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いい仕事って?
いい会社って?
毎日考え続けたら

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日曜日の夜。「明日は仕事かぁ」と、サザエさんを観ながら憂うつな気持ちになる。社会人になるずっと前から、そんな話だけはなぜか聞いたことがありました。

仕事や会社はいやなもの。そんな考えが、なんとなく根づいている日本社会。

でも、そんなふうにネガティブに捉える必要なんて、本来はないんだと思う。

「これからの時代に求められるいい会社ってなんだろう? 」

そんな問いを掲げ、考え、実践し続けているのが、PARaDE(パレード)です。

中川政七商店の会長・中川淳さんと、デザイン・イノベーション・ファームTakramの佐々木康裕さんが中心となり立ち上げた、PARaDE。

自分たちなりの「いい会社」を定義し、それに共感する企業向けに勉強会やワークショップを開いたり、一般の人たちに広めていくためのイベントを開催したり。

いい会社を増やし、社会をよりよくしていきたい。そんな想いで活動を続けています。

今回は、PARaDEの運営メンバーとして、勉強会やイベントの企画運営、事務業務に広く携わる人を募集します。

自身の仕事はもちろん、それを取り巻く会社や社会全体のあり方も、人ごとにせず考えたいなら。

考え続けること自体が仕事になる。そんな環境がここにはあります。

 

決まったオフィスを持たないPARaDE。

運営メンバーは主にリモートで働きつつ、メンバーが集まりやすい奈良や東京でのミーティングを定期的に行なっているそう。

今回は、清澄白河にある日本仕事百貨のオフィスまで足を運んでもらい、話を聞くことに。

「求人媒体 でメンバーを募集するのは初めてなんです。PARaDEっぽい服ってなんだろうって考えちゃいました」

朗らかな表情でそう話すのは、中川淳さん。

中川政七商店の13代社長を経て、現在は会長をつとめる中川さん。

かつて、上場を目指して準備を進めていたものの、直前で思い直し、取りやめる決断をしたことがあった。

「上場って、わかりやすく会社のステージが上がったと認識されるじゃないですか。『会社をよくする=上場、利益を上げること』と考える経営者は多い」

「上場をあえてしない道を選んだ自分は、ともすると間違っているのか? って。上場していく周りの経営者を見ながら、いい会社ってなんだろうなと考えたんです」

経営者の多くは、いい会社を目指しているはず。利益はもちろん大切だけれど、それだけではいい会社とは言い切れないんじゃないか。

では、自分が考える「いい会社」とは何なのだろう。

そんなふうに考えを深めていったことが、PARaDEの原点にある。

「『いい会社』という言葉を掲げて活動するなら、自分たちなりの定義があったほうがいい。議論を重ねるなかでたどり着いたのが、『利益』『共通善』『個別善』という3つの軸でした」

まずは企業として、適切な「利益」を生んでいること。ただ、それだけを追求するわけではない。

環境問題をはじめとする、社会共通の課題に対して真摯に向き合っているという「共通善」。

そして「個別善」は、自社で掲げるビジョン・ミッション・パーパスなどの実現のために 、 すべての事業活動を行っているか 、ということ。

「中川政七商店だと『日本の工芸を元気にする!』というビジョンを掲げています。社会共通の課題とまではいかないけれど、自社がなんとしても達成したいこと。表面的な言葉だけではなく、達成のためにいかに愚直に取り組んでいるか。これが個別善にあたります」

現在、PARaDEの参画企業は17社。ものづくりや小売業、食肉加工業や古本屋さんなど、業種はさまざま。目にしたことのあるブランドもいくつもある。

この17社は、3つの軸を満たしている会社ということなのでしょうか?

「必ずしもそうではないし、まだ十分に満たしていなくてもよくて。ただ、この定義に共感して、いい会社になりたい、よくしていきたいと本気で思っている。そういう企業が集まっています」

「定義があるって、安心できるし、勇気にもなるんですよ」

勇気になる?

「自分は、上場しないと決めたとき、この判断が正しいのか不安だったんです。そんななかで考え抜いて、『僕はこう思う』とこの定義を世の中に発信したら、多くの人が賛同してくれた」

「間違ってなかったんだ、と思いました。参画企業さんも非上場の会社が多いし、彼らの勇気にもなっているんじゃないかな」

参画企業のひとつ、FERMENSTATION(ファーメンステーション)は、発酵技術で未利用資源を再生・循環し、商品開発に取り組むスタートアップ企業。

未利用資源の活用や、環境・地域社会の課題にビジネスを通じて向き合い続けてきたものの、事業性と社会性を追求するというスタンスがなかなか周囲に理解されず、孤独を感じていたという。

「そういった取り組みに価値があるとするPARaDEの考えに、とても共感されたそうで。『自分たちは間違っていなかったと認めてもらえたようでうれしかった』と言ってくれました」

この先、第一段階の目標として目指すのは、参画企業数を約2倍の30社まで伸ばすこと。

当面は顔の見える距離感を大切に、お互いに高め合っていける関係性を築きながら、この価値観を広めていきたい。

「今の日本は、正直、先ゆきは明るくないと思うんです。でも自分は、経営者という立場から、何かできることをやっていきたい」

「社会を構成するもののうち、『会社』はわりと大きな要素だと考えていて。いい会社が増えたら、社会がちょっとでもよくなるかもしれない。であれば、それが僕の今後のキャリアでやるべきことじゃないかと思ったんです」

会社が変われば、社会が変わる。

それは働く側の価値観を変えることにもなる、と中川さん。

「一日の大半を費やす仕事や会社に、ネガティブなイメージを持っている人がすごく多い。その理由のひとつに、経営者の行きすぎた利益追求があったんじゃないかなと思う。それって、前時代的ないい会社なんですよね」

「今の時代のいい会社に経営者の考えがアップデートできたら、きっと仕事も会社も“悪”じゃなくなるはず。この価値観を広めて、社会にインパクトを与えていきたいと思っています」

 

そんな想いに共感する人たちの共同体として活動してきたPARaDE。

現在の中核メンバーは3人。

中川さんと佐々木さんに加え、日々の細かな運営業務を担っているのが、1年半前に入社した奈良部(ならぶ)さん。

ハキハキと話してくれる、笑顔が素敵な方。これから入る人は、奈良部さんと一緒に仕事をすることになる。

「いい会社ってなんだろうとか、世の中にとっていいことがしたいとか。自分に何ができるかわからなくても、漠然とそう感じる方なら、きっと楽しくお仕事ができるんじゃないかなと思っています」

奈良部さんは、入社当初は中川政七商店からの出向というかたちだったため、オフィスがある奈良県に住んでいる。

これから入る人は 、最初の3ヶ月程度は主に対面で仕事を教わってから、リモート勤務となる。その後も、週に1回ほどは、東京や奈良で運営メンバーのミーティングがある予定。

日々の仕事は、請求書発行や通帳への記帳のような事務・経理業務のほか、各種調整業務 。ほかに、新しく参画企業を増やしていくためのリサーチやアプローチなど、多岐にわたる。

また、参画企業のライフスタンスや取り組みを世の中に伝え、 、いい会社について考えていくイベント「Lifestance EXPO(ライフスタンスエキスポ)」は、企画から運営まで一貫して社内で行なっている。

「あとは、月に一度開催している勉強会やワークショップの企画運営が、とくに大切な仕事のひとつです」

参画企業17社 に向けて、毎月東京で開催している勉強会。

「インパクトレポートの意義や書きかた」や「採用コンセプトの設計の仕方」、「B Corp」など、各企業の関心が高いテーマを設定し、講師を招いて実践的なインプットの場を設けている。

重視しているのは、実際に参画企業が抱える課題を例に、具体的な手法を学ぶこと。

たとえば、EC運営がテーマのとき。参画企業である、老舗のパン屋さん「木村屋總本店」のサイトを例に、どうすればより良くなるか、具体的なコンテンツ構成を学んでいった。

ノウハウを学んで終わりではなく、自社に戻ってアクションを起こしてもらうことも重視。

実践のために外部のサポーターをつなぐこともあるし、アクションの結果どんな変化があったか、同じテーマの会を定期的に実施し、フォローしていく。

「参加される方は経営者が多いです。みなさんとてもおいそがしいのに、毎回8割くらいの企業さんが出席してくださって、 ありがたいです 」

「毎月開催しているので 、常に何かしらの企画や準備が動いています。『ずっとPARaDEに関わり続けたい』『勉強会を通じて企業の状態がよくなった』と思ってもらえるような価値を提供し続けていく必要があって。常にアンテナを張っているし、企画は毎回むずかしいですね」

ともに活動する経営者たちの気持ちを理解するためにも、経営について勉強することは欠かせない。

「本もたくさん読みますし、経営者のみなさんのお話も積極的に聞いています。もともと経営に興味関心を持っていたので、苦にならずに学んでいけていますね」

以前は、広告代理店で働いていた奈良部さん。

どうやってPARaDEのことを知ったんですか?

「気になった経営者や話題の人のことをすごく調べちゃうんです。淳さんや佐々木さんのSNSをよくチェックしていて。PARaDEのことを知り、初回のLifestance EXPO にも行きました」

そのとき聞いた言葉で、今も忘れられないものがある。

「『正直ものや、真摯に取り組んでいる企業がバカを見ない社会にしたい』って話をされていて。なんか、うわぁと思って。そんなふうに思う人に、社会人になってからも出会えるんだって」

売上や成果を上げているか。それが絶対的な判断基準とされている世の中に、自分の価値観との違いを感じていた。

「みんなが短期的に成果を出せるほど、器用じゃないと思うし。真面目に、そして誠実に頑張っている人や企業に目を向けてもらえる社会をつくれたらいいなって」

PARaDEの仕事も、短期的に成果が出るわけではない。

でも長期的に見れば、どの仕事も世の中にいい会社を増やすことにつながっている。

「いい会社が増えて、中で働く人たちがもっと働きやすくなったり、この仕事をやっていて良かったと思えたり。そんな社会になったらいいなという気持ちがモチベーションです」

自分と会社の、仕事における価値観。PARaDEでいう「ライフスタンス」が一致していれば、健やかに働き続けることができるはず。

日々いそがしそうな仕事だけれど、大変なところは? と聞いても、なかなか思いつかない奈良部さん。きっと自分自身がそんな環境にいるからだと思う。

「PARaDEに来てから、日曜の夜も気楽に過ごせていますよ」

 

PARaDEはまだまだ小さい組織。これから社会に自分たちの価値観を浸透させていく段階なので、初めての仕事に関わる機会も多いと思います。

「どんな仕事もまずやってみよう」という気持ちで、能動的に挑戦できる人がきっと楽しめるはず。

おふたりの話に共感できる部分があったなら、ぜひPARaDEの価値観を深く知っていってほしいです。

こんな想いで仕事や会社に向き合う人たちがいるということが、日々働くわたしたちにとっての勇気にもなると思います。

(2024/11/14 取材 増田早紀)

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