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ほっこりぽかぽか
日本家屋の2階から
まちの庭を育てる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

肩書きよりも、役割を大切にしたい。

組織を、引っぱるというよりも、場がうまく回るように整えていく。

今回紹介する仕事は、そんなスタンスで働きたい人に合うかもしれません。

舞台は、高尾山の麓にある八王子市が所有する都市公園「高尾駒木野庭園」。この庭園の園長を募集します。

八王子市で、建築・不動産の分野で地域と関わってきた「たなべ物産」が、開園後から14年間、この庭園の指定管理を担ってきました。

日本庭園と、喫茶室の入る屋敷があり、広さはどこにいても庭園全体を見渡せるほど。管理しやすい規模感です。

園長と聞くと、庭仕事の専門家や管理職経験者を想像するかもしれませんが、事務作業と接客、渉外業務が主な仕事です。

具体的には、庭園に常駐するスタッフのマネジメントや市役所に提出する報告書の作成、庭園の魅力のPRやイベントの企画など。大半が定型化されているので、未経験でも歓迎です。

スタッフや市役所の職員、地域の人と良い関係を築きながら、どうすればもっとこの場所が活きるのかを考えていきます。

季節の移ろいを感じながら、腰を据えて人と向き合いながらコツコツ働く。それが、地域の憩いの場を守ることにつながる。そんな仕事にピンときた人に、ぜひ読んでほしいです。

 

新宿からJR中央線に乗って、高尾駅で下車する。

北口から歩いて15分ほどで、住宅街のなかに紫色の旗を発見。ここが、高尾駒木野庭園だ。

12月下旬、ちょうど紅葉が終わったころ。入り口には、落ち葉もなく手入れが行き届いていているのがわかる。

庭園は屋敷の南側にある。

中に入り庭園を見ていると、「こんにちは」と挨拶をしてくれたのが、たなべ物産で地域連携事業部の部長を務める草間さん。庭園の管理運営のサポートをしてくれる方。

物腰やわらかく初対面でも話しやすい雰囲気をつくってくれる。

「このお屋敷は昭和初期に建てられて、もともと診療所兼住居だったんです。今は一部改修して喫茶室にしたり、お座敷で展示をおこなったりしています」

「事務所は特等席なんですよ」と、屋敷の2階に案内してくれる。

建て付け上、安全面を考慮して一般開放はしていないんだそう。庭園全体が見渡せて、陽が入ってあたたかい。今回、求人する方も、ここが職場となる。

「古い建物だから廊下が傾いてたり隙間風が寒かったりするんです。でも、こういう歴史が魅力でもあって。新しく加わってくれる方にもまずはここに来てもらって、肌でこの施設の古さも良さも感じてもらえたらうれしいです」

93年前に八王子で織物産地を支える生糸の卸会社として創業した、たなべ物産。

時代の変化とともに建築・不動産業へと事業を転換しながらも、拠点を多摩地域に置き続け、地域に根付く姿勢を大切にしてきた。

一方で八王子市では、高尾山に集中する観光客を市内へと広げるため、新たな観光の拠点づくりが課題に。

市に寄贈された古い屋敷と庭を改修し、庭園として活用する高尾駒木野庭園の構想も、その流れで生まれたものだった。

「建築や不動産で培ってきたノウハウを活かしながら、地域の価値向上に関われる。造園や飲食の事業者と共同事業体を組んで、庭園の指定管理を担うことにしたんです」

「ただ庭園をきれいに保つことだけが目的ではなくて」と草間さん。

「公共施設や文化的な建物は、これまで税金を投じて維持管理していくことが前提でした。けれど今は、それだけでは続けていくことが難しい。庭園を維持管理しながら、どうすれば次の世代につないでいけるか。そのために人を呼んで収益をあげて、持続していける仕組みを模索しています」

庭園での仕事は、具体的にはどのようなものなのだろう。

「園長の仕事の大部分は、事務の仕事です。消耗品の購入や施設の修繕、庭園に併設している喫茶事業の収支の管理とか」

「あとは、市役所に提出する報告書の作成もありますね。報告書の提出や市役所からの監査対応も、継続して指定管理者を任されるためには大切なことなんです。でもこの14年でだいぶ定型化しているので、未経験でもすぐに慣れると思いますよ」

それらに加え、高尾山付近の施設や登山者が利用する駅にパンフレットを置いてもらったり、市内のコミュニティセンターでPRしたり。営業や広報のように動くこともある。

さらに、自らイベントを企画することもできるという。

「八王子は、織物の産業や文化が受け継がれていたり、美術系の大学があったり、表現に携わる人が多く暮らしている。そうしたものや人たちと一緒に、地域を紹介していて」

高尾駒木野庭園ではこれまで、ジャズバンドのライブやお月見の会、施設内の竹を使った門松づくりなどを企画、開催してきた。毎年実施している人気のイベントもあるそう。

草間さん自身も、地域の人と資源をつないできた。

「昨年は地域の若手盆栽家や陶芸家や画家、物産を集めた展示会や市の事業と連携したライブも開催して、新たな価値づくりに挑戦しました。イベントをすると庭園の風景が変わるんです。それが素敵なんですよね」

庭園をライトアップし、八王子で伐採した木を楽器にするアーティストのライブを企画し開催。展示会では、企画段階で作家同士のコラボレーションから新しい襖絵が完成した。

イベントの企画から携われるのは、地域貢献だけでなく収益化にもつながるし、やりがいも大きいと思う。

「私自身、もともとはまちづくりや地域活性化に興味があって。実は以前、八王子市役所に勤めていて、在職中にランドスケープデザインを学びました。縁あって転職してきて、当時の知識や経験を活かせています」

市役所に勤めていたころは、高尾山口駅前のホテルやこの庭園と連携した回遊型イベントを企画したこともあった草間さん。

「2日間で延べ3000人くらい来てくれて。これを一つの成功体験にして、また次につなげていけたらと思っています」

園長の日々の業務では行政や地域の人と話すことも多い。そこで何かアイデアが思いつくかもしれないし、ノウハウや経験をもつ草間さんと一緒に考えて、形にできるといい。

「庭園のことだけでなく地域の文化や人も紹介できる拠点にだんだんなってきていて。開かれた場所になるように日々模索しています」

「古い建物は維持するだけでもたいへん。けれど、活かせる方法はまだまだあると思うんです。一緒にチャレンジしていけたらうれしいですね」

 

現園長は、前回の日本仕事百貨の記事で入社。約7年間勤め、新たな道へ進むそう。

そばでサポートしてくれるのが、副園長の小柳さん。前職では庭師をしていて、今は庭の維持管理やメンテナンスをメインに担当している。

「庭園内に柿の盆栽があって、実が7個なっていたんです。そのうちの1つだけが鳥につつかれていたんですけど、それが今朝すべて食べられていて。風情を感じますよね」

「前職の造園会社では、基本的に現場は単発で行くことが多かったんです。でも今は毎日ここにいるので、季節の移ろいとともに変化するのがわかる。学びや発見になることが多いのが、いいなと感じるところです」

休みの日がずれるため、小柳さんと園長が顔を合わせるのは週に3日ほど。シフトで交代する受付のスタッフも含め、基本的には常時3人が庭園にいる。

副園長が担当している庭の管理業務のうち、大きな植栽や盆栽、池の鯉の管理などは一緒に指定管理をおこなっている造園会社や、関係団体と協力しながらおこなっている。

「私は、庭の手入れをしながら植栽や盆栽、鯉の様子を確認して、様子が気になるときは園長に共有して、必要に応じて外部団体と調整して対応しています」

スタッフ同士の調整、市役所とのやり取り、地域の人たちとの関係づくり。

園長となる人は、そうした団体や業者と日常的にコミュニケーションを取り、状況を把握し、調整していくハブのような役割だ。

「ルーティンワークがベースにあるのですが、日々さまざまな人と関わるので、いろんなことがあるんです。臨機応変に対応できることが大事ですね。私もアドバイスができたらと思います」

「ほかのスタッフは、みなさん年上なんですよ。胸を借りる感覚で日々接しています。オープンマインドで接していけばみなさん気さくで、他愛もない話をしやすいですよ」

庭園には、地元の人だけでなく、登山のついでに立ち寄る人の姿も多い。

すぐ近くを流れる小川沿いには遊歩道があり、梅の並木が続いている。2月になると、開花に合わせて毎年同じ時期に訪れる人が立ち寄ってくれる。

「2月半ばから3月半ばころ、梅の咲く時期はとくに賑わいます。3月にはこの地域で『高尾梅郷梅まつり』が開催されるので、来園者はその時期が一番多くなりますね」

取材中も、園内をゆっくり歩く来園者の姿がちらほらと見えた。草間さんや小柳さんは、声をかけたり、少し案内をしたり。そうした日常のやり取りも、この庭園の楽しみのひとつだという。

「私は、冬が好きなんです。紅葉も終わって花も少なくちょっと寂しい時期かもしれないけれど、草が伸びないので、落ち葉をかいたり、植え込みの奥まで手を入れられる。無心になれる時間が心地いいんです」

「逆に夏場は、草刈りや自分の仕事が忙しくなって、一生懸命やらないと追いつかない。ちょっとひと段落つきたいときに、この景色を眺めるとリラックスできる。いい環境だなと思いますね」

 

大きな変化がある仕事ではないのかもしれない。

けれど、毎日同じ庭に立ち、同じ景色を見ながら、少しずつ関係を重ねていく。

そうした時間の積み重ねに、価値を感じられる人なら、この庭園での仕事はきっと合うはずです。

気になったら、まずは一度、足を運んでみてください。

(2025/12/18 取材 大津恵理子)

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