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虫の目鳥の目魚の目で
名古屋をおもしろがる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

路地、お店、看板など。実は視界に入っていなかった、まちのもの。

気になるものがあれば、近づいたり、離れたり、反対側から見てみたり。見方を変えるだけで気づきがたくさんあって、「まちの解像度」が一気に上がる。

NPO法人・大ナゴヤ・ユニバーシティー・ネットワーク(大ナゴヤ大学)は、名古屋の街をおもしろがる人を増やしたい。そんな想いから、授業やイベントを企画、活動している団体です。

シブヤ大学の姉妹校として、2009年にはじまりました。現在の生徒数は、およそ6000人。

授業のテーマは、暮らしや働き方、まちの文化・歴史、アート、ものづくり、スポーツなど、多種多様。さまざまなジャンルへの愛に溢れるまちの人が先生となって、座学をすることも、まち歩きを案内してくれることもあります。

ここで、名古屋をおもしろく伝える人を募集します。

実働は週3日から5日以内で、副業も可能です。リモートワークもできますが、打ち合わせや現場運営があるので、名古屋へ通える範囲に暮らすことになります。

いつもと違う道を通ってみようと思ったり、ふと路地を覗き込んでみたり。そのときの緊張とワクワクが混ざる楽しさを感じたことがある人なら、きっと仕事を楽しめるはずです。

 

大ナゴヤの事務所があるのは、名古屋市・大須商店街のすぐ近く。

事務所に着くと、理事長の大野さんが迎えてくれた。

「新年早々、ありがとうございます! 名古屋へ来るのは初めてですか?」と、いろいろと質問をしてくれる。おだやかな笑顔がよく似合う方。

団体の正職員は、大野さんと事務局を担当するもう一人のスタッフのみ。それ以外全員が、業務委託のメンバー。近くの大須商店街を歩きながら、話を聞く。

「名古屋は、江戸時代に徳川御三家のひとつ、尾張家の城下町として発展しました。さらにその前には、織田信長や豊臣秀吉ら多くの戦国武将を生んだ場所でもある。さらにここ100年単位で、産業が成長してきたことで、人やものの流入も進みました」

「来年には、名古屋市でアジア競技大会が開催予定で。海外からの観光客も増えてきているんですよね」

ほかにも、商店街の中にぽつんと現れる古墳や、金のシャチホコが描かれた消火栓など。ときに立ち止まって、いろんな側面でまちを切り取りながら話してくれる大野さん。

話を聞きながら歩いていると、これまで見ていなかっただけで、まちにはたくさんの魅力が隠れていることに気づく。

大ナゴヤ大学は、「街がまるごとキャンパス」「誰でも先生、誰でも学生」をコンセプトに、あらゆる場所を教室に見立てて、学ぶ・学び合う場をつくっている。

「どの授業も、企画する人自身が、ひとりの学び手として受けたいと思える授業をつくる。そして、集まった人の会話や交流によって、ひとつの授業が出来上がる。つまり、人ありきなんですね」

「だから、いい意味で幅が広すぎるというか。無限の興味関心から、学びの場ができてくる。僕らは、そんな動きを後押しする器でありたいんです」

今回加わる人は、「大ナゴヤ大学・まちシル」と「やっとかめ文化祭DOORS・旅するなごや学」の企画・運営を担う。

「どちらも、まち歩きをメインとしたプログラムです。定員は20名ほど。参加することで、歴史や文化など、どんな側面でもいいから、街を語れる人が増えることを目指しています」

 

具体的に、どんなプログラムなんだろう。

まちシルの企画をしている、スタッフの菅原さんも、話に加わってくれた。大阪の大学を卒業後、就職を機に名古屋へ移住した方。

「まちシルは、授業のテーマがとにかく広いです。案内してくれる先生は、地元の方や、移住者など、その街をよく知るキーマンのような人。まちを俯瞰して語れるような人が多いです」

「やっとかめ文化祭DOORSは、名古屋の歴史や文化に特化していて。だから、それらを研究していたりと、専門的な知識を持つ方にじっくりと深く教えてもらうんです」

もともと福祉関係の仕事をしていた菅原さん。地域に関わる仕事に興味が出てきたときに、たまたま大ナゴヤ大学のイベントページを見つけたんだそう。

「豊田市の森林について学ぶ授業や、キャリアについて考える授業など、さまざまな授業に参加しましたね」

「とくに覚えているのが、名古屋駅前にあった銀色でぐるぐるのオブジェの中に、入ってみるという企画で。自分が生活する場所で、新しいことを知ったり、非日常な体験をしたりするのがとても楽しかったです」

次第に自分で企画をつくる側に興味を持つようになり、2018年からボランティアスタッフとして関わりはじめ、2023年に業務委託となった。

現在菅原さんは、名古屋を拠点にフリーランスで働いている。地方メディアのライターをしたり、古民家を活用した場づくりをしたり。大ナゴヤ大学では、まちシルの企画運営を担っている。

「まちシルの企画は、この街が面白そう、みたいな自分の“興味”を入り口に考えていきます」

自分で見つけることもあれば、定期的に行われるほかのスタッフとのネタ会議で決まることもある。

「人ありき、という言葉がありましたが、何をするかというよりも、誰に案内してもらえるかが一番大事なんですよね」

「同じエリアでも、案内する人が違えばガラッと内容が変わる。視点の違いが、本当におもしろいんです。案内していただける先生が見つかったら、ほとんど企画はできたなって感覚ですね」

企画と案内する人が決まれば、打ち合わせを重ねて内容を決めていく。並行して、広報、素材となる写真撮影なども行う。

当日は2人のスタッフで、司会進行や参加者の安全管理などを分担。多いときは、20人弱の大所帯で街を歩くときも。後日、レポートを書くまでが一連の流れだ。

一人で何役もこなすのは、大変そうです。

「一つひとつの仕事は、慣れもあるので。好奇心があれば乗り越えられるのかなと思います。日頃から散歩するのが好きだったり、街のことに興味があったり。前のめりで何かを知ることが好きな人には、すごく楽しい環境だと思います」

新しく入る人は、まずは大野さんやほかのメンバーと一緒に打ち合わせに参加するところから。企画を立て、当日運営するところまで、並走してもらいつつ学んでいく。

慣れてくれば、毎年継続して実施しているプログラムを引き継ぐ。少しずつ、自分が考える企画を増やしていってほしい。

実際に菅原さんがまちシルで企画したのが、名古屋市内にある本笠寺(もとかさでら)駅周辺のまち歩き。名古屋駅から電車で20分ほどで、知る人ぞ知るニッチな場所だ。

「駅名にもなっているお寺の境内では、戦後から続く、朝市が毎月6のつく日に開かれるんです。空きビルを活用したまちづくりの動きもあって、笠寺で生まれ育った建築家の方を先生として招きました」

「市場では、野菜や和菓子、乾物を並べるお店もあれば、地域のおばあちゃんが出店しているお店もあって。売り場のテントに、たくさんストッキングが掛けてあるのを見つけたんです。聞いてみたら、それが売り物だった。すごくカオスというか。わからないのが、おもしろいみたいな(笑)」

ほかにも駅周辺では、空きビルを地域の人がリノベーションをしてシェアキッチンや民泊をつくったり、商店街に私設図書館があったり。

昔からあるまちの顔と、新たに動き出しているまちの様子を知ることができた。

「まちシルを企画したことで、初めて笠寺に足を運んだという人が多くて。とてもうれしかったですね」

「まち歩きから派生して、笠寺の商店街のマップや、地域広報誌をつくる企画に参加させてもらえることになって。今度、商店街のお店に取材へ行くんです。人とのご縁ができて、まちとも関係性が続いていくのはすごく楽しいですね」

 

事務所に戻って最後に話を聞いたのが、斎藤さん。

菅原さんと同じく、大ナゴヤ大学には業務委託で関わっている。現在は東京のまち歩きを企画する会社で働いていて、オンラインで話を聞くことに。

「自分の身近な地域のことを知ることができる仕事を探していて。会社を退職してフリーランスになったタイミングで、大ナゴヤ大学の求人を見つけました」

2020年にメンバーとして参加して、まちシルの立ち上げにも携わった。

やっとかめ文化祭DOORSは、名古屋市を中心に2013年にはじまったプログラム。

大ナゴヤは、運営する実行委員の一員であり、事務局運営やコンテンツ企画に携わっている。

「芸どころ名古屋」と言われるほど、江戸時代からさまざまな芸能が繁栄してきた歴史を持つ名古屋。今でも引き継がれていている狂言や能を、まちなかのステージや劇場で体感することができる。

さらにお寺や観光施設などを会場に、歴史文化に詳しい専門家を講師に招いて座学をしたり、まち歩きをしたり。10月の終わりから11月半ばにかけての3週間、毎日企画が開催される。

斎藤さんが関わったのが、名古屋にあるからくり時計を歩いて巡る企画。

からくり時計とは、特定の時刻になると、人形が劇を演じたり、音楽を奏でたりして時報を知らせる時計のこと。

参加者は、時代背景や特色を学んだあと、大須商店街などさまざまな場所にあるからくり時計を見ながら、まち歩きをする。

「ただ、近年からくり時計は、維持費の高さなどから、全国的にもどんどん減ってしまっている現状があって」

「全国のからくり時計を調査し、魅力や情報を発信するはまなす団さんっていう団体の方を講師として招きました。『マツコの知らない世界』に出演されていた方々なんですよ。20名ほどの定員が満席となり、遠方から来る方も多くいるほど大人気でしたね」

斎藤さんはどんな人と働きたいですか。

「自分が好きな分野を掘っていくことの楽しさはもちろん、新しくなにかを知ることを楽しめる人だと良いですね」

 

「街を観察して、たくさんのおもしろい人に出会う。半分趣味、半分仕事みたいな感じなんですよ」と大野さん。

「10年くらい活動をしていても、名古屋の知らないことがまだまだ見えてくる。終わらないループを巡っている感覚なんですよね。新しいことへの出会いを積み重ねていくと、知識がつながっていって、まちを体系的に理解できる。それがすごく面白いんです」

虫の目のように、近づいてさまざまな角度から。鳥の目のように、高い位置から。魚の目のように、時代や社会の流れで理解する。

まちは、見方が変わればそれだけでおもしろい。

知らないことを知るのが大好きな人には、これ以上ない仕事だと思いました。

(2025/01/07 取材 田辺宏太)

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