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村を第二のふるさとに
人と人をつなぎ
未来をつくる仕事

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長野県・売木(うるぎ)村。

県の最南端、愛知、静岡との県境近くに位置しています。人口500人ほどのうち、なんと4割が移住者。

この村で2022年にできたのが、「うるぎHalo!(ハロー)-岡田屋-」。

築100年以上の歴史がある旅館をリノベーションしてつくられた、コワーキングスペース、シェアハウスの機能を持つ交流拠点施設です。

うるぎHalo!-岡田屋-を訪れる人と人がつながって、さらに村へ人を呼び込むイベントや活動が生まれる。そんな化学反応を通して、持続可能な村となっていくことを目指しています。

今回は、地域おこし協力隊として村に入り、この場所を育てていくディレクターを募集します。

陶芸作家、フランスのパン職人、元力士など。人が人を呼び、個性的な取り組みも生まれつつある売木村。持続的な地域をつくることに興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

 

新宿から高速バスに乗って、まずは南信州に位置する飯田市へ。バス停に着き、そこからさらに50分ほど車を走らせる。

途中には、日本一星空が綺麗な村として有名な阿智村が。売木村は、標高1000m以上の山々に四方を囲まれた小さな盆地で、峠を越えると日本の原風景が広がっている。

売木村を示す案内板の横を通ると、300メートルほどのまっすぐとした道が続く。郵便局、小中学校、役場、商店などが並んでいて、まさに村のメインストリート。

その一番奥に、うるぎHalo!-岡田屋-を見つけた。

中へ入ると、広々とした土間と、小上がりの和室。イスがところどころに置いてあり、訪れた人は気軽に腰掛けることができる。

1階と2階には、ワークスペースやオンライン会議ができる個室が。床の間があって掛け軸が飾られていたりと、もともとの旅館のつくりが残っている。

「ようこそ」と迎えてくれたのが、赤土(しゃくど)さん。2021年に売木村の地域おこし協力隊に着任して、村へと移住した方。

普段は、うるぎHalo!-岡田屋-を整備し、村と地域活性化の事業を進めている。これから入る人は、まず赤土さんとともに仕事を進めていくことになる。

ドイツの大学院の留学経験もある赤土さん。帰国後、一級建築士の資格を取ったあとは、設計事務所やコンサルティング会社にて、住宅の設計から大企業や自治体への事業支援など、さまざまな仕事を経験した。

東京で働くうちに、地方へと興味関心が広がっていく。

売木村を知ったきっかけは、2017年に参加した古民家再生プロジェクト。地域外から人が訪れるための受け皿として、空き家を活用しようというものだった。

月に一回のペースで村を訪れ、釜戸や囲炉裏をつくったり、畑を耕したり。地域やさまざまな人とつながりながら、みんなの居場所をつくっていくことのやりがいを感じた。

「私自身、滞在を通じて売木村のことがどんどん好きになって。東京へ戻っても、村の人たちの顔が自然と浮かぶようになったんです」

「自分の田舎というか、居場所ができたような感覚で。村を知っていく中で、『村の魅力をもっと都市の人にも知ってもらいたい』と思うようになりました」

売木のことをまだ知らない人にも、同じように自分の居場所を見つけたと感じてもらえたら。その想いで、ほかの都市と売木村とをつなぐ仕事をしようと、地域おこし協力隊に参加。

「村として、地域のことを担い支えてくれている住民人口が減っていく課題をなんとかしたいという想いがあって。そこで、たとえ住民でなくても、村に関わりたいと考える人とともに地域を支えていくという、新しい村のあり方を目指すことにしたんです」

そんな人が集い交流するための拠点づくりに取り組み、完成させたのがうるぎHalo!-岡田屋-だ。

コミュニティスペースではイベントを開催し、シェアハウスでは移住を検討する人などがお試し滞在できる環境を整えてきた。

今回募集する地域おこし協力隊は、売木村を支えるコミュニティづくりのために、うるぎHalo!-岡田屋-の運営を担っていく。

「村に来てくれるファンではなく、もう一歩先。私と同じように、売木を居場所のように感じて、自然と村に関わりたいと思える人を増やしたい」

「そのためには、単に岡田屋で人が集まるイベントを企画するだけでは足りなくて。村の未来の一端を担う気持ちで、施設をどう活用すればいいのかを考えてほしいです」

たとえば村の人向けには、岡田屋を気軽に利用しやすくなるように、ワークショップやシェアカフェなどを企画してみたり。

外向けには、コワーキングスペース利用を増やすために、学生や利用企業の社員向けの企画を考えてもいいし、村内の宿泊施設との連携した滞在プランを考えてもいい。

ゆくゆくは、うるぎHalo!-岡田屋-はどんな場所を目指しているんでしょう?

「村の人にとって身近でありながら、気軽に村外の人も立ち寄れる。岡田屋が入り口となり、出会った人同士で交流が生まれたり、やってみたいことを叶える場所になったり。日々、人や情報が集まり、化学反応が起きる場所になってほしい」

「いつかは、岡田屋に訪れた人が主体となって、村をより良くするためにどんどんと取り組みが生まれていく、そんな循環ができることを目指しています」

実際に、うるぎHalo!-岡田屋-が拠点となり、役場や企業とつながりをつくって生まれた取り組みもある。

「コワーキングスペースを利用する浜松の会社さんを中心に、村内にある自然公園の遊歩道や散策路の修繕に取り組んでいるんです」

村だけではできなかったことを、赤土さんが調整役となり、村外の企業や団体の協力を得て実現した。

村の人向けに企画しているのが、住人を集めた座談会。

耕作放棄地の活用に対して意見を交わしたり、岡田屋を使ったイベントのアイデアを聞いたり。気軽に村のことを話せる場を目指しているんだそう。

「これから入る人に、岡田屋のことはどんどん任せていきたいです。まずは、岡田屋とつながりのある人や企業を巻き込んで、アイデアを考えてみてほしいですね」

村での暮らしは、どうですか?

「静かで、自然も近くて、おだやかな人が多いです。もともと標高が高いことから避暑地として人気で、別荘が多かったんですね。それに山村留学にも早くから取り組んでいたので、移住者に対して寛容な雰囲気があります」

「車で2時間あれば名古屋や豊橋、浜松などにアクセスできる。私にとっては、過ごしやすい場所ですね」

これから加わる人が、売木での暮らしも仕事も楽しめるよう、数日間の現地視察や1ヶ月から2ヶ月ほどお試しでインターンをする制度も用意されている。

「わたしたちが目指す未来に共感して、協力して進めていける仲間になってほしいです」

「まずは試しに来てみて、村のことや暮らしのことはなんでも相談していただければ。村の様子や事業のビジョン、仕事内容を把握したうえで働き始めることができるよう、サポートします」

 

「いろんなアイデアを形にしていくために、村との連携が欠かせません。これまでの取り組みが実現してきたのは、村長の前向きな姿勢があってこそだと思っていて」と、赤土さん。

「『まずは挑戦してみよう。何もしなければ村は衰退するだけだ』が、口癖なんですよ」と紹介してくれたのが、村長の清水さん。

「私の生まれ育った場所である、売木が大好きです。この村、四方が山々に囲まれた盆地になってるでしょう。一山超えてたどり着く桃源郷のようで、落ち着くんですよ」

「村を残していきたい、という気持ちで村長になりました。そのためには人が絶えない村になっていかないといけない。外から訪れる人の1歩目となる玄関口として、うるぎHalo!-岡田屋-はとてもありがたい存在ですね」

清水さんが村長になって13年目。

村ぐるみで力を入れているのが、「走る村うるぎプロジェクト」。

きっかけは、マラソン選手の重見高好さんが、フリーランナーとして売木村で合宿を行っていたこと。重見さんは、ウルトラマラソンの一種である24時間走の日本記録保持者でもある。

「村の人づてで重見さんを紹介してもらって。おもしろそうだから、地域おこし協力隊として僕がスカウトしたんです。『全国各地の大会で、売木村の名前を背負って走ってほしい』って」

数々のマラソン大会に、売木村の専属ランナーとして出場。ユニフォームに縫い付けられた村の名前は、次第に認知を広げていく。

現在売木村では、重見さんの活躍がきっかけとなり、ウォーキングやランニングの教室が開かれるほか、村をアスリート合宿の聖地にするためのプロジェクトも進んでいる。

実際に、重見さんのファンを中心に、全国の学校や実業団が合宿として利用が増えてきているんだそう。

「来月も村主催でマラソン大会を実施するんです。その準備に、重見さんを応援するファンの方が全国から手伝いに来ていただけることになっていて」

「村を応援してくれる方々を増やせたらと、地域をひらくような在り方を探ってきました。人が人を呼ぶ村になっている実感があります」

ほかにも、70歳を超えてから単身移住したライターの女性、元力士。

ヤギと一緒に移住してチーズ工房を開いた人。村の風景に惚れて、ドイツから移住して地域おこし協力隊に参加した人。さらにその人が、友だちのフランス人を呼び込んで移住につながったこと。

聞いているだけでおもしろそうな人たちを、清水さんはさまざま紹介してくれる。

この村に訪れる人と、さらにその友だち、というように。これから入る人も、村で出会う人をきっかけに企画を考えてみるのも楽しそうだ。

「売木を第二のふるさとや居場所のように感じてくださる人がつながって、村をより良くするために取り組みをする仲間が増えていく。うるぎHalo!-岡田屋-が、その拠点として育っていくことが、私にとっては理想ですね」

 

村の入り口を整えて、人と人をつないでいく。自分のアイデアで、村を残しつづけていく、そんなたしかな手触りと意義を感じることができる仕事だと思います。

村とそこに暮らす人は、これからのうるぎHalo!-岡田屋-にとてもわくわくしている様子。まずはお試しで、村に足を運んでみてほしいです。

(2024/10/08 取材 田辺宏太)

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