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愛すべき変人たちと
まちの文化を育てる
藤沢を面白くしよう

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

あなたのまちに、「こんな場所があったらいいな」と思うものはありますか?

たとえば、季節の野菜や魚が並ぶにぎやかな市場。一人で時間を忘れてゆっくりと過ごせる喫茶店。仕事帰りにふらっと立ち寄れる顔なじみの居酒屋。

「こんな場所があったらいいな」という想いを形にしていくと、その場所を楽しむ人が集まり、新たな出会いや思いがけないアイデアが芽吹いていく。

そうした一つひとつの場所が、そのまちならではの文化を育み、暮らす人の生活を豊かにしていくのだと思います。

湘南・藤沢をもっと面白くしよう。

そんな想いで、まちに次々と仕掛けを生み出しているのが、株式会社角若松。

藤沢駅周辺を拠点に、マーケットや不動産ビルの企画運営などを起点とした、まちづくりに取り組んでいます。

今回は、その中核となるマーケットの運営担当者を募集します。ゆくゆくは不動産や空き地開発など、まちに関わるさまざまなプロジェクトの経験を積むこともできます。

これまでの経験は問いません、「こんな場所があったらいいな」という自分の理想を形できる。そんな力が身につく仕事だと思います。

 

品川駅から電車でおよそ40分。窓の外の景色を眺めているうちに、あっという間に藤沢駅に到着した。

北口の駅前広場は多くの人でにぎわっている。この日は、月に一度のマーケットが開催される日。

入り口に置かれた立て看板には、可愛いイラストとともに「FRESH MARKET」の文字。となりにはクラフトビールフェスのポスター。

左側には、ポスターのデザイナーさん本人を模した置き物が。妙にリアリティがあって、思わず足を止めて見入ってしまう。

「ようこそ藤沢へ。いまの気分は、早くビールが飲みたいですね(笑)」

迎えてくれたのは、代表の増田さん。スタッフからは親しみを込めて「隆一郎さん」と呼ばれている。

もともと不動産の賃貸事業を手がけていた角若松。8年前、隆一郎さんが家業を継ぎ、代表に就任した。

「私の代で不動産の投資会社にしようと思っていました。でも、利益だけを追いかけることに、自分がやる必然性を見出せなかったんです」

「それよりも、純粋に面白いと思える空間づくりに心踊る自分がいて。そこで足元に目を向けると、藤沢駅周辺が、まちとしての魅力に課題を抱えていることに気づいたんです」

駅前には商業ビルや市役所が集まり、暮らしやすいまちとして人気のある藤沢。

江ノ島などの観光地にも近く、都心へも電車で1本というアクセスの良さ。駅前で日常生活の買い物が完結する利便性から、移住者も年々増えている。

「インフラや経済など『都市の機能』が整って、便利なまちになりました。でもその一方で、ここにしかないもの、いわば、まちの文化が失われてしまったように感じたんです」

江戸時代には、東海道五十三次の宿場町として栄えた藤沢。駅前には、いくつもの料亭や、芸者さんがいる花街が並んでいたのだそう。

「都市は機能と文化が集積してできあがるもの。もう一方の文化の集積を自分たちがやらずに誰がやるんだ。そう使命感を持ちました」

まずは、まちの顔ともいえる駅前広場から、湘南エリアの食文化が集まる場をつくりたい。そんな想いではじめたのが「MAEKET251」。

無農薬で育てられた野菜や果物、こだわった飼育環境で採れた鶏卵などの食材。ほかにも、地元の食材をふんだんに使用したピザや、平飼い卵と国産小麦でつくるカヌレなどの焼き菓子。

クラフトビールや、オーガニックワイン、自家焙煎コーヒーといったドリンクメニューも充実している。この日は台湾やベトナム料理のお店が並び、近くを通ると美味しそうな匂いが漂ってくる。

出店者は、地元の湘南エリアを中心に、東京や山梨などの遠方からも集まっている。共通しているのは、食に対するこだわりや自分なりの哲学を持っていること。

「一言で言うと、藤沢に変人を集めたいんです」

変人?

「変人とは、美意識が強くて、自分の心が動いたことしかやらない人たち。彼らは積み重ねてきたものを壊すことを厭わないし、自分が信じたことを、とことんやり抜こうとする。何より、彼らはいつも楽しそうなんですよ」

「マーケットで言えば、商品づくりやセレクト、服装やお店の見せ方などの細部にこだわりが滲み出ている人たち。そんなお店が集まったら、きっと面白い文化が生まれるはず。そう信じて、MARKET251を運営しています」

「マーケットは約8万人の方に楽しんでもらえるほどに成長して。今後は変人のたまり場を藤沢駅の周辺につくっていきます。自分がほしいものをつくり、文化を集積させる。不動産ビルの管理も、実は同じことをやっているんですよ」

たとえば、仕事帰りにふらっと立ち寄って飲める。気づいたら隣の人と仲良くなっている。そんな場所がほしくて、小さな飲食店が集まる横丁を企画中。

さらに、稲村ヶ崎にある角若松のオフィスを藤沢駅前に移して、藤沢を面白くするしかけを仲間と考えるシェアオフィスもできるのだとか。

「うちでなにかを始めるときに大切にしているのは、市場調査じゃなくて、自分がこれをやりたいという想いです。万人に好かれる必要はなくて、自分自身が本当にほしいと思えるかどうか。その想いがきっと、新しい文化をつくるはず」

隆一郎さんは、どんな人と一緒に働きたいですか?

「自分の役割をしっかり担える人ですかね。いまは4人のチームで、一人ひとりの担う仕事の幅は広いです。はじめは覚えることも多いかもしれませんが、そのぶん成長は約束します。まちづくりの面白さを感じてくれたら、ぜひ話を聞きにきてほしいです」

 

「MARKET251を立ち上げたのは私ですが、回数を重ねてまったくの別物になっています。それを私の想像以上の形にしてくれたのが彼女です」

そう紹介してもらったのが、マーケット担当の中野さん。笑顔が素敵で、明るい雰囲気が印象的な方。

「新しいチャレンジに溢れていて、試行錯誤する日々です。角若松に来て、楽しい毎日を過ごさせてもらっています」

海外のレストランを日本に展開する会社で20年以上働いていた中野さん。転職のきっかけは日本仕事百貨の記事だった。

「地元が藤沢で、いつか戻りたいと考えていました。ずっと見ていた仕事百貨で角若松の求人を見つけて、純粋に面白そうだなと思って。農業への興味もあったので、いろんな生産者さんと知り合いになれることも魅力的でしたね」

新しく入る人は、中野さんと一緒に月に1回のマーケットを2〜3回ほど運営しながら、担当を引き継いでいく。

「柔軟に物事を考えられる人が来てくれたらうれしいです。今は私が一人でやっていることもあって、細かい業務のマニュアルはなくて。決まっていないことを前向きに捉えて、一緒に考えていけたらと思っています」

担当する主な業務は、マーケットの開催準備と当日の運営。

テーマや業種バランスを考慮して、出店者さんを選考。出店位置の配置や、必要な備品の数などを把握し、現場の動線を踏まえた上で、細かく調整をする。

「出店者のみなさん、こだわりが強くて面白い方ばかりなんです。『追いホップビール』といって、注いだビールの上に自ら育てた生ホップを乗せて香りを楽しめるホップ農家さんとか」

「ほかにも、サワードゥブレッドという粉、水、乳酸菌だけで発酵されたパンを使ったサンドウィッチ。これがとても美味しくて、はじめて食べたときは感動しました」

ほかにも、食品や火器に関する許可申請、当日の運営を支えるスタッフの募集運営、SNS広報のための画像や文章作成など。マーケットを形にするための業務は多岐にわたる。

「出店者ごとに使用する電力量も違うので、その確認も重要な仕事です。そこまで把握することで、当日の急な変更やトラブルにも柔軟に対応できる。一見地味な作業ですが、マーケットの成功には欠かせない仕事です」

マーケットと聞くと、楽しいイメージが湧いてくる。しかし実際は、準備には入念な時間をかけたり、開催直前まで天気予報をしたり。一筋縄ではいかないことも多い。

「ここまで入念に準備をしないといけないの、ってはじめは驚くかもしれません。でも出店者さんやお客さんの楽しそうな表情を見ると、それだけで報われた気持ちになるんですよね」

「ある出店者さんが、『マーケットで買ったカンボジア胡椒を使ったお菓子を販売します』と話してくれて。マーケットをきっかけに新しい取り組みが生まれたことがうれしいし、少しずつ文化が育ってきているなと感じています」

 

続いて話を聞いたのが、入社2ヶ月目の石丸さん。

長年、藤沢市役所で建築の仕事に携わった経験を活かして、現在は不動産ビルの企画管理を担当している。

日本全国にある面白いマーケットを訪ねて、ときにはお手伝いをしてしまうほど、マーケットの魅力にのめり込んでいた。

「MARKET251のことは、2年前から知っていました。デザインが素敵で思わずDMを送ったら、まさかの返信があって(笑)。そこから隆一郎さんとは、お互いの理想を語りあう、飲み友達になりました」

「よりミクロな視点で、まちに濃く関わる仕事がしたいと思うようになって。角若松なら不動産からマーケットまで幅広くまちづくりに関われるので、面白そうだなと思い入社を決めました」

現在のミッションは、管理する不動産ビルの価値を最大化するプロパティマネジメント。

建物のオーナーやテナントの要望を聞きながら、お客さんにとって魅力的な空間を考える。さらに、建物のメンテナンス計画や、施設全体のブランディング・プロモーションも担当している。

「ぼくの仕事は、まちの顔をつくること。たとえば、藤沢駅の横にある『フジサワ名店ビル』の壁面広告や、新聞づくりなども手がけます。移住者の方や主婦、学生の方々に、なんだか面白そうと思ってもらえる仕掛けを考える。ワクワクできる仕事だと思います」

実際に角若松で働いてみて、どうですか?

「自分の役割に捉われないで、みんなで一緒に動くチームなんだと思いました。市役所と違って、少人数で事業運営をしているので、はじめはスピードについていけるか不安もありました」

「確かに覚えることは多いですが、放任というわけでもなくて。『ここ大丈夫?』ってこまめめに声をかけてくれます。そんな関係性なので、今は安心して働けています」

現在の社員数は3名と、少数精鋭のチーム。役割をきっちり分けるのではなく、お互いにサポートし合いながら業務を進めている。

石丸さん自身もプロパティマネジメントを担うかたわら、藤沢駅前の近くで新たに計画されている横丁の開発に取り組んでいる。

「横丁をつくる最大の動機は、そこで自分たちが飲みたいからです。自分たちがほしいと思えるものを形にできるって、すごく面白いじゃないですか。それができるのは、このチームだからだと思います」

 

取材を通して印象に残ったのは、角若松で働くみなさんの充実感に満ちた表情。

そのすぐそばで、マーケットを楽しむ子どもたちや家族連れ、若者やお年寄りといった大勢の多くの人たちの楽しそうな表情でした。

「こんな場所があったらいいな」という想いを起点に、まちが面白くなる仕掛けをつくる。

その面白さや大変さの積み重ねこそが、まちの文化を育み、暮らす人の生活を豊かにしていくのだと思います。

(2025/03/15 取材 櫻井上総)

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