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創業1903年、京都に根ざす「うね乃」。
無添加・国産素材にこだわり、「だし」を追求してきた専門店です。
今回は、だし文化の未来をともにつくっていく、新たな仲間をオープンポジションで募集します。

だし文化の「伝え手」としてうね乃が目指すのは、単なる伝統の継承ではありません。
古きを深く理解し、時代に合ったかたちで再編集し、新しい価値を生み出していくこと。
その姿勢を象徴するように、無添加・国産素材・伝統製法という軸を守りながら、液体だしやジュレだし、だしがらの再利用商品など、暮らしの変化に寄り添う製品を生み出してきました。
製造、商品開発、ワークショップ、海外展開など、だし文化を広げる可能性は無数にある。自らの意思と工夫で、自由に役割を築ける環境だと思います。
京都の東寺の西、京都駅から少し足を伸ばした静かな場所に、うね乃がある。
1階がショップで、2階がオフィス。となりの建物が、工場だ。

ショップに入ると、うね乃の商品がずらりと並ぶ。木組みで建てられていて、温もりを感じる。
奥のワークショップスペースで迎えてくれたのが、4代目の代表の采野(うねの)さん。

「まずは、ぜひ実際に飲んでみていただければ」と、2種類の昆布のだしをいただくことに。
一口味わうと、普段手軽に使うだしより、やさしい味わい。
そこに、マグロ節と少しのお塩とオリーブオイル、最後にトマトジュースを加える。
すると、まるで何時間も煮込んだような濃厚なトマトスープに。だしの味は隠れて、うまみを引き立てる存在に変わっている。
シンプルな材料で、こんな深い味わいが生まれるなんて、すごいです。
「主役は、あくまでも食材。だしは、それをそっと支えるだけですから」
「ほかに、なにか感じますか?」
体の奥がじんわりとあたたかいというか。なんだか、ほっとします。
「そうでしょ!」
「天然素材から丁寧に抽出されただしには、素材本来が持つうまみはもちろん、いろんな栄養素がバランス良く含まれている。化学調味料にはない、自然の恵みがたっぷり。だから、おだしを飲むと、心も体もほっと安らぐのは、自然なことなんです」
毎日の料理に欠かせないおだし。その奥深さについて、これほどまで考えたことがなかったことに気づく。
「だしをとるということは、単なる調理の工程ではありません」と采野さん。
「食べることは、生きること。だしは、その営みをそっと支える存在なんです」

うね乃は、お米や乾物を扱うお店として始まり、削り節やだしパックの開発など、昔ながらの製法を大切に守り続けてきた。
その一方で、時代の変化に合わせて、少しずつ、新しい商品や製法にも挑戦をつづけてきた。
創業以来のこだわりは、完全無添加のおだしづくり。
かつお節は鹿児島、昆布は利尻島、野菜は自社農園と、国産の素材のみを使用。どの商品の成分表示を見ても、うま味を補強するための添加物を一切使用していないため、素材だけが書かれていて非常にシンプルだ。
代表的な商品であるだしパックは、素材によって、4種類に分かれている。同じお味噌汁でも、使うだしパックで味わいが変わるという。

ほかにも、手軽に使える液体だしやジュレだしといった新商品の開発や、出しがらをペット用の商品にしたりと、食文化の多様化を踏まえた幅広い製品を展開している。
これらの商品は、事務所のすぐ隣にある工場で日々つくられている。
かつお節を削る工程で使われているのが、「鳥羽式(とばしき)」という伝統的な削り機。切れ味と耐久性に優れた刃金で削ることで、繊維が潰れにくく、うまみをしっかり引き出せるおだしに仕上がるんだそう。
さらに工場は、HACCP(ハサップ)の国際基準に沿った衛生管理を徹底。安心・安全なおだしを届けるため生産体制も整えられている。
事務所と工場が隣り合っているから、品質へのこだわりを全社で共有でき、アイデアをすぐに試作に活かせる。お客さんができたてのおだしをショップで手に取ったり、ワークショップを体験したりできるのも、この近さならではだと思う。

「食事をして、おいしいと思う気持ちは、人間としてベースの部分。毎日の食文化を支え、より良くすることは、深い意義があります。食を通じて『おいしい』と思う気持ちを未来につなぐ。それが、うね乃の使命なんです」
味へのこだわりや伝統は大切に守られながら、革新的な挑戦をつづけていく。うね乃は、その両輪が共存している。
「私自身、4代目として次世代にバトンを渡すために、未来型のだし屋さんとして積極的に挑戦しなければいけない。古き良き鰹節だけでは淘汰されてしまうという危機感を持っています。もっとアグレッシブに、攻めていかなあかん」
「だからこそ、今回の募集では製造や事務といった肩書きで求めているわけではないのです。このような想いを持った企業に参画し、『ああしてみよう、こうしてみよう』と自ら考え挑戦してくれる人に来てほしいですね」
次に話を聞いたのが、外部から参画している小柴さん。普段は、シェアオフィス運営や企業コンサルティングの仕事をしている方。
うね乃ではその経験を活かして、「攻め」の視点を持ち込む役割を担っている。これから入る人にとっても、経営企画に関わる場面では力になってくれるはずだ。

「化学調味料や酵母エキスが当たり前になった今、だし本来のうまみが忘れられつつある。味覚や健康、さらには環境や文化そのものを守るため、だしを伝えていくことには意義があるんです」
小柴さんがうね乃を知ったのは、友人の勧めで参加したワークショップ。
「私も、トマトスープを口にして。『おだしの自然なうまみに根ざした料理って、こんなに美味しいんだ!』って感動しました。それから、食文化の大切さを考えはじめることになったんですよね」
采野さんとも意見を交わすうち、化学調味料や濃厚な味付けが調理の主流になることで、日本人の繊細な味覚や伝統的な食文化が失われてしまう危機感を持つようになった。

「食を守ることは、日本の文化や環境を守ることにつながる。そんな使命感を持って、おだしの役割や価値を伝えているうね乃にとても共感をしたんです」
小柴さんの役割は、経営陣と社員間のコミュニケーションの橋渡しと、社会情勢を見据えた戦略づくり。
「代表と社員との間には、意識のギャップが生まれがち。代表が話すアイデアは一見突飛に見えますが、実は計算された戦略。私も経営者なので、その意図が分かるからこそ、社員にその背景を伝え、意識をつなぐ役割を担っています」
オンライン販売の強化や、ワークショップの開催、SNS発信など。市場変化を見据えた取り組みは、社員とコミュニケーションをとりながら、それぞれに手渡していく。
そうすることで、一人ひとりがだし文化の未来を自分ごととして考えて、自ら動ける環境をつくっていこうとしている。
「新しく入る人にも、社会の変化を敏感に捉えて、枠を超えた発想をどんどんとしてほしい。経営の視点を持って事業に取り組めるのとても刺激的だし、ここでの挑戦は、食を通じて社会を変えるきっかけになるはずです」
現場で働くひとたちはどんな想いを持っているんだろう。
次に話を聞いたのが、工場長の横手さん。京都の小料理屋でアルバイトをしていたころにうね乃の素材に出会い、新卒で入社した。

「製造の最初から最後まで関われること、素材をつくる生産者さんの顔が見えること。ここなら、心から自信を持てるものをつくれると思ったんです」
今は製造の中心を担う、13年目のベテラン。製造の現場を極めながら、新しい挑戦にも目を向けている。
「社長から『こんな削り節をつくってみて』とか『お客さまがこんな液体だしを求めているから、サンプルつくってくれへん?』なんて話がくるんです。そこから試作を重ねて、みんなでアイデアを出し合いながら、商品化を目指すこともあります」
ほかにも設備投資についてなど、日々気づきはあるものの、製造の仕事もあるなかで提案しきれないこともあるのだそう。
新しく加わる人は、社内のさまざまな立場から出る意見を吸い上げ、できることから形にしていってほしい。
「うね乃って、京都の老舗だし、堅苦しそうって思われるかもしれないけど、実際は全然違う。むしろ、小さなチームで大きな挑戦を続ける、革新的な会社。経営者との距離も近いし、年齢や経験に関係なく、会社の未来を考えて、新しいことに挑戦できますよ」
「『こんなんどう?』ってアイデアを出しながら、実現するための計画を立てて、経営者を交えてみんなで会社をつくっていく。それに面白そうってワクワクしてくれる人が来てくれたらうれしいですね」
「うね乃の人は、みんな『ありがとう』とか『助かります』って言葉をよく使うんです。そういう温かい雰囲気も、すごく好きです」
そう続けてくれるのが、2022年に入社した福田さん。

北海道出身で、大学進学を機に京都へ。小さいころから食べることが大好きで、将来は食に関わる仕事がしたいと、管理栄養士の資格を取り、うね乃へと入社した。
入社1年目は営業を担当。管理栄養士の知識を活かして、3年目の現在は、品質管理とSNS発信を任されている。
品質管理の仕事は、お客様に安心安全な商品をお届けするために、基準をつくったり、数値を管理したりすること。
「たとえば液体だしであれば、簡易的なキットを使って塩分濃度や糖度などを測定し、基準値内であるかを日々確認しています。こうしたデータを蓄積することで、より安全な商品をお届けするためのルールづくりにもつながればと思っています」
横手さんや、福田さんのように、現場で働く人たちそれぞれが自分ごととして、だし文化の未来を考えているのが伝わってくる。
「ほかにも、学生やインバウンド向けのワークショップを企画したり。やりたいことを伝えると、すぐに『やってみよう』と言ってもらえる環境がありますね」
うね乃は、歴史や文化にとらわれない、自由な発想や熱意を活かせる環境。
今回の採用には、特定の職種やポジションの枠はありません。
製造、商品開発、ワークショップ、海外展開、発信など、関わり方は自らの意思と工夫によってつくられていくはずです。
“だし文化を残し、発展させていくために、必要なこととは?”
その問いを繰り返し考えて、頭を働かせ、手を動かす。そんな日々を積み重ねた先に、自分も会社も、一緒に成長できるはずです。
(2025/04/11 取材 田辺宏太)


