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まずはここから!
英彦山0合目で
にぎわいづくり

世の中には、まだまだ面白い地域がたくさんあると思います。

福岡県にある、添田町もそんな地域のひとつ。

まちのシンボル霊峰英彦山(ひこさん)は、日本三大修験道のひとつ。最盛期には3000人の修験者が行き交い、山伏が住む800もの坊舎が建ち並ぶほど、深く信仰されていました。

修験道としての歴史に加えて、絶滅危惧種が生息する豊かな自然や、添田町発祥といわれる柚子ごしょうなどの食文化。

まだまだ知られていませんが、歴史も文化も食も、掘れば掘るほど面白い。

そんな添田町の魅力を発信し、にぎわいの拠点となる場所をつくっていくのが、今回のミッション。

道の駅「歓遊舎ひこさん」を拠点に、まちの観光を促進していく協力隊を2名募集します。

駅内の一角には、新たにビジターセンター兼カフェがオープン予定。その場を運営しながら、イベントの企画・運営、SNS等での情報発信など、さまざまな角度からまちの魅力を発信していく役割を担います。

いろいろな人を巻き込みながら、面白いと思ったことをどんどん形にしていく仕事です。

 

ホームに漂う長浜ラーメンの香りにつつまれながら、電車に揺られて添田町へ。

福岡空港から2時間ほど。8200人ちょっとの人口規模で、まちの面積の8割は森林に覆われている。

まず訪れたのは、今回の拠点となる「道の駅 歓遊舎ひこさん」。

平日の日中にも関わらず、多くの人でにぎわっている。

「夕方になると野菜などは売り切れてしまうことも多いんですよ」

そう話すのは、施設を案内してくれた役場の担当者さん。

売り場目一杯に積まれた色とりどりの野菜たちやユニークな加工品は、見ているだけでも楽しい。添田町ならではの食材を求めて、地元の人だけでなく、福岡県内外から多くの人が訪れるそう。

そんな人気の駅内に、ビジターセンターとカフェが新設される。

いったいどんな場所になるんだろう。

役場に向かい、柴田副町長に話を聞く。

もともと福岡県庁に勤めていて、およそ1年前から添田町へ着任。明るくさわやかな笑顔で迎えてくれる。

「見ていただいたように、歓遊舎の一番の売りは、町内産の野菜。近隣市町村の野菜も取り扱っている道の駅が多いなか、うちはほぼすべてが添田産。新鮮な野菜が手ごろな価格で買えるので、私もいつもお世話になっています」

2024年に開業25周年を迎えた歓遊舎ひこさん。

根強いファンがいる一方で、まちの観光スポットや楽しみ方がうまく伝えきれていないため、買い物だけしてすぐに帰ってしまう課題もあるという。

「一昨年には、建物の裏手に『フォレストアドベンチャー・添田』という、森を活かしたアクティビティ施設が新たにオープンしました。子どもたちだけでなく大人もおもいっきり楽しめる場所になっていて、週末には森の中から家族連れのにぎやかな声が聞こえてくるんです」

「まずは、まちの魅力を届け、より多くの人に長く地域に滞在して楽しんでもらいたい。ほかの自治体以上に、添田町では高齢化が進んでいて。まちに興味を持つ人が増えれば、移住したいと思うような人も現れると思っています」

そこで、道の駅を拠点にまち全体の魅力を発信するため、新たにカフェ機能を備えたビジターセンターをオープンすることに。

「歓遊舎から英彦山へは、川沿いに車を走らせて10分ほど。まさに麓の玄関口なんです。歓遊舎周辺を“英彦山の0合目エリア”として町外の方へ認知してもらい、道の駅やまち全体を盛り上げていきたいと思っています」

「ゆくゆくは、地域のハブになったらいいですね。ここを拠点に英彦山へ足を運んでもらうとか、築120年以上の醤油蔵をリノベーションしたレストランで食事してもらうとか。地域の面白い情報を前向きに発信してくれる方に協力隊として来てもらえたらなと」

 

ビジターセンターができるのは、歓遊舎の正面口を入ってすぐの場所。

現在は陶器販売などのイベントスペースとして使われている場所を活用する。

訪れる人がまず目にするところなので、注目度も高そう。

新しく入る人の仕事内容については、役場の佐々木さんに聞いてみる。今回のプロジェクトに関わっていて、協力隊をサポートしてくれる方。

「簡易的な調理もできるようにキッチンを用意するので、ここから町内各所に持ち出せるようなテイクアウトを中心としたメニューを提供する予定です。地域おこし協力隊のお二人には、カフェの運営をしながら観光案内もしていただきたいと思っています」

基本機能は、英彦山を含む添田町の魅力の発信。

歓遊舎は英彦山への道中に位置するので、まずはここで英彦山の登山ルートやおすすめスポットなど、インフォメーションを伝えられるといいと思う。

ほかにも、近くにある温泉施設やカフェなど、町内を回遊できるようなモデルコースも作成できるといいかもしれない。

情報発信にとどまらず、実際に添田町の魅力を体感してもらえる仕掛けも考えていってほしい。

たとえば歓遊舎で販売している野菜や特産品を使った、新たなカフェメニューの開発や、目玉になるような特産品の企画、集客を増やすためのイベントなど。

今回は2名の協力隊を募集するので、ひとりが食の開発、もうひとりがイベント企画担当など、互いをサポートしあえると良さそう。

柚子ごしょうの発祥の地と言われている添田町。英彦山修験道の文化が背景にあり、修験者たちが保存食・薬味として用いたとも言われている。

「その名残もあってか、添田町では昔から各家庭で自家製の柚子ごしょうをつくる習慣があります。柚子・唐辛子・塩というシンプルな材料で、鍋の薬味としてだけでなく、さまざまな料理と相性が良くて重宝されているんです」

生産者や住民の人に話を聞いて、地元ならではの食べ方をカフェで紹介してみるのも面白そう。

カフェの監修は、福岡市の株式会社アンドローカルズが担当。飲食店や公共施設のリノベーション、ブランディングなどを手がける建築デザイン会社だ。

「&ローカルズ」というグローサリーストア兼カフェも運営しており、新しく入る方はそこで研修も受けられる予定。

「地域の生産者と消費者をつなぐことを目的としたお店で、実際に地域の強みを活かした特産品の商品化をしているので、運営の仕方から商品開発についても、すごく勉強になるんじゃないかと思います」

オープンまでに基本のメニューなどは固まっている予定なので、まずは運営から覚えていけば大丈夫。

仕事に慣れてきたら、利用者さんの声を聞きながら柔軟にサービスを展開していってほしい。

たとえば、歓遊舎の目の前に河川公園がある。比較的水深が浅いため、小さな子どもを連れて遊びに来るお客さんもいる。

「手ぶらで水遊びなどが楽しめるように、レンタルキットの貸し出しなども考えられそうですよね。それから登山帰りの人へのおもてなしとして、野菜の取り置きサービスなども喜ばれるんじゃないかと思います」

「英彦山へ行くなら、まずは歓遊舎に。そんな認識が広まっていくと、この場所の賑わい方も変わってくると思うんですよね」

 

地域にどんなスポットがあるか知りたい場合は、歓遊舎の裏手にあるフォレストアドベンチャー・添田に行ってみるのがいいと思う。

受付棟は、九州北部豪雨で被災したJR日田彦山線の旧駅舎を改修して利用しているもの。園内へ向かう道も、線路跡を活用している。

冒険が始まるようで、なんだかワクワクする。

フォレストアドベンチャーは、森を森のまま、自然を最大限活用してつくる、フランス生まれの自然共生型アウトドアパーク。

小さな子どもやお年寄り、高いところが苦手な方も楽しめるコースから、樫の木を垂直にのぼったり、ジップラインで空を駆け抜けたり、大人も楽しめる難易度高めのダイナミックコースまで。雄大な自然を存分に楽しめる施設になっている。

ここでインストラクターを務めるのが白石さん。

昔から自然や生き物が大好きで、福岡で関連する仕事についていたそう。

「うちのマネージャーの武貞が、絶滅危惧種の『アカザを守る会』っていう団体の代表で。アカザの保護を通じて、地域の清流や生物の多様性を守る取り組みをしていたんですね」

活動に共感して関わるうちに、添田町の自然が素晴らしいことに気づく。

「添田町って川が3本も流れているんです。ダムがある川とない川があって、それぞれ環境が全く違います。これって全国的に見ても珍しいことなんです。ちょうどフォレストアドベンチャーができると聞いて、3年前に引っ越してきました」

「この施設で大切にしているのが、人と動物と自然環境のつながりを大切にする、ワンヘルスという考え方。どれか一つ欠けても地球はダメになってしまいますよね」

「ここではヤギを飼っていて。ヤギが草を食べることで、森の下草の整備や、人の手が届きにくいエリアの管理になる。それからヤギと触れ合うことで癒されたり、学びがあったり。フンも畑の堆肥になって、おいしい野菜を育てることができる。そんな循環を体感できるような施設でもあるんです」

防獣ネットを張って健全な森の状態を保っているので、カスミサンショウオ、トノサマガエル、ヤマアカガエルなど、絶滅の危険性が指摘されている生き物たちも観察することができる。

白石さんは、フォレストアドベンチャーのほか、町内でイラストの仕事や、まちづくり会議への参加など、多方面で活躍している方。

たとえば、イベント広告のイラストをお願いするなど、お仕事で相談することもあると思う。

「以前、英彦山の成り立ちや伝説を聞いて、ほんとにすごいところだなって思ったんです。当時は英彦山で通用する、独自の通貨があったらしくて。それってすごくないですか?」

「英彦山だけで1つの国が形成されていたというか。そんなにすごい場所だったって、意外とみんな知らないんですよね。新しく入る人がうまくPRしてくれたら、もっといろんな人に興味を持ってもらえるんじゃないかな」

 

どの面から切り取ってみても、ワクワクするような発見があると思います。

まずは自分の興味のあるところから深ぼってみる。自分が楽しんで発信することで、「あれ?なんだか添田町って面白そう」と集まる人が増えてくる。

まちの軸となる観光拠点を、一からつくっていってほしいです。

(2025/04/24 取材 杉本丞)

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