求人 NEW

愛と責任を持って
舞台を影から支える
「裏方」の仕事

のびやかな歌声に、迫真の演技。きらびやかな衣装や、細部までつくり込まれたセットも見逃せない。

舞台作品は、観る人に夢や希望を与えてくれて、魔法のようにときめく世界を見せてくれます。

今回募集するのは、そんなエンターテインメントの裏側を支える、劇場管理スタッフ。

私たちが劇場に足を運び、安心してワクワクドキドキできるのは、劇場管理スタッフの仕事あってこそです。

担当するのは、千葉県・舞浜にある劇場。

利用者や来場者が快適に施設を使えるよう温度や湿度を管理したり、安全管理のため、ボルトの緩みがないか点検したり。舞台機構の操作や高所作業をすることもあれば、塗装がはげている部分を塗り直すこともあります。

経験や資格は一切なくて大丈夫。高いところが平気な人でないと難しいけれど、舞台の仕事に携わりたい人におすすめです。

劇場に愛着を持って、日々のささやかな仕事も丁寧に、責任を持って取り組める人を探しています。

 

東京メトロ東西線で中野方面へ。中野駅の一つ手前、落合駅から歩いてすぐのマンションに、NAC(ナック)のオフィスはある。

「今回募集するのは、僕たちの原点とも言える劇場。会社が生まれるきっかけになった、大切な場所なんですよ」

迎えてくれたのは、代表の小栗了さん。舞台監督を務める父を持ち、俳優から今の仕事に転身した。

「うちは、クラシックコンサートから格闘技イベント、花火のレーザーショーやお寺での音楽イベントまで、幅広く手掛けていることが特徴です。演出や制作進行を担当することもあれば、企画から携わることもあるし、劇場運営もやっています」

もともとNACは、世界的なサーカス・エンターテインメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の専用劇場設立に伴って、2007年に了さんが立ち上げた会社。

カナダのモントリオールにあるシルクの本部と共同して、日本スタッフ代表として2011年の劇場閉館まで運営を担当してきた。

「父の仕事を手伝う流れで、シルクの仕事をするようになりました。幅広いジャンルを手掛けるようになったのは、劇場閉館後のことですね」

ここ数年、了さんが力を入れているのが、埼玉県にあるテーマパーク「ムーミンバレーパーク」での演出。キャラクターに加え、人気声優さんを起用した本格的なショーが人気を呼んでいる。

「ショーの台本も書きますし、ムーミンたちが踊る曲の作詞もしているので、妻からは『メルヘンおじさん』って呼ばれています(笑)」

手掛けたオリジナルソングは、「雲にのれたら」「おっきいりんごの唄」など。すでに6曲ほどあるそう。確かにメルヘンで可愛らしい雰囲気。

「父から言われた『楽しくやるかやらないかは自分次第』という言葉はすごく納得感があって、ずっと大切にしています。おかげで、どんなジャンルの依頼が来ても楽しく取り組んでいますね」

今回募集する仕事では、そんなふうに、どんな環境でも楽しさを見出せる人に来てもらいたい。

「担当してもらう劇場は、今はロングラン公演がメインなので、刺激が多いというよりも、日々の淡々とした業務をしっかりとやることも大切になってきます。たとえ小さな仕事でも、責任感を持ってやり遂げてもらいたいです」

「どこにチャンスが転がっているか分からないし、小さな仕事が大きな仕事につながっている。生きるうえでは、コミュニケーション能力と責任感がとっても大切です。逆にいうと、僕はその2つだけでここまで来たかもしれないな」

コミュニケーション能力と責任感、か。

たとえばボルトの緩みなど、少しでも違和感があったら先輩に話して確認したり、しっかりと整備することが事故を防ぐ。塗装のはげや、ちょっとした床材のめくれを直すことも、決して「小さな仕事」ではない。

 

続いては、実際に働く舞浜の劇場へ移動し、劇場管理スタッフの西端さんに話を聞く。

「家族がミュージカル好きで、私の初観劇は0歳のとき。偶然にも、今この劇場でやっているのと同じ演目だったんですよ」

高校までトランペットを本格的にやっていた西端さん。挫折の経験と、舞台俳優として働く姉の影響で裏方になることを目指し、音楽大学の舞台スタッフコースに進学した。

「姉が演者なら、私は裏方という感じで自然に志ましたね。『いつか一緒に同じ舞台に関わりたいね』って姉妹で話しています」

NACとの出会いは大学時代。大学で行う公演を、NACがスタッフとして手伝っていた。

「劇場の仕事に興味があったので、わりと早い段階で『入りまーす!』って言ってました(笑)。会社の雰囲気がすごくいいなと思ったんですよね」

入社前から知り合っていたということもあり、ほかのスタッフとも、年の差はあれどかなり柔らかな雰囲気でコミュニケーションをとっている西端さん。舞台の裏方は男社会で上下関係が厳しいというイメージがあったけれど、なんだか働きやすそう。

「制作や音響、照明の仕事は公演ごとに各地を回ることもありますが、劇場管理スタッフはあくまでも劇場について運営することが仕事。休みも比較的取りやすいですし、舞台業界のスタッフも、ここ十数年で女性が増えてきているんですよ」

日々どんな仕事をしているのだろう。

「朝来たら、まずは利用される方が来るまでの間に、異常がないかをチェック。本番で使用する監視カメラは正常に動作しているか、避難導線は塞がれていないか、夜間地震が起きていたら機材や設備は大丈夫だったかなど、点検して回ります」

館内各所の温度や湿度は、日々記録しているデータをもとに調整し、快適に利用できるようサポートしている。

「必要があれば高所作業にも立ち会って、一緒に準備を進めます。本番が始まってしまえば、わりとゆったり。舞台袖のブースからモニターで見守りつつ、緊急時に対応ができるようにインカムを付けてスタンバイしています。あとはデスクワークなどをしていますね」

終演後は、再び高所作業に立ち会うこともあれば、施設内の気になった箇所を修繕することも。休演日は公演日よりも忙しい場合が多く、各所のメンテナンスにあたっている。

仕事をするなかで、やりがいはありますか?

「私たち施設側の人間は、パンフレットに個人名が載ることってなかなかないんですよね。そんなときに何がうれしいかというと、劇場の名前が載ること。劇場のことを褒めてもらえたときは、自分ごとのようにうれしく思います」

隅々まで気を配っているからこそ、ふとした瞬間に聞こえる何気ない会話もうれしい。

「来場者さんから『ロビーが開放的できれい!』『客席かっこいいね』という言葉が聞こえてくると誇らしくなります」

「公演準備の下見のときには、電源一つとっても『ここにあると使いやすいね』と言ってもらえたときとか『この劇場、特徴的でおもしろいね』とか。そういった小さな幸せはたくさん感じます」

劇場管理スタッフにとっては、利用者も来場者も、どちらもお客さん。

西端さんの言葉からは、劇場とお客さんに対する愛が伝わってくる。

「たしかに、愛かもしれませんね。私は劇場のことを、自分の家のように思っているんです。自宅にお客さんが来るときは、ちょっとお掃除頑張りますよね。それで褒められたらうれしいじゃないですか。仕事も一緒です」

 

最後に話を聞いたのは、了さんと一緒にNACを立ち上げた成本(なりもと)さん。

「ここがステージ上部の、『グリッド』と呼ばれるフロアです。照明や音響の機材、舞台セットなどを吊り下げる機構を設置しているんですよ」

床面は、スマホがちょうど落ちるサイズの鉄格子になっていて、油断するとけっこう怖い。

「21メートル下まで丸見えです。下じゃなくて、前を見れば怖くないですよ。点検や作業の立ち会いでほぼ毎日来ることになるので、高所恐怖症の人は難しいでしょうね。これでも、ほかの劇場よりかなりいい環境なんです」

ログハウスの職人を経て、舞台の世界に入り、大道具や舞台装置を長年手掛けてきた成本さん。もともとは了さんのお父さんの仕事仲間だった。

「了ちゃんが俳優をやっている時代から付き合いがあって、ずっと一緒にシルクの仕事をしてきました。最近は人手不足で舞浜にいますが、ムーミンバレーパークやほかのイベントの仕事もやっています」

どんな人と一緒に働きたいですか?

「西端の話にもありましたが、劇場に愛着と責任を持ってくれる人がいいですね。たとえば自分たちで床を塗り直したら、その場所がより一層大切になる。掃除をすれば、周りの人もきれいに使わなきゃと意識が変わっていきますよね」

現在、ロングラン公演が行われているこの劇場。毎日同じ演目だからこそ、モチベーションを保ち続けることが大事になってくる。

「ささいな変化に気を配って、今自分にできることは何かを考え、楽しさを見出す。それができる人に来てもらいたいですね」

ロングラン公演でしか学べないこともたくさんあるという。

「舞台の仕事を志す人だったら、たとえ数年でもいいから、ロングランを経験しておくと大きな糧になると思います。作品が次々と変わる環境では、仕事をこなすスピード感を養うことができる一方、ロングランは一つひとつの物事や技術を突き詰めることができます」

「働きながら学ぶ時間をつくるのはなかなか難しいですからね。この規模でロングラン公演ができる環境自体も、日本ではなかなか少ないので、気になった方はぜひ飛び込んできてもらいたいです」

成本さんいわく「裏方も表現者」。希望があれば、将来了さんの仕事を手伝う、という可能性もありえるだろう。

劇場に愛着と責任を持ち、我が家に迎え入れるようにおもてなしする。

高所さえ大丈夫なら、経験や資格は一切必要ありません。

エンターテインメントの裏側を支える仕事に、今こそ挑戦してみませんか?

(2026/1/13、15 取材 今井夕華)

問い合わせ・応募する

おすすめの記事