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おふろはうつわ
わたしがポカポカすると
空間もまちも沸いてくる

「もっとポカポカ沸かせていきたくて。社名リニューアルしちゃいました」

サウナで取材をしていたら、宮本さんが言った。

和歌山出身の宮本さんは、紀伊半島を一つの中心にすえ、もっとローカルを沸かせていきたい。

はじまりは、2017年。三重県四日市市にある民間のスーパー銭湯を「天然温泉 おふろcafé 湯守座」へ生まれ変わらせました。

そして、コロナ禍を乗り越えた2024年。三重県いなべ市の市営温泉を「いなべ阿下喜ベース」へ生まれ変わらせます。

おふろの再生を通じて地域活性に取り組むのが株式会社旅する温泉道場、あらため株式会社Kii company。

今回は、よりよい空間をつくる副支配人候補と、カフェを育てていく飲食店長候補・調理長候補を募集します。応募資格は一つだけ。「自分をポカポカさせてみたい」気持ちです。

 

たくさんの人が行き交うJR名古屋駅から電車で30分。三重県四日市市に湯守座はある。

チリン、チリン。入り口では風鈴の音色が耳を涼ませてくれる。

そこへスタッフの方が通りがかると、ツバメの巣を撮影する。

気になって声をかけてみる。

「毎朝出勤するときに、写真を撮っています。今年は巣をつくるのがゆっくりですね」

名古屋からはそんなに離れていないのに、ゆったりした空気が流れている。

そのままの気持ちでお店に入ると、スタッフのみなさんが夏の販促企画について打ち合わせしているところ。真剣でいて、どこか楽しそうな雰囲気。

「湯守座には“エンタメ温泉”という合言葉があって。地元の人はもちろんのこと、名古屋をはじめ東海地方の人もポカポカする空間になりたいんです」

そう話してくれたのは、副支配人の須藤(すとう)さん。福島県の出身で、産休・育休を取得後、2年前から時短勤務で働いている。

入浴にかぎらず、いろいろな関わりかたで、訪れた人をポカポカさせているという。

温泉気分を味わえるレンタル浴衣、夏のご当地カレーフェア、子どもが楽しめる縁日の金魚すくい。おふろには、泥パックやスタッフの手書き新聞。

働くみんながワークショップを企画運営することもある。

「2023年の夏休みは、小学生向けに自由研究のワークショップをしました。それから元消防士の副支配人・大瀧さんが防災ワークショップを行ったり、デザイン学校出身のスタッフ・西川さんが“ミニチュア銭湯”をつくるワークショップをしたり」

企画はまちの声からも生まれる。

外国籍の方も多い四日市では、入浴マナーがわからないという声が聞こえてくる。シングルペアレントの家庭では、子どもをおふろに連れて行きにくいという声も。

そこで入浴マナーを学びつつ、おふろの楽しさにふれる「グローバル銭湯」や「子ども銭湯」の取り組みもはじまった。

楽しみながら、さりげなくまちの課題も盛りこんでいき、美容から娯楽、教育や防災までジャンルレスに取り入れていく湯守座。須藤さんの話を聞いていると、おふろはまちのうつわなんだ、と気づく。

そんな湯守座ではたらくって、どういうことなんだろう?

「お客さんにポカポカしていただくことはもちろんですけど、同じくらい、いやそれ以上に、わたしたち自身のポカポカを大切にしたいんです」

働く一人ひとりがポカポカすると、湯守座という空間もポカポカしてくる。訪れたお客さんだってポカポカしてきて、やがてまち全体が沸いてくる。

 

そのはじまりは、毎日の仕事から。

2024年にkii companyへ仲間入り。4月に三重県いなべ市にオープンした温浴施設「いなべ阿下喜(あげき)ベース」に立ち上げから関わる副支配人の岡田さんに話を聞いた。

はたらくきっかけは、生まれ育った三重県名張市にあるという。

「地元が好きだったので、同級生が外に出て、まちが高齢化して、さびしいなって。地域活性に関わりたかったんです」

食を通じて地域を支えられたらと、学校卒業後は、地元で農業関連の仕事をしてきた。

地元に残って、働いて、暮らして。それだってきっと地域の役には立っているけれど、あらためて地域活性ってどういうことだろう。

個人でお店をはじめるとか、コンサルティング会社に勤めるとか、いろいろな思いをめぐらすなか、日本仕事百貨で募集記事を見つけた。こんなことが書かれていた。

経営のむずかしくなった温浴施設について、まずは続けられる事業モデルを組み立て直す。そして空間をリノベーションしていく。

まずははたらく人たちがポカポカとしていくと、空間もポカポカしてくる。そして、訪れたお客さんもポカポカすることで、まち自体が沸いてくる。

やがて、外から通うお客さんが引っ越してきたり、まちで起業してみたいという人が現れる。「このまちいいな」と思う人が増えることで自治体の税収は増え、土地の価値も高まっていく。

「農業をするにしても、おふろを運営するにしても、地域を沸かせるためにはビジネス的な力は必要。自分のスキルを高めたかったし、まちを持続させるための取り組みをしてみたかったんです」

入社後は湯守座で研修を重ね、仕事の基礎を身につけていく。

肩を並べて仕事をする同僚や先輩が、自分では気づかなかった長所を見つけてくれる。その上で、「今度こんなことをしていきたいのだけど、岡田さんはどう?」「ひょっとしてこういう仕事も向いているんじゃない」と、声をかけてくれる。もちろん自分から手を挙げてみることだってある。

そして、2024年4月にいなべ阿下喜ベースのオープンを迎える。

清掃やフロント業務にはじまり、備品の選定や在庫管理、運営のオペレーション、さらには施設全体のお金まわりの話まで。5月からは、採用にも取り組んでいく。

「はじめてのことばかりですけど、副支配人の須藤さんもいるし、まわりには相談できる人がいるから安心してチャレンジできます」

働きはじめて驚いたことがある。

「サウナではポンチョを着用するルールだったんです。だけど、誰よりもお客さんを間近で見ているパートさんたちから『水着のほうが気持ちよく過ごしていただけるのでは』という声が上がりました」

「みんなで話し合って、その日からルールを見直しました。役職や立場に関係なく、ポカポカするために思ったことを言える環境があるんですね。現場に決裁権が任されている分、スピーディーにお店をアップデートできる体制もあります」

 

続けて話を聞いたのは、湯守座のカフェの支配人を務める小田さん。店長候補の方を募集する。

今回は、店長候補と調理長候補の方を募集する。メニュー開発、価格設定、仕入、原価計算、売上管理、シフト管理、研修… いろいろなことに取り組んできた。

2017年の湯守座オープンから、カフェを育ててきた小田さん。

これまでは飲食店長をしながら調理長も兼ねてきた。今後は、お店全体のこと、そして料理を任せていける仲間とともに進んでいきたい。

「このところずっと、募集する人の役職を考え中です。料理長?スーシェフ?店長候補?応募してくださった人と考えてもいいなと思っているくらい。調理師免許はあると理想だけれど、実は飲食店未経験の料理好きな人かもしれません」

どういうことでしょう?

「キッチンでずっと定番のメニューをつくり続ける人よりも、食をつうじて新しい価値をつくってみたい人と出会いたいです」

小田さんはこう続ける。

「今のカフェの基礎は、ぼくが幅広く仕事を担当するなかでスタッフさんと形づくってきたものです。飲食店の基礎は、なんといってもおいしいこと。お米も味噌も小鉢も、ぜんぶちゃんとおいしいことを大切にしてきました」

「だけど、去年くらいからできることはもっとあるなと感じていて」

できること。

「温浴担当のメンバーたちと話しつつ、食の企画を立ててみる。あるいはローカル食材の発掘やメニュー開発も」

「原価計算やシフト管理といった“守る仕事”はぼくがしてもいい。これから働く人には“攻める仕事”をしていただけたら」

これまでも取り組みはしてきた。

名古屋からもお客さんが訪れる湯守座。せっかくなら三重の食も楽しんでほしい。ローカルの食材を取り扱う地産地消に力を入れはじめた。

世界中の海で獲れた天然マグロを最新の輸送技術で届ける「尾鷲もちもちマグロ」、鈴鹿で知らない人はいない「海産物問屋まるかつの干物」、四日市で5代続く「伊勢藏の赤味噌」など。

小田さんは気になる生産者さんを見つけては、足を運んで、つながってきた。

「できることってもっともっとあると思うんです。いっしょに話しながら形にしていきましょう。たとえば、マグロを食べたお客さんが『今度は尾鷲の海を見てみたいな』と次の三重旅の計画を立てていく。店内に、手書きのフードマップがあっても面白くないですか?」

順調に会社の事業が拡大していくなかで、一人ひとりが活躍できるフィールドもどんどん広がっている。いずれは自分の地元や、いろんなまちを沸かせていきたい人も。まずはこの空間と四日市から。

代表の宮本さんは、事務所でパソコンとにらめっこをして煮詰まったとき、おふろやサウナに入るそう。この仕事の面白いことは、なんといっても、リアルな空間があること。お店に出てお客さんの顔を見るとそこに答えがある。

働くわたしがポカポカすると、湯守座という空間がポカポカして、訪れたお客さんもポカポカしていき、やがてまちが沸いてくる。

わたしは沸いているかな、場は沸いているかな、まちは沸いているかな。

株式会社旅する温泉道場、あらため株式会社Kii companyで仲間を募集します。

(2024/7/5 取材 大越はじめ)

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