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手に職をつけて、生き抜いていける仕事を見つけたい。
そう考えている人に知ってほしい業界が「断熱」です。
断熱とは、住宅の床や壁、屋根などに断熱材を敷き詰めて家の温度を一定に保つ技術のこと。
しっかりと断熱された家は、エアコンを使わなくても夏は涼しく、冬は暖かく快適に過ごせる。さらに、CO2削減にもつながるため、国も住宅の断熱性を高める取り組みに力を入れるなど、地球環境にも身体にも優しい選択肢として今注目を集めています。

株式会社マツナガは、新聞紙を細かく砕いた「セルロースファイバー」と呼ばれる断熱材の開発・施工を中心に、住宅の温熱環境に関わる事業を展開している会社です。
セルロースファイバーは、製造過程から環境に優しく、何度でも再利用が可能。ほかの素材よりも値段は高いけれど、断熱性だけでなく、防音性や吸放湿性にも優れています。
今回は、そんなマツナガで断熱材の施工を担当するスタッフを募集します。
未経験でも大丈夫。朝は早いですが、みんなで効率化を進めていて、そのぶん早く仕事が終わる。現場での残業はほとんどありません。
一度手に職をつけたら将来にわたって仕事に困らない。これからの暮らしを支えるのに不可欠な技術だと思います。
池袋駅から西武池袋線の準急に乗り20分。大泉学園駅に到着する。
そこから歩いて15分ほどで、鮮やかな色合いの建物を見つけた。ワインレッドの建物が「マツナガ」の事務所。

スタッフの方に迎えられ、1階の会議室で待つことに。
しばらくすると、2階の事務所から「どうも。外は暑かったでしょう」と代表の松永さんが笑顔で降りて来てくれた。

マツナガは1984年に松永さんのお父さんが創業した会社。商社で新規マーケットの開発をしていた松永さんが30年前に引き継いだ。
「日本では、これまで断熱材が全然重視されてこなかった。壁で隠れる部分だし、住んでみないと重要性もわからないから、安く済ませることばかりが重視されていて。だから日本の古い建物って、冬はすごく冷えるでしょう」
「それが、30年ほど前から高性能住宅が注目されるようになって。新しい市場の動きのなかで仕事をするなら面白そうだと思って、父の会社を継いだんだよね」
当時は、建材に含まれる化学物質が体調不良を引き起こすシックハウス症候群なども社会問題に。
時代の流れに乗り、マツナガではこれまでほとんど認知されていなかった「セルロースファイバー」という断熱材の普及に力を入れてきた。
セルロースファイバーは、どんな特徴があるんでしょう。
「まずは、エコ。新聞紙を細かくするだけだから、一般的な断熱材に比べて製造にかかるエネルギーが50分の1くらい」
「しかも、何度でも再利用ができる。木材に泡状のプラスチックを吹き付ける断熱材もあるけど、あれは将来ゴミになっちゃう。木材も再利用もできないし廃棄にも高いお金がかかるんだよね」

セルロースファイバーは、国内5割のシェアを持つ「グラスウール」と呼ばれるガラス製の断熱材と比べても、断熱性や防音性、調湿性能が優れているんだそう。
「たとえば、防音だと施工前と施工後で、10デシベルは音の違いがあって。車の騒音とかも、ほぼ気にならなくなるんですよ」
さらにマツナガでは、独自に素材を改良。時間が経つと重さで徐々に断熱材が沈み、隙間ができてしまうという課題を防ぐことにも成功した。
「断熱は素材も大事だけど、施工によって大きく効果が変わるんです」と松永さん。
「今は、断熱材だけを提供して、現場の大工さんに施工を任せる会社がほとんど。そうすると一見安く見えるけど、大工さんは断熱のプロではないし、質を担保するのは難しい」
「でも、うちは自社で専門のスタッフが施工まで担当するから、断熱材の効果を最大限発揮できる。施工のぶん費用は高くなるけれど、『マツナガなら間違いない』と依頼してくれるお客さんが多いんですよ」

注文住宅や、リノベーション物件の断熱を主に手がけるマツナガ。有名建築家から指名を受けるなど、こだわりを持つ人たちからの信頼も厚い。
依頼はたくさんあるけれど、今は担い手が少なくて受けきれていないのが現状だ。
「正直、歯がゆいよね。人がいれば、もっと売り上げも伸ばせるけど、施工してくれる人がいない。社員も年齢層が高くなってきていて」
「普通に求人しても、埋もれてしまう。会社のことをちゃんと知ってもらえたら、魅力に感じてくれる人もいると思うんです」
社員は現場スタッフと営業、事務で16人。営業担当や、松永さん自身が現場で施工することもあるのだそう。

「日本の住宅って全部で6000万戸くらい。そのうち、国が今年4月に定めた断熱性能の基準を満たしているのは18%しかないんです。つまり、残りの家は断熱性がまだまだ弱いし、断熱性を高める余地がある」
「需要が高まっている一方で、職人は減ってきているから、今技術を身につければ食いっぱぐれることはない。これから手に職をつけたいと思っている人にとってはいい仕事だと思うんです」
「自分の家の断熱をマツナガさんにお願いしたいって、わざわざ調べて電話をかけてくれる施主さんも多いんです。値段が多少高くても、あなたに任せたいって言ってもらえる仕事ができるのがやりがいだなって」
そう話してくれたのは長男の正太郎さん。
大手の建設機械メーカーで経験を積んだのち、3年前に入社。現場作業や営業などを担当している。

「断熱材が入ると、工事現場も涼しくなるし、外に音も漏れづらくなる。大工さんたちからも、『マツナガが入ってくれるとその後の作業が快適だ』って喜んでもらえて」
「一緒に仕事をしている人たちに評価してもらえるのは、やっぱりうれしいですよね」
施工の仕事は、大きく3つのステップに分かれる。
まずは、断熱材を入れるスペースをつくるための、「貼り」の作業。タッカーと呼ばれる大きなホチキスのような機械を使って、専用のシートを壁や床などに貼り付けていく。

次が、「吹き込み」。シートを貼った部分に穴を開けてホースを差し込み、機械で断熱材を入れる。
「断熱材を隙間なくしっかりと入れるのがポイントで。隙間があると効果が下がってしまう。シートを上から触って、しっかり入っているかを確認しながら進めていきます」

吹き込みのあとは、シートに開いた穴をふさいで完成。
一見単純そうに見えるけれど、排水管がある部分や、複雑な形をした壁などはシートを貼るのが難しい。住宅ごとに形状が異なるため、柔軟に対応するには経験と技術が求められる。
吹き込みができるようになるまでが、半年。貼りができて独り立ちするまでには2年ほどかかる。
新しく入る人はまずは、現場を見ながら作業の流れを覚え、吹き込みや貼りなどを順番に学んでいく。
「家が完成すれば、断熱は見えなくなる。見えない仕事をしているからこそ、ちゃんとこだわりたいなって思っていて」
たとえば、シートを貼るときも、シートにプリントされた文字がきちんと同じ方向になるように。吹き込みも、表面がでこぼこしないようにしっかりと調整する。
断熱は家の基礎となる部分。壁をつくってしまうと、やり直すことは難しい。だからこそ、細かいところまできれいに誠実に作業する。そういう姿勢が、お客さんの信頼につながっているんだろうな。

「大変なことも言っておくと、朝はちょっと早いです。現場の場所によっても変わるけど、朝は早いと6時前、通常6〜7時ごろにオフィスに集合して車で現場に向かう。慣れてしまえば楽なんですけど、最初は大変かもしれないですね」
マツナガで担当する物件は、主に車で1〜2時間ほどの首都圏。朝は渋滞などもあるから、通勤の負担を考えて、スタッフはみんな会社まで車で30分圏内のところに住んでいる。新しく入る人も、その範囲内のところに住んでもらうことが就職の条件になる。
「でも、そのぶん仕事が終わるのも早いんですよ。8時ごろに現場で作業を始めて、終わるのは16〜17時くらい。早いと15時くらいには現場が終わって、オフィスに帰って解散になります」
現場やオフィスまでの移動時間も、勤務時間としてしっかり給与に反映される仕組み。
はやめに作業が終われば、仕事終わりにライブにいったり、家族との時間を楽しんだり。有給も取りやすい雰囲気だから生活を大事にできている人が多い。
新しく入る人も、朝型のライフスタイルに慣れることができれば仕事と生活のバランスをとりやすいと思う。
「せっかくなので、現場も見ませんか」と、車で10分ほど移動し、近くの現場に連れて行ってもらう。
ビニールシートで囲われた建物の中に入ると、断熱材を吹き込んでいる最中。
ゴゴゴという機械のモーター音が響いている。
「機械を使って吹き込むから、工事中の音が大きいんですよね」と作業をしていた工事部長の石塚さんが手を止めて教えてくれた。この道18年のベテランだ。

現場で一緒に作業をしていたスタッフに「休んでていいよー。今日はもう帰らないかも(笑)」と冗談を言って笑っている。
「やるからには楽しいほうがいい。会社の人からは、8割冗談しか言わないって言われますよ」
現場の職人さんって少し厳しいイメージだったけど、マツナガの人たちは優しくて、親しみやすい。
「今日の現場も順調で。16時前には終わっちゃうんじゃないかな。効率を良くすればするほど早く仕事は終わる。この18年でだいぶ作業の仕方も変わりましたね」
「たとえば、最初のころはシートを全部貼ってから、吹き込みをしていたんですけど、今はある程度シートを貼ったら並行して吹き込みを始めちゃう。そうすると吹き終わる時間も早まるんです」
ほかにも、現場の手元を照らすライトや機械を高性能なものに変えたり、定期的にメンテナンスするようにしたり。作業効率をみんなで高めてきた。

「現場で作業をする人数は昔と変わらないけど、帰る時間は1時間以上早くなってますね。今は残業もほとんどないし、定時よりも1時間くらい前に作業が終わることが増えてきました」
「休憩時間とか、月に1回の懇親会とかでも、みんなで『こうしたらいいんじゃない?』って話すことも多くて。もっとよくできるところがたくさんあるし、それを現場のみんなで考えていくのが楽しいんですよね」
テキパキといい仕事をすれば、そのぶん早く帰ることができたり、1日に2つの現場に行って稼ぐこともできる。努力が結果として返ってくるのは、やりがいにつながるんだろうな。
「この仕事って、単純といえば単純じゃないですか。でも、パイプが出ている部分の処理とか、シートを貼るのが難しいところもある。その部分だけもっと楽な素材を使ってもいいけれど、できるだけ100%セルロースファイバーで施工してあげたいなって」
「やっぱりほかの断熱材を使うと少し性能が落ちると思うんです。せっかくうちに依頼してきてくれたから、住みやすい環境にするために難しいところも頑張ってみたい。それが面白いんですよね」
断熱は見た目にはわからないけれど、人の暮らしを豊かにする大切な仕事。
マツナガのみなさんの言葉からは、そんな誇りを感じました。
すこしでも興味があれば、まずは話を聞くところから。一緒に新しい断熱を広めていきませんか。
(2025/08/04 取材 高井瞳 )


