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こつこつ研鑽
どんどん探究
どちらも叶う椅子づくり

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ものづくりに興味があるけれど、どんな道に進めばいいんだろう。正直、やってみないとわからない気もする。

まずは手を動かすことからはじめたい、そんな想いが叶う場所があります。

株式会社キルト工芸は、椅子の製造・リペア・販売、オフィス関連事業も展開する総合家具企業です。

オフィスやホテルの特注ソファから、新幹線などの公共交通機関の座席、過去には宮内庁の玉座や航空機用シートまで。身近な場所から、高度な技術を要する特別な製品まで手がけてきました。

今回は、椅子製造・リペア(修復作業)の職人を募集します。

椅子の張り替えはもちろん、木工、塗装、特注品の製造など、携わる工程は幅広い。希望に応じて多様な技術を習得し、職人としての可能性を広げることができます。

経験は、問いません。

一つのことをじっくりと極めたい人も、新たな技術に挑戦したい人も。さらには、漠然とものづくりに興味がある人も。キルト工芸はきっと、新しい可能性を拓く場所になるはずです。

 

JR川崎駅から、バスに乗って20分ほど。窓からは、鉄骨が組まれた建物や煙突が見える。

日本の重工業を支えている川崎の工場地帯。活気あるエリアの一角に、キルト工芸の工場はある。

エントランスで迎えてくれたのが、代表の鈴木さん。

挨拶を兼ねて自分が川崎出身であることを伝えると、「本当に!うれしいな〜」と気さくに反応してくれた。

「まずは一通り椅子づくりを見ていけば」と工場を案内してくれることに。

2階の作業場では、職人さんがそれぞれの持ち場で椅子づくりに取り組んでいる。

椅子の木枠に、ウレタンなどのクッション材を貼る人。生地を力強く引っ張りながら張り込む人や、椅子の脚を取り付ける穴を開ける人など。

それぞれがどんな作業に取り組んでいるのか、鈴木さんが丁寧に教えてくれる。

「もとは平面だった木材や布が、切断され、組み合わされることで、機能的で美しい立体へと変化していく。形になっていくプロセスが見れるのが椅子づくりの面白さだと思うんですよね」

わずかな曲線や、生地を張り上げる際の微妙なテンションの調整が、椅子の座り心地や美しさを大きく左右する。

「『人が本当に心地よいと感じる椅子とは、どんなものだろう?』って、根本から追求していくのが椅子づくりの奥深さであり、何よりの魅力だと僕は思っています」

キルト工芸の、高い技術力を象徴するのが、社内での一貫生産を支える職人たち。

たとえば、椅子やソファなどの家具の張り加工に関する国家資格を持つ人や、「かわさきマイスター」と呼ばれる、川崎市が認定する技能者などがいる。

彼らの存在こそ、お客さんの多様な要望に対応できる、キルト工芸の大きな強み。

工場の見学を終えて、オフィススペースへ。壁際の棚にはカタログが並んでいる。

そのうちの一つはキルト工芸が製造するオフィスチェアの一覧が載ったもので、機能とデザインを両立させたさまざまな椅子が並んでいる。もう一つを取り出すと、北欧の有名家具ブランドのカタログ。

ブランドの製品は、ほかの家具と比べ品質が特に高く、繊細な技術を要する。キルト工芸では、これら製品における正規のライセンスを持ち、製造やリペアを担っている。

「ただ、多くはODM・OEMで製造しているものなので、キルト工芸という名前を出すことができない。本当はもっとお見せしたいものばかりなんですけどね」

「世界で、ここでしかつくることができない、そして直すことができない。そんな製品もあるんですよ」

一流の職人たちのそばで働くことで、たしかな技術を間近で学び、自身のスキルを磨くことができるはず。さらに、日常的に高品質な製品に触れられることは、ものづくりへの大きなやりがいにつながると思う。

 

鈴木さんが、オフィスの一角にある椅子を見せてくれる。「この形、覚えておいてくださいね」と、念押し。

答え合わせに行きましょう、と次に案内してくれたのは、実験室のような一室。

新商品の開発や、メーカーからの新たな製品依頼、特注品などの試作品をつくる場所だそう。

部屋の中央にある大きな作業台に、たくさんの型紙が置かれている。

「さっき見てもらった椅子は、この型紙からできているんですよ」と、教えてくれたのは、職人の御手洗さん。40年間、椅子の製造に携わり、12年前にキルト工芸に入社した大ベテラン。

御手洗さんは、生産技術の執行役員。キルト工芸の技術の心臓部とも言えるこの部屋で、長年の経験をもとに、新しい椅子の製造に日々取り組んでいる。

新商品の製造において、どのような素材を選び、張り上げていくか。そのための型紙を裁断し、椅子の形状に合わせ、細部にわたる微調整を繰り返す。

ここで試作品が完成すれば、製造ラインに渡す仕様書が出来上がる流れだ。

「椅子製造の全工程、一通りはできます。全部、中途半端なんですけどね」

謙遜しながらも、その言葉の端々から、ものづくりへの真摯な姿勢が伝わってくる。

キルト工芸では北欧家具メーカーで海外研修をした職人さんも多く、御手洗さんはその筆頭。各有名ブランドのオフィシャルリペアパートナーとして、修理困難な名作椅子リペアのアドバイスもしている。

御手洗さんは、どんなときに仕事のやりがいを感じますか?

「やっぱり一番は、つまずいたときですよ。つまずいて、諦めないこと」

たとえば、と見せてくれたのが、新品で数十万円もする高級な椅子。その張り作業を担ったという。

「生地を椅子に被せて、手で丁寧に縫い合わせていくのですが、縫いはじめの段階では、実は30センチほど生地が開いていたんです」

サイズがぎりぎりのパンツを、なんとかして履こうと頑張っているようなイメージですね。

「そうそう。途中、生地が突っ張ってもうこれ無理じゃんって(笑)」

とくに、革素材は一度針を通すと美観を損ねてしまうため、縫い直しは許されない。また、布に比べて伸縮性が高い革は、均一に張るのが非常に難しい。

高度な技術と、寸分の狂いもない集中力が求められる「一発勝負」。

「自分がつくった型紙を信じて。『絶対に、この型紙通りに切っているから大丈夫だ』って。全神経を集中させて、力を込めて引っ張った。そうしたら、たるみもなく、ぴったりと閉じ合わせることができたんです」

「すげえ神経使った。できたときは、痺れましたね」

今回は、椅子製造・リペアの職人の募集。

多岐にわたる椅子の製造工程のうち、キルト工芸で担うのは、木枠への下拵え、ウレタン材の取り付けから、椅子の顔となる張り作業、そして最終的な組み立て、梱包、出荷まで。木枠の製造と裁断縫製は、グループ会社で担っている。

新しく入る人は、約3ヶ月間のオリエンテーション期間を通して、社内の椅子づくりの工程すべてをローテーションし覚えていく。

「経験は、まったくなくて構わない。一番大切なのは、本人の気持ちです。まずは手を動かしてみないと、やりたい目標も、なにもわからないじゃないですか」

まずは手を動かしてみて、自分の得手不得手を知る。それから、すべてを横断的に担っていくか、どれか一つの工程を極めるか、選んでいくことができる。

「ゼロから学んで、ある程度すべての工程をこなせるようになることは、まるで多能工のようで、とても楽しいですし、将来必ず役に立ちますよ。キルト工芸には、さまざまな目標を持った人が活躍できる土壌があると思いますよ」

 

「御手洗さんは、何十年もの間培った自分の知識や技術を、惜しみなく教えてくれる。同じものづくりに携わる身として、対等に見てくれるんですよ。僕は1番尊敬しています」と続けてくれるのが、薄井さん。

椅子張りの工程でチーム長を務めている。これから入る人にとって、頼りになる存在だ。

これまで、畜産やホテルマンなどいろいろな仕事を転々としてきた薄井さん。漠然とものづくりに携わりたい気持ちを持っていたという。

「海外旅行をしたときに、現地の家具工場を見学する機会があって。美しい家具に惹かれて、つくってみたいと思ったんです」

「調べてみたら、家具職人のなかでも、椅子張りはいろんな素材を扱うし、専門性が高いことを知って。なんだか、面白そうだなって。ただの好奇心で、椅子張りの世界に飛び込みましたね」

およそ7年前、東京の小さな町工場で、椅子張りの仕事をはじめることに。

「実際に仕事を覚えるうち、のめり込むように椅子が好きになって。海外の椅子やさまざまな国のデザインに、興味が広がっていったんです」

「その後にキルト工芸のことを知って。世界に誇る製品づくりに挑戦できるかもしれないと、入社を決意しました」

海外の製品を扱えるというのは、どのような点で特別なのでしょうか?

「日本のものづくりは、職人の個性や手仕事の温かさが色濃く表れる美しさがある。一方で、海外の製品は、徹底した合理主義に基づいて設計されていて、無駄を削ぎ落とした機能美がある」

「大量生産されるものでも、デザイナーのこだわりが詰まっていて、見た目の良さと使い心地の良さが両立しているんです。内部の構造にも最新の技術が使われているのを見ると、『こんな発想があったんだ!』と、いつも新しい発見がありますよ」

世界各国のさまざまなものづくりがあることを肌で感じられるのは、未経験から新しい世界に飛び込むうえで、とても刺激的だと思う。

「僕も未経験でこの世界に入ったので、最初は何をするにも苦労の連続でした。とくに、手を使う作業が多いので、慣れるまでは腱鞘炎になりそうなくらい酷使しました」

「それと、専門用語には本当に苦労しましたね。職人さんたちは当たり前のように専門用語を使うので、最初のころは、言われていることがなかなか理解できず、もどかしい思いをすることが何度もありました」

新しく入る人も、遠慮せずに疑問をぶつけることが成長への一歩になるはず。

「キルト工芸の職人たちの年齢層は、やや高め。仕事に対する姿勢は真剣そのものですが、話してみるととても優しく、温かい人たちばかりです。『見て覚えろ』といった、昔ながらの職人のような人は一人もいない。誰に聞いても、丁寧に教えてくれますよ」

薄井さんは、どんな人と働きたいですか?

「家具に興味があるかどうかは、それほど重要ではないと思っていて。何より大切なのは、『ものづくりが好き』という気持ち。椅子張りという仕事は、実際に手を動かしていくうちに、その奥深さや面白さに自然と惹き込まれていくものだからです」

 

一見地味に見えるけれど、製品の品質を支える上で欠かせない地道な作業を、根気強く、そして楽しみながら続けていく。

一方で、既存の技術を応用することで、新たな解決策を生み出し、より美しい製品づくりにも挑戦する。

キルト工芸は、まさに多様な個性を持つ人々が集まり、それぞれの能力を活かしながら、共にものづくりに励むことができる場所だと思いました。

(2025/04/04 取材 田辺宏太)

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