。いまでは建物にまつわる、さまざまな相談を受けている。
「街づくりっていうと難しそうですけど、現場で感じたことをお客さんに提案することを大事にしていて。風通しがいいので、玄関にも網戸をつけましょうとか」
そう話すのは、施工管理チームでリーダーを務める森井さん。今回新しく入る人の上司になる。
前職はハウスメーカーで事務の仕事をしていた。空き家が溢れているなか、新築を建て続けることに違和感を覚え、転職を考えていたときにNENGOと出会う。
「当時、『リノベーションだと新築よりも安い価格で好きな間取りに住めます』とか、かっこよさを宣伝している会社が多くて」
「でもNENGOは、街のことや実際に住む人の笑顔をつくります、みたいな。自分の考えにすごくフィットして、もう絶対入りたい! と思って」
当時岡山に住んでいた森井さん。仕事を終え、そのまま夜行バスに乗って神奈川のNENGOへ。
休日を返上して、日中はインターン。夜にまたバスで帰る日々を過ごした。
現場監督の経験はなく、建築学科の出身でもなかったけれど、「できます!」と自分の想いを的場さんに伝え、入社することに。
NENGO工務店では、マンション一部屋から、ビル一棟にいたるまで、さまざまな規模の案件を担当している。
なかでも森井さんにとって印象的だった案件が、あるマンションの一室のリノベーション工事。
「図面には書かれていなかったんですけど、お客さまがこれから猫を飼うことを聞いて」
「普段は柔らかい素材が喜ばれるんですけど、猫の足腰に負担の少ない硬めのクッションを提案したり、爪を研いでしまわないような素材に変えたり。足の肉球が傷つかないように、床の断面にできる段差も、1ミリ単位でこだわりました」
建築事務所がすでに図面を制作しているため、基本的には指示通りにつくることが求められる。そこまで提案をしても問題ないのだろうか。
「最終的には住む人に幸せになってもらうことがゴールなので、自分の意見は伝えます。お客さん、設計者さんの想いや考えは、一緒に工事を進める職人さんにも伝えていきます。間取りの意図や、小さいお子さんがいるんですとか」
「そうすると『ぶつかって危ないから、ここは角を取ったほうがいいんじゃないか』とか、職人さんからも提案してくれるようになる。それをお客さんに伝えると、すごく喜んでいただけるんです」
依頼先を決めるために、プラン・費用を複数社から確認する相見積もり。業界では当たり前の慣習も、NENGOではやらない。それもお客さんのためだと的場さん。
「もし仕事をいただけなかったら、相見積もりした分の給料は、別のお客さんが払った分を充てることになる。それって失礼じゃないですか。お金を払っていただいたからには、その方にサービスを提供したいんです」
施工管理は、会社への出社頻度は少なく、基本は自分の担当現場にいる。
リノベーションの工事現場、たとえば古いマンションの解体時には、図面通りに部屋がつくられていないなど、設計で想定できなかったことが多々発生する。
「実際に解体してみると、床のつくり、天井高が部屋ごとに微妙に違ったりします。それでも、現場で一部屋ずつ計測して、自分の経験と知識をもとに部屋の高さを計算して。設計者さんの図面をなるべく形にできるように試行錯誤しています」
新しく入る人は、まずは先輩と一緒に現場の施工管理に入り、その後はひとりで担当できるよう学んでいく。
現在、施工管理のチームは7名で、そのうち2名は時短勤務。限られた時間のなかでも、わからないことはお互いに相談できる体制が整っている。
住まいのことを本人以上に考える。お客さんが迷っているときには、理由も含めて提案できる。そんな人が合っているんだろうな。
「PORTER’S PAINTS」の調色技能士として働いている小野さんも、お客さんを第一に考えて働いている人。
2023年の新卒入社ながら、現在は一般のお客さん向けに、使い方のレクチャーと材料販売も兼任。新しく入る人にとっては先輩になる。
「小さいころから目の前の人を笑顔にしたかったんです。お笑い芸人になるか1回悩んだことがあるくらい。恥ずかしいからやめたんですけど(笑)」
「NENGOが掲げていた理念は、自分が本当にやりたいことで。わたしも100年後の街つくりをやりたいと思って選考を受けました」
NENGO工務店でも使用されている「PORTER’S PAINTS」
ベースに16色の顔料を数滴ずつ混ぜて、つくる色は300種類以上。色味だけでなく質感・発色も調整して、サンプルをつくり、お客さんの希望を叶える。それが調色技能士、別名ティンターと呼ばれる仕事。
お客さんの情報を担当者から引き継ぎ、色のイメージをすり合わせる。理想の色をつくるために、ときにはお客さんと電話でも話をして、レシピにはない色・質感を提案している。
「色づくりの前後で、20キロくらいある缶を運んだり、小分けにして発送するときに缶を動かしたり。実際は結構大変だったりします」
「服も塗料まみれですが、わたしはうれしいです。ソフトボールをやっていたんですけど、ヘッドスライディングしたときの泥まみれを思い出して(笑)」
いろんな事業があるなかで、小野さんはどうして「PORTER’S PAINTS JAPAN」を選んだのだろう。
「わたしが生まれるちょっと前に、新築で実家を建てていて。築年数とわたしの年齢が同じで、家が幼馴染みたいな感じでした。それでわたしは家にすごく愛着を持ったんです。でも、意外とそういう人って少ないなと思って」
「PORTER’S PAINTSは、お客さま自身で色を塗っていただくことも多くて。それは、塗る作業を通して、家に愛着を持ってほしいから。わたしが仕事を通してやりたいことの一つだと思いました」
ここで、印象に残っているお客さんの話をしてくれた。
「過去2回、PORTER’S PAINTSを塗ってくださったお客さまがいました。その方から壁を塗り直したいという依頼があって」
「壁の耐久性的に、次の1回で決めないといけなかったんです。もともとは赤みのあるベージュで、その赤味を調整したいと。少し青みのあるベージュがいい、というご要望でした」
300種類以上あるカラーカードのなかから、近いイメージの色味を出して、たくさんの色を見てもらった。しかしピンとくる色がなく、1年近く悩んでいたそう。
「すでに塗ってある色の上から、新たな色を塗り重ねたサンプルをお渡しして、それで納得して決めていただけました」
入社して間もないころに、難題とも取れる案件。プレッシャーはありました?
「1人で決めることは難しいので、周りのティンターと相談しながら色を決めて。みんながフォローしてくれる環境が整っていたのがよかったです」
「その後、たまたまお客さまと一緒に塗ることになって。天井と壁一面に色が広がったとき『色々迷ったけど、やっぱりこの色でよかった』って言っていただけて。そのときの笑顔や言葉から、理想のお部屋を叶えることができたと感じました。この仕事をやっていて誇りに思うところだなと思います」
取材の最後に、実際の調色を見せてもらいました。白いベースに5種類の色を数滴たらしてかき混ぜる。
塗料が混ざると、薄い緑がかったベージュに変わる。
1滴の違いで、微妙な色の変化をつくり、お客さんの理想を叶える。ティンターとしてのこだわりが垣間見えました。
「NENGOの理念に通じるかもしれないですが、仕事の話を聞いて、お客さんのことを考えると、わたしたちがやらないほうがいいんじゃないですかって言っちゃうこともあります」
となりで聞いていた施工管理の森井さんも一言。
「数字を追い求めるより、お客さんのために何がいいかを考える。そういうマインドはほかの人も持っているんじゃないかな」
フランクで、でも自分の意見はしっかり伝えていく。目の前の人のために動く人たちからは、強い意思を感じました。
100年後の街をつくる仲間を募集中です。
(2024/7/23 取材 櫻井上総)