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レストランはメディアだ。
料理の匂いや味はもちろん、店員さんと会話や、その場に流れる音楽。座っている椅子や、使われているカトラリー。
五感すべてを刺激する、レストランという場が伝えられることは多いと感じます。
2011年、日本人起業家がベトナムではじめたピザ屋「Pizza 4P’s」。レストランでの体験を通じて、さまざまな社会問題の解決に取り組んでいます。
ゴミ問題が深刻なカンボジアでは、ゼロウェイストを掲げた店舗を立ち上げたり、インドで多様性をテーマにした店をオープンしたり。アジアを中心に38店舗まで拡大しています。
昨年は「つながり」をテーマにした店舗を東京の麻布台ヒルズにオープン。
今回は、日本の店舗のマネージャー候補とサービスパートナー、キッチンパートナーをそれぞれ募集します。
海外5カ国に展開している会社だからこそ、経験を積めば海外の店舗で働いたり、マーケティングや新規事業を担当したりなど、キャリアの選択肢を広げることもできるそう。
おいしい料理やレストランという場が好きな人。生産者さんとのつながりを大切にした料理を提供したい人も。いろんな観点から学びを得られる。そんな職場だと思います。
日比谷線の神谷町駅で下車し、麻布台ヒルズにあるPizza 4P’sの店舗へ。
予約必須の人気店なので、平日にも関わらずたくさんのお客さんで賑わっている。
大地を感じさせる温かな色味の店内には、野菜の皮など食品廃棄物を使って染めたクッションや、チーズをつくるときの廃棄物をアップサイクルしたオブジェなどが。
空間にある一つひとつのモノには、地球とのつながりを考える物語が込められているんだそう。
中の様子をみていると、声をかけてくれたのはグローバルブランドディレクターの久保田さん。
店舗マネージャーして入社し、カンボジア店の立ち上げなどを経て、今は日本を含む世界中の店舗のブランディングを担当している。
「僕らは、“Make the World Smile for Peace (平和のために世界を笑顔に)”というビジョンを掲げています。ピザ屋にしては、かなりスケールの大きい話をしていると感じると思うんですけど、このビジョンに対してすごく真剣に考えていて」
「それを実現する手段の一つとして、 “Oneness”という考え方を広めていきたいんです」
Onenessですか。
「すべてがつながっているという考え方で。すべてのものは地球からの恵みを受けて存在している、と感じることができてはじめて、感謝や思いやりを持てるようになると思うんです」
レストランには欠かせないメニューブックも、つながりを伝える仕組みのひとつ。
「ディクショナリー」と呼ばれていて、なんと全部で72ページ。
店舗で使っている食材やお皿、音楽にいたるまで。それぞれのつくり手の写真やインタビューに加え、QRコードを読み込むと、その人たちの声を聞くこともできる。
見て、読んで、聞いて、味わって。五感を使って生産者さんたちとのつながりをぐっと身近に感じられるのが、Pizza 4P’sでの体験。
「まずは、普通のメニューとは違うなって思う程度で良くて。料理が美味しくて感動したら、メニューを読んで農家さんの想いに共感するかもしれない。そしたら、自分もその人の野菜を選ぶようになるかもしれないし、感謝の気持ちを持つかもしれない」
「そういう個人の小さな行動の変化が、平和な社会につながると思うんです」
たとえばゴミ問題が深刻化しているカンボジアでは、ゼロウェイストを掲げた店舗をオープン。お客さんがプラスチックを持ち込むとポイントが貯まり、ピザやドリンクと交換できる。
その結果、お客さんが自発的に楽しみながらゴミの分別をするようになってきているんだそう。
平和について考え、社会の現状にとことん向き合っているPizza 4P’s。ここで働く人もそういった問題に強く共感する人がいいんでしょうか。
「平和についてすごく真剣に考えたい人じゃなくても、まったく問題ないです。僕たちの取り組みや考えのどこか一つにでも興味を持ってくれることが大切」
「僕たちの会社の一部にでも共感してここで働いてくれることが、結果としてOnenessを届けることにつがると思っています」
生産者とのつながりを大切に働きたいと思う人も、かっこいいレストランで接客をしたい人も。
レストランでの仕事が好きな人なら、好きな仕事をすることが、世界を笑顔にすることにもつながっている。そんなやりがいを感じられる職場だと思う。
さらに、ホールやキッチンでの経験を積むなかで、希望があれば海外の店舗やほかの部署で働くこともできる。
「店舗数も増えていて、たくさんチャンスはあります。ただ、他の部署で働きたいと思ったら、チャンスを待つだけじゃなくて自分で学んだり実践したりして、結果を出してほしいです」
世界中に3800人以上も社員がいる大規模な企業ではあるけれど、働く人たちのマインドはベンチャー。
まずは現場でしっかりと経験を積み、自分の仕事を自分で掴んでいく。そんな気持ちのある人にとっては、チャンスがたくさんある環境だ。
うちは規模も大きいし世界中「どんな仕事をするにしても、現場の経験は一番大事。お客さんの層や実際の反応を知っておくことはすごく学びになる。僕自信も、現場での経験があったから今のような幅広い仕事ができるようになりました」
現場で働く人たちは、どんな人なんだろう。
夜の営業に向け、仕込み作業をしていたキッチンスタッフの原さんに話を聞く。
「メニューブックを見たときに、生産者さんの顔が見えるだけじゃなくて、想いを身近に感じられることに感動して。このお店で働きたいと思いました」
日々の仕事のなかでも、生産者さんとのつながりを実感する機会が多い。
毎日届く野菜と一緒に畑の写真や手紙が添えられていたり、実際に現地を訪ねたり。
「直接会って、畑の様子やどんな想いで野菜を育てているかを知れたのはとてもうれしかったです。日々扱うお野菜に対しての責任感も生まれるし、愛着も湧きました」
同じ野菜でも、農家さんや季節によって味や大きさはさまざま。それぞれの良さを引き立たせるために、茹で加減や調理の仕方にも気を遣っているんだそう。
「まずは前提条件として美味しいことが大事。うわ!美味しい!っていう驚きがあってこそ、お客さまもその食材について知ろうと思う。自分はまだまだですけど、頑張って味も見た目も驚いてもらえるようなものをつくれるようになりたいです」
東京の店舗で働くスタッフは、アルバイトも入れて全部で25人。キッチンのメンバーの半分はベトナム人スタッフ。
お客さんもスタッフも海外の人が多いけれど、英語はどれくらい必要なんでしょう。
「自分も心配していたんですけど、簡単な英語が話せれば大丈夫です。ベトナム人スタッフとは日本語でコミュニケーションがとれるし、働いているメンバーに英語が得意な人もいるので、接客もカバーしてもらえています」
オンライン英会話を受けられる制度もあるから、英語で接客できるようになりたい人は、語学力を磨けるいい機会になる。
「うちのスタッフは、ホールもキッチンもストイックというか、向上心の強い人が多いですね」
料理の提供が遅くなれば、その理由を考えてすぐに互いにフィードバックし合う。そんなふうに切磋琢磨し合える環境。
「お客さんもたくさん来てくださるので、ホールもスタッフも忙しい。でも、そのぶんいろんな経験ができるし、農家さんとのつながりも感じられる。自分はこういう働き方が好きだなと感じています」
最後に話を聞いたのは、店舗マネージャーの小林さん。
小林さんは2015年にベトナムの1号店に入社。6年半働いた後に転職し、日本への出店を機に再び戻ってきた。
「ホーチミンに旅行に行ったときに、友だちから美味しいピザ屋さんがあるから行ってみなよって言われたのがきっかけで。社長のブログを読んだら、海外でのお店で起きたトラブルとかすごく正直に書いていて。誠実というか…素敵な方だなと思ったんです」
もともとは別の飲食店で働いていた小林さん。海外で働きたいという思いもあり、ベトナムに移住。新店舗のマネージャーや新商品の開発など、さまざまな経験を積んだ。
「私が退職するまでに、1店舗だった店が25店舗に増えました。そのなかで、本当にいろんな経験をさせてもらって。経営層に近い知識を吸収させてもらえたのは、すごく楽しかったです」
店舗マニュアルを一から考えたり、クオリティを均一にするためのシステムを導入したり。成長し続けている会社だからこそ、経験できることの幅が大きい。
マネージャーとしてどんなことに力を入れているんでしょう。
「売り上げや、接客の改善はもちろんなんですけど、スタッフに『自分の仕事が特別だ』ってことを感じてもらいたいなと思っていて」
特別。
「この仕事って、どうしても毎日同じ場所で同じことをするから、作業になりやすいんです。でも、私たちの仕事は生産者さんや地球のことを考えるきっかけづくりになっている。それを実感できるような機会も増やしているところです」
先月は、レストランで扱う食材をつくっている農家さんをスタッフみんなで訪ねた。
「実際に会うことで、自分たちの仕事がどこにつながっているかを改めて感じるられると思うんです。今後はイベント出店なども増やして、新しい人と会う機会もつくっていきたいですね」
利益には直結しなくても、スタッフ一人ひとりを大切にして、やりがいを持って働ける環境をつくろうとしているのが伝わってくる。
「私自身、この会社の社員へのスタンスが好きなんです。たとえば、誕生日になると、お祝いのメッセージをくれるんです。一緒に働いてくれてありがとうって、存在を感謝されるというか。そういう気持ちがうれしくて」
「飲食業界って通常、自分のお店を持つことしかゴールがない。でも、うちは規模も大きいし世界中にお店をつくっているから、いろんな仕事が生まれていく。自分次第でキャリアの選択肢を広げられるのは魅力です」
小林さんも、「海外と関わる仕事がしたい」と希望し、半年後には新規事業の担当に異動することが決まっているんだそう。
「代表をはじめとして仕事が好きな人が多いので、仕事を頑張ってやりたい人のほうが、社風には合うんじゃないかな。正直、毎日忙しいし、大変だと思います。でも、ただ大変なんじゃなくて、その大変さを乗り越えた後には、できることや選択肢が広がる職場だと思いますよ」
お客さんに楽しんでもらうための接客も、わっと驚くような美味しい料理をつくることも。
ここでの仕事の積み重ねが、世界を笑顔にすることや自分の選択肢を広げることにつながっている。
そんな実感を持って働けるレストランだと感じました。
(2024/10/15 取材 高井瞳)