求人 NEW

地域と教育をかけあわせて
その人らしい
未来づくりを探究する

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

鹿児島県の北西部に位置する、さつま町。 

町にある唯一の高校が、創立21年の薩摩中央高校です。

地域の未来を担う若者たちを育むため、町と学校が一丸となって「高校魅力化プロジェクト」を推進しています。

今回募集するのは、プロジェクトの中核を担う高校魅力化コーディネーター。あわせて、行政・高校が連携して運営する公営塾のスタッフも募集します。

経験は問いません。

日本全国で高校魅力化プロジェクトを展開する株式会社プリマペンギーノの契約社員として高校に派遣されるので、充実したサポート体制や、柔軟なキャリアパスが選べます。

地域や学校と協力しながら、日々生徒と一緒に過ごし、一緒に悩む。教師と生徒でもなく、大人と子どもとしてでもない。1対1で向き合い、人の成長を見守っていきたい人に知ってほしい仕事です。

 

鹿児島空港から車を走らせて45分ほどで、さつま町の標識を見つけた。

町の中央に架かる橋からは、山々の稜線と、手前にはキラキラと輝く川内川。山は高すぎず、空は広々としている。

町の中心部にはスーパーや居酒屋が立ち並び、にぎわいもある。

役場に到着して、話を聞いたのが総合政策課の上原さん。薩摩中央高校魅力化プロジェクトを進める中心人物のひとり。

「全国的に進む人口減少の影響により、地方では高校の統廃合が進んでいます。薩摩中央高校も2005年の合併を経て誕生しましたが、地元中学校からの進学者が減少し、定員割れが続いています」

「さつま町全体で『若い世代が地元で学び、地域に戻ってきて活躍する』という良い流れをつくりたい。そのためには、地元の中学生が進学したいと思えるような学校づくりが不可欠なんです」

高校を存続させていくため、高校と町の特色を活かした取り組みを推進していくことが重要だと、数年前から議論し続けてきた。

その過程で、プリマペンギーノと協働して「薩摩中央高校魅力化プロジェクト」を今年から発足した。

高校魅力化コーディネーターが担当することは、主に2つ。

ひとつは、「地域みらい留学」の推進とサポート。

地域みらい留学とは、自分の住む都道府県を離れ、薩摩中央高校のような全国の高校に入学し、3年間その地域で学びながら生活するプログラムのこと。

コーディネーターは、生徒たちが新しい環境にスムーズに馴染めるよう、たとえば寮生活での相談に乗ったり、放課後・時間外のサポートを行ったりしてほしい。

そしてもうひとつが、薩摩中央高校での総合的な探究の時間の伴走支援。

この授業は、生徒一人ひとりが自ら問いを立て、情報収集や分析を通じて地域課題にアプローチするなどを経て、自らの在り方や生き方を考える、というもの。

探究活動を通じて、生徒たちは自分たちの暮らすさつま町の魅力を再発見し、課題解決に向けたアイデアを形にする力を育むことができる。

コーディネーターの役割は、生徒と地域との接点をつくること。

たとえば、町内を探索して観光資源や農業の課題を探ったり、教員や地域の事業者と連携したり。そこで得たヒントを生徒に伝えながら、主体的な学びを後押ししていってほしい。

「生徒と地域の接点をつくるために、まずは積極的に地域に出向き、さつま町を知るところから。さつま町は、お酒が好きな人、気さくな人が多い。相談すれば『いいよ、いいよ』と応えてくれる方ばかりですよ」

あわせて募集するのが、生徒の放課後の活動をサポートする公営塾のスタッフ。

学習支援やキャリア形成のアドバイスだけでなく、たとえば、資格取得のサポートや、生徒の興味関心を深めるようなフィールドワークの実践などなどもしてほしい。

ときには、生徒と一緒に地域に飛び出すこともある。

「自分たちは意外と大人と話せるんだ」と生徒の自信につながれば、積極的に地域に出て、町の人々と交流を深めることができるはず。

地域に出るなかで自分の興味が湧くものを見つける生徒もいるだろうし、もっと勉強したいという子も出てくるはず。

学校教育だけでは網羅できない学びを、生徒たちと一緒に楽しめるといいと思う。

「生徒自身の主体的に考える力や地域愛を育み、将来的にはさつま町の未来を担うような方が出てきてくれると、うれしいですね」

「校長先生も、とても協力的で。そのおかげで学校と行政との距離が近く、連携がスムーズにできています。町は、高校魅力化に向けて前向きな空気に満ちていますね」

 

実際に働くのは、どんな現場なんだろう。

役場のすぐ近く、薩摩中央高校に移動する。

話を聞いたのは、薩摩中央高校の中須さん。

3年前から校長先生として勤務している。

「写真を撮られるなら、きちんとネクタイしないとね」と、ばっちり身だしなみを整えてきてくれた。弾けるように笑う、気持ちのいい方。

「薩摩中央高校には、普通科・生物生産科・福祉科・農業工学科の4つのコースがあります。さらに、2・3年次には生徒の興味関心や進路希望に応じて、他学科の科目を選択して学習できる総合選択制を、県内で唯一採用しています」

生徒たちは、黒毛和牛の飼育や園芸、果樹栽培、食品加工、介護技術など、柔軟な学びの環境を通じて、町の基幹産業を支える実践的なスキルや、資格取得を目指すことができる。

「豊かな自然に囲まれて、のびのびとした生徒ばかりですよ」

コーディネーターが探究活動の内容を考える上で重要なのは、さつま町と高校、それぞれの特徴を結びつけること。

たとえば、黒毛和牛の飼育方法を学ぶ授業と地元畜産業者の課題を絡めて、新たな販売戦略を考えたり。みかんやマンゴーを栽培している果樹園と、気候変動に対応した栽培方法や、商品開発を提案してみたり。

町の事業者や農家などとの対話を重ね、生徒たちに新しい視点や可能性を提示しながら、彼らが自ら未来を切り開く力を育んでいってほしい。

「探究活動を通じて、薩摩中央高校は単なる学びの場を超えて、地域と生徒が一緒に成長するハブとしての役割を果たしていくと思うんですよね」

「以前実施していた『地域高2留学』はプロジェクトを推進するうえで参考になるはず。成功例の一つだし、プロジェクトの大きな原動力になっています」

地域高2留学とは、高校2年生の1年間、都市部を中心とする高校から地方の高校に留学する制度のこと。

「埼玉県からきてくれた、のんちゃんという生徒がいたんですよ。学校での学びだけでなく、興味関心がとても広い子で。高校が運営する寮で暮らして学校生活を送りながら、外に開いていく子でした」

「ただ教員が、校外での活動をつきっきりでサポートするのもなかなか難しい。代わりに、役場の人が付き添ってくれました」

学校が休みの日には、地域の夏祭りや伝統芸能のイベントにも積極的に参加。趣味のサイクリングでは、役場の方と一緒に地域のレースに参加したことも。

「地元に戻っても、さつま町に何度か遊びにきてくれて。『薩摩中央高校で卒業したかったな』と言ってくれたときは、とてもうれしかったですね。のんちゃんが地域で輝く姿は、町にも高校にも、元気をくれたんです」

新しく加わる人も、教員の代わりに生徒が地域に出ていくサポートをしていってほしい。

生徒一人ひとりに寄り添い、その成長を間近で支えられるのは、大きなやりがいを感じられる瞬間。

生徒の可能性を引き出しながら、地域と未来を一緒に創っていく。そんな特別な役割を担える仕事だと思う。

「もしものんちゃんが、薩摩中央高校に3年間いたらどうなっていたただろうか?と、時々考えるんです」

「彼女は英語が得意だったので、それを活かしてプレゼンの大会に出たり、大学受験に挑戦したりできる。そうすれば、学校の先生も刺激を受けて進路指導が盛り上がったはず」

生徒の高校での生活や学びを充実させるだけでなく、目指すのはその先。進学や、仕事選びなど、主体的に自分の進路を実現していく生徒がどんどんと増えていくことで、高校も町も持続していく。

「学びの集大成が、未来に活かせるような『未来のデザイン』を、ぜひ手助けしていただきたいです」

 

薩摩中央高校魅力化プロジェクトを町や学校と進める株式会社プリマペンギーノの照井さんは、新しく加わる人をそばで支えてくれる心強い存在。

照井さんは長野県軽井沢町で5年間、公営塾のスタッフや高校魅力化コーディネーターを務めた経験を持つ。月に1〜2回、さつま町を訪れて新スタッフの業務をサポートしてくれるとのこと。

「学校と地域が協働する現場での経験がない方は、最初はとても不安だと思うんです。その気持ちを払拭し、安心してミッションに取り組んでいただけるように、何かあればすぐに相談できるような体制を整えていきます」

新しく加わる人が教育スキルや地域理解を深められるよう、研修や照井さんのサポートもある。

さらに、年間を通じた個別面談や年2回の実施を予定している他地域スタッフとの交流研修などの継続的なサポートも用意。役場とも、定期的にビジョン策定や進捗共有といった連携できる場も設ける。

「さつま町に何度も足を運んでいるなかで、高校魅力化を応援してくれる気さくな方がたくさんいることを実感しますね」

魅力化のノウハウやフォロー体制が整っているから、未経験者でも安心して飛び込める環境だと思う。

「探究活動や公営塾での仕事は、教育の魅力化を通じた『地域づくり』への第一歩です」

生徒の主体性を育み、地域愛を醸成すれば、町に住み続ける人や戻ってくる人が増える。

「学校づくりからはじまる地域づくりは、やがて分野を横断して拡大していく。気づいたら止まらないんですよ。それが、とても楽しいところだと思いますよ」

照井さんのように、教育を通して地域の未来を支えていきたいと考える人にとって、この仕事はぴったりだと思う。

「任期を終えたあとは、町内での定住や起業、プリマペンギーノの他地域プロジェクトへの参加など、多様なキャリアパスが開かれています」

「これまで培ってきた経験や固定観念に縛られず、町や薩摩中央高校の独自の環境や課題に柔軟に適応する姿勢が大事。教師や大人としてではなく、1対1で生徒と向き合い、ともに悩み、成長を見守ってほしいです」

 

さつま町で行われる教育は、生徒のその人らしさにとことん寄り添った「学び」。

その先にある、地域と学校の未来をつくっていくということ。

自分だったら、さつま町でどんなことができるだろう。いろいろな可能性を考えながら、町の未来をデザインしていってほしいです。

(2025/05/13 取材 田辺宏太)

この企業の再募集通知を受ける

おすすめの記事