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目を、気を、心を配る
封筒屋さん

「今日もよろしくね! 頼むよ!」

機械がせわしなく動く工場の中。株式会社太陽堂封筒の社長の吉澤さんは、スタッフ一人ひとりに声をかけてまわる。出社するときは毎日必ず作業現場に行き、作業の進捗を確認する。活気ある工場がさらに活気づく瞬間です。

太陽堂封筒は、お客さんの要望にあわせてオーダーメイドで封筒の製造や企画・販売を行っています。年間だいたい4000種類の封筒をつくり届けている。

営業や工程の管理をする人、封筒を実際につくる工場の各工程を担う人。

お互いに声をかけ合って、ときには社長の吉澤さんがつくったカレーや味噌汁を食べ、みんなで封筒をつくる。

今回は営業事務を募集します。まずは太陽堂封筒の雰囲気を知ってほしいです。

 

東京・早稲田は印刷関連の企業が集まる地域。地下鉄の早稲田駅を出て通りを歩くと、そんな会社がいくつも目に入る。駅から3分ほど歩いた先にある4階建てのビルが太陽堂封筒の本社。倉庫や工場も隣接している。

エレベーターで4階に上がって食堂へ。

横にキッチンも併設されていて、吉澤さんがカレーやお味噌汁を振る舞うこともあるそう。普段はお昼を食べたり、ミーティングもする場所。

カフェのようなあたたかみのある内装で、下に工場があるとは思えない。

吉澤さんにさっそく会社について聞いてみる。話しているとエネルギーをもらえるような、快活な方です。

「太陽堂封筒は昭和29年に私の父がつくった会社で。戦争のとき、シベリアに抑留されていた父が心の支えにしていたのが、家族からの手紙だったんです。それで日本に帰ってきたときに手紙に関わる仕事がしたいと、今の会社をはじめたと聞いています」

幼い頃からお父さんの姿を一番近くで見ていた吉澤さん。けれども、会社を継ぐとは夢にも思っていなかった。

「最初印刷会社に就職して、その後に兄を手伝うつもりで経理で会社に入って。会社のお金の流れだけじゃなく、もっと会社の仕事を知りたいという気持ちから工場の仕事も経験しました」

「兄は別の不動産の事業を継ぐことになって。私は父から太陽堂封筒の方を継いでほしいと言われ、2002年に会社を継ぐことになったんです」

当時は16人ほどの会社で、封筒づくりはすべて外注だったそう。

「品質を保証できる会社にしよう。そう思って封筒の社内制作体制をつくりました」

ミスがないかを確認するチェックシートや、いつ、どの機械で何番目につくった封筒かわかるようにする仕組みなど。会社の働きやすさ、環境にも目を向け、使用するインクや紙なども環境負荷が少ないものに変えていった。

「工場には女性も高齢の方も外国の方もいます。小柄な方でも使いやすいように機械の高さを低くくしたり、作業するときに少しでも体への負担を減らせるようにしていて」

工場は男性のイメージが強かったけれど、最近は変わってきている。多様な「働きやすい形」を模索している最中だ。

「2016年に、政府が進めている女性活躍のための事業で、全日本印刷工業組合の女性活躍推進室長になったんです。でも何をやるか本当に何も決まっていなくて(笑)。いろんな方に相談したら、まず自分の会社に落とし込んで前例をつくるといいよってアドバイスをいただきました」

はじめに思いついたのは、お手洗いと更衣室をきれいにすること。組合の力をかり、環境整備をしようとする企業には補助金が出るようにした。

食堂やオフィスもリノベーションも、その変化のひとつ。

「でも最初は誰も食堂にきてくれなかったんですよ…」と吉澤さん。

「もともと事務仕事の人はデスクで、工場の人は機械の横で食べて、始業時間まで仮眠する、みたいな状況でした。それで何か方法はないかなって寒い日に考えていたときに『そうだ、豚汁つくろう!』って思いついてやってみたんです」

「それでみんなが食堂に来てくれるようになりました。カレーは工場の改善活動の日にみんなで食べていて。同じ釜の飯を食う、じゃないですけど、みんなで一緒に考えて活動するときに同じものを食べるのって必要だな、と思ってつくっています」

コロナ禍で周りの飲食店がしまっているときも、給付金や選挙など封筒が必要になることが多くあった。そんなときには3種類もカレーをつくっていたそう。

 

就職活動中に見たテレビ番組がきっかけで入社したのが、営業事務の馬越さん。新卒で入社して、今年で8年目になる。

企業からの注文を受けて、まずは紙・印刷を手配。社内の工程の調整し、納品まで担当する。最近はテーマパークで販売する封筒の紙からデザインまで提案し、実際に販売された。

「もともと紙小物や文房具が好きで、そういったものに関われる仕事がしたいな、と就職活動をしていたんです。ただ、面接で全然話せないし、なかなかうまくいかなくて」

そんなときに太陽堂封筒をテレビで見る機会があった。

「封筒ができていくまでの工程がかっこよくて。あと、会社のアットホームな感じがすごく印象に残っていました。その後自分で会社のホームページを見たら、さらに興味がわいて。電話して面接を受けさせてもらいました」

話を聞き、働く人の雰囲気が自分にあっているな、と感じたのが入社する決め手になった。

実際に働いてみてどうですか?

「お客さんや協力会社さんに電話やメールで連絡をとって、パソコンで封筒の工程の予定組みしていますが、思っていた以上にたくさんの人と関わる仕事でした。最初は電話をするのも慣れなくて、ちょっときついなと思うこともありました」

「いろんな仕事を経験して、知識も自信も少しずつついてきて。前よりも説得力を持って伝えられるようになったかな、と思います」

仕事の6割が前回につくったものと同じもの、2割が一部修正、2割が新規の注文。急に問い合わせからの注文も入るし、急ぎの仕事も多い。

「急ぎの対応を工場の人にどうしてもお願いしないといけない場面もありますが、工場の現場の人には本当によく助けてもらっていて。『注文をとってきてくれてありがとう』とか『仕事が落ち着いてきたからもっと入れていいよ』とか、背中を押してもらっています。本当に感謝の言葉しかないです」

普段は数千から数十万枚の特殊封筒製作を受けることが多く、何百万単位で受注することは、太陽堂封筒の規模ではほとんどない。

「少し前に10万枚くらいの注文がいきなり140万枚に増刷になったことがあって。あのときは大変でしたが、なんとかやり終えました」

その封筒は、角2と呼ばれるA4の紙を折らずに入れられるサイズの封筒で、表面の一部が切り抜かれて、中に入れた手紙の一部が見える『窓』をつける加工をする、というものだった。

「現場にも相談をしつつ、まずは封筒の紙をおさえます。紙屋さんに連絡したんですが、この枚数はない、と言われてしまって。今月仕入れられる分、来月生産分、あとは地方にある在庫をかき集めて、ギリギリ納期に間に合うように手配ができました」

「その次は印刷所の手配ですね。2社にお願いして、印刷が終わるタイミングと社内での作業を始めるタイミングを調整して。印刷されたものが入ってきたら展開された封筒の形で切り落として、窓の部分の紙を抜いて、そこにセロハンを貼って。封筒の形になるように貼り合わせていきます」

サイズも数も大きいので、納品するのも一苦労。会社のトラックで何回にも分けて納品した。封筒の形になって納品されるまでは1ヶ月ほどかかった。

「ガァーっとやらないといけない仕事が来るときも、ミスが起こって急遽対応ってときもあります。いそがしくて嫌だって思いながらも、隣の席の人から『なんか馬越さん生き生きしてます?』って言われることがあって」

「意外と楽しいのかな」と笑う、馬越さん。

「今こういう封筒の注文が入ったのはなんでだろうってところまで関心が持てると、この仕事はより楽しいです」

「紙小物やものづくりに興味がある人にぜひ来てほしいですね」

人と人のつながりをつくる封筒。だからこそ、仕事がどう社会とつながっていくか、関心を持って働けると、この仕事はきっと楽しいんだろうな。

 

そんな封筒の世界を広げていきたいと考えているのが、工程管理の吉田さん。

定年まで大手印刷会社で印刷機械をつくるところから、商業印刷の現場、品質管理など、印刷まわりのことを一通り経験。もっとお客さんのニーズに合うものをつくりたい思い、7年前に太陽堂封筒に入社した。

「オーダーメイドの封筒が得意な会社だからこそ、オリジナリティのあるものをつくりたい人に対してできることがあるんじゃないかと思っています。最初、試しに100枚とか小部数でつくって、その後追加生産するみたいな。細かい対応ができたら、掬い切れていない需要に応えられると思うんです」

「工程管理も新しいシステムをつくろうと思っています。工程管理って馬越や営業がとってきた仕事を、工程ごとに、誰に、いつ、どの機械でやってもらうか。ひとつの工程が終わったら次の工程をいつからはじめるか。納品のスケジュールや現場の状況も加味して決めていく仕事なんです」

それを1日中考えるのは大変ですね。

「そうですね。だからシステム設計の会社と組んで、その日にやる工程の選択肢をいくつか提案してくれるような仕組みをつくっていこうとしています」

「仕組みが完成すれば、工程管理の仕事がより簡単にできるようになると思うんです。自分の仕事で使う仕組みを自分でつくれるって、やりがいもあるし、おもしろい」

もうひとつ、吉田さんの重要な仕事が品質管理。工程のなかでトラブルがあったときの対処や、トラブルを繰り返さないための対策を考える仕事だ。

「工程を組んだら、それがちゃんとまわっているか見ます。社長と工場を毎日見て回りますし、工程担当とサンプルを見ながらチェックシートで確認もします」

「みんなで協力し合いながら封筒をつくっているので、何かあったときも担当ひとりが背負うんじゃなくて協力体制があるんです。みんな苦労しながらやっているし、お互いのことがわかるからそういうことが自然とできるんですよね」

いくつもの工程を重ねて形になる封筒。

いろんな人の手が掛かっているものだからこそ、一緒に働く人に対しても自然と思いやりの気持ちを持って仕事を進めている。そんな印象を受けました。

一緒に伴走したい、そんな人にはぜひ応募してほしいです。

(2022/6/2 取材、2024/11/1 更新 荻谷有花)

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