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どこまでも探究を
一杯のコーヒーで
美しい未来をつくる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

たとえば、エネルギーを使わずに石臼でコーヒーを挽いてみたり。

世界中のドリッパーの形を調べて、味を比べてみたり。

これまでに使われていなかった種類の豆を焙煎して、コーヒーにしてみたり。

2025年秋、東京・三軒茶屋のコーヒーショップ「SAMAA_(サマア)」では、そんな日々が続いていくことになりそうです。

挑戦するのは、おいしさとサステナビリティを両立すること。どちらも妥協せずに向き合い続けることで、少しずつ社会が変わっていくことを目指しています。

お店をはじめるにあたり探しているのは、バリスタ、ベーグル製造、そしてナチュラルワインのサービス担当です。

経験は問いません。

どうしたらもっとおいしくなるのか。いい空間になっていくのか。

柔軟に考え、探究することが好きな人に似合うチームだと思います。



店舗になる場所はまだ改装中ということで、今回は日本仕事百貨のオフィスで話を聞くことに。

少し緊張しつつ待っていると、「こんにちは!」と扉を開けて入ってきたのが、代表の村上さん。

気さくな雰囲気にほっとしつつ、まずはSAMAA_をはじめるまでの経緯を聞いてみる。

「大学を卒業してから広告業界で13年働きました。すごくいそがしくて、充実していて。29歳のとき都内に家を建てたんです。家って一番大きな買いものって言われるのに、できてみたら、オーダースーツ買うのと同じくらいの感覚だったんですよね」

「お金で買える喜びってこの程度なのかって、ショックで。これからどうやって生きていこうか、悩むようになったんです」

その後、夫婦で器などを扱うお店をはじめようと、35歳で独立。

そこから生活ががらっと変わっていった。

「急に時間ができて、ジョギングしたり料理をつくったり、朝コーヒーを淹れるようになったんです。特にコーヒーは、それまで知らなかったことが多くておもしろいなって。もっとおいしく淹れられるようになれば、人生豊かになりそうだと思ったんです」

ちょうどそのころ、日本にブルーボトルコーヒーの1号店ができることを耳にする。

日本仕事百貨で募集していたブルーボトルコーヒーのオープニングスタッフに応募して、自分たちのお店を営みながら、多いときで週に5日ほど働いた。

店舗スタッフとして5年お店に立ったあとに、ブランドチームに所属。

新しい店舗の立ち上げや商品開発など、さまざまな仕事を任せてもらうことになる。

「おいしいコーヒーから、おいしいコーヒー体験を考えるようになっていきました。創業者であるジェームスの存在は大きかったものの、正解があるわけではなくて。おいしく感じる内装やデザイン、接客はどういうものなのか、日々チームで対話をしながらつくっていったんです」

「デリシャスネス、ホスピタリティ、そしてデザインを大切にする。素晴らしいミッションや体験を届け続ければ、絶対にファンは増えて、売上もついてくる。それはブルーボトルコーヒーというブランドで学ばせてもらったことですね」

そんな村上さんがはじめるSAMAA_のミッションは「一杯のコーヒーが、美しい未来をつくる」。

おいしいコーヒーを淹れることはもちろんのこと、サステナビリティにも本気で取り組もうと考えている。

「ストローや使い捨ての紙カップなどに問題意識はあっても、実践して、やりきれているコーヒーショップってそう多くなくて。どうして浸透しきらないんだろうって」

コーヒー豆の主要な品種であるアラビカ種は、地球温暖化の影響で、2050年には採れる量が半減すると言われている。

今のままでは、おいしいコーヒーが飲めなくなる日が来るかもしれない。

「僕自身は、サステナビリティのプロではありません。使命感というよりは、おもしろそうっていうか。誰かが本気でやらなきゃいけないこと、むずかしいゲームに挑戦するような感覚があります」

「おいしさとデザイン、サステナビリティのなかで起きている矛盾を解決してみたい。たのしさやおいしさの先に、ちゃんと仕組みを成り立たせたいんです」

コーヒー豆を販売するときには、リサイクル率の高いアルミ缶を使ったり。コーヒーを淹れたあとに出るカスを圧縮して、石炭の代替品をつくったり。

手間やコストなど、さまざまな理由で実現されていないことに徹底的に向き合っていく。

いろいろな人と会い、リサーチを重ねながら、自分たちが納得できる形を探し続けていきたい。

「自分たちのラボを持って食材やサステナビリティを探究しているレストランって、世界中に増えてきていて。僕らはそういうことをコーヒー業界で実現したい。見たことのないなにかを体験してみたい。飽きる暇もないくらいにチャレンジしていこうとしています」

社会的に意味のある活動にしていくために、目指しているのは10年後に500店舗を展開すること。

共同オーナーがインドネシア人ということもあり、早い段階で海外に出店していくことも念頭に置いている。

インドネシアのデザイナーとロゴや商品の開発をしたり、店舗の改装がはじまったり。第一号となる三軒茶屋の店舗をはじめる準備は、着々と進んでいるところ。

コーヒーと楽しむベーグルを一緒に開発しているのは、、世田谷のétéco bread(エテコ ブレッド)。

パンづくり技術を活用して通常より発酵時間を長くすることで、ベーグルならではのもっちりとした食感と旨味を感じることができるそう。ライ麦から起こすサワー種を使用しているので、味に立体感が生まれ、オリジナリティのあるベーグルができつつある。

要となるコーヒーを一緒に探究していくパートナーは、藤岡響さん。

村上さんによると、所作がとてもきれいで、コーヒーへの探究心、そして好奇心が溢れているような人なんだそう。

「もともと彫刻家を目指しながら、映画館でアルバイトをしていたんです。そこにエスプレッソマシンがあって。誰も使っていなかったんで独学で触りはじめました」

ふとしたきっかけで足を踏み入れたコーヒーの世界。

知れば知るほどたのしくなっていった響さんは、いつのまにかコーヒーに関わる仕事をしたいと思うようになっていた。

自分のお店を持つための勉強にと、イタリアンバールや自家焙煎のコーヒーショップ、シアトル系のラテアートを提供している店舗など、さまざまなお店の立ち上げメンバーとして働いた。

そんななかで声がかかったのが、ブルーボトルコーヒーの1号店だった。

「都内のさまざまなお店で勤務してきたのですが、コーヒーの仕事をしていく理想と現実のギャップに悶々としていたんです。世界的にも有名なブルーボトルではどんな方法でやっていくのか、日本には彼らのコーヒーがどう伝わっていくのかという期待もあって、働くことを決めました」

1号店の立ち上げから、トレーナーとしてバリスタの育成などを担当。

当時から考えると、今はどこでもおいしいコーヒーが飲めて、バリスタを目指す人も増えているという実感がある。

「ただ最近は、これって僕が目指していたものなのかって疑問が出てきて」

疑問、ですか。

「僕がコーヒーをやりはじめたときって、すごく模索しながら自分のやり方を探っていきました。今は基準が決まっていて、トレーニングプログラムがしっかりあるので習得も早いんです。ただそれだと、平均までしか行けないというか。プロのバリスタってどういうことなんだろうって」

「品質のいいコーヒーを仕入れて自家焙煎して、バリスタが淹れる、from seed to cup を体現したコーヒーショップは定着した。今後は次の、違うアプローチが必要だと思うんです」

どうしたらコーヒーをよりおいしくできるのか、次のコーヒーのアプローチはなんなのか。

コーヒーを考えるために、お茶について学び、ときにはそば屋で働いている響さん。

「ガストロノミーって伝統的な食文化をアップデートして、チャレンジを重ねた結果生まれる料理だと思うんです。コーヒーでもそういうアプローチを試せないかと考えていて。そんなときに、村上さんから声をかけてもらいました」

「コーヒーでのサスティナブルってなんだろうと考えたとき、バリスタという職業が続けられることが大切だなと思って。おいしいコーヒーを淹れられるバリスタたちが、次のステージとして幅広い分野に携わっていくための架け橋みたいな店舗にしたいですね。」

エチオピア原住民が行っていたコーヒーセレモニーの様式やトルココーヒーといった、近年のスペシャルティのコーヒー店では珍しいアプローチを模索したり。減圧蒸留機や超音波ミキサーなど飲料の垣根を超えたドリンクのレシピの開発するなど、最新の機材を導入して試してみたいこともある。SAMAA_でやってみたいことを話す響さんは、とてもたのしそう。

「コーヒーって同じものがないんです。同じ生産者の豆でも毎年違うし、同じ豆でも毎日変わるし。ちょっとした調整やスピードで味が変わる、こんなドリンクってあんまりないなって思うんです。それが難しさでもあり、おもしろさですね」

「温暖化でいい品質の豆が手に入らないならば、別の枠組みから考えてみるとか。既存のコーヒーショップにはないアプローチをして、その結果、バリスタの価値を上げるような場所にできたらと思っています」

アイデアを聞いていると斬新な印象を受けるけれど、SAMAA_で実現したいのは奇をてらうことではなく、続いていくコーヒーショップ。

「希少な生豆を使ったマニア向けのものでもなくて、コンビニの100円コーヒーでもない。日常的に飲めて、環境にも配慮されていて、デザインもかっこいい。幅広い人たちにおいしいと感じてもらえる、真っ当な、そして本質的なお店でありたいですね」

すると、横で聞いていた村上さん。

「僕と響さんの大きな共通点は、ブルーボトルの創業者であるジェームスと真ん中の価値観が近いことだと思っています。流行っているものよりも、本物なのかを見ているというか」

「たとえばタオルの折り目の向きを揃えるような、日々の小さな積み重ねが集積して、お店の空気をつくっていくと思うので。ルーティーンを日々アップデートしていけるような人がいるといいなと思います」

大きな挑戦をたのしそうに話してくれる2人が、口を揃えて言っていたのは「基本を大切にすること」。

たのしさのなかに、プロとしての厳しさを持つ。

だからこそ湧いてくる探究心や好奇心がある。

2人と話してみたいと思えたら、ぜひ、ご連絡ください。

(2025/6/10 取材 中嶋希実)

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